弁護士芸人が名作ゲーム『逆転裁判』を実況プレイシリーズ

登録日:2024/10/22 Tue 20:06:52
更新日:2025/05/14 Wed 19:45:29
所要時間:約 8 分で読めます





これはちょっと皆にも覚えておいて欲しい。
この日本の刑事裁判というのはね、

「10人の真犯人を逃しても、1人の無罪の人を処罰してはいけない」

という考え方の基に、成り立ってるんですよ。


『弁護士芸人が名作ゲーム『逆転裁判』を実況プレイ』は、YouTubeチャンネル『こたけ正義感のギルティーチャンネル』で配信されている実況プレイ動画シリーズである。


【概要】

タイトル通り、弁護士資格を有し弁護士として現役活動中ながらワタナベエンターテインメント所属のお笑い芸人でもあるこたけ正義感氏が、法廷・弁護士を題材とした名作アドベンチャーと名高い逆転裁判シリーズを実況プレイしていくという動画シリーズである。
2023年6月24日に第1回が投稿され、その後『蘇る逆転』4話まで*1→『2』→『5』特別編→『3』→『蘇る』5話とプレイしていき、2025年4月現在は『逆転検事』を完走したところ。
なお、こたけ氏はswitch版の成歩堂セレクションでプレイしており、以降の作品も同様にswitch版のオムニバス移植でプレイしている。

動画の内容・特徴

動画は画面全体にプレイ画面が映され、画面左上にプレイするこたけ氏の姿が楕円形ワイプで表示されるという形になっている。
このため実況は声だけでなく、こたけ氏のその時々の動作や表情も見られるようになっている。
シリーズファン誰もが驚いた内容・展開で息をのむこたけ氏の姿は、多くのプレイヤーの共感を呼ぶようになっている。

こたけ氏は基本的にシリーズ初見でのプレイ*2となり、現役弁護士の立場から劇中の法制度や裁判の内容の違いに対するツッコミ・戸惑いが当初は多かった。
しかし『蘇る』2話において、シリーズの根幹となる裁判制度「序審法廷制度」が判明すると、本作を「全て承知の上であえて現実と違う形にした」と憲法違反だと狼狽えながらも理解。
以降は本格的にキャラクター・物語に魅了されていき、弁護士としてと同時に(あるいはそれ以上に)いちシリーズファンとして強くのめりこんでいくようになった。
そして冷静に考えると倫理的にヤバ目なことをしている劇中人物にしれっと共感してしまっていたことを危惧したこともあった。

お笑い芸人だけに本作のギャグ・ネタに満ちたテキストとの親和性は高く、劇中のボケに対して鋭くツッコミを入れる場面が多い。
芸人根性が災いしてか、自分の入れたツッコミと同様のツッコミが劇中で飛び出したことに「ツッコミの内容変えたい!」と叫んだことも。
またプレイ中はスタッフによるガヤ(ツッコミに対する笑い声)も度々入るのだが、『蘇る』5話以降はスタッフの都合でガヤが抑え気味になっており、それを惜しむ声も。

上記のような弁護士としてのツッコミの視点もなくなったわけではなく、現実に類似の制度がある場合や現実とは異なる法制度が話に関わってくると、それについての解説を交えることもあるので、法律に興味のある視聴者の視点からも楽しめる要素があるのも特徴。
オウムを尋問するという超展開に対して、本当にそんなことが可能なのかと民事訴訟法を真剣に調べるという実況プレイは、他に類を見ない特色と言えるだろう。テンパりすぎて刑事裁判なのに民事訴訟法を探していたが*3
また『2』4話ではシリーズの前提を逆手に取った展開とそれに悩む成歩堂に対して、自分が同様ケースの弁護士だったらと真剣に考察し、「なんでこんなこと考えなアカンねん! これゲームじゃなかったっけ!?」と吠える一幕もあった。
一方で劇中の成歩堂の弁護士としてのスタンスや「誤認逮捕された被告人の無罪を勝ち取る裁判」しか描かれないことに思うところはあるようで、後述の派生動画も作られることになっている。

劇中のテキスト読み上げは当初は普通に音読する程度だったのだが、シリーズが進むとキャラクターごとに演じ分けるスタイルが定着。噺家のように人物の年齢や立場などに応じて声色を変えるこたけ氏の芸達者ぶりが楽しめる。
ちなみにこたけ氏はアニメ版や特別法廷も未見なので、それらで馴染みのある声質とは違う方向での演技が多い*4が、視聴者からは違和感なく受け入れられている。

推理については豊富な知識と鋭い洞察力を有しており、詰まることは少な目。細かな見落としで詰まったことやテキストの解釈間違いで誤答することなどはたまにあるが、基本的にはスムーズに進められている。
シリーズ最高難易度と評される『2』でも、多くのプレイヤーが詰まったポイント(即死ポイント含む)を一発で突破したケースが何度かあるほどで、既プレイの視聴者からは驚きの声が度々上がっている。

以上のことと、『逆転裁判』というタイトルがオーソドックスなテキストアドベンチャーであることから、ネタバレ防止の点も含めて自分でプレイ後に視聴することがオススメされるタイプの実況と言えるだろう。

ちなみに『2』4話以降、ゲーム中に外国の描写が絡むと、何故かやたらとインドを持ち出すというネタが定着している。
まさか『3』5話で本当に「カレー」「インド」が絡むとは思っていなかったであろう。

【"真犯人"弁護してみた】

シリーズからの派生動画の一つであり、ある意味本実況のもう一つの目玉。
「真犯人の弁護をすることの方が現実の事件では大半であり、罪を犯した人と向き合うのが弁護士の仕事」という考えから、シリーズの真犯人がもしも現実の裁判にかけられたら自分はこう弁護する、という考察動画である。
タイトルでも触れられている通り、ネタバレを多く含むので本編以上にプレイ後の視聴が強く推奨される内容。

「シリーズの真犯人が実際に裁判にかけられたらどういう量刑になるのか」は度々ファンの間で議論・考察されてきた問題でもあるため、専門家の視点の判断という形で一つの回答が示されるという点でファンの興味を引く内容になっている。
またタイトルは上記の通りだが、劇中での状況が複雑な場合や他に法的な問題点として気になる部分があるところへの考察も交えられている。
劇中の法制度よりも現実の法制度に寄った内容であることから、法学の学生などが見るとより興味深く楽しめる部分があるかもしれない。

+ 主な考察内容(一部抜粋・当然ネタバレ)
「どうしてそうなるのか」という点は動画で確認しよう。



誤解の無いように書くと、こたけ氏は犯罪者をなんでもかんでも擁護するわけではなく、犯罪を推奨するわけでもない。
また当然ながら、誤認逮捕された被告人の無罪を勝ち取ることを否定するわけでもない。
事実、こたけ氏は実況で劇中の悪質な犯罪者に対する怒りを顕わにする場面や、法曹関係者でありながら法に反する行為をした者に厳しい言葉を浴びせる場面も見せている。
冤罪についても、『蘇る』2話で「被告人を全て有罪にする」という主義を示した御剣怜侍に対し、項目冒頭の台詞で毅然と反論を述べている*5
あくまで「弁護士の仕事として、犯罪者と向き合い寄り添うことだって重要である」というこたけ氏の弁護士としての信条から来た発想・考察なのである。
成歩堂とはスタンスや視点が違いながらも、彼も立派な弁護士ということなのだ。

また専門家の回答とはいえ、こたけ氏もいちプレイヤーの視点から考察を提供しているにすぎず、これが絶対の答えというわけでもない。
法律は改正されることもあれば、その解釈について専門家の間でも見解が分かれることは多く、これが絶対という答えはないのである。
(こたけ氏自身も「前回はこういう見解述べたけどやっぱりよく考えた結果こうかも」と後の動画で修正する事もある)
なので視聴者も、こたけ氏の判断を絶対の答えのように扱い、ファン同士の議論に無暗に持ち出すのは危険だということを留意したほうがいいだろう。

【評価・反響】

「本職が実況」という題材のインパクトの強さに加え、単なる揚げ足取りのツッコミでなく真剣に作品にハマるスタイルや本職ならではの知識、芸人ならではの語りの面白さという要素が綺麗にハマったためか、第1回の公開後から強い反響を呼んでいる。
とりわけ『蘇る』2話での序審法廷制度に対する強烈なツッコミの連発はニュースサイトでも取り扱われたこともあって、大きく話題に上った。

現在ではプレミア公開を行ってから通常の動画として公開する形態になっているが、プレミア公開の同時接続数(通称・傍聴人)が毎度数千~1万の規模となり、本公開後の視聴回数も毎度数十万単位になるなど、同チャンネルの中でも飛びぬけた視聴回数を誇っており、派生企画も生まれる看板実況プレイとなっている。

そしてカプコン公式にもこの反響は認識されており、2024年1月にはカプコン公式配信番組「カプコンTV!!」にてこたけ氏がゲスト出演
同年1月25日発売予定の『王泥喜セレクション』の実況プレイを行った(『5』特別編実況が『2』と『3』の間に入ったのはこのため)。
また同シリーズで音楽を手掛けた杉森雅和氏やキャラクターデザインを担当した岩元辰郎氏などもX(旧Twitter)で好意的な反応を示している。


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最終更新:2025年05月14日 19:45

*1 『3』発売後に追加要素を加えて出された『1』のリメイクに当たることから、スタッフの意向で追加された5話を一旦置いておき、『3』後にプレイすることになった。

*2 第1回の冒頭では「逆転裁判をやらずに弁護士になった、これはすごいことですよ」とコメントしている。その後の実況ではカプコン公式の企画などで冒頭部分だけプレイ済みの場合も度々出ているが、ストーリー全体としては初見プレイを通している模様。

*3 一応、刑事訴訟法でも多少文言が違う程度で同様の規定はある。この件は動画の投稿後にコメントで釈明を行った。

*4 例えば裁判長は声付きメディアでは穏やかな高めの声が多いがこたけ氏は低く威厳のある声で演じており、御剣はメディアでは低くクールな声が多いがこたけ氏はゲーム音声の岩元氏の声が高めなのを反映したのか高く線の細い美男子風で演じている。

*5 ゲーム実況外では、1966年に発生し、被告人の死刑が一度確定したが2024年に再審で無罪となった静岡県の強盗殺人事件(通称・袴田事件)において、こたけ氏は本名で弁護士会の広報担当として活動しており、現実にも「冤罪被害と戦う弁護士」の一角である。