登録日:2011/03/06(日) 16:41:15
更新日:2024/10/22 Tue 16:15:07
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国鉄が1985年のダイヤ改正に合わせて製造した近郊形電車。国鉄の分割民営化後は
JR西日本に引き継がれ、北陸地方で普通電車として活躍していた。
しかし、最高速度が他の車両に比べて低く(413・457・475系は110km/h、521系は120km/hだが419系は100km/h)、老朽化も激しいことから2011年3月12日のダイヤ改正を以って521系に置き換えられ、現役を引退した。
追記・修正よろしくお願いします。
どけっ!そいつは新型車ではない!
他の奴は騙せてもこの俺は騙せんぞ!
521系「ばあさん反対側の顔見せてみろ」
419系「へっ…い、いえあたしは今から敦賀へ向かうところでして…」
521系「どうした 何故見せられん」
こいつの正体は改造車、それも鉄道ファンの間では超有名な改造車である。
その理由は以下の三点である。
1.種車は昼間は特急、夜間は寝台列車という斬新なコンセプトで登場した特急形電車の
583系。
2.その特急形電車を近郊形電車に格下げ改造している。
→余剰となった特急形車両のグリーン車を近郊形車両のそれに転用した事例はあったが、まるごと近郊形車両に改造したのは初めてである。特急車両の格下げ改造は私鉄では時折見られたが、国鉄でこうした改造をするのは極めて異例のことである。
3.
格下げ改造の際、魔改造が行われた。
→本形式が有名となり、ある意味人気を博している最大の要因。詳しくは後述。
登場の経緯
国鉄は1984年2月ダイヤ改正から地方都市圏の電化路線において、長編成で低頻度運転という客車列車向けのダイヤから、短編成で高頻度運転という電車列車向けのダイヤに変更する輸送改善、いわゆる「シティ電車」の施策を開始した。
北陸地区では1985年からシティ電車化を開始したが、変更に当たって問題があった。それは、電車が足りないことだ。
普通ならば新型車両の投入となり実際、条件に適した車両(417系)があったのだが、その車両は製造費用が高いため、多額の赤字が問題となっていた国鉄が簡単に投入できるような車両ではなかった。そこで、夜行列車の減少や設備面の問題から昼行特急としても使いにくくなり、余剰となっていた581・583系の近郊形化という策が提案され、実際に実行されることになった。その結果、誕生したのがこの419系である。
ちなみに、581・583系はダイヤ改正での運用離脱後、転用先がままならず各駅に留置されており、通常なら廃車しても問題ないのだが、当時の国鉄は会計検査院から睨まれていたこともあり、転用策としてこの斜め上の改造が行われることとなった。
改造内容
→種車の583系は性質上、乗降扉を1両当たり片側1箇所しか備えておらず、そのままでは乗り降りに不便なため。ただし、扉の構造は既存のものを踏襲したため、扉幅は近郊形車両にあるまじき狭さである(通常の近郊形車両の扉幅は1,300mmだが、419系は700mm)。
→混雑時の換気を考慮したため。なお、種車は固定式である。
- 座席を扉付近はロングシート、その他の区画はボックスシートとした。
→ボックスシートは元々使用していたものを小改良してそのまま使用。ロングシートは他の車両に使われていたものを流用して使用。
そして、本形式が有名となった最大の改造点、それは……
である。
単にそれだけならよくある話なのだが、この車両の場合、改造された先頭車と元から先頭車の車両の顔が全然違うこと、種車の特徴を受け継いだことで、改造された側の先頭車が側面から見るとまっ平らなので、何処からどう見ても食パンにしか見えないスタイルとなった。それにより話題となり、いつしか「食パン電車」というある意味名誉なあだ名が与えられた。
(出典:日本の旅・鉄道見聞録)
ちなみに、性質の悪いことに本形式には両先頭車とも食パン顔の編成も存在した。つか、そっちの方が数が多かった。これは次述の715系に元からの先頭車を多数供出したのが理由。
715系
本項は419系について記述しているが、最初に登場したのは交流区間専用の715系である。
登場経緯についてはほぼ同じため省略するが、交流専用のため九州・仙台地区に導入された。
九州地区に配備された0番台は
長崎本線・
佐世保線を中心に運用され、
シートピッチが広いからという理由で臨時急行に起用されるなど無駄に数奇な運命をたどった。塗装は当初クリーム色に緑帯というものだったが、1987年以降白地に紺帯の九州一般色に変更された。
仙台地区に導入された1000番台は0番台と前面塗装が微妙に異なっており、後に仙台地区の455・417系もこの塗装に変更された。なお、クリーム色部分は後年、九州地区よりも白いものとなっている。ちなみに番台区分は「せんだい」の語呂合わせである。
この改造は元々、将来新型車両が投入できるようになるまでのショートリリーフの扱いで(種車の特徴がそのまま残されたのもそのせい)、当初の目的通りJR化後10年程で新型車両に置き換えられている。
なお九州配置のクハ715-1は廃車後も解体されること無く工場で保管され、2003年より塗装を583系時代に戻した状態で九州鉄道記念館で一般公開されている。
その後
話を419系に戻そう。
419系についても先の715系と同じく置き換えが検討され、JR化後の1995年に681系のシステムを使った近郊形車両が設計されていたが、阪神・淡路大震災によってそれどころでなくなったため話は流れ、置き換え開始は2006年の521系登場まで待たされ、それからもしばらくブランクがあったものの、2011年3月にようやく全車置き換えとなった。
晩年には、日本海の潮風の影響で、車体裾が茶色くなり、さながら「トースト」みたいな状態になっていた車両もあった。
ちなみに、419系の中には製造時期の違いから583系として走った期間よりも、419系として走った期間の方が長い車両も存在した。
トップナンバーの編成(両方とも
食パン顔)は引退後1年半ほど放置された末に外部のスクラップ工場に運び込まれ、クモハとモハは搬入後すぐに解体されたものの、クハだけ何故か10年近く解体されることなく工場の引き込み線に留め置かれていた…が、2021年10月、ついに解体された。
なお廃車後に台車や
モーターなどの部品は富山地方鉄道が買い取り、同社10030形電車(元京阪初代3000系)の部品として活用された。2013年に入線した2階建て車の8831号車(←3805)の履いている台車も419系由来の部品である。
余談
鉄道模型ではマイクロエースと東京堂の「TEXT」ブランド、トミーテックの鉄道コレクションで発売済み。
東京堂の419系は延期し続けた末に出たが、塗装や動力機構が酷い最悪の完成品と評判は良くない。中古でも滅多に出ないが。
なお増結セットには初回特典として前述のクハ715-1が同梱されていた。
マイクロエース製は塗装も国鉄、JR仕様、両
食パンタイプ、特急型先頭車両の貫通扉埋めタイプと再販ごとに増えるバリエーションが多く、こちらの方が仕上がりも良く比較的入手しやすい。
ちなみに715系も発売済み。
鉄コレは最後発という事もあってバリエーションは少なく、先頭車は
食パンのみ。その上別売の動力ユニットを組み込まないと自走不能なうえヘッド・テールランプは不点灯。だが東京堂よりはまだマシではなかろうか。
715系0番台も発売済み。東北用の1000番台は
特急型先頭車の金型を起こすのが面倒だからかニューデイズ限定で先頭車が発売されたのみ。
- 博多から小倉まで全駅各駅停車の長時間運転
- お世辞にも良いとは言えない車両性能
- ↑なのにどういう訳かJR化後の新型車両(813系)前提でのダイヤで運転させられる
- 初期持ち時間最低、各種減点最大、停止位置合格範囲最低と逃げ道一切なし
これらの要素が合わさった結果、電車でGOシリーズの中でも屈指の鬼畜ダイヤとなってしまった。
晴れか曇りならブレーキが強めに効くのでまだマシなのだが、悪天候での運転だと余裕時分が
マイナス(=前の駅を定刻に発車すると
遅延確定)という事態になる駅が「複数、それも一部は連続して存在する」ダイヤは後にも先にもこれだけであろう。
人によっては
食パンと言うだけで列車ではなくダイヤが先に出てくるとな。
追記・修正よろしくお願いします。
- 引退していたのか…。確かに予備の部品とか無くなっているだろうしな…。 -- 名無しさん (2014-02-05 20:01:39)
- なんだかんだで元が特急列車だったから乗り心地が割と良くて、昼の空いた時間に来ると嬉しかった -- 名無しさん (2014-02-05 23:38:43)
- 一度乗ったが、「なんだこれは!」と心の中で叫んだ -- 名無しさん (2014-03-13 12:05:23)
- ちなみに廃車部品は富山地鉄へ渡ったとか -- 名無しさん (2018-02-13 13:10:08)
最終更新:2024年10月22日 16:15