ヴォーカル(ハーメルンのバイオリン弾き)

登録日:2024/06/14 (金曜日) 17:11:00
更新日:2025/01/19 Sun 14:16:50
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おまえらバカじゃねーかぁ
魔族が人間と仲良くやってどーすんだよーーー!!

信じてもらってどーすんだぁ バーーーカ

虫ケラなんかよー

人間なんかよ───

ぶっ殺しちまえよ……


ヴォーカルとは漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』の登場人物。

概要

「魔族の中の魔族」「殺人鬼」「罪人」「魔界のリーサル・ウェポン」といった異名を持つ魔族
500年前にたった1人で大魔王ケストラーに反逆して魔界そのものを敵に回し、数万もの魔族を殺戮した末に冥法王ベースの手により魔都ハーメルンの奥の牢獄に罪人として幽閉されていた。

見た目はあちこちに髑髏の意匠があるパンクロッカー風の服装を纏った、紫色の短髪のワイルド系イケメン
一見人間に近いが額には2本の角、側頭部には蝙蝠の翼が一対生え、「くすんだ闇のような真っ黒」「殺意ばかりがギラギラと異様に輝いている」と形容される憎しみと怒りが込められた黒い瞳が大きな特徴。
また腹には第二の口を隠し持ち、ベースによって魔力を1/10に抑制する鉄球を右手に装着させられている。

本性は長い白髪と2本の角が特徴の鬼。
頭にあった悪魔の翼はなくなっているが他の軍王クラスの魔物と比べると変容の度合いは多くない。

初登場は16巻。
劇中中盤で登場し、オル・ゴールと共に数々の胸糞展開や鬱展開を齎し、読者にもハーメル一行にも絶望を与えた物語中盤の鬱展開の元凶ともいえる人物。
実際彼が登場したことで魔界軍王時代に犯した罪の意識に苛まれてサイザーは離脱。
以後ハーメルPTは崩壊してしまい、再び絆を紡いでハーメル一行が5人揃った元の状態に再結成されるまでには割と長い時間を擁してしまった。


人物

一人称は「オレ」。口癖は「ぶっ殺してやるぜ」
ノリが軽く気まぐれで基本ハイテンションなチンピラだが、本性は極めて傲岸不遜で残忍、短気で暴力的という無軌道な狂犬そのもの。
わがままを絵に描いた傍若無人さで他者を振り回し、自分が楽しいと思ったことしか行わず、物事や他人が自分の思い通りの行動をしないと酷く腹を立ててブチ切れるため非常に気難しい。
何より己の強さへの自惚れとプライドの高さ故にとにかく誰かに命令されたり自分より上に立つ者が許せない凶暴性も彼を象徴する要素。牢から解放されても速攻で封印を行ったベースへの恨みからベースに平然と反逆した反骨心の塊でもある。

DQNな振る舞いの暴君というベクトルはドラムに似ているが、ケストラーを公然と「ボケ野郎」「クソ親父」呼ばわりしてケストラーへの憎悪を隠さない忠誠心の無さと、ドラムと比べ知恵が回る悪辣さが大きな差別点。
ケストラーほどではないが利己主義が極まりすぎている自己中心的でエゴイストな気質のせいで、軍はおろかそもそも集団を率いる事に致命的に向いていない。


だが最大の特徴は人殺しだけが生き甲斐の変質的な殺人快楽主義者であること。
ギータ「殺すことにしか生きがいを持てない」「生きているものの存在を許さず自分自身しか認めない一匹狼」と評しただけあって、快楽殺人鬼の巣窟である魔族の中でも飛びぬけて人類への殺意が強く、
  • 人間も魔族も気に入らなければ見境なくいたぶり破壊し尽くし、人間は只管イビリ抜いてから殺して遊ぶ趣向
  • 癪に触る者は魔族であっても殺し、ケストラーに反旗を翻す程の度を超えた凶暴性
といった点から、魔族からも酷く恐れられている。
その凶暴性・残虐性は筋金入りであり、スコア王国を滅ぼした後その夥しい屍の山の上に立って


ハハハ いいよなー世界の終わりみてーでよー

オレたちにふさわしい場所ってのはこーゆー所だよな


スポーツでひと汗流したと言わんばかりのスッキリ爽やかな笑みで高笑いする様は正に悪鬼。
人間の事などイビリ殺して遊ぶオモチャとしか思っておらず、寿命が尽きたことによる命の危機に陥ってもまず脳裏に浮かんで口に出たのは命乞いや改心などではなく「生きて生きてもっと人間をぶっ殺したいである時点であまりにも救いようがない。
おまけにただ殺すだけでなく人の心を弄び侮辱する嫌がらせも好んでおり、言葉と振る舞いで嬉々として人の心をネチネチ虐め倒す陰湿さも持つ。
このように殺しと人間への嫌がらせをこよなく愛する一方で「仲間」「誰かのため」といった概念を酷く嫌っており、そういうのを見ると「ムシズが走る」として途端にキレ散らかして不快感と殺意を全開にしていた。

他だとかなり派手好きな一面も持ち、テンションが上がった際はブラスバンドに扮してギータやオル・ゴールを巻き込んでライブを行ったこともあった。


基本的に思考の結論が殺意に直結しているためかまともな人間(?)関係と呼べるものは皆無。
半ば強制的に組まされたオル・ゴールがヴォーカルに媚び諂うのに対し、本人はオル・ゴールを罵倒しながらボコボコにするパワハラは中盤ではよく見かける光景。
オル・ゴール本人は性格の気質がヴォーカルと全く合わないこともあり恐怖心も併せて常々愚痴や悲鳴を覗かせることが多々あったが、「人間を虚仮にして嘲笑う」という点においては憎たらしい程に阿吽の呼吸を見せていた。

サイザーやオカリナ、フルートに平然とセクハラをかましたこともあったがこれらは性欲から来る行動ではなく、あくまで殺す前の揶揄いや嫌がらせ、暇潰し程度の意味合いしかない。
実際フルートだろうとオカリナだろうと容赦なく暴力を振るっており、オカリナに対しては顔面を殴り飛ばした上で雑魚扱いして虫ケラとしか見ていなかった。


能力


そんなんでオレを倒そうと思ったのか?オレを倒すにゃ…

500年早ぇぇ!


「5人目の魔界軍王」「冥法王ベースに匹敵する」とまで評されたほどの、魔族の中でも破格の実力者。
ただしその凶暴性と冷酷さから「冷静沈着な分ベースの方がまだマシ」とオカリナに評されていた。

戦闘スタイルはステゴロ。
他の魔界軍王と比べて特に変わった異能も何もないが、自在に空を飛び、手から強力なエネルギー波を放つ事ができる。
その実力は力を封じる枷を付けられた状態でも本気になったサイザー+ワルキューレ全員を相手に舐めプができる余裕があるほどで、スピード・攻撃力全てにおいてサイザー以上。
ギータが魔族の血を活性化させたハーメルとまともに戦える存在としてリスクを承知した上で釈放を提案しただけあり、ケストラーを除けば魔族化したハーメルとの殴り合いでハーメルを圧倒できた劇中唯一の魔族であった。

また戦い以外でも、魔力で自他の服装や装備の外見を自由に変えることもできる。
触れた魔族の魔力を吸って己の魔力を回復できる特異な能力を持つが、本編ではほとんど使わず自分の魔力を急遽回復させるための緊急手段として用いていた。


装備

  • 鉄球
冥法王ベースによって右手首に架せられた拘束のための鉄球。ヴォーカル曰く「バカ鎖」
「封」の文字が大きく描かれ鎖で手首の枷と繋がっている。
魔力を1/10に抑制する効果がある他、ベースの意志によって強烈な重圧を掛けて無理矢理動きを封じる効果もある。
劇中では武器として用いることもあったが拘束具の域を出ておらず、怒りの余り不用意に拘束を破壊したことが己の死に繋がった。

超獣王ギータのコレクションの1つで、元々はダル・セーニョ王国に伝わる伝説の宝剣。
鍔に聖なる者の魂を封じた宝石(ルビー)を嵌めこむことで力を発揮し、軽く一振りするだけで地平線の果てまで大地を割るほど剣圧を発するが、宝石が無ければ何も斬れないナマクラになってしまう難儀な剣。
だが「何でも切れる=いかなる手段を以てしても刃毀れしない」という意味合いもあり、劇中では体内に仕込んで防具代わりにしたことで窮地を脱したこともあった。


活躍

オル・ゴール戦を経て心身ともに強くなったハーメル一行への嫌がらせ兼当て馬として解放されると、オル・ゴールとの戦いで絆を深めハーメルへの偏見も解消され親しくなったスコア王国の住民を老若男女一人残らず皆殺しにしてスコア王国を滅亡させ、その屍の山で高らかに哄笑する非道極まりない所業で鮮烈デビュー。

その圧倒的な強さと悪意でハーメル一行を心身ともに追い詰め、パンドラの箱を開く鍵と成りうる「何でも切れる伝説の剣」を巡る戦いでは、ダル・セーニョ王国跡地にてサイザー、オカリナ、トロンを蹂躙。
おまけに反魂の法で自身が殺害したサイザーを蘇生させ『漆黒の魔女サイザー』に変貌させるなど暴虐の限りを尽くした。
だが、自身の魔力を顧みない暴走を続けた挙句ハーメルの怒りを煽りすぎた結果、完全にブチ切れ更なるケストラーの血の力を活性化させたハーメルの力に圧倒された屈辱で逆上。
散々見下していた筈のハーメルに力で負けるという屈辱に耐えきれず、ハーメルを上回るために不用意に己の封印を無理矢理破壊して本性を出し、一時は完全に形勢が逆転する。


本気出せよオイ…
さっきまでの遊びとは違うんだぜぇ ぶっ殺しちまうよ…
本気出してよォサイザーや…仲間(みんな)の“敵”取ってみろよぉ
オレって強いだろぉ!?ハハハァ!

おめえも馬鹿だよなー
人間なんかにくみしやがってよォ
魔族のくせによォ
人間なんざよォ

ぶっ殺しちまうもんだろーがよォーーーーッ!!

サイザーとか…スコアの奴らとか…楽しかったぜェェェーーー!!

ハハハハハ


ビシィ


本来の姿を取り戻してイキリ倒していたヴォーカルだったが、封印を解いて本性を出した反動として著しく魔力を使い果たし、とうとう寿命を迎えてしまう。
この時左腕を完全に喪失。本性の姿すら保てなくなり、ボロボロの身体に成り果てながらも悪態を付きながらハーメル一行の前から姿を消す。

こうして弱り果てたところを追撃とばかりに、完成した何でも切れる剣の確保を狙うギータの襲撃を受けて交戦するも、寿命間近の満身創痍の身体ではギータに太刀打ちできず敗北。
ギータの暗殺で瀕死に追いやられ、ギータが皮肉と嘲り込みで用意した棺桶の中に横たわり、全身を大量の剣でめった刺しにされることで物語から退場した。
……かに見えたが。


末路


足りねェ…
足りねェ…
足りねェ…

命が… 足りねェー!

ギータの暗殺を受けても尚、しぶとくヴォーカルは生きていた。
だが身体も子どもの姿にまで縮んでしまい、エアシュテルベントを放浪しながら死への恐怖とケストラーへの憎悪、もう大勢の人間を殺せないことへの悔しさと憤りから来る絶叫を上げていた。

サイザー討伐のために出撃した超獣軍の残党を捕食して魔力を回復させようとするも寿命を補うにはまるで追いつかず、最終的はオル・ゴールに絞りカスと憐れまれる状態にまで追い込まれてエアシュテルベントを放浪。
死の大地で偶然出会ったハーメル一行にこれまでのように喧嘩をふっかけたが子供に成り果てたことで逆に憐れまれる始末。
最後は散々振り回したオル・ゴールに処分されるような形でケストラーに捧げる聖杯として回収されることとなり、おまけにこれまでの自分の全ての行動がケストラーの掌の上でしかなかったとオル・ゴールに聞かされ遂に感情が爆発する。

死の間際、ケストラーへの最大級の憎悪と怒りに加え、ハーメルとオーボウに負け惜しみにも似た呪詛の言葉を叩きつけるも、最後はオル・ゴールの奏でる葬送曲によりエアシュテルベントの大地に埋められた大量の人骨に纏わりつかれながら、最後の最後まで己の存在を誇示する断末魔の絶叫を叫びながら消滅する自業自得の最期を迎えた。


いいかハーメル!オレはてめぇが大嫌いだっ!!ケストラーの血を引くてめーがなぁ
魔族のくせによぉー!!“仲間”とかよー!馬鹿じゃねぇかー!!人間どもと群れやがってよぉー!ムシズが走らぁー!!
人間なんざ…ぶっ殺すもんだろーがぁ!!
おまえだってアンセムで…殺ってきたんだろー!!
オーボウてめーだってそーだ!昔はよー

ここの死体みたいにぶっ殺したんじゃねーのかい!?人間の血だって飲んでたんだろー!?
魔族なんだからな───── ハハハハァ


なあーハーメル オレが教えてやるぜェ 予言してやる────!
おめーもこーやって…死ぬんだ!!
オレみたいによ醜く 哀れに 砕けちって 死ぬんだぁ!!

オレ様は…


ヴォーカル様だぁ!


余談

名前の由来は歌手である「ボーカル」の捩り。ちなみに単行本のカバー裏で女体化したことがある。

主人公ハーメルのライバルキャラという立ち位置だったこともあり、ヴォーカル本人は普通にシリアス…だったのだが、この漫画は不条理系ギャグと陰惨なシリアスが混然一体となった強烈な作風のハーメルンのバイオリン弾き。
特に本作屈指のネタキャラである魔物化コル・ネットと完全に活躍時期が被っており、結果としてコル・ネットのギャグパートに巻き込まれる形で彼もまた本作のギャグパートに呑まれることになってしまった。



追記・修正よろしくお願いします。


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最終更新:2025年01月19日 14:16