四次元ポケット

登録日:2024/09/03 Tue 00:15:00
更新日:2025/03/01 Sat 16:10:19
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ぼくはこれがないとしまらない


四次元ポケットとは、漫画ドラえもん』に登場するひみつ道具。
主人公・ドラえもんがいつもお腹に身に着けているあの「ふしぎなポッケ」でお馴染み。


【概要】

中に四次元空間が広がっており、無限に物を収納することができるポケット型の道具。半円形で自由に取り外しも可能。
ドラえもんはこのポケットを腹部に取り付けており、様々なひみつ道具をしまいこんである。
そしてのび太を助ける時にはすかさずこのポケットから目当ての道具を取り出す……というのはもはや説明不要の流れだが、『ドラえもん』という作品の骨子を形作るきわめて重要な役割を持ったひみつ道具である。

一応「ひみつ道具」としてカウントされるため、ドラえもんと共にほぼ全てのエピソードに登場しなおかつ最多の登場話数を誇る道具と見ることができる。
だが、普段はドラえもんの体の一部としての扱いが多いこと、またその他の道具を出し入れするための手段に過ぎず物語に直接干渉しない存在であることなどから、読者・視聴者からひみつ道具として認識されることは極度に少ない。

方倉陽二『ドラえもん百科』によると、正式名称は「ロボット専用四次元空間内蔵秘密道具格納ポケット(四次元空間使用許可管理局承認番号D7E1293)」方倉設定なので真に受けてはいけない


【性能】

「四次元」を携帯したも同然のポケットだけに収納できる物に制限はない。
ポケットの口を上回るサイズの物体も吸収するようにしまい込むことができる。乗り物型や『風雲ドラえもん城』のような建物型の道具など人力では持ち運びも困難な大型かつ超重量の物体でさえも両手で軽々と出し入れできるようになっている。

ポケットを装着した者自身がそのままポケットに入ることもでき、その時はポケットのみがその場に残るようになる。

のび太の大魔境』では、空き地に置いてあった『どこでもドア*1ポケットを介して取り出すという『とりよせバッグ』のような使い方をしていた。

浸水を防ぐための蓋が付いているが、乱雑に扱うと壊れて中が水浸しになってしまう。

時間という概念が存在しないのであろう、ドラえもんがたまに非常食としてドラ焼きを入れておいたり、『ほんやくコンニャク』などの食品型のひみつ道具(特に生鮮食品系)を保存していてることから食品の鮮度は保たれるようになっている。

ミニドラがドラえもんの体内を検査していた際にはポケットの中身が飛び出すという現象が発生し、逆にポケットの中に侵入した人物が暴れた際にはドラえもんが腹痛やくすぐったさを感じた事から、装着中のロボットとは何らかの機構が連動していると思われる*2

素材は不明だが、大型の物体も取り込めるよう伸縮自在になっている。一般的な衣服と同様に汚れが付着しやすいが、そのまま水洗いも可能。
裏側はロボットのボディから洋服まで何にでもくっつくようにできており、取り外しも簡単。
のび太の太陽王伝説』では焼失してしまったことから耐火性は低いものの、『のび太とブリキの迷宮』ではドラえもんが丸焦げになるほどの電撃を受けるがポケットは焼け焦げておらず正常に機能していた。

ドラえもんなど多くのロボットが持っているポケットの色は白(連載初期はオレンジなど薄めの色が付くことがあった)だが、ドラミ用のポケットはチェック柄になっている。
その色と形状から『のび太とブリキの迷宮』ではしずかパンツと間違われたことも。

◆イメージ検索機能

ところでポケットの中は無限に広がる四次元空間。その中からお目当ての道具をどうやって探り出すのか?
実は四次元ポケットには「イメージ検索機能」というシステムが備わっており、使用者が頭に浮かべている物をコンピューターが自動的に検索し見つけ出してくれるのである。

欲しいものがはっきりせず手探りで中をひっかき回すだけでは最適な道具は出てこない場合が多い*3
そのため素人が使うと無関係な道具ばかり出て来てしまうことがあるが『のび太のドラビアンナイト』でポケットを盗んだカシムたちが使った時は(道具そのものの使い方はわからなかったものの)望み通りの道具を出していたため、希望さえはっきりしていれば用途に合った道具が出る仕組みになっているようだ。
また、道具を正確に取り出しても弾みで別の道具が一緒に出てくることもある*4

後述のように、ポケットの扱いに慣れているはずのドラえもんがパニックになった際にも関係ない道具ばかり出てきてしまうことがあるが、これは慌てるあまりイメージが定まっていないのと道具の整理を度々さぼっているためだと言われている。
また、無闇に道具を収納し過ぎるのも迅速な抽出の妨げとなってしまう*5
広大な四次元空間といっても、中身の管理は定期的に行わないといけないようだ。

『みえないボディガード』ではポケット内の空間について「四次元倉庫」と具体的に言及されており、その「隅」にある『かげながら』を出すまでに多少時間を要していた。ドラえもんも所有を把握していなかったことから長期間整理していなかったらしく、上記の検索機能も適正に働かなかったものと思われる。

いずれにせよポケットをうまく使いこなせるかは本人の技量次第といえる。


【ドラえもんとの関係】

のび太の机の引き出しを出入口とする『タイムマシン』など一部を除き、ドラえもんが所有するひみつ道具は、原則彼の四次元ポケットに保管されている。

ドラえもんに搭載された「強力ハナ」「レーダーひげ」「ネコあつめすず」などはいずれも故障につきうまく機能しないのだが、最重要パーツとも呼べるポケットは問題なく作動している。上記の通り着脱自在でスペアとの交換も容易なので、カートリッジ式デバイスという位置づけに近い。

中にはとっておいたドラ焼きやトイレットペーパー、やかん、食器など道具ではない雑多な物を入れてあることがあり(空き缶など明らかなゴミが混じっている場合も…)、これらは緊急時によるパニックで適切な道具を出せない時に存在が確認できる。

ひみつ道具でのび太を助けるのが現代におけるドラえもんの使命。それ故に彼にとって無数の道具を保有する四次元ポケットは必要不可欠な存在なのだが、諸事情でポケットの盗難・紛失、あるいは諸事情で自ら故意に放置するエピソードも一部存在し、一切の道具を封じられた結果非常事態に対処できずピンチに陥る展開も少なくない*6

裏を返せばポケットがあってこそドラえもんの無限大と言える本領が初めて発揮されるのであり、主に大長編における「ポケットなしドラえもん」の存在は、事態の深刻さを読者へ深く印象付ける要素として強く機能している。

スネ夫からは「ポケットのないドラえもんなんてただの中古ロボット」という暴言を吐かれたこともある。この言葉をよほど根に持っていたのか、後の『のび太とふしぎ風使い』で同様にポケットを紛失した時に自ら言っていた。
が、ポケットを失ったドラえもんも決して無力ではない。持ち前の判断力や知識、そして仲間との協調性、いざという時の最終兵器こと石頭をもって困難を打破する熱い展開は読者の心を強く揺さぶるのである。


【四次元ポケットを主題としたエピソード】

前述の通り実質皆勤賞のひみつ道具だが、このポケットが物語の主役になることはほとんどない。そんな四次元ポケットにスポットを当てた数少ないエピソードを紹介する。

●ドラえもんのポケット
空き地で昼寝中のドラえもん。そこへかくれんぼをしていたのび太がこっそり四次元ポケットの中に隠れてしまう。さらに他の仲間も次から次へとポケットへ入って行き…。

●四次元ポケット
部屋中の不要物を捨てるようママに命じられたのび太だが、どれも捨てられないものばかりでなかなか片付かない。そこでドラえもんは、自身が付けているものとは別の『四次元ポケット』をのび太に与えた。
こちらは後に登場する『スペアポケット』とは異なり、ドラえもんのポケットとはリンクしていない別個の四次元ポケットである。
のび太はこのポケットに部屋の物を次々に収納、すっかり大掃除を終えてしまうが、周囲にポケットを見せびらかしたせいで動物やジャイアン、ゴミまでポケットに入れられてしまい…。

●四次元ポケットにスペアがあったのだ
サブタイトル通り)『スペアポケット』の存在が初めて明かされた回。
綺麗好きなドラえもんはポケットの洗濯も欠かさない。乾くまでの間『スペアポケット』を代わりに使えばいつ道具が必要になっても心配無用。のび太は干してあったポケットをドライヤーで乾かし、勝手に自分のポケットとして使ってしまうが…。

●なんでもひきうけ会社
手を入れるだけで何でも解決できる四次元ポケットの偉大さに再注目したのび太は、例によってひみつ道具を使ったビジネスを計画するが「金儲けに使うものではない」とドラえもんに断られる。しかしのび太はスペアポケットの存在をきちんと覚えていた。

●魔女っ子しずちゃん
幼少期から魔法で人々を助ける魔女に憧れていたしずかの夢を叶えるべく、ドラえもんがひみつ道具を四次元ポケットごとしばらく彼女へ貸すことに。ドラえもんはしずかが魔女として活躍中は『スペアポケット』に付け替えるなどせずポケットなしのままでいた。



【関連するひみつ道具】

●スペアポケット
四次元ポケットの予備で、ドラえもんは1つ所有している。
本体のポケットと同じ四次元空間を共有しているため、収納している道具をこちらから出すこともでき、本体を失くした時に重宝する。
普段は寝床の枕の下に隠しており、のび太が勝手に持ち出してドラえもんを怒らせる事も多い。
大長編では緊急時に本体へ入ってスペアから脱出、またはスペアから本体へ抜けてドラえもんと合流するといった活用法も見られる。
盗難防止のためか、取り出す際には本体を装備している側にくすぐられるような感覚が伝わる。
「スペア」という名称は単なる本体の予備を思わせるが、作中ではこのような性質から子機的な特色が強い。
詳細は当該項目を参照。何故か本体よりスペアの方が14年も前に項目が作られているが、このwikiではよくあること。

●四次元かばん
『未来世界の怪人』てんコミ第4巻に登場した、未来から現代へ逃走した時間犯罪者が所持していたかばん型の道具。ドラえもんの四次元ポケットと同じく様々なひみつ道具が入っている。
逃走中の時間犯罪者が落としたところを偶然ジャイアンが拾得。中の道具を駆使し、のび太とドラえもんを翻弄するが…。

●四次元くずかご
『四次元くずかご』(てんコミ第45巻)、『のび太とブリキの迷宮』に登場した、くずかご型の道具。
故障したひみつ道具を廃棄するために使う。四次元ポケットと同様、内部は四次元空間に繋がっており、一度捨てた道具は再び出すこともできる。ドラえもんはこのくずかごを寝床でもある押し入れの隅に置いていたため、頻繁に使用している模様。
スペアポケットを貸してもらえなかったのび太は、仕方なくこのくずかごに捨てられていた道具を活用しようとする。しかし、中身はあくまで壊れた道具ばかり。うまく役立てられるはずもなく静香も巻き込んで遭難の危機に…。
敵の攻撃で四次元ポケットと繋がってしまい、実質的に道具が使えなくなるピンチに陥ったエピソードも。

●四次元ポーチ
大山版および映画『のび太と空の理想郷』に登場したアニメオリジナルの道具。
用途は四次元ポケットと同じ。

●四次元ゴミ袋
映画『のび太と空の理想郷』に登場したアニメオリジナルの道具。
用途は四次元くずかごと同じだが、伸縮性が強く大きなものを捨てるのに便利。

●ドラえもんズが携帯する四次元ポケットに相当する道具
ドラえもんズのうちドラリーニョとエル・マタドーラは、ドラえもんと同じく四次元ポケットを所有しているが、その他のメンバーについてはそれぞれの服装に合わせた装飾をモチーフとした道具にひみつ道具を収納している。
ドラ・ザ・キッドはいつも被っている『四次元ハット』、王ドラは常に着用している拳法着の袖部分が『四次元袖』になっており、ドラニコフは口元に巻いている『四次元マフラー』、ドラメッド三世は『四次元ランプ』あるいは呪文の詠唱によって特定の道具を出現させている。また田中道明版ザ・ドラえもんズ6巻「泳げ!ドラメッド」の回では、ドラメッドが転んだ拍子にターバンの頭頂部からひみつ道具がこぼれ出る場面があるが、これが「四次元ターバン」かどうかは不明*7
ドラえもんズが持っているこれらは、スペアポケットと同様ドラえもんのポケットと同じ四次元空間を共有している。

●タイムポケット
2112年 ドラえもん誕生』でドラえもんのガールフレンド・ノラミャー子が装着しているポケット。見た目は四次元ポケットにそっくりだが、こちらは過去や未来にある物を取り出せるという少し特殊な性能。彼女はここから20世紀の和菓子・ドラ焼きを取り出し、落ち込んでいたドラえもんを元気付けたと同時に彼の大好物にもなった。
原作およびわさドラ版のノラミャー子もポケットを付けているが『タイムポケット』かは不明。


【備考】

  • ドラえもんを象徴する道具であることから、多くの『ドラえもん』関連楽曲のフレーズに登場する*8
    単に「ポケット」としか言っていない曲もあるが、歌詞の流れ的にも「ドラえもん」の歌で「ポケット」と言えば四次元ポケットを差し置いて他はないだろう。

  • 大長編では大人の事情で使えるひみつ道具に制限をかけるために度々紛失・破損している。
    中でも『南海大冒険』の原作では、過去の時代で紛失したポケットが「海賊のゴミぶくろ」として現代に伝わるという、一歩間違えればオーパーツ化まったなし*9のとんでもない事態になっていた。

  • このポケットにちなんで、「外観からは凡そ想像できないほどの容量を収納した物体及び状態」を俗に「四次元〇〇」と言うことは多い。
    ポケット、カバン、チェスト等の収納を目的とした道具はもちろん、どこのとは言わないが谷間だったり、海パンの中だったり、変わったところではゴリゴリマッチョの青年が服を着ると着痩せなんてレベルじゃないぐらいにシルエットが変わる様を「四次元ジャージ」と呼んだり。
    この他、ドラクエシリーズの「(アイテム収納用)ふくろ」や、巨大ロボの容積以上の武器を内装している内部構造スパロボシリーズ一部の母艦(最大収容機体数が原作設定を超えている)なども、四次元ポケットと呼ばれることがあったりなかったり。




早く追記・修正ができる道具を出してよ!

あれでもない、これでもない…。

あわてるとだめなやつ。


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最終更新:2025年03月01日 16:10

*1 この時は既に焼却され破片しか残っていなかった。

*2 『ドラえもんが重病に?』、『のび太のねじ巻き都市冒険記』、『のび太の新魔界大冒険』など。

*3 『四次元ポケットにスペアがあったのだ』で、のび太が「宿題を手早く済ませる道具」を希望した時には『どこでもドア』が出てきた。なぜか行き先が先生の家に設定されており、ドアをくぐったのび太は先生宅で宿題をやらされる羽目になった。確かに「宿題を早く終わらせる道具」が出たことになる。

*4 『ガラパ星からきた男』で、のび太が『ワスレバット』を出した際に『ウリッコ』が入ったダイレクトメールもこぼれ落ちた。

*5 『恐竜ハンター』では、のび太が缶詰や果物などの食品をポケットに詰め込んだため、その後目的の道具を出すのに時間がかかっていた。『四次元ポケットにスペアがあったのだ』では、のび太が四次元ポケットにゴミを片付けた直後、ドラえもんがスペアポケットから友達のネコへプレゼントを出してやるつもりがそのゴミを出してしまった。

*6 『人よけジャイロ』、『おざしき水族館』、『天つき地蔵』、『のび太のドラビアンナイト』、『のび太の南海大冒険』など。

*7 ドラメッドが四次元ターバンを使用するという公式設定は無い

*8 『ドラえもんのうた』、『青い空はポケットさ』、『ポケットの中に』、『おれはジャイアンさまだ!』、『夢をかなえてドラえもん』、『夢をきかせて』他多数。

*9 幸い(?)、壊れていたのか四次元機能には気付かれなかった模様

*10 のび太のピンチに大量の道具を出していた時なので、ドラえもん自身も気づいていない模様。