メダリスト(漫画)

登録日:2025/01/01 Wed 18:06:46
更新日:2025/04/24 Thu 12:23:58
所要時間:約 18 分で読めます





人生ふたつぶん懸けて、

叶えたい夢がある!


メダリスト』は、2020年から月刊アフタヌーンで連載されている漫画作品。
作者は「つるまいかだ」。

概要

タイトルだけだとせいぜいスポーツ漫画であろうことしかわからないことに定評があるが、*1
フィギュアスケートを題材とした作品。

「ずっとスケーターになりたいと夢見ているにもかかわらず、11歳の今までスケートをやらせてもらえていない少女・結束いのり」
「スケートを知るのが遅すぎて夢を追うことすら許されず、それでも20代半ばまでスケートにしがみついて生きてきた青年・明浦路司」
そんな2人が出会い、選手とコーチとして二人三脚でフィギュアスケートの世界に飛び込み、その頂点……オリンピックのメダリストを目指す物語。


フィギュアスケートはその芸術性を絵で表現するのは困難が伴い、しかも知名度は低くないが競技としては大分とっつきづらく、それ故もあってかスポーツ漫画の題材としてはマイナーと言える。
かつ作者もアシスタント経験すらなく本作がデビュー作であるため、とある一部界隈は除いて決して注目されている作品ではなかったが、
そうしたハードルを超えて、躍動感のある演技シーン、限られた椅子を奪い合う生存競争や続けること自体に困難が伴うことといった競技のシビアさ、それに対し意地と執念で食らいつくというスポーツものとしての王道的な熱さを描き、
各種漫画賞を複数受賞するなど話題作となった。
アニメ化も決定し、2025年1月よりテレビ朝日系列で放映開始。*2
制作のENGIは新興かつアクション色の強い作品の実績が無いぶっちゃけ典型的ハズレ枠とされるタイプの会社であったためこれまた疑問視する声も多かったが、3D主体のスケートシーンも含めて好評を博し、放映終了と共に2期の制作決定が発表された。

初心者主人公というのもあって、フィギュアスケートの世界のステップアップの道のりや、主だった技術、競技の勝ち負けを決めるのはどこなのか……などを節々でしっかり説明しているため、フィギュアスケート知識がなくても学びながら読める作品となっている。

主人公たちのホームは名古屋となっている(ちなみに作者も愛知県出身)。*3
作中でも言及があるように現実でも名古屋は競技人口こそ首都圏に敵わないが数多の名スケーターを輩出している「フィギュア王国」で、舞台設定としては王道の部類。
方言は喋らないし、大会に出るエピソードでは遠征するためいつも居るわけではないが。


登場人物

年齢は特記なき場合本編開始時点のもの。物語の進行で2学年分進んでいる。
主人公コンビは例外だが、生き物の名前が冠されている人物がとても多い。


主人公・主要人物

  • 結束(ゆいつか)いのり
CV:春瀬なつみ
本作の主人公。
11歳・小学5年生。身長134cmと、年齢を考慮してもかなり小柄。
年の離れた姉・実叶の存在がきっかけでスケートに触れ、憧れるようになった。
しかし何事にも要領が悪く、学校でもいつも蔑まれている*4「できない子」で、そのうえ出来のいい姉が夢半ばで挫折していたせいもあり、母親には頑なに拒否されてしまっていた。
そのため職員を懐柔して条件付きでリンクにこっそり入れてもらって練習する日々を送っていたが、ある時居合わせた司に怪しまれバレてしまい、
問題に向き合って堂々とスケートをやらせてもらうべく、そして抱いたメダリストへの夢を叶えるべく進み始める。
姉が現役時にやっていた髪型を真似た、前髪を右側でまとめたデコ出しの髪型がトレードマーク。

司は当初同情ありきで「無理やり持ち上げてでも親を説得しよう」と思っていたが、滑らせて一目でやらせる価値があると確信したほどで、
才能を開花させ、多くの有望なスケーターに比べて大きな出遅れのハンデをものともせずステップアップを重ねていくこととなる。
スケートができるようになることだけが自分を変えてくれるとずっと心の支えにしてきたこと加えて、幼少期に姉と物理的に危ない遊びをしていたことから、危なっかしい側面もあるものの、スケーターとして必要な執念や勇気といったメンタリティを備えている。
選手としてはコーチの司がアイスダンス出身*5である影響もあって、基礎たるスケーティング技術・大技に頼らない表現力に長ける。反面ジャンプに課題を抱えることが多く、大技が軸になりがちな少年漫画とは逆の傾向。

諸事情によりミミズを集めていたうちにミミズ好きになり、ミミズを触ると落ち着くというルーティーンになっていたり、ミミズのぬいぐるみを持っていたりする。


  • 明浦路(あけうらじ)(つかさ)
CV:大塚剛央
本作のもう一人の主人公。
プロスケーターとして食っていこうとするも仕事にありつけていなかった26歳無職男性。
たまたまテレビで見たメダリスト・夜鷹純の演技に心奪われてスケートを始めるが、既に14歳とあまりにも遅すぎたためコーチの指導も受けさせてもらえず、延々と独学で練習するだけの日々を過ごし、
結局20歳の時に「アイスダンスの選手としてなら育ててやる」というコーチに出会い、本来の夢だったシングルを諦め転向。
それでも全日本選手権出場1回、それも表彰台にも上がれなかった無名な選手で終わってしまう。ただし、あまりにも環境に見放されただけでスケーターとしての能力は非凡と言える域にあり、演技を見た人物からは軒並みかなり高い評価を受けている。
また、2人競技ゆえに培われた「目の良さ」が並外れており、動作の特徴や問題点を一度見れば事細かに分析できてしまい自身や他者のスキルアップにつなげるなど、コーチとしても特筆すべき才能になっている。
当時のパートナーであった高峰瞳に自分が勤めるルクス東山FSCのコーチに勧誘され、同時にいのりと出会ったことで、プロへの道を諦めコーチとなっていのりを育てることを決意する。

その過去から鬱屈とした部分を秘めているものの、基本的にパッション全開の明るすぎるくらい明るい青年。
そうした部分はいのりと通じるところがあるが、とはいえこちらは身長186cm・細マッチョの偉丈夫。
この風体で感情表現が爆発しがちなオーバーアクション&リアクション気質のため、よく周囲をドン引きさせる。
「笑顔が誰よりも天才!」「もう偉い子部門で優勝させてくれ…」「俺なら5000億点つけてる」
また、上述の観察力で分析した内容の言語化が矢鱈と上手いのだが、テンションが過ぎるとそれらを高速でまくし立てるためやっぱり引かれる。

先の見えない練習に費やした少年時代から、経費の問題で早々に引退した現役時代、満足な職にありつけていない(就職後も歩合制なのでまだ稼ぎが少ない)現在に至るまで金銭面ではずっと苦労している。
現役時から縁のあった加護家にしばらく世話になっていたが、別れて一人暮らしをしていた……が、色々あってまた居候することとなった。

ヘビ系の生き物が大の苦手なため、いのりのミミズ好きにだけはものすごく困っている。

ちなみに、「明浦路」という苗字は太陽神アポロをモチーフにしたもの(明→あ 浦→ぽ(ほ) 路→ろ)。
作中では非常に覚えづらい苗字として扱われておりパートナーである瞳やいのりにすらちゃんと覚えてもらえていない描写がある。
↓の子などのように難読ではないので本作の登場人物の中では言うほど難しくはない気もするが。


  • 狼嵜(かみさき)(ひかる)
CV:市ノ瀬加那
誰もが認める世代最強の実力を持ち将来を嘱望される天才少女。いのりとは同学年だが、競技上は1つ下*6
天真爛漫でどこか超然としており、孤児として名家に拾われた過去を持ち、夜鷹が出会った5年前はまるで獣のような印象を与え、「人を惹きつけて運を掴む力」があると評される……という、常人とは何か決定的に異なるパーソナリティの持ち主。

初級バッジテストの直前にいのりと出会い、当初は光の正体に気づかず交流を深める。
共に滑ってその実力を目の前で体験し、そして光の言葉に励まされたいのりは決意を新たにし、光のことも「いずれ超えなければならないライバル」と見做すようになり、光もいのりが自分を追いかけてくることを期待し続けている。
一方で司のことは、いのりへの思いの強さ故、そして個人的に好きになれないタイプだということで、知るにつれて嫌悪を覗かせるようになる。

  • 夜鷹(よだか)(じゅん)
CV:内田雄馬
出場した全ての大会(オリンピック含む)で優勝し続け、無敗のまま20歳で引退した伝説のスケーター。
以降は表舞台から姿を消し、現在は光のコーチをしているが、なぜかその事実は表向き秘匿され、かつてのライバルでもある鴗鳥慎一郎がコーチ・振付担当ということになっている*7
感情の起伏を感じさせないが気難しいダウナーな人物で、いつも黒い服を着ている。ヘビースモーカーだが、現役時はストイックな自己管理をしていた。
その物言いは徹底した実力主義・実績主義のそれであり、己の信条に反する者には情け容赦がない。
そのため、司をもってして「性格が悪い」と評され、慎一郎の息子である理凰からは「クソジジイ」呼ばわりされ心底嫌われている始末。だが夜鷹の方はこれでも、親友の息子なので甥のように思っているらしく、ガチで嫌われてると気づいてもいないらしい。
読者から「闇堕ち羽生結弦」等と言われることもしばしば。容姿のイケメンぶりと戦歴の(別方向での)化け物ぶり以外は別物だが。
ただし、身を挺して初対面のいのりを庇ったり内心では気遣いを見せたりと、決して人でなし・悪人というわけではない。

いのりと司は光の付き添いで大会会場に居た彼と偶然出会い、光のコーチであることも知ることになるが、その時に「いのりは一生かけたって光には勝てない」と否定されたことに腹を立てた*8司は、自分の人生を変えた憧れの相手に対して初対面で宣戦布告を決めてしまうことになる。
一方、夜鷹は司のことを一度限りの選手権の際に偶然見かけて目を引いた存在としてまさかの認知をしており、自身のスタンスや性格上「才能があっても証明できないなら無いのと同じ」等と冷ややかに扱いはするものの一定の評価をしている。


  • 鴗鳥(そにどり)理凰(りおう)
CV:小市眞琴
夜鷹のライバルであった鴗鳥慎一郎の息子。
大半の相手に対しては非常に口が悪く皮肉ばかり言うが、幼馴染である光や友達の犬飼総太といった気を許すごく一部の相手にだけは別人のように素直な態度をとる。
選手としては十分に将来を期待されるレベルにあるものの、結果はあまり出せていないこと、光との差は開くばかりなことや二世選手の肩書きといった諸々により強いコンプレックスがあり、しかし恵まれた環境にいるため何も言い訳にできず…と、自分の将来に悲観的。

光に同行していた際にいのりと出会い、この地域で自分が知らない同世代の選手=取るに足らない存在と断定、「ブスエビフライ」と小学生語彙の罵倒が突き刺さって本番前のいのりのメンタルが破壊される最悪の初対面となるが、
環境を変えるために総太の居るルクス東山FSCに一時参加したことで再会*9。そこで司とも出会い、当初は軽んじていたものの、交流を経て一転して司に懐くようになる。
しかしいのりに対しては多少は打ち解けたものの司先生争奪のライバル敵対モードのままで、ブスとは言わないまでもエビフライ呼ばわりは継続。

  • 鴗鳥慎一郎(しんいちろう)
CV:坂泰斗
光や理凰らの所属する名港ウィンドFSCのヘッドコーチ。
夜鷹ら同世代が引退しても、度々大怪我を負ってもなお現役を続け、28歳でオリンピックの銀メダルを掴んだ不屈の男。
朴訥とした雰囲気で誰にでも謙虚で礼儀正しい人物。ただ、まだ30代半ばにもかかわらずかなり老け込んでおりすっかり若白髪
夜鷹とは色々こじれそうな関係性ながら仲は良く、光のコーチ替え玉も合意のうえのことであり、「純くん」「慎一郎くん」と呼び合う仲。


関係者


  • 結束のぞみ
CV:小清水亜美
いのりの母親。
娘を想う気持ちはあるものの悩みを抱えがちの内気な性格で、
当初はそれが悪い方に出て、「どうせ失敗するから(本人にとっても良くないし)やらせたくない」という心境から本人の目の前でいのりを貶すことを言って周囲をドン引きさせたりと親としてかなり問題のある様子が描かれる。*10
しかし、いのり自身の情熱と決意やその結果を見て考えを改め、良き親としていのりの夢を心から応援するようになる。

  • 結束実叶(みか)
CV:和氣あず未
いのりの姉。8歳年上。
才能のあるスケーターだったが怪我がきっかけとなり断念。本編開始時にはカナダに留学し、モデルをやったりと気ままに生活しているが、いのりの動向を知って大会に合わせて一時帰国しており、後に留学を終えて戻ってきた。
幼少期から現在まで明るく奔放な性格。いのりのことは「のんちゃん」と呼ぶ。

  • 瀬古間(せこま)(まもる)
CV:村治学
いのりをこっそりリンクに入れていた受付のおじいさん。
ボランティアで鳥の世話をしていることから「ミミズを集めてきたら入れてあげる」と善意で言ってしまったが最後、ものすごい勢いでミミズを渡され続けることになってしまう。
なお、本来の代金はしっかり自腹で建て替えていた
出会いはいのりが1年生の時であるため、赤の他人でしかない子供のためにどれだけの金額を費やしたのか冷静に考えると怖いが、それが未来のメダリスト候補を生んだと思えば尊い犠牲であろう。
スケート知識は豊富で、諸問題が解決して以降は純粋にいのりの最古参ファンとして大会に足繁く通い、解説キャラも担当する。
本編では語られていないが元アイスホッケー選手だとか。

  • 高峰(たかみね)(ひとみ)
CV:加藤英美里
現役時の司のパートナーで、現在はルクス東山FSCのヘッドコーチ。既婚者。
ペアの連携が重要となるアイスダンスにおいて「上手すぎてパートナーがついていけない」と言われるほどの実力者であり、そこにコーチでもある父親が拾ってきて鍛え上げた司が充てがわれた形で、瞳にとっても最後のパートナーとなった。
司とは姉弟のような気安い関係で、その突飛な言動にはしばしば激しいツッコミを入れる。

  • 加護(かご)耕一(こういち)
CV:星野貴紀
司が過去に住み込みで働かせてもらっていた会社の社長。
元々は、スケート好きの妻・芽衣子が司を気に入って後援していたという関係だったのだが、妻は若くして亡くなってしまい、彼自身はスケートに関心も無いのだが、妻の願いもあったとはいえ本気で司のために無償で助けになろうとしていた超お人好し。
一方で行き過ぎた天然ボケの能天気なところがあり、司はしばしば激しいツッコミを強いられている。

事情は少々ややこしく、加護家が横浜に住んでいたのが名古屋に引っ越すことになったため住み込み生活を続けられなくなり、
加護は司にスケートを続けさせるために以降も金銭的支援をしようと申し出たが、司は「お金のことで関係を壊したくない」と拒否。
が、その矢先に司もいのりのコーチをするために名古屋に引っ越していた。そしてたまたま再会*11し、言い訳がきかなくなったため断りきれずに同居することとなった。

  • 加護(よう)
CV:井上ほの花
加護夫妻の娘。いのりと同い年。
名前通りというべきかモフモフな髪が特徴的で、無口で人見知りだが親譲りの図太さも併せ持つ。
父同様、司に懐いているもののスケートには関心がなく、観戦に来ても最初は「楽しみ方がわからない」とがっかりしていたが勘所を掴み、知識を深めていっている。

  • 加護芽衣子(めいこ)
CV:遠藤綾
前述したように病で早逝してしまった耕一の妻。
作中では故人として語られるだけで、容姿以外のパーソナリティはハッキリと描かれていない。
アニメ版6話およびその少し前に発売した公式ファンブックでは司との馴れ初め等に触れられており、アニメではそれが回想シーンとして描かれたため、原作の同エピソード*12には無かった出番が追加され公式で初めてまともに登場した。


その他スケーターやコーチ等

当記事としてはとりあえず目立つ人物に絞った紹介に留めているが、
大会に出場するスケーター・コーチ陣は基本的にモブで済まされることなく、ちょい役でもキャラ立てされて描かれている。

  • 三家田(みけた)涼佳(りょうか)
CV:木野日菜
同じ名古屋のクラブであるグラビティ桜通FSC所属の小学3年生。
通称ミケ。そんな名前通り猫好きで、髪型も猫耳風にしており、見た目から性格まで全てが気難しい子猫。三河弁(名古屋弁ではない)。
今はコーチがついているが、自分の意志でスケートを始めて独学で学んできたのもあって反骨心が強く、誰かに教えられたり大人に頼ることは特に嫌っており、
同じ部門に出場する予定のいのりと出会って懐くが、司を全面的に信頼するいのりの態度に怒って一時対立する。
ちっこいながらも身体能力に恵まれており、登場時点で既に初級のレベルではないが大会優勝を狙うために級を上げていなかった。

  • 那智(なち)鞠緒(まりお)
CV:戸田めぐみ
グラビティ桜通FSCのヘッドコーチ。ただし生徒はミケだけ。
ミケのことは主に「ミケ太郎」と呼び、「太郎」まで略されることもある。ミケからのあだ名は「ナッチン」。
ワイルドな雰囲気の女性で、ミケのことは散々に煽り倒して仲良くケンカしながら指導しているが、人見知りの内弁慶で慣れてない相手と話す時は豹変して大人しくなる。
小柄だが大変ご立派なものをお持ちだが、成長期で体のバランスが崩れ武器としていたジャンプが上手く跳べなくなり、将来を嘱望されながらも夢を断念したという、ネタでは済まない過去がある。

  • 蛇崩(じゃくずれ)遊大(ゆうだい)
CV:三宅貴大
日本屈指の名門クラブである京都・蓮華茶FSCのアシスタントコーチ。
京都弁の色黒なチャラいあんちゃん。あだ名はジャッキー。
28歳で司とは年齢も近く、経験は浅めで、初めて一から指導をした選手を抱えているという同じような立場だったことから意気投合する。

  • 大和(やまと)絵馬(えま)
CV:小岩井ことり
蓮華茶FSC所属の選手。褐色肌に太眉でモブ目な容姿で、見た目通りの大人しい性格。
成長痛に悩まされ、遅れを取り戻そうと頑張っては怪我する負のスパイラルに嵌り続けていたため、スケート歴の長さに見合わず1級にも昇級できていなかった。
蛇崩の献身的な指導でコンディションを整えることに成功しつつあり、それまでの積み重ねを活かして成長している。

  • 鹿本(かもと)すず
CV:伊藤彩沙
蓮華茶FSC所属の選手で、本編の前年の全日本ノービスBで光に次ぐ2位を取っているなど世代トップ級の実力者。
自分の可愛さにやたらと自信を持っており、「可愛らしくてすんまへん…♡」といったような珍妙な発言をしばしばするが、蛇崩には適当に扱われる。
絵馬とは幼馴染。

なお、蓮華茶FSC組は揃って京都出身の声優が起用されている。*13
その影響なのかは不明だが、上記の「可愛らしくてすんまへん」がアニメでは「可愛らしくてごめんやす」に変更されていたり。

  • 鯱城(こじょう)理依奈(りいな)
名港ウィンドFSC所属。特別指定選手であり前オリンピック出場経験者、現役選手の頂点に立つ存在。本編2年目時点で19歳。
見た目はギャルっぽいが言動は勇ましい王子様系。ギザ歯。
さほどの実績がないながら全日本選手権を初出場で優勝しオリンピック出場を勝ち取って成り上がった経歴の持ち主。

  • 岡崎(おかざき)いるか
現役トップクラスの選手の一人で、登場時点で強化選手A指定を受けている16歳(本編2年目時点)。
しかし、とてもスケーターとは思えないほど非常にガラが悪く見た目からしてヤンキーで傍若無人そのもの。腹筋がバキバキ。
いのりは初対面から睨まれてしまった他、実叶と面識があり「実叶の妹だからこんなに顔が可愛くてその髪型で、ジャンプがヘタクソなんだね」と皮肉を言ったりもしたが、可愛い顔と思っているのは本心な様子。

  • 八木(やぎ)夕凪(ゆうな)
名港ウィンドFSC所属。鴗鳥が初めて指導して育ててきた選手で、光がやってくるまでは理依奈に次ぐクラブのナンバー2だった。
鴗鳥の演技に憧れて弱冠4歳で名港ウィンドに入った熱烈な鴗鳥ファンであり、そして淡い恋心を抱いている
クールで真面目だが、大会前に隠れてカワセミのパペット*14を鴗鳥に見立ててイマジナリー慎一郎先生に甘えることで気合を入れている可愛らしい一面がある。
なお、必然的に理凰とも付き合いは長いが、そっちに対しては特別な感情はない。


  • 魚淵(うおぶち)(かける)
ジャンプの専門指導をしているフリーのインストラクター。10代にしか見えないほどの童顔で言動も若く見えるが32歳(2年目時点)。
主に行っているのはハーネスと竿を使い選手を釣り上げるようにしてジャンプのコツを掴ませる指導で、その効果は劇的。
日本全体のレベルを上げたいという信条のため、中立の立場をとっていつも全国を駆け回っているさすらいのハーネス師。


  • 亜昼(あひる)美玖(みく)
新潟の十南町レイクFSC所属の選手。しっかり者な眼鏡っ子。
実力は全国レベルだが、本拠地であるリンクがもうすぐ閉鎖してしまうため引退を決断しており、幼馴染の元アイスダンス選手2人のサポートを受けながら最後の大会に臨む。
一方、閉鎖予定に伴って使用者が減ったことで練習時間を非常に長くとることができ、皮肉にもそのおかげで実力をめきめき上げることとなった。

  • 鴨川(かもがわ)洸平(こうへい)
司や瞳と同じクラブに所属していた元アイスダンス選手で、十南町レイクFSCのヘッドコーチ。
真面目な好青年で、超のつく慎重派。
美玖とは大きく年が離れているものの、彼女の小さい頃から付き合いがあり家族のような仲。司には先輩として慕われている。
リンクの閉鎖後はルクス東山FSCのコーチに転職し、いのりのサポートに加わる。

  • 白鳥(しらとり)珠那(じゅな)
洸平同様、司らのクラブメイトである元アイスダンス選手。
現在は芸能人「白鳥ジュナ」として活躍しており専らそちらの顔が知られているが、一方でプロスケーターとしても活動しており、その傍らで洸平と共に美玖をサポートしている。
おちゃらけたイケメンで、CMでも披露している顔芸が得意技。
司には昔からウザ絡みしがちで、そのためだいぶ嫌われている。

  • ライリー・フォックス
自身が設立したスターフォックスFSCのヘッドコーチを務めるアメリカ人女性。スターフォックス(SFC)ではない
負傷やメンタル問題などの苦労をまるでせずに16歳で金メダリストとなった天才だが、「日本でコーチをやりたい」と早々に引退・転身した。
オープンな性格、挑戦に肯定的なコーチとしてのスタンス、私生活ではだらしない一面もある美人という魅力的な人物像だが、根っからの成功者らしい傲慢で強欲、底知れない部分を持つ。

ちなみに、夜鷹がオリンピックの年齢制限に引っかかったのを踏まえて制限が15歳に引き下げられ、そのおかげでライリーが16歳で金メダリストになったという設定なのだが、これは現実とは大きく異なる*15
理由として考えられるのは「夜鷹は16歳でオリンピックに出なかった(連覇しなかった)の?」という疑問点を無くすためか。


余談

作者のつるまいかだ氏は元々同人作家であり、好きなキャラクターの担当声優になった人物にドハマリした末、
彼女が声優としては無名もいいところでメインキャラどころかネームド役もたかが知れた数であり、
傍から見れば「特筆することもないのでは……」と思ってしまうようなその活動履歴をイラスト付きで事細かに網羅した全100p超の同人誌を個人で製作(挙げ句にpdf版を無償公開)したという伝説がある。

で、その対象というのは、アイドルマスター シンデレラガールズ龍崎薫役の春瀬なつみである。

そしてもう一つ特筆すべき事柄がある。
春瀬はかなりのフィギュアスケートオタクなのである。
これは各所で公言したりしばしば語っているため彼女をよく知る人には周知の事実である。

……よって、本作は「作者の最推しの最推しジャンルを題材とした作品」ということになる。

それが常識的に考えて全くの無関係なはずはないが、作品のイメージに配慮してか公にそこを結びつける発言は控えられており、ひいては結びつかないように「春瀬のファンとして発言する」こと自体を完全に封印している様子であり*16*17、言わぬが花というところであろう。そのため、実際のところどのくらいの動機になったのかは定かではない。
歴然とした事実として存在するのは、アニメ版においていのりの担当声優として春瀬が起用されていると言うことだけである。
ついでに言うと、アニメ版に関する発表よりずっと前、1巻発売記念のCMでもナレーションとして起用されていた。フィギュア好き声優を呼んだだけだから……

憶測にあたる部分はさておいて明白な事実だけで言っても、
推しの推しジャンルでおそらく長く語り継がれることになるであろう漫画を生み出したうえに推しのアニメ主演を生み出すという、超ハイレベルな推し活が行われたことは確かである。


名古屋つながりで「八十亀ちゃんかんさつにっき」とコラボしたことがある。
奇しくも八十亀ちゃんは「名古屋弁で猫耳ヘアー」なので共通点の多いミケも登場していた。


  • OP曲「BOW AND ARROW」について
アニメ化時にオープニング主題歌を米津玄師が担当することとなったが、
その発表時の公式コメントでこの作品のファンであるため、アニメ化の発表を見て曲を作らせてほしいと自ら打診した*18ことを明かしており、「全人類読んでください」とオタク構文すぎる一言を添えている。
ついでにアニメ放映と同時期に行われたライブでも「この世でいっちゃん面白い漫画です」と本作を紹介したり、愛知もツアー先に入っていたため愛知公演後にはSNSでしれっとグッズやコラボの写真を添えたりしていた。
こっちもある種似たような推し活であると言える。

25年3月5日にMVが公開されているが、そこにはなんと歌う米津と交互に羽生結弦が華麗にリンクで舞う姿が映っていた。
ちょっとした演出程度ではなく、公開後には羽生サイドから映像中に使われたエレメンツ(構成)が公開されるなど本格的な演技に限りなく近いもの。実際、後日には「羽生の演技だけのフル尺映像」も公開されている。
というのも羽生は「ハチ」時代からの米津の大ファンで、こんなとこまで推し事が繋がっており、
配信数日前にはメンバー限定配信で「お尻とか痛めながら大きな仕事をしました。」と発言しており、もしや…と思うファンも少なからずいたようだが
本当にMVに出演し、そこで4回転ルッツなどの大技だけでなく、アニメでも描かれた作中最初の決め技であるフライングシットスピンからのブロークン・レッグを組み込むなど作品へのリスペクトを感じる内容を羽生自ら構成したとのことで、
柔軟性・骨格の関係から男性スケーターでは20代以降は封印することが多いビールマンスピンを30代になった羽生が披露。
さらに撮影もスケーター映画の撮影経験があるMV監督自らがカメラを担いで並走して撮影、結果絶対現役時代に見れなかった画角・アングルで羽生結弦の演技が見られるという
米津ファン・メダリストファンだけでなくスケーターファンにとっても垂涎のMVとなっており話題となった。
フル尺配信は1月中だったのにMVは3月と妙に遅かったのも、羽生が2月上旬までツアーの真っ最中、米津も前述のようにツアー中だったため互いのスケジュールの関係だったと考えられている。公開前は米津がフライングシットスピン習得に時間かかってるから遅れているなどと言われていた
本楽曲の尺がショートプログラム(最大2分50秒)にほぼそのまま使える3分弱であることから、「いずれ現実でこの曲を使って踊る選手が出てくるだろう」とよく言われていたが、いきなりトップオブトップが出陣してしまった。*19


この事案の後に語るには小ネタも小ネタだが、2月には『デレステ』がスケート場を舞台にしたイラストの背景にいる龍崎薫(メインは福山舞)という露骨なネタをぶち込んできてたり。むしろ際どいパロをやりがちなアイマス公式が今までよく我慢していたとも言える。


追記・修正は人生ふたつぶん懸けてお願いします。

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最終更新:2025年04月24日 12:23

*1 ちなみに、連載前の仮タイトルは『氷焔の獣』と対照的に仰々しいもので、編集からNGを喰らった結果こうなった。こちらもこちらで確かに本作の本質を捉えてはいるが……

*2 同局の深夜アニメ全国ネット放送枠『NUManimetion』15弾作品。なおこの枠名の由来はオタク用語の「沼」であり、後述の余談にある意味ピッタリである。全国ネットだけあって放送期間中にさっぽろ雪まつりで結束いのりの小雪像も作られた。なお、放送局でテレビ朝日が選ばれた理由はもう1つ、ユーリ on ICE…

*3 テレビ朝日系列でいうとメーテレでアニメが放送されているが、メーテレ製作非関与

*4 スケートを始められるまで=1話限りながらかなりキツめの表現なのもあってか、アニメ版では当該シーンは控えめな描写に留められている。

*5 アイスダンスではペアと異なりジャンプをせず、その名の通りダンス主体で演技をする。

*6 フィギュアスケートでは年齢が7月区切りでカウントされるため

*7 と言っても普段のマネジメント等は鴗鳥が受け持っているため、名義貸しではなく分業のような形。

*8 「夜鷹ほどの名選手が後進の可能性を否定することの危険性」に対して強く怒っている。

*9 厳密に言うとこの時点で3回目の対面だが、3回目になってもいのりのことは全く覚えていなかった。

*10 もっとも、作中で語られているように、出来の良い長女の挫折を見てきた母親が出来の悪い次女に(しかも金銭・時間的負担も非常に大きい)同じフィギュアをやらせたくないと思うのは至極当然の感情ではあるが。

*11 アニメ版では名港杯のTV映像に映ったのを目撃され、(おそらく急いで探しに来て)会場の入口で鉢合わせという流れになっている。

*12 単行本1巻収録の番外短編で、本編の話とは分離しているためアニメでは本編の合間に差し込む形態となった。

*13 他にも地元出身者の起用例が見られるが、全員/可能な限りというほどではない模様。

*14 「鴗鳥(鴗)」自体がカワセミを指す言葉であるため。

*15 1996年から連載当初の頃なら15歳で出場可能であり、逆に2022年五輪後に17歳への引き上げが決定した。

*16 一例として、アニメ化に際して2人の対談記事が公式で出ているが、この件に触れる・匂わせる発言は一切ない。

*17 また、連載開始以降はそもそも個人としての活動も縮小・停止しており、表向きは完全になかったことになっている。

*18 米津が制作サイドに逆オファーをかけて主題歌を歌ったのは「海獣の子供」に次いで2回目。「海獣の子供」の方も米津が原作ファンだった事から逆オファーをかけている。この超大物アーティスト、パワープレイが過ぎる。

*19 なお、初めてという点では、本アニメにプロとして協力している鈴木明子が2月にスケートイベントの企画として披露している。