登録日:2025/02/01 Sat 15:52:15
更新日:2025/02/05 Wed 14:29:07
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導入経緯
1980年代後半以降、全国の地方都市では客車で残されていた普通列車の電車化および短編成化による増発が進められていた。
しかし、東北地方では仙台地区を除き平成初頭になっても50系や12系による短編成の客車列車が残っており、折り返しには機回しが必要な上ワンマン運転も不可能と運用効率が非常に悪かった。
乗客サービス面でも12系や機関車の老朽化、50系は冷房なし、客車は両方ともデッキ付きで乗降に難ありと問題点が多数生じるようになっていた。
また、すでに電車化を達成していた仙台地区でも
715系・455系の老朽化が進み、これも2ドアのため乗降難ありと問題点が生じていた。
これらの一掃と運用効率化を目標に開発されたのが701系である。
車両解説
ここでは共通事項について解説する。
車体
3ドアの20m車体で、首都圏に導入が始まった209系に続いてビードなしのステンレス車体を採用した。
前面は連結運用を考慮して貫通扉を装備しており、FRPを縁取りに用いた意匠は80年代の国電のそれに近い。
前面貫通扉上には丸目のヘッドライトが配置されており、テールライトは狭軌用車両は前面窓下、標準軌用車両は前面窓上に搭載している。
なお、鉄道雑誌などに当初掲載されていた完成予想図は全く異なっており、運転台直後の乗降扉のみ片開き式、側面窓も戸袋窓が設置されていた。
塗装は導入線区・事業者毎に分かれており、秋田地区はマゼンタ系、盛岡地区は紫系、仙台地区は緑に赤帯となっている(標準軌仕様と譲渡車については後述)。
この車体構造は後年新潟・長野地区に登場するE127系にも継承された。特に長野地区向けの100番台は直流版701系といっても差し支えない外観となっている。
機器類
最高運転速度は110km/h、起動加速度は2.1km/h/s、最高減速度は3.6km/h/s。
地方の電車では屈指の俊足ぶりを誇り、普通列車の大幅なスピードアップを図ることが出来た。
制御方式はVVVFインバータを採用。
当初はPTr-VVVFを採用していたが、2010年頃から行われた更新工事にて、E721系同等品のIGBT-VVVFに変更。
それに合わせ、既に回生ブレーキを搭載していた1500番台・5500番台を除く各番台も発電ブレーキから回生ブレーキへとブレーキの仕様が変更された。
なお、仙台地区の車両はE721系との併結が実施されている。
車内
さて、この形式の最大の特徴ともいえるのが車内だろう。
そう、
オールロングシートである。
地方路線でこの座席配置は当時としてはかなり異例であり、特に
青春18きっぷユーザーからは大ブーイングを受けることとなった。
じゃあなんでロングを導入したのか?
勿論JRが意地悪をするためにしたわけではない。
同時にワンマン運転を開始した路線も多く運転士が車内を見回しやすくする必要があったことに加え、当時地方線区で問題になっていた乗客のマナーへの対応がある。
当時の客車列車ではボックス席ゆえ、始発駅で高校生が窓から荷物を投げ込んで座席を確保、あるいはボックスに隠れて喫煙行為をするというマナーの悪い行為が多く見られ、それに苦情が相次いでいた。
そのため、地方路線でもロングシート車の導入または改造が進んでいた最中であった(むろんラッシュ対策もあるが)。
701系もそれに対処するためにロングシートを採用したとされるが、200キロを超える運用のある長距離路線での導入は当時としては極めて異例のことであり、701系自体が東北全県に大量に導入されたこともありこれで評判を下げるようになった感は否めない。
JR東日本も行き過ぎだったのかと考えたようで、後継のE721系ではセミクロスシートとなり、701系でも後年の車両では新造・改造含めセミクロスシート車が登場した。
余談だが、ロングシート=絶対悪という発想は「鉄道雑誌など、趣味サイドがクロスシートのデメリットをまともに説明しない偏った発想」「18きっぷの愛好家が座席に文句を言うのはおかしい」という話にもなるが、詳細は本項から思いっきり逸れるのでここでは(涙を呑んで)割愛する。
座席以外で東北のJRの電車としては初めてドアチャイムが搭載されたほか、1999年以降に製造された編成では、トイレが大型化され設置位置が変更されている。
番台区分
1993年に秋田地区に導入された。2両・3両編成が在籍する。
マゼンタ塗装は当初薄めのものだったが、経年劣化から後年濃い目のカラーリングに変更されている。
1994年~1995年に秋田地区へ導入された。
基本設計と編成構成は0番台と同じだが、後部標識灯の位置が少し上がりつり革が増設されるなど細かいマイナーチェンジが実施されている。
1999年に仙台への転属車が登場し、以降秋田と仙台を行ったり来たりしている車両もある。
1994年~1996年に仙台・盛岡地区へ導入された。
このグループから4両編成も登場し、中間電動車のモハ701が新形式として登場している。
基本設計は100番台と同じだが、
仙山線への入線を考慮してパンタグラフが折り畳み高さの高いものに変更されたほか、719系の救援が可能な装置も搭載している。
盛岡地区の導入分は後述する3セクへ譲渡されている。
1998年・2001年に仙台地区に導入された。2両編成のみ。
この番台から回生ブレーキを搭載しており、屋根上のブレーキ用抵抗器が無くなっている。
1998年製と2001年製では、トイレ位置およびスペースの大きさが異なる。
また、2000年に高潮で被災した1000番台を修繕して1500番台に編入した編成も存在する。
秋田新幹線改軌工事に伴い、
田沢湖線用の普通列車向けに1996年から導入された。
車内は701系新製車では初のセミクロスシートとなり、車体塗装は秋田地区と盛岡地区を結ぶことから紫とマゼンタの帯になった。
田沢湖線は電化後も気動車が使われていたため、普通列車向けの電車の導入はこれが初めて。
山形新幹線の山形~新庄間延伸に伴う
奥羽本線(山形線)改軌に合わせ、1999年に増備された。
1500番台の標準軌版といったポジションで、車内は全てロングシート。
車体塗装は719系に準じた上部に紅花色+緑の太帯となる。
当初は米沢~新庄間で運用されていたが、2024年3月改正で米沢~山形間から撤退している。
第3セクターの701系
東北新幹線の延伸開業に伴い経営分離された2線区にも導入されている。
両社ともに1000番台の譲渡車を0番台、JRでいう1500番台相当の新製車を100番台と称している。
セミクロスシート車は100番台のみ。
塗装は上がスターライトブルー、下がスターライトイエローの2色帯となる。
こちらは0番台にもセミクロスシート改造車が存在する。
塗装は何度か変遷しており、初代は濃い青色の帯、2代目は同社のマスコットキャラ「モーリー」に合わせた薄い青帯を車体下部、乗務員室ドア周り、ヘッドライト周辺と貫通ドアにラッピング、3代目は2代目に近いが、側面は幕板部と乗務員室ドア付近のラッピングと意匠が微妙に変更されている。
追記・修正は701系の全開走行の爆音を聞きながらお願いします。
- 誰だ悪役のタグ付けたやつ。 by建て主 -- blackboshi3700 (2025-02-01 21:52:21)
- 2両編成で110km/hで爆走するのは慣れないと意外と怖い -- 名無しさん (2025-02-02 09:06:26)
- 3ドア20m車体でオールロングシート、その上内装もシンプルゆえに車内は広々感がすごい。東北は伝統的にダイヤカツカツだから常に最高速だよ! -- 名無しさん (2025-02-02 10:04:10)
- 30年選手なのにプラレールが出ない子。……運転されている地域に子どもが少ない? それはそう -- 名無しさん (2025-02-03 18:43:37)
- ↑1 3両以上を組む編成が少ないうえに、それも秋田と仙台のごく一部なのがなあ… まあ2両で売るときは売るけど。 -- blackboshi3700 (2025-02-05 14:29:07)
最終更新:2025年02月05日 14:29