帯刀右近

登録日:2024/09/01 Sun 00:00:01
更新日:2025/03/05 Wed 21:21:20
所要時間:約 6 分で読めるでやんす






人間はね 視力を失くしても
視覚はあるでやんす



帯刀(たてわき) 右近(うこん)とは、格闘漫画の金字塔タフ・シリーズの登場人物でやんす。
第二部『TOUGH』と番外編の『柔の章』に登場し、番外編では唯一本編から登場したキャラになったでやんす。




【人物】

帯刀流棒術の達人。「~でやんす」と古風な話し方をする。
後述する経緯で視力を失った盲人であるが、それでもなお“盲目の奇術師”と呼ばれるほどの棒術の使い手。
5尺(約150cm)の棍のようなをついており、この杖を武器としても使用する。

視力は全く無いのでスマート・フォンの画面を見ることはできないが、視覚はまだ完全に死んでいないためか光を感じることはできる。
また、聴力など視覚以外の五感が発達しており、目は見えなくとも他の感覚によって脳内で風景をイメージして視ることが可能。
これによりキー坊が本当に目が見えないのかと疑うほどに周囲の状況をはっきりと認識できる。

また超能力者を自称し、人の感情などを色のついたオーラとして感じとることができるらしい。
彼曰く、人間は元々超能力を持っていたが今はその能力が退化して失ったとのことで、視力を失くした分その他の感覚が研ぎ澄まされたのだと思われる。

己の精神の未熟さを自覚して恥じる、決闘に負けた者に再起を促す、手合わせをした戦友に“強さ”とは何かと説くなど武人としての気質も持ち合わせている。


◇過去

あるとき、帯刀流棒術の道場を荒らしにきた鬼龍を迎え討った。
しかし「クズを殺して刑務所送りになるのは割りに合わない」と刃の付いてないで舐めてかかった挙げ句、あっけなくワン・パンで倒されてしまった。
ワン・パンで倒されたとはいえ鬼龍のコートを穴を空けたからか、下僕にならないかと勧誘を受けたものの、下僕になるくらいなら死を選ぶと言い返し拒否。
その返答を聞いた鬼龍は

「そうか……なら死ね!」

と親指をこめかみに突き立てて視神経を破壊。
右近の視界には一瞬の閃光が走り、永遠に視力を奪われたのだった。

そしていつしか鬼龍を倒すときのため、自分の手すら見えない闇の中で中で死に物狂いで修行を積み続け、失った視力を補うように他の五感が研ぎ澄まされていった。

それからしばらくして鬼龍の蛮行を聞いた静虎が帯刀流の道場を訪れる。
絶縁した鬼龍の仕業とはいえ右近への仕打ちは灘神影流の責任として、静虎は目を潰すようにと右近に頼み込む。
それを聞いた右近は躊躇なく刃の着いた槍で静虎の顔を突く…が、刃は静虎の顔を掠めて空を切る。
その間静虎は微動だにせず、刃が顔を掠めてもなお変わらず目を突くように頼み続ける。
静虎の武道家としての詫びを視た右近は彼の心意気を知り、敬意を持つようになった。

鬼龍への私怨を抱いているが、「正々堂々と戦って負けた結果なので本来は恨む筋合いは無い。しかし理屈ではわかっていても感情的になってしまう」と語っている。


【戦闘能力】

前述したように、盲目にもかかわらず奇術師と呼ばれるほどの棒術の腕前を持つ。
本人も5尺の杖があれば無敵だと豪語している。
杖を器用に使って投げ技を防御するなど、単純な攻撃に留まらず棒を使うこと全般に広く精通している。

全盛期の鬼龍に一撃を掠めさせる、フィールドと体力にアドバンテージがあるとはいえキー坊にも善戦するなど、そのポテンシャルはかなり高い。
足場の悪そうな深い山の中でもジョーカーとしての役割をきっちりと務めている。

また棒術のみならず、キー坊の蹴りをモロに食らっても全く怯まず、普通に戦闘を続行するという肉体的なタフさも持つ。


◇技

  • 風神落とし
杖を風車のようにぐるぐる回す動作から始まり、杖を大きく振り回して下段→上段の順に連続で攻撃を繰り出す。
風のミノルの風神脚と若干ネーミングが被ってるんだ

  • 稲妻突き
突きの連打を繰り出し、フィニッシュに一回転しての大振りの一撃を加える。


【活躍】

◇TOUGH

ハイパー・バトル日本予選にジョーカー*1として参加。
ベスト16に残った時点でのリング保有数は4。

ススキの草原でリング保有数2の柔道6段の内藤秀法をいとも容易く撃破し、隠れていたキー坊とゲンの気配を探知する。
呼吸の荒さや足取りの重さから疲労を察し、暗闇のなかでリーチの長さを活かしてキー坊を攻める。

身体的ハンデを持ちつつも超人的な強さと能力を持つことを尊敬すると言うキー坊の言葉を一蹴。
鬼龍に目を潰された過去を語り、鬼龍を倒すために修行を積んできたと言い、他者に希望や勇気を与える余裕などないと叫ぶ。

キー坊からは鬼龍と同じく臭いを感じると言いつつ、月明かりの無くなった真っ暗闇の中で更にキー坊へ追い打ちをかける。
杖を奪われてもなお嫌味を言いつつ闇から襲いかかるが、気配を探知したキー坊のカウンターをモロに喰らう。

鼓爆掌で聴覚も潰されたかに思われたが、“人の道”を外してはならないという静虎の教えを守ったキー坊の攻撃は寸止めであった。
かつて静虎から武人としての詫び方を知ったことを思い出し、キー坊にもその心が受け継がれていることを感じた。
そしてキー坊の心を見極めて満足した彼は持っていたリングを全てキー坊へ託して脱落する。


その後予選終了まで出番が無かったが、キー坊と薔薇丸が乗り込んだ“地獄列車”に同乗しており、和香ちゃんと共に彼らの決闘を見届ける。
戦いそのものを見聞きせず、オーラだけを視て勝負の実況を務めるという人間離れした芸当を見せ、その最中で二人のオーラが入り交じる様子を「様々な色が混ざった虹色(レインボー)列車でやんす」と表現した。

二人の決着が着いたところで隣の車両から顔を出すが、キー坊が出血多量でぶっ倒れてしまい、次の駅に救急車を呼ぶように指示する。
そして病院に着いた後はキー坊に敗れた薔薇丸に対し「敗れて得るものは“屈辱”しかないと思ってるんでやんすか?」と尋ね、戦いに敗れても尊いものを得られるのだと諭す。

このシーンを最後に何処かへ姿を消し、本編からはフェード・アウトする。


TOUGH 番外編 柔の章

前述の通りタフ・シリーズ本編から唯一登場。なぜか語尾が「~でやん()」に変わった。

第一話と最終話に登場する。
第一話では逆打ちの巡礼を行っている最中に、札所で待ち伏せしていた主人公のフジモンこと藤垣聰から勝負を挑まれる。
このときはハイパー・バトル予選のときとは違う金剛杖を武器に使用した。
視覚にハンデを負った者同士通じるものがあり、語らいつつもリーチの長さで優位に攻め込む。
しかし最後はフジモンの決死の背負い投げを受けて敗北。派手に投げられて腰を打ちつつも二人の間に友情が芽生えていた。

最終話ではフジモンと山田カラバフ太郎の試合に駆けつけ、フジモンの仲間たちと共に彼らの戦いを見届けた。
ラスト・シーンではフジモンと徳島県の大浜海岸を訪れ、「“強さ”とは自分のなかに探すものでやんス」と説いた。


【余談】

  • 彼の代名詞とも言えるだが、バージョンや媒体によってフリガナが「虹色(レインボー)列車」だったり「虹色列車(レインボー・トレイン)」だったりする。



様々な追記・修正が混ざった虹色項目でやんす

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最終更新:2025年03月05日 21:21

*1 大会を盛り上げるために雇われた武道家たちで、勝ち残っても本戦に出場できない代わりに奪ったリングの数だけ報酬がもらえる