黒電話

登録日:2025/03/05 Wed 16:50:00
更新日:2025/03/15 Sat 11:59:30
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黒電話とは、かつて通信省・日本電信電話(NTT)によって提供されていた電話機の俗称。
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概要


1980年代までは日本国の電話事業は国営で、国家事業として日本全国で提供する標準電話機を定める必要があった。
そこで開発された電話機が黒色だったことから「黒電話」と名が付いた。
そのため、公衆電話などの特殊な電話以外はほぼこれ一択であった。
なお1950年代以降は黒以外の筐体も登場しているが、慣習的にこれらも黒電話と呼ばれている。

その後、NTT民営化・通信自由化に伴い電話機の販売が自由化され、各々が好きなメーカーの物を購入して使う方式へと変化した。
NTT自身も電話機の完全電子化を進める一方、貸し出し式だった黒電話は希望者に売却。個人所有が認められることになり今日に至る。


種類


3号電話機


1933年に通信省が制式化した物。ベークライト製。
米ウェスタン・エレクトリックのModel 302 telephoneを参考にして開発された。
第二次世界大戦中は超廉価版の木製仕様も製造されている。戦後も需要に対して生産が追い付かなかったため、輸入電話機・それ以前の旧型機を3号相当に改修する工事も行われていた。

4号電話機


1950年に電気通信省が制式化した物。岩崎通信機・沖電気・東芝・日本電気(現在のNEC)・日立製作所・富士通の6社が製造を受託。
振動板がジュラルミン化され音質が向上した。全国自動ダイヤル化普及にも貢献したが、設備が整わない地方向けに従来の共電仕様(ダイヤルが無い手動交換式)も生産していた。
黒以外の色が登場したのもここから。また、委託公衆電話向けに赤色に塗装された物が提供された。

600形電話機


1963年登場。筐体が硬質塩化ビニール製に変更され耐久性が向上した。
プリント基板を採用したことで量産性も良くなり電話加入者の増加もあって最も普及した黒電話。
前期型のA1と後期型のA2の2種類存在しA2の方がダイヤルが高速化されている。
先代とは違い当初は黒のみだったが1971年からグリーン・ウオームグレー・アイボリー(ぞうげ)の3色が追加された。

600-P形電話機(プッシュホン)

1969年に登場した初の押しボタン仕様。
当初はグレーのみだったが1972年からグリーン・コーラル(さんご)・アイボリーの3色が追加。

601形電話機


1978年登場の最終型。600型よりも軽量化し部品のモジュール化が成されている。その恩恵で製造費も1/3程度削減に成功している。
着信音も金属感が強かった従来型と比べると優しい音色になった。
本機は最初から多色展開(黒・グレー・アイボリー・グリーン)されている。
既にプッシュホンがあるにも関わらずダイヤル式の新型が出ているが、その理由は当時はプッシュホンの基本料金がダイヤル式より割高だったため。

601-P形電話機

600-P形の後継機。押しボタンのスイッチがシリコンゴムシート化されたことで耐久性が向上した。

シルバーホンめいりょう

聴覚が衰えた・聴覚障害を抱えている人向けに提供された音圧強化版。


特徴


稼働のための電力は電話線から賄えるのでコンセントからの電力供給は必要としない

端子はY型端子のローゼット式だったが、現在一般的なモジュラージャックへの変換もできる。
モジュラージャック化した物は光電話にも対応できるので、単純な通話をするだけなら2025年現在でも使用可能である。そのため半世紀以上使われている物が普通に存在する。
実用的には着信履歴やナンバーディスプレイ対応の電話機と併用することになるが、ナンバーディスプレイを契約している場合、着信があっても少し待たないと通話できない点に注意。
なお、きちんと配線をすれば内線としても使える。

固定電話を引いていない人でもIP電話を契約しているなら受発信機として使える。その際はルーターからVoIP変換機を経由して接続する必要がある。

プッシュフォン型はナビダイヤルにも対応できるが、ダイヤル型にはできない……と思われがちだが、受話器に#の音を聞かせる力技を用いることで強引に入力できる。もちろん人間業ではない

貸出品で修繕して使うのが前提だったため筐体内部に保守用の回路図が付属している。


創作において

  • こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する特殊刑事課のミレニアム刑事は黒電話を愛用しており、なんと電話線を家から引っ張って台座ごと持ち歩いている。そこまでしている理由は「通話中にコードを指にくるくる巻きつけたいから良い歳したおっさんがコレである。また、下記のBluetoothの先駆けではないが、年寄り向けに黒電話型の携帯を販売したこともある。

  • メタル線(アナログ回線)なら停電でも使用可能なので、ホラー作品などで「電話が使えない」という状況から普通の停電ではない事の演出をしている事もある。

  • アニオタ的にネタにしやすい雑学として挙げるなら「『鉄腕アトム』は近未来を舞台とした作品だが、電話は黒電話のまま」というものがある。流石の漫画の神様・手塚治虫でも、現代の通信技術の発達までは予想できなかったのかもしれない(もちろん作中で描写されている他の文化含めて意図的である可能性もなくはないが)。
    とはいえ『アトム』の原作は1968年まで、最初のモノクロ版アニメも1963〜66年。電話が国営インフラだという点も踏まえればそうそう大規模な変化をイメージすることはできなかっただろう。


余談


  • 設計が単純なのと中古品が大量に出回っていることから、着信ランプや保留機能の実装、Bluetooth子機化するなどの改造をして使う猛者もいる。

  • 黒電話そのものを見かけることは減っているが、電話(機)自体、あるいは電話番号を示す記号としては今でも健在と言える。



受話器を耳にあてて、
ツーという音(発信音)を
確かめてから追記・編集を
おこなってください。


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最終更新:2025年03月15日 11:59