登録日:2024/09/15 Sun 12:47:42
更新日:2025/04/02 Wed 00:00:25
所要時間:約 10 分で読めます
(今後も、知らない『用語』が出てきたら『記憶(Memory)』に叩きこむとしよう。
どうせ、そんなに数は多くないだろう……。)
愛の魔女 (333)
MP:55
<ビッグバン:依依恋恋>
オリジンが最初にサモンしたソウルが、
オブリビされずに4回のエンドフェイズを迎えること。
――――…………???????
鏡のマジョリティアは、2024年に公開された
フリーゲーム。
作者はパルソニック氏。
※この作品は一種の謎解き要素を重視した、ネタバレの影響が比較的大きいゲームです。
当記事は一応それを配慮し、重要な謎解き要素である「用語」を極力使わないなど、ネタバレを軽減するようにはしていますが、
すでにこの作品に関心がある方は、極力内容を先まで読まずにブラウザバックしてプレイしてから戻ってくることをおすすめします。
概要
本作オリジナルの架空TCG『マジョリティア』を題材としたゲームであり、
「自分だけが用語もルールも知らない中で勝ち続ける、『暗中模索カードゲーム』」
と公称している。
一本道のアドベンチャーゲーム部分と、実際にマジョリティアをプレイするパートで構成されており、
主人公は百戦錬磨の凄腕マジョリティアプレイヤーと周囲に認識されているが、本人(とプレイヤー)はマジョリティアの知識が全く無いという状況でゲームは始まる。
上級者である主人公に対して周囲がマジョリティアの細かいルールを今更説明するわけがないため、
カードゲームプレイヤーの普通の会話と実際のプレイから用語の意味を読み取り、推測してリストアップしながらマジョリティアでちゃんと勝つという、インディーズでにわかに流行している「言語解読」ジャンルの様相を呈している。
用語もちゃんと意味合いを持たせて命名されてはいるが、絶妙に紛らわしい名称がちょくちょく含まれている。
また、マジョリティアでは
デュエルディスク的な道具が実用化されているにもかかわらず、
ルール処理はほとんど自動化されていない。
機械的な機能として実装されているのはシャッフルと、山札などのカード枚数や特定の数値を管理するカウンターだけで、後者に至っては数値の変動は手入力。
カードの領域移動など、リアルでTCGを遊ぶように各種処理を無から理解したうえでプレイヤーが操作しなければならない。
さらにはルール上、
ターンの進行に関する宣言を厳密に行うことを求められたり……
ただし、用語解読を進める特典として
煩雑な処理はゲーム上で徐々に自動化されていくようになり、このような苦労をずっとしなければならないわけではない。
……が、当初はカジュアルな対戦環境で、不適切な処理をしても指摘されるだけで済んでいたが、
マジョリティアの真剣勝負においては2つのルール……「絶対のルールとして、
必ずお互いに何かを賭けて勝負する」「
ルール処理ミスを5回すると即敗北」があることが明かされ、
今度は
「よく知らないゲームに勝つ」に「ルール処理を間違えないよう注意する」という新たな関門が設けられることになる。
そして、マジョリティアはかなり個性豊かなデッキタイプが存在するゲームになっており、
ゲームに慣れ、えげつない初見殺し様々な戦術を繰り出してくるデッキをいかに攻略するかというTCGらしい楽しみ方もフォーカスされていく。
ただし、本作は運要素は一切なく、常に決まったカードを引き、CPU側の動きはプレイヤー側の動きで干渉しない限りは変わらないため、詰め将棋的な色が強い。
また、TCGパートの間も相手(と外野)が起こっている状況に合わせて喋る仕様も搭載されており、賑やかさや勝ち筋を通した瞬間の爽快感などを提供してくれる。
なお、プレイヤー側も途中からはデッキを編集することが可能となるが、これが大変特徴的な仕様となっている。詳細は人物ネタバレ部分にて。
登場するマジョリティアのカードは、しばしばファンシーな方向性も入れつつ全体的にどこか闇を感じさせる(これ自体フリーゲームっぽいとも言える)世界観になっているが、
各カードにフレーバーテキストもあり、カード間での繋がりを匂わせるなど一つのTCGらしさをしっかり担保されている。
登場人物
「さあ――始めようぜ!」
主人公。小学生。
その名は決して有名ではないが、
次に何を引くか把握しているかのような神引きによって800戦以上の対戦で無敗を誇り「
ゴッドドローのタイガ」と呼ばれる最強プレイヤー。
お風呂の時以外はデュエルディスク的なやつを肌身離さずつけていたというほどのマジョリティア狂い。
しかし、なぜかマジョリティアに関する記憶を一切合切失ってしまっている。
その真相は、彼がとある事情で一時的に姿を消しているタイガを模して作られ、その代役を任されたアンドロイドであるため。
記憶情報もコピーされるはずだったのだがマジョリティアに関する記憶だけがコピーされておらず、このような状態になってしまっているのだ。
画面上の名前表示では「TAIGA」と英字表記されるため、本項目では本物のタイガと彼を区別する際にはそれに倣う。
本物のタイガとの差異として、両目の下に涙を流しているような一筋の模様がある。
困ると無言で目を閉じ、悟ったように沈黙したり、残像が発生するほど激しく首を振って意思表示したりすることが多い。
父親の遺した超レアカードである「鏡の魔女」デッキを与えられており、それを使用することになる。
鏡の魔女は相手の戦術を受け身で対処することが前提のカードデザインとなっており、この特徴がゲームの肝の一つと言える。
単に科学力で作られたアンドロイドではなく古代のオーパーツであり、「勝負に敗北した」と認識した瞬間、自身のみ記憶を引き継いでその勝負の前まで時間を巻き戻してしまう「ロールバック」能力を持つ。
要はメタ的な事象に理由付けをしているようなものだが、わざわざこんな設定になっていることにはもちろん意味はある。
「……ボクは、キミを信じているからね? ――……また明日!」
本物のタイガは夜毎にTAIGAにメッセージを送って事情の説明やアドバイスをしてくる。
TAIGAは基本無口なのに時々ホビアニ主人公テンションになったりキザ男になったり
語彙がワンピースになるなどファンキーな一面があるが、
本物は↑のような柔らかく斜に構えたキャラで、
遊戯と
闇遊戯くらいノリが違う。
本当に記憶以外は模せてるんだろうか……?
マジョリティアは機械でカードを正確に配分するため、都合よく特定のカードを引けるなんて芸当はありえない。
……と作中で言及されるが、この文言を見て、カードゲームを嗜む諸兄であればおそらく大いに嫌な予感がしたことだろう。
そう、元々のカードの順番に対して「常に正確に配分」されてしまうという完全にカードゲームとして終わってる仕様の穴があるのだ。
(対戦前のシャッフルはどこかで「無作為」になるようにしなきゃダメだぞ!)
タイガはこの「裏技」に気づいていて、ただ事前にいつ何を引くのか分かっているだけなのである。
TAIGAはデッキ編集の解禁と共にこれを教えてもらったことで、能力による後出しジャンケン+積み込みという完全チートが可能になる。
つまり積み込みでもしないと勝てないレベルの神引きを相手もしてくるってことだけどな。
デッキ編集とは言いつつ、ゲーム中で元々のデッキの他に解禁されるのはタイガのサイドデッキの余りとして残されてたカード5枚だけで、一般的なデッキ調整としてできることは極めて少ない。
デッキ編集でプレイヤーが主にやることはズバリ、積み込みの順番決め。
本作の対戦に運の要素はない、というのは当然自分も然りで、こういうことなのである。
当初は「観察力で相手の戦術を見抜けるようになった」と言っていたが、
実は目を合わせた相手の
心の中が読めてしまう読心能力者。
この能力は常時発動なので、タイガにとってマジョリティアはこのインチキ前提で遊ぶものにならざるを得ず、
そもそも日常生活においても不必要なことまで知れてしまい、タイガの精神を鬱屈としたものにしてしまった。
でもゴッドドローの積み込みは能力と関係ないよね?
ただし、アンドロイドであるTAIGAからは思考を読み取ることができず、ただ一人タイガの真剣勝負の相手たり得る。
TAIGAに知識が引き継がれなかったのもタイガの意図したもので、TAIGAを対戦相手として自分のコピーにしないためにあえてそうした。
「やっぱり、お前は――最高の『トモダチ』だな!」
タイガのマジョリティア仲間の1人。大柄なガキ大将タイプ。
とはいえ、見た目に反して決して脳筋ではなくそれなりの実力を備えており、タイガを除いた中では一番強いらしい。
性格もジャイアンで言えば
完全に劇場版の方。
「なるほど、そういうことなら頭脳派の僕も協力しますよ!」
タイガのマジョリティア仲間の1人。メガネ君。
TAIGAが初心者向けと言い訳して作り始めた用語まとめノートをチェックしてくれる。
答え合わせが出来ると言うだけではなく、「ノートの記入欄自体が大きなヒントになる」上に「正答を埋めていく度に処理の自動化が出来るようになる」ので、ある意味誰よりも大事な仲間である。
「タイガくんがいない間に、あたしたちも強くなったんだよ、『マジョリティア』!」
タイガのマジョリティア仲間の1人。明るい女の子。
中級者と言えるゴリダやスペクタと違い、最近になってルールをまともに覚えたマジョリティア初心者。
趣味で動画配信をしており、純朴な雰囲気に反してオトナな行為への関心が尽きないなどものすごくマセている。
彼女まわりの描写だけ色々な点でホビアニ時空レーティングを逸脱している問題の人物。
モッキーには姉がいたらしいが、TAIGAはおろかゴリダやスペクタでさえ、本人からも周囲からもそんなことを聞いたためしがなく、一人っ子だと完全に思い込んでいた。
動画配信の中でも、それに触れそうになるとリスナーですら空気を読み始めるような禁断の話題となっており……
その真相は、父親が会社勤めで行ったマジョリティアの勝負で長女を「賭け」て奪われたから。
マジョリティアのルールは絶対であり、その「絶対」は人間そのものですら対象たり得るという領域にあるのだ。カードゲームで命や人生が懸かるのは当然だから仕方ない
その一件で両親は離婚し、母と共に1年前に舞台となる町へ引っ越してきたという壮絶な過去があったのだった。
なお、実は現在その身柄は悪の組織ワジョリティアの手中にあり、詳細は語られないが彼女が組織にとって「使える」頭脳を持っていたとされているため、
単に父親が娘を賭けの対象に使ってしまうクズだったのではなく、ワジョリティアの陰謀の結果としてそのようなことが起こったものと考えられる。
「所詮は運がいいだけの青二才ですわね! ミョーーーッホッホッホォ~!!」
タイガ達よりも年下ながら最年少での資格認定を受けている超実力者。
上記のような変な笑い方をする典型的お嬢様キャラだが、ジャンスカ(ジャンパースカート)をいつも着用してくるため「ジャンスカのお嬢様」の異名で通っている。
しかし、町の大会では毎回決勝に進んではチータに負け続けている永遠のNo.2でもあり、モッキーには「ナンバーツーちゃん」というひどいあだ名を付けられている一方、スペクタはベタ惚れしている。
根は年相応にピュアかつお嬢様の境遇故もあってぼっちで、自分の使用する魔女のカードを「御友人」と称するなど、カードの声が聴こえているような言動をすることも。
「マナフリーだ……タイガ。」
世界初の資格持ちとなった最強プレイヤーの1人。この町の大会でも3連覇を果たしている。
目つきの鋭い浮世離れした雰囲気の不審者男性だが、脳を無駄なく活用するために大会前は日常をマジョリティアで埋め尽くすので、その間は基本的に発言中の単語が軒並みマジョリティア用語に変換されて出力される。
ひとが用語を覚えている最中に「応用編」を叩きつけてくる本当に迷惑な男。
また、最強の肩書きに反して、本作では非常に珍しいことに初見で突破される事例がしばしば報告される悲しき存在。
「どうです? ここは潔く降参されてはいかがかな?」
プロンの執事。
プロンのマジョリティアの師匠でもあり、表舞台を離れてはいるが歴戦の古強者。フレーバー部分への見識もえらく豊富。
「そいつァ、心外だなァ……オレはただの『レアハンター』だぜェ?」
いかにも悪人っぽい雰囲気の少年。
とある目的のための「餌」としてレアカードを集めている。
実はいい人。
「執行――『マジョリティア』!」
とある人物の忠実な部下として暗躍する男。
マスクをしたヤンキー的な風体だが寡黙な武人肌。
成人してるうえにこのキャラでモッキーの配信のリスナーをしてるやべーやつ。
「分かるか?私がキミたちとデュエルしなければならない理由など、何ひとつないのだよ。クックック……!」
マジョリティアに秘められた力で
世界征服を目論む悪の組織「
ワジョリティア」の首領。
ド派手で全身どこでも悪の首領という風体のおじさん。
たとえ目的が
リアリスト側でも、マジョリティアのルールを絶対遵守することには忠実。
作中で一番の大人であるゆえか、マジョリティアの戦術も頭が固いルールに素直で、作中でも最弱と評判の悲しき首領。
追記・修正は先攻初手『血で作られた宝石』でテンポアドを取ってお願いします。
- チータさんは一人だけファストスペラもいいところのチーツクに頼ってない自力だからな…裏ルールなかったら詰むわ -- 名無しさん (2024-09-15 13:14:56)
- キバハゲデュエル? -- 名無しさん (2024-09-15 13:48:01)
- マナフリーな記事だ。初手チーツクはロングスペラにしろ。 -- 名無しさん (2024-09-15 14:38:17)
- 簡単に言うと「当然のように繰り広げられるキバハゲデュエルを理解し、それがどういうゲームなのかを当てていく推理モノ」 傍から見れば「何だよマナって、シールドブレイクって、融合召喚って、クリティカルトリガーって、ルリグって…」となるルールを知らないゲームを理解してく楽しさがある -- 名無しさん (2024-09-15 14:45:09)
- ゲームの方向性が「謎のマジョリティア用語の意味を解読しプレイする言語解読ゲーム」→「ルールを理解したうえで相手の戦術を突破する詰めデュエル」と方向性もかわり、終盤ではフレーバーテキストなどからマジョリティアの世界観を埋めていく要素があるのもあって、解読して終わりにならないところが良く出来てる -- 名無しさん (2024-09-15 15:07:31)
- 神ゲーで無料なのでぜひ遊んで欲しい、記事の作成に大変コニコです -- 名無しさん (2024-09-15 15:40:28)
- バランスかなぐり捨てたかのようなデザインのカードばかりなのも現存のTCGをパロってる感じがして痛快 -- 名無しさん (2024-09-15 16:25:48)
- ルール解らずにするカードゲームはマジでキツいというのを再認識したわ -- 名無しさん (2024-09-15 16:35:13)
- チータ戦は裏ルールに気付いた人は大体初見突破してる印象、ただ他の戦法で勝とうとするとだいぶ難しいから裏ルールは救済措置なんかなあとちょっと思っている -- 名無しさん (2024-09-15 17:30:04)
- このゲームをプレイした人はみんな言う。「鏡のマジョリティア」は間違いなく面白いゲームだけど、「マジョリティア」はクソゲー。 -- 名無しさん (2024-09-17 15:10:07)
- …マナフリー。 -- 名無しさん (2024-09-19 13:58:25)
- チーツク見るたびに「ずるいぞ勝負兄ちゃん!」の精神が出てきてしまう -- 名無しさん (2024-11-14 15:46:42)
- 最後に畳みかけられるマジョリティア語の長文が全て普通に理解できてしまったとき、新しい自分に生まれ変わったような感覚がした -- 名無しさん (2025-04-02 00:00:25)
最終更新:2025年04月02日 00:00