魔法少女育成計画F2P

登録日:2025/02/16 Sun 01:50
更新日:2025/02/19 Wed 09:42:32
所要時間:約 18 分で読めます




いまや いろんな連中が 魔法の国を壊したがっている


魔法少女育成計画F2Pとは、 かつて宝島社の『このマンガがすごい!WEB』にて連載されていた、作:柚木涼太(原作:遠藤浅蜊、キャラクター原案:マルイノ)の漫画作品であり、魔法少女育成計画のマルチメディア展開の一つとして発表されたスピンオフ作品。
ファンからの略称は「F2P」「えふつぴ」。

概要

原作第一作のアニメ放送開始直前の2016年8月に連載開始。
本筋としては、本編とは関係のない新キャラクターたちによる物語が描かれているが、横軸として魔法の国内部の陰謀なども語られ、本作が初登場のキャラクターの一部も後に本編において魔法の国の主要人物として登場している。
連載じたいは順調に進んでいたものの、2017年10月の21話をもって連載が一時中断。改めてLINEマンガにて1話から連載されることとなったが、そちらが21話に到達した後はどちらのメディアでも続きが描かれることはなかった。
公式いわく『悪い大人の事情』ということだが、実質的には打ち切り作品であるといってしまっていいだろう。
単行本は2巻まで発売されているが収録は14話までであり、15~21話の単行本ほぼ1冊分は、無料公開期間の終了後は読むことができないままとなっている。
なお作者の柚木涼太は、『俺ツイ』のコミカライズや、『お姉さんは女子小学生に興味があります。』『ときめけ魔法幼女ココピュア』など、幼女に対するセンシティブなものを含む愛情表現に定評があり、本作でもそれが遺憾なく発揮されている。
ちなみに、Wikipediaでは男性とされているが、Xの本人ポストを見てみると……?


あらすじ

魔法の国の人事部門で働いている魔法少女アルマは、研究部門への応援として魔法少女すぴのんと共に、『「死」をキャンセルする魔法少女』の調査のためにF市を訪れていた。
しかしそこにあったのは、半径数百メートル程度の謎の結界に覆われた街。
アルマは、その内部で活動している、魔法の国の打倒を目論むレジスタンスの魔法少女たちと出会い、レジスタンスと魔法の国の「戦争」に巻き込まれることになる。

登場人物

※「演:」は朗読劇に出演のキャスト名
  • アルマ
演:河内美里
本名:下崎(したざき)久美
魔法の国人事部門に所属する魔法少女であるが、今回は研究部門に応援で駆り出され、初の調査仕事を行うことになっていた。
魔法少女としては小柄で身体能力も低く、自身なさげでおどおどとした性格。
当然、戦闘経験もなく、F市の結界に入ってすぐにレジスタンスに襲われた際には一瞬で戦意喪失している。
その能力の有用性を買われてレジスタンスに同行することになるが、そこで彼女たちが魔法の国と戦う理由を知り、死んでほしくないとも思うようになっていく。
変身前は(おそらく)大学生の、背が高いが地味な印象の少女。
魔法:相手の取扱説明書を出せるよ
対象の能力や性質、過去や目的までが記載された取扱説明書を出せるという、まさに人事部門向けの能力。
しかしその発動条件は、相手を舐めることである。実際、彼女が魔法を使うシーンはどれもセンシティブ判定を食らってもおかしくない描写である。

★レジスタンス

F市の中で活動し、魔法の国の打倒を目論んでいる魔法使いと魔法少女の集団。
近いうちにF市の中に現れる新しい魔法少女こそが魔法の国打倒の切り札になるとされていることから、その捜索を第一としつつ、魔法の国からの干渉を避けるため、調査にやってきた魔法少女たちを排除(殺害)している。
しかし、そもそも結界に覆われ、さらに結界内に調査に入った者が一切帰ってこないという状況は当然ながら魔法の国の注目を集めることとなり、次々と精鋭が送り込まれることとなってしまった。
一応、目論見としては、調査員が帰ってこないことが続けば様子見をするだろうし、その様子見で時間を稼いで切り札となる魔法少女を見つけ出せれば良い、というものではあった。
予想外だったのは、魔法の国が部門ごとに違った思惑があること+他所の部門の被害なんて知ったこっちゃないことにより、それぞれの部門からの戦力の投入が止まなかったことにある。これもう、どっちが悪かわかんねえな

  • ステラ・ルル
本名:小山内(おさない)(かおる)(高校生?)
演:尾崎由香
レジスタンスのリーダーであり、見た目も正統派魔法少女のドレスにジャンパーを羽織っているもの。頭のリボンのてっぺんに小さな角がついており、ユニコーンをモチーフとしていると思われる。
手に持った魔法のステッキにより放つ必殺の「ルル・クラッシュ」は、標準レベルの魔法少女であれば一撃で命を奪えるほどの威力。
また、ジャンパーも魔法のアイテムのようで、物理攻撃によるダメージを吸収しエネルギーとして溜めることができるような描写がある。
昔から魔法少女が好きで、また「この街の平和を乱すヤツは許さない」とノリノリでポーズを決めながら正義の魔法少女のようなセリフを言うかと思えば、調査に来ただけの魔法少女を殺すことを正当化し、目的は「革命」だと語る、アンバランスさを有している。 
なんとシリーズ二人目の、変身前はの魔法少女。ただし、見た目は少女にも見えるほどの美少年である。女物の服を着ているような描写も……
ちなみに、シリーズ一人目であるそうちゃんと過去に出会っていることが、短編『マジカルボーイズエレジー』(書籍『episodeΔ』収録)にて語られている。
魔法:どんな魔法道具でもすぐにつかいこなせるよ
魔法のアイテムを、それをもともと持っていた本人以上の性能で使うことができるという能力。
それに関係してか、魔法のアイテムを集めるのが趣味なようで、自室は大量のアイテムが積みあがった汚部屋手前。
「集める」と書いたが、実際には当然のように盗む・奪うという手段をとっており、有用なアイテムを持つ魔法少女がいると聞けばわざわざ遠征までしていた模様。

  • セラセラ
本名:森水琴(みこと)(高校生?)
演:小山百代
レジスタンスの一員で、変身前の状態でも馨の友人であり、同じ学校に通っている。。
結界内に侵入した魔法少女の排除に携わったり、模擬訓練を行ったりしているなど戦闘要員としての扱いではあるが、その戦闘能力はルルやメルティに一段劣るようである。
あまり積極的には戦いがらないことをアルマに見抜かれ、レジスタンスを止めるための協力を願い出られるが、「戦う理由はないけど、みんなと一緒にいる理由はある」と、それをやんわりと拒否する。

  • メルティペイン
本名:佐々木芽留兎(めると)(高校生?)
演:佐藤日向
レジスタンスの一員であり、主な暴力担当。
戦闘能力でいえば、監査部門の荒事担当魔法少女とも真っ向から戦えるほど。
ギャルというかマイルドヤンキーのような性格であり、考えるより先に手が出るタイプ。
彼女も、魔法の国と戦うだけの理由があるとは語られているが、詳細は描かれていない。
(舞台において、大事な人を魔法の国に殺されたらしきことが示唆されている。)
高校生ではあるようだが、馨や水琴とは学校が異なる。一人暮らしをしているが、こちらは文句のつけようのない汚部屋。
魔法:時間の進み方を変える魔法の手袋を使うよ
手袋で触るという必要があるものの、敵に触れて時間の進み方を極端に遅くすることも、味方に触れて攻撃の速度を上げることもできると、うまく使えばかなり強力な魔法。
2対1の戦いで敵に対して使えれば、仲間の大技を確実に直撃させることができるなど、レジスタンスの戦い方と非常にマッチした能力である。

  • 小山内(おさない)(あきら)
演:吉宮瑠織
馨の姉にして、レジスタンスの活動方針を定めている実質的なリーダー。
長身でウール地のようなワンピースを着たスタイルの良い美女であるが、目的のためには無関係な魔法の国の調査員を殺すことに躊躇いがない。

  • ウェン
演:一村すみれ*1
打倒魔法の国を掲げる魔法使いの少年であり、レジスタンスの首謀者。
晶・薫の姉弟とは幼馴染の関係。
魔法の国の良家であるヘイズワード家の生まれであるが、仲の良かった姉のエルジーナが魔法の国の実験台として扱われ命を奪われたことに激怒し、反旗を翻すことを決意。
結界のスペシャリストで、F市の結界も彼が作り出したものであり、そのルール(結界内には、一定数の魔法存在しか存在できない)を正面から破ることは魔法の国の強者であっても不可能というレベル。
なお「魔法の国は魔法使いの住民にも状況によっては優しくない」という設定は、この後『魔法少女育成計画breakdown』でより掘り下げられる事になる。

  • ミース
魔法の国の小動物型マスコットであったが、今は離反しレジスタンスの一員となっている。
おそらくは魔法少女をスカウトして二人三脚で活動していくタイプの存在であり、F市に新たな魔法少女が生まれるというのも彼の言によるものである。
魔法存在を高精度で探知することができるセンサーを持っており、新しい魔法少女が存在すれば、その素質があるだけでもそのセンサーに反応があるため、F市の結界内を走り回って捜索している。
かつては魔法少女であるジェルミナールとコンビを組んでいたが、魔法の国の都合でコンビが強制的に解消され、おそらくはその後に消息不明となったという、ウェンと同じような理由から魔法の国を憎んでいる。
舞台では、物語の開始時点で調査にきた魔法少女との戦闘で重傷を負っており、表には登場しない。


★魔法の国

この作品の発表あたりから、原作でも魔法の国の内実が描かれていくようになり、その組織的なグダグダさを存分に発揮している。


  • すぴのん
研究部門に所属する魔法少女であり、対応力に優れた魔法の能力から主に調査を担当しているようである。
調査に赴いたF市に広がる謎の結界を発見し侵入。さっそく遭遇したレジスタンス一味に対して、あくまで調査であり敵意がないことを伝えるが、問答無用のルル・クラッシュによる一撃で命を落としてしまう。
そういう役であるせいか、舞台でも名前だけの登場である。
魔法:変幻自在な魔法のヨーヨーを使うよ
単純に戦闘で使うにとどまらず、高所に引っ掛けての移動の補助といったことにも使える模様。

  • ジューベ
演:茜屋日海夏
研究部門の副部門長であり、長髪とそばかすが特徴的な魔法少女。
物腰は柔らかいが、『「死」をキャンセルする魔法少女」という目的のためには部下の使い捨てもためらわないなど、魔法の国の幹部らしい冷酷さもある。
その一方で、レジスタンスとの取引・協調もたくらむなど、必ずしも魔法の国そのものに忠誠を誓っているわけでもない。
なお本作後にあたる『魔法少女育成計画「白」』では人事部門の部門長に異動。パペタを副部門長に据えている。
魔法:真実を示す魔法のペンを使うよ
魔法のペンによって書いた文章の文字が、その内容が「真」なら青、「偽」なら赤に変わるという、情報収集に特化した、使い方によっては強力な魔法。
しかし、結果がわかるのは書いてから24時間後であり、さらにその結果が出るまでは新しい文章を書くことができないという制限がある。
そのため、有効に使うためには「24時間後に必要になっている情報」を見越して文章を書く必要がある。

  • パペタ
演:船戸ゆり絵
ジューベの部下である魔法少女。間の伸びたような喋りをする。
よくジューベの話し相手ともなっているが、そのやりくちに絶句することも。
魔法:魔法で作った好きな人の人形とお話しできるよ
パペタの右手のパぺットの口で、特定の人間を噛む動作をすると、パペットがその人物の姿を模したものに変わり、またその人物の人格を得て勝手に喋るようになる。
パペットの人格は、ある程度まではパペタに協力的になるようではあるが、話してはいけないと考える内容を聞き出すなどはできない模様。
また副作用として、元になった人間が死ぬと、パペットも元に戻ってしまう。これを利用することで、結界の中に送り込んだ魔法少女が死んだことを検知したりもしている。

  • ファン・リート・ファン
演:星守紗凪
監査部門が、F市結界の調査のため研究部門に協力、という名目で送りこんできた魔法少女。
寡黙な仕事人という印象であり、実際に戦闘能力でいえば、メルティペインとステラ・ルルの二人を相手どってもなお優勢なほど。
しかし、ルルとメルティの持つ魔法のアイテムの効果により形勢を逆転され、敗北。
その実際の目的は、ウェンの排除。囚われて尋問を受けるも、隙を見てウェンの暗殺を狙うが失敗、そのまま嬲り殺されることとなった。
余談だが、舞台のタイミングにあわせて遠藤先生のXで、「寡黙で自分の仕事のことを話さないが、食堂はよく利用しているために、周囲から『食堂でよく見かける人』と認識されている」との小ネタが発表された。
魔法:魔法の鉄扇を使うよ
典型的な、戦うための魔法のアイテムを持つ能力。受け攻め両面に使えると、彼女の挌闘戦の要となっている。
また『魔法少女育成計画breakdown』の連載サイト掲載版後書きでは、扇技を極めた結果一振りで小さな竜巻をも起こせると解説されている。

  • ジェリーマリー
おそらくは研究部門の魔法少女。
魔法の能力を生かして、F市への潜入と調査をジューベから命令される。
調査員が何人も戻ってきていないと噂のF市への潜入ということで、泣いて拒否しようとしたがそのまま押し切られてしまった。
潜入後は、一度は警戒から逃れるもすぐに見つかり、ジューベから指示されていた次善の案として連絡手段である携帯電話をレジスタンスに提供する。
そして囚われて剥かれて舐められた挙句に殺されてしまうと、本作屈指の不憫枠。なお11話の扉はほぼR-18レベル。
登場期間も短いことから舞台では出番がカット。携帯電話を渡すくだりは、ファンの役目となった。
魔法:水中でも地上と同じように行動できるよ
川から潜入すれば警戒網を抜けられるのではないか、というジューベの予想自体は当たっていたのだが、そもそも魔法存在を高精度で探知できるミースがいたために、あっさり見つかってしまうこととなった。

  • クリオ
演:鈴木杏奈
人事部門の副部門長。
幼い見た目と話し方に反して、性格は冷酷かつ残酷なもの。
立場を利用して、ジューベに交渉とは名ばかりの脅迫を行うなど、目的のためには手段を選んでいない。
その目的というのが、結界内に存在するはずの『歴史上すべての魔法少女が掲載された名鑑ということだが……?
F市の事件を「解決」するために、2人の魔法少女を送り込む。
なお本作後、人事部門の部門長が『QUEENS』で他界した後を描いた『魔法少女育成計画「白」』ではジューベとパペタが人事部門トップを担当。これが意味するものは…?
魔法:???

  • 吉岡
人事部門で、クリオに取り入っている謎の女性。
原作ファンからしたらその正体は明らかである。そして本作の後、そのコネを活かしてか「もっと上の権力者」へと繋がってしまう…
そして上と繋がった事で得た情報を有効活用しようと『魔法少女育成計画「黒」』から『魔法少女育成計画「赤」』で暗躍し暴れた事で、結果的に魔法の国の「象徴」を揺るがす原因の一人となるのだが、それは別の話。


  • エイミー
演:山田麻莉奈
クリオが送り込んだ魔法少女にして、魔王塾出身・魔梨華の悪友と肩書だけでヤバいことがわかる魔法少女その1。
結界内に潜入し、単独行動していたアルマを脅迫、名鑑を奪い取ろうとしつつ、レジスタンスの殲滅も狙う。
魔法:自分の分身を作れるよ
自身と同じ力を持った分身を作り出せるという能力。
レジスタンスの生命線である、「魔法の国からの刺客は、結界のおかげで一人ずつしか入ってこれないので、囲んで確実に潰す」という戦法を一人でひっくり返せる、レジスタンスからすれば相性最悪の能力。
小さな弱点こそあるものの、分身を伏兵として隠しておく、本体と分身を入れ替えておくといった対応力があり、また状況不利であれば分身を囮に逃げることも厭わないなど、総合力で考えてもかなりの強者である。

  • もな子
演:持田千妃来
クリオが送り込んだ魔法少女にして、魔王塾出身・魔梨華の悪友と肩書だけでヤバいことがわかる魔法少女その2。
実は、ようやく彼女が結界内に入ったというところで連載が中断したため、その活躍は描かれていない。
魔法:魔法錫杖で二人だけの空間を作るよ
対象を、タイマンで戦闘するだけの空間に引きずりこむという魔法。
連載中断直前のエピソードは、ルルがこの空間に囚われ、さあ戦闘というところで終わっている。結果、ルルともな子は7年以上もの時間を、二人きりの戦わないと出られない空間で過ごしていることになってしまった。

その他

  • 原作本編では、F2Pより時間軸が後と思われるところまで話が進行しているが、魔法の国サイドの人物の存命率が高めな一方で、レジスタンス側の人物はその姿も見えず、また魔法の国側でも人事移動が発生しているため、かなりのバッドエンドになることが予想されている。



固有魔法:アニヲタwikiの項目に追記・修正できるよ

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最終更新:2025年02月19日 09:42

*1 当初は青木志貴がキャスティングされていたが、体調不良のため降板した