登録日:2024/10/14 Mon 21:40:00
更新日:2025/04/11 Fri 00:56:46
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Officeアシスタントとは、
かつてMicrosoft Officeに搭載されていたユーザーサポートキャラクターである。
概要を教えて|
Officeアシスタントは、Word、Excel、Outlook、PowerPoint等の各ソフトウェアで使用者の作業効率化向上を目的に標準仕様で導入されていた。一般的なヘルプ機能を「キャラクターと
ふきだし」で親しみやすく、かつわかりやすくしたもの、と言った方が伝わりやすいか。
ゲームで言うナビゲートキャラのような存在で、画面の隅で待機しつつユーザーの質問などにいつでも応答してくれる。
アシスタントをクリックするかF1キーを押すと吹き出しが表示され、検索欄に知りたいことを入力し、キーワードに応じたヘルプの候補を参照する。
ヘルプの参照以外にも、アシスタント表示中はExcelでのオートコレクト実行確認や、各種エラーメッセージの表示も兼任する。
Officeアシスタントは以下のバージョンに搭載されていた。
- Microsoft Office for Windows (バージョン97〜2003)
- Microsoft PublisherおよびMicrosoft Project (バージョン98〜2003)
- Microsoft Office for Mac (バージョン98〜2004)
対話形式で情報を参照するシステムとしては、現在のAIチャットボット、こと同じMS製でいえば「Cortana」や「Copilot」などの前身とも言える存在である。
誕生の背景は?|
1987年、MSの社員だったカレン・フリースは、当時一般人には普及しておらず、基本操作も現在のように専門知識がなければ難しかったコンピュータの新たなる環境開発に着手していた。
フリースらのチームは「フクロウのキャラに使い方をガイドさせるのはどうだろうか」と提案。
スタンフォード大学のクリフォード・ナス、バイロン・リーブスの協力を得て、初心者にとっても取っつきやすく親しみやすいUIの構築に取り掛かった。
フクロウ以外にも様々なキャラクターが試作された末に完成したのが、部屋を模したグラフィックのGUI
「Microsoft Bob」。
ドアのアイコンをクリックすればログイン情報の入力画面が、ペンのアイコンを選択すればワープロが起動するなど、視覚的に分かりやすくしたシステムである。
このMicrosoft Bobの案内キャラクターが黄色い
犬の「ローバー」。後に生み出されることとなる
Officeアシスタントの始祖とも呼べる存在である。
PC初心者にとっての入り口的な役割としてWindows 3.1x、95、NTに搭載されたMicrosoft Bobは大いに期待を寄せられていたものの、実際の評判は今ひとつであった。
というのも、キャラクターがアドバイスできる範囲が基礎知識レベルしかないこと、操作に慣れてくると用がなくなり、徐々にジャマくさく見られるようになってしまったのである。
特に大ヒットしたWindows 95は、パソコンをより身近なものにしたのみならずインターネットの急速的な普及に直結する起爆剤ともなった。
フリースらもパソコン人口の激増、それにともなう初心者の驚異的成長速度までは想定できていなかったと後年語っている。
マイクロソフトとしても「Bob」を失敗作と認めざるを得ない事態となり、わずか1年で開発に幕を下ろしたのであった。
しかし、「キャラクターにアドバイスをさせる」というアイデアはその後も生き残ることに。
MS所属のキャラクターデザイナーであるケヴァン・アテベリーは、次世代ソフトウェアであるOffice 97のキャラクターを約250体デザインし、そのうちの何体かを選別。
その後心理学者と協力し、最も魅力的で親しみやすいキャラクターが何なのかを突き詰めた末にクリップの「クリッパー」が誕生した。
システム面も大幅に強化。参照できるヘルプの範囲もBobの頃より広げられ利便性の向上も図られた。
Bobでの汚名を返上すべく、Officeアシスタントはこうして産声を上げたのだった。
しかし……。
評判はどうだった?|
一見頼りになりそうな存在だが、ユーザーからの評判はすこぶる不評だった。
その理由としては
- 画面の隅にいられると邪魔だから
- 不必要なアニメーション等演出のせいで処理が重くなるから
- そもそもアシスタント機能自体が必要ない
- 質の悪いヘルプ検索程度のものだったので、ヘルプを見たほうが早い
……といったものが主だった。
もちろん表示は任意にオフにできるため出しっ放しにせざるを得ないことはない。
だが、特に初心者だと「右クリックで個別のメニューや設定を行う」という基本操作が習慣になっていないケースもままあり、そこまでに辿り着けないといったパターンも珍しくなかった。
こういった仕様も不要派にとって不便さを与える要因になったと考えられる。
特に最初期であるOffice 97は彼ら専用の小さな四角いウィンドウがあり、より煩わしさを感じさせるインターフェイスと見なされていた(Office 2000よりウィンドウが消えアシスタントは自由に動かせるようになった)。
使用せずに放置していてもユーザーの操作に応じたアニメーションを勝手に再生するため、当時の平均的なスペックのPCに少なからぬ負荷をかけ、作業に支障を来す原因になることも多々あった。
また、各ソフトの知識に明るい者は勿論のこと、ある程度操作に慣れたユーザーにとっても彼らを頼る機会はゼロに等しい。
よしんば不明点があっても、ヘルプの全文検索機能の延長でしかないアシスタント経由で調べるメリットも皆無であった。いざ訊ねても望み通りの回答をなかなか得られないなど、検索精度の悪さも問題点に挙げられる。
インターネット人口の増加に伴う個人サイトやナレッジコミュニティの普及もまた、「パソコンの知識はネットで調べた方が早い」という考え方へのシフトに拍車をかけ、Officeアシスタントは一層窓際族へと追いやられるのだった。
こうしたOfficeユーザーらの大ブーイングを受け、Office XPではついにデフォルトでの表示が廃止され、代わりにキャラやアニメーションのない「質問バー」が標準機能としてメニューバーの端に実装された。
Office 2007以降は完全に廃止。
初心者からエキスパートまで隈なく役立てばとの思いから生まれたアシスタントらは約10年の命に終わった。
マイクロソフト社内でも批判が多かったらしく、タイム誌が選ぶ「史上最悪の発明50選」にOfficeアシスタントが(正確には北米版標準キャラの『クリッパー』が名指しで)選ばれるほどだった。
どんなアシスタントがいたの?|
Officeアシスタントには数種類のキャラクターが用意されていた。
個性豊かな顔ぶれでアニメーションも様々だが、アシスタントとしての性能に一切違いはなく、どれを選ぶかは個人の趣味に依る。
変更したい時はアシスタントを右クリックして「アシスタントの選択」を選ぶ。それぞれ自己紹介(本人のセリフ+簡潔な紹介文)が表示されており口調も様々。
だが、アシスタントとして使う時のメッセージ文は全種類統一されている関係上、実際に使う上でセリフによるキャラの違いを見ることはできない。少々味気ないが本来の目的はあくまでヘルプの参照でありキャラコンテンツではないためやむ無し。
各アシスタントは要所で様々なアニメーションをするが、右クリックメニューからアニメーションをランダムで見ることもできる。
●クリッパー(Clippy)
「調子はどう? 相変わらず仕事ばかりの毎日?」
ゼムクリップに目玉が付いたキャラ。
便箋の上に乗っている。針金でできた体は自在に変形でき、スコップ、モビール、自転車など何にでもなれる。
文字通り作業者が必要なものを「まとめて」くれる万能パートナーである……たぶん。
「97」~「XP」まで登場していた古参かつ末期まで継続して起用されていたことや、英語版では彼が初期状態のアシスタントに設定されているため最も知名度が高い。
●カイル(Kairu the dolphin)
「画面上でお助けします。私を選んでください」
いろんな意味で最も有名であろうイルカのアシスタント。
日本をはじめ東アジア言語版のOfficeではこちらがデフォルトになっている。Officeアシスタントといえばカイルのイメージが強いのはそのため。
鮮やかなブルーをした愛らしいイルカなのだが、Officeユーザーからの反感を一身に受けるという悲惨な境遇を持つ悲しき存在でもある(※詳細は後述)。
口で二枚貝型ノートPCや巻き貝型ファックスを器用に扱うほか、たまに魚のラジコンで遊びだす。
メール関連の機能を使うとタツノオトシゴの郵便配達員が手紙を届けに来る。
クリッパーと同様「97」~「XP」まで長期に渡り登場。97の頃は手描き風で表現され体も少し大きかったが、Office 2000以降はCGにリメイクされスマートな外見に生まれ変わった。
●F1
「コンニチハ。ゴシツモンヲドウゾ!」
箱型のボディに2本の足が生えたロボット。
「300/Mシリーズ」の初期型でOffice用にチューニングされているとのこと。名前はおそらくヘルプ表示のショートカットでもあるF1キーが由来と思われる。
ロボットとは思えないほど表情豊かで、作業を終えると寂しがって帰りたがらないなど人懐っこさも見せる。ボール状の浮遊型メカに監視されており、時々作業終了時に用済みとばかりに爆破される。
●Office ロゴ(Office Logo)
「ヘルプを参照したいときは、ロゴをクリックしてください」
Microsoft Officeのロゴマークが意志を持った存在。
妙に耳に心地いい音を出しながら回転したり分裂したり光ったりする。アシスタントの中では最もキャラ感が薄いシンプルさからお固いデスクワークにマッチしてるかも?
●マーリン(Merlin)
「私のデジタル マジックはいつでもパワフルであるよ」
白髭を蓄えた老人の魔法使い。
自分で「賢い」と自賛する、微妙に上から目線で自己紹介する、主人の前で大あくびをするなどアシスタントとしての忠実さがあまり感じられない。なぜか口調が中国人風。
Office XPからの登場だがWindows Meのセットアップ画面・Windows XPの検索アシスタントで先行デビューしていた。
●ジニー(Genie)
「ご主人様、私にお手伝いさせてくださいませ」
ランプの魔神。自称・控えめで力強く忠実な家来。
強大な魔力で何でも叶えてくれそうだが性能はどれも一緒なのでお察し。願い事(?)の数に制限はないので大目に見てあげてほしい。
●ピーディ(Peedy)
「ボクにまかせてよ!」
緑色のデジタルオウム。クラッカーと音楽が大好き。
海外のスパイウェア「Bonzi Buddy」のマスコットに再利用されたせいである意味カイル以上の風評被害を受けたかわいそうな子。
●ミミー(Links)
「ミミーの出番?」
ネコのアシスタント。
放置すると尻尾で遊んだり毛繕いしたり寝てしまったりネコらしく自由気ままだが、印刷モードではスタンプを紙に高速で押しまくるなど意外と機敏で有能。
●ピンキー(Scribble)
「質問があるときは、私をクリックしてくださいね」
折り紙でできたネコ。
なんともシュールな見た目だがおしゃれが売りらしい。
同じネコキャラのミミーと被るせいか、Office 97にしか登場しなかった。
●ロッキー(Rocky)
「うまくいかない? だいじょうぶ、ぼくがついてるよ」
●スーパーわんた(Power Pup)
「スーパーわんた参上! 困ったときは僕をクリックしてみて」
赤いマントに身を包んだ白い犬。Officeを体の一部のように知りつくした「スーパードッグ」らしい。
いつも持ち歩いている骨はトランシーバーや探知機、爆弾にもなる。
●ロビィ(Robby)
「やあ。ボクが画面上でお手伝いするよ」
シルバーの人型ロボット。
正式名称「ICA2.0」で1997年にワシントン・レドモンドのペルソナラボで開発された。
SAPI言語が話せる。
「質問ありますか?私をお使いください。リラックス!Office用に教育されています」
『
西遊記』の主人公でおなじみ。日本他東アジア言語版オリジナルのアシスタント。
本人曰く教育を受けたそうだが、放置すると勝手に如意棒やブランコで遊びだす。
●冴子先生
「こんにちは。操作でわからないことがあったらお手伝いします」
オレンジの制服がまぶしい茶髪の女性アシスタント。
一見普通の人間だが超能力の使い手で、名刺をデスクに変形させたり手から様々な物を具現化させたりしてユーザーの手助けをする。
日本語版限定のアシスタントだが、やはりと言うかカイルに並ぶ知名度とカイル以上の人気を誇り、海外のマニアの間でも彼女の名は知れ渡っている。
2010年には「Office 10」キャンペーンの一環で、ファッションモデルのkazumiが扮する「冴子2010」としてまさかの実写で劇的復活を果たした。
●マックス
「こんにちは!まだ、日本語は勉強中だけど、いい調子だよ」
Macintosh版限定のアシスタント。Mac版はなぜかカイルのみ登場せず、代わりにこいつが収録されている。
初代Macintoshに足が生えたような姿。放置しているとたまにルービックキューブのように変形するなどトリッキーなアクションが多め。
●まんま
テレビ番組『さんまのまんま』のマスコットでおなじみ。限定盤の『Office 2000 アップグレードパッケージ』にのみ収録されたアシスタント。
◆北米版のみ登場
Office 97時代には北米版のみに搭載されていたアシスタントが数体存在した。いずれも2DアニメーションのデザインでクリッパーやカイルなどのようにCGへリメイクされることなくお役御免となった。
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アシスタント一覧 |
●The Dot
「I’m here to help, so give me a click if you need anything.(何か助けが必要になったら、この僕をクリックしてよね)」
スマイリーフェイスのような赤いボールのキャラ。常に満面の笑みをたたえ出番を待っているが目つきが怪し過ぎる。
スタンプや双眼鏡、ピカソ風の絵などどんな物にでも変身できる。変形能力に関してはクリッパーより上かも?
アシスタントの前身にあたるMicrosoft Bobに風貌が似ているが親戚だろうか?
●Hoverbot
「Greetings. How can Hoverbot assist you?(ご挨拶申し上げます。Hoverbotはどのようなお役に立てますか?)」
卵型のロボット。
ユーザーのお役に立ちたいようだが、自己紹介で早くも「3~6インチぐらい浮遊している」という微塵も役に立たない情報を出す。
●The Genius
「Hello. Getting help in Office is relatively simple. Just give me a click.(やあ。助けを呼ぶぐらいわけないぞ。この私をクリックするだけじゃからな)」
アルバート・アインシュタイン風のキャラ。
名前とモデル通り天才的な頭脳の持ち主で、光の速さで答えを導き出す。※繰り返しますが性能は全部同じです。
●Mother Nature
「Welcome. If you desire help on any aspect of this program, simply click me.(ようこそ。このプログラムに関するサポートが必要な時は、私をクリックしてくださいね)」
「母なる自然」―――地球そのものの姿をしたアシスタント。Office ロゴ並の謎キャラである。
地球以外にも様々な「表情」を見せ、(集中したい時はともかく)眺めている分には結構神秘的で心が洗われそうである。古参ユーザーからは比較的高い評価を得ておりOffice 2000を以て消されたことを惜しむ愛用者も少なくない。
●Will
「Greetings, my excellent friend.(やあ、我が素晴らしき友よ)」
シェイクスピアがモチーフ。
アシスタントが人に与える答えこそ美しい…が、使うべきか使わぬべきか、それが問題だ。
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追記・修正、よろしくお願……おっと、その前にカイル君に聞きたいことがあるんだった。
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Officeアシスタント…というよりカイル単体の代名詞と言っても過言ではないインターネット・ミーム。
上記のアスキーアートも有名。
まさかの日本語版Wikipediaにも記事が存在する。
このフレーズの初出およびAAの元ネタは、個人のテキストサイト「ろじっくぱらだいす」に公開された、カイルの吹き出しに同様のキーワードを打ち込んでいる画像とされている。
事実、あまりの使えなさに同じく「消す方法」を知りたくてたまらないOfficeユーザーの数については、前述の「評判…」節で推して知るべし。多くの利用者から共感を獲得し、かつOfficeアシスタントの存在価値を象徴するフレーズとして瞬く間に浸透したのであった。
この画像を真似して打ち込んでみた人も多いはず。
言うまでもないが実際にこの質問で検索をかけても、「ファイルを削除する」方法や「セル、行、または列を消去する」方法など無関係な回答が検索結果に上がるだけで、「“こいつを”消す方法」はヒットしない。
アシスタントには多くの種類がいたのだが、日本語版での標準キャラがカイルだったこと、性能差がなくそもそも機能として歓迎していないためキャラチェンもしていないことから、数あるアシスタントの中でカイルだけが集中的にヘイトを集める結果となってしまったのである。
ユーザーの中にはこのイルカの名前すら知らない者も少なくなく、「糞イルカ」などあんまりな蔑称を付ける者までいた。
ちなみに、北米版で標準キャラだったクリッパーもクリッパーで、忌まわしきウザキャラとして現在も記憶されている。まぁ、お国が違えど考える事は皆同じと言うか…。
結局、上記の通りOffice 2007をもってOfficeアシスタント機能は廃止。
カイルも他のアシスタント共々完全に粛清された形となり、ユーザーの切なる願いが成就した瞬間であった。
めでたしめでたし?
………だが、誰もが消されたと信じて疑わなかったこのイルカは、その後も意外な場面で活動を続けていた―――
ご自分のPCにMicrosoft 365またはOffice 2021以降をインストールしている人は、Wordを起動してみてほしい。
- 新規作成(テンプレートはなんでもいい)
- 「差し込み文書」タブから「はがき印刷」→「宛名面の作成」を選択
- 「はがき宛名印刷ウィザード」を進め、「はがきの種類」を「年賀/暑中見舞い」以外にする
- ウィザードを完了する
プレビュー画面の左上を見てみると…。
宛名面の左上に表示される切手スペースに見覚えのあるイルカの絵が……そう、カイルだ。
Wordで宛名印刷を利用しない限り、お目にかかる機会はまずないであろう。それだけに思いがけぬ再会に衝撃を受けたユーザーも多いはずだ。
もっとも、このイラストはあくまでプレビュー用で実際には印刷されないため悪しからず。
さらに2024年7月には、アミューズよりカイルをモデルにしたぬいぐるみ『あの時消されたイルカです。』がカプセルトイとして発売された。タイトルからして意趣返しに参じたとしか思えない。
本家ブルーはもちろん、ピンク、オレンジ、イエロー、パープルの仲間も登場。
なお、「カイル」の名称は一切使われておらず、あくまで「例のイルカ」扱いである。
これら以前にも、2010年3月には「カイル 2010」名義でTwitter(現:X)を開設し、定期的に更新している様子が窺えた。中の人はあくまでもMS日本法人の社員だそうなので一応公式らしい。
先述した「冴子2010」に対する言及が多いことから、同キャンペーンのプロモの一環として開設されたと考えられる。
毒舌キャラのつもりだったらしいが案の定いじられキャラで定着。かつての同僚・クリッパーについてもちょくちょく触れていた。
期間限定アカウントという名目だったため同年7月1日をもって更新を停止したものの、アカウントは現在も残されており各ツイートの閲覧も可能となっている。
こちらは非公式だが、最新版でも稼働するOffice アシスタントや、「Chat GPT」のAPIを活用した本家と違って優秀なカイルを完全再現する者も有志の手によって行われている。
もう「消えろ」とは言わせまい!
…むしろ、アシスタントとしての復帰については公式にさえ匙を投げられていた一方、散々消滅を願っていたユーザー達からは見放されたわけではない辺り、何だかんだで愛されている存在だと言える。
カイル君は今日も、そしてこれからも、デジタル時代の荒波に溺れることなく電子の大海を生き抜いていくことだろう…イルカだけに。
余談があれば教えて|
- Officeアシスタントはマクロを使用して任意のキャラを呼び出したり、任意のセリフを喋らせることが可能だった。当時からマクロに詳しかったユーザーやインターネット上の様々なダウンロードコンテンツに触れたことのあるユーザーなら覚えているかもしれない。
- 実は、Officeアシスタント廃止以降、キャラクターとしての復活的動向を見せているのは上記のカイルや実写化された冴子先生だけではない。
Word、Excel、PowerPoint、OneNote(Office 2013以降)のいずれかを開き、「オプション」で背景を「学用品」に変更し、ホーム画面へ移動。ヘッダー部分の背景をよく見ると、文房具のイラスト紛れて目のついたクリップが……そう、クリッパーである。北米のユーザーを筆頭に罵倒され続けてきた彼もまた、カイルと同様地味にOfficeのユーザーたちを陰から見守り続けているようだ。
- Windows10以降に搭載されているAIアシスタント「Cortana」に「お前を消す方法」と尋ねると、カイルについて言及した回答が表示されることがある。また、怖い話をするよう要求すると、「不特定多数の人から『お前を消す方法』と尋ねられる」という話をするパターンもある。
Cortanaの先輩にあたるカイル達も、表にこそ出さなかっただけで同じ思いをしていたのかもしれない…。
なお、同じくマイクロソフトが提供しているAIアシスタント「Copilot」では、残念ながらこのネタは通じなくなっている。
- スマホゲーム「アリス・ギア・アイギス」のサポートユニット選択画面に、カイル君をパロディした小ネタがある。
選択UIの右下に象のキャラクターがいるのだが、この象をタップ連打し続けると10回毎にSEが変化、50回毎に表示される吹き出しが変わり、200回連打するとまんま「お前を消す方法」が表示される。
ちなみにこの象、ドラッグ移動させると元いた場所にゴミ箱が出現。捨てられる。\テテーン!/
| 何を行いますか?
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- >お前を消す方法 -- 名無しさん (2024-10-14 21:47:54)
- これと似た奴でXPに検索アシスタントなるキャラクターがいたけど、こっちのロッキーは可愛いから意味もなくトリックして眺めるのが楽しかった(実用性はともかく) -- 名無しさん (2024-10-15 12:15:09)
- スプラ3のヒーローモードに登場するナビゲーターのイルカはこれのパロディ? -- 名無しさん (2024-10-15 15:16:42)
- たまに「マニュアルに消す方法が書いてあるだろ」と言う人がいるけど素人だとマニュアルを見て設定画面までたどり着くという発想に至れないことがほとんどだからな。 -- 名無しさん (2024-10-16 11:37:15)
- 最後のお前を消すでホントに消えて草 -- 名無しさん (2024-10-17 11:01:11)
最終更新:2025年04月11日 00:56