逆コーラップス:パン屋作戦

登録日:2025/03/26 Wed 20:03:17
更新日:2025/04/19 Sat 19:29:31
所要時間:約 19 分で読めます





運命には、屈しない


『逆コーラップス:パン屋作戦』はサンボーン社が開発したSRPG。
配信プラットフォームはSteam

この邦訳がイマイチ珍妙なタイトルに疑問を持ち、パン屋経営シミュレーションか何かかと思った人がいるかもしれないが、いわゆる美少女ミリタリーものである。

概要


本作は2013年に同人作品として発売された『パン屋少女(原題:面包房少女~CODENAME:BAKERY GIRL~)』を11年越しにリメイクしたものとなっている。
そのリメイク元の制作チームが起業し、サンボーン社を立ち上げて2016年にリリースしたのが『ドールズフロントライン(ドルフロ)』であり、
ドルフロとは同じ世界観の作品であるため、ドルフロシリーズの一つ……というよりは、ドルフロが『パン屋少女』の流れを汲む作品と言っていいだろう。
リメイク元を制作した中心人物であり、現サンボーン社長である羽中氏は本作にもコンセプト&シナリオディレクターとして参加している。*1

リメイク元からはキャラクターの容姿や名前、基本システムは受け継がれているものの、
キャラクター設定やメインストーリー、そして背景設定に関しては大幅に手が加わっており、
リメイクまでの間にドルフロシリーズで描かれた出来事も加味して再設定されている。

時系列的には『ドルフロ』から30年後、『ドルフロ2』から18年後と同じ世界観の中でも最も未来に位置しており、
ドルフロシリーズで描かれた出来事はすでに過去の事となっているが、ドルフロシリーズを思わせる要素はもちろん登場する。
一方、ストーリーではドルフロシリーズの主役だった「人形」があまり登場せず、逆にドルフロシリーズで断片的に語られていた「遺跡」や「完全免疫体」が話の中心となる。
なのでよりSFらしさが増しており、設定もさらに難解に。しかし空気感はドルフロシリーズのそれなので、シリーズ履修済みのプレイヤーからすればいつもの味と言えよう。

ただ、こちらのメインキャラたちは差異こそあれど「生身」なので、ドルフロよりグロめ。
血と肉の量はドルフロよりも明らかに多いので、苦手な人は覚悟しておこう。

システム


ターン制見下ろしシミュレーションであり、マス目で区切られた戦場の中で目的を達成しながらストーリーを進めていく。
各ユニットごとの視界や射程、地形効果など真面目なシミュレーションとなっており、難易度もノーマルですら高め。2024年発売のゲームとは思えない硬派さである。
クイックセーブ&ロードやターン頭までの巻き戻しなどそれなりのシステムは揃っているので、手ごたえのあるシミュレーションを楽しみたい人におススメだろう。
一応、イージーやさらにそれを下回る難易度もあるので、ストーリーだけ読みたいという人でも遊べるかもしれない。

3章まではそれぞれの章をクリアするまでクリア済みの戦役をリプレイすることができない。
クリア評価が高いほど経験値やパーツが多く手に入るので、なるべく高評価を狙いたいところだが前述の通り難易度も高いので、こだわりすぎるのも良くないだろう。
+ 4章
4章では複数のクリア条件が提示される戦役が現れ、クリアした条件に応じてルートが分岐するというシステムが追加される。
分岐する戦役に限りいつでもリプレイが可能となるが、その分ボリュームもすごいうえ、攻略情報は日本語だととあるサイトにしかないので、じっくり腰を据えて攻略しよう。

ユニットの強化は戦役をクリアして手に入る経験値によるレベルアップ、ゲノムポイントを使ってスキルを強くするゲノム強化、そして武器のカスタマイズの3種類。
前二つは模擬訓練でレベリングをすればいいので、手間はかかるが戦役の難易度を下げることもできる。

アイテムは戦役内での拾得や戦役クリアで手に入るパーツを使っての生成と、それらのアイテムを消費して別のアイテムへの改造が可能。
アイテムの使い方が上手ければ戦役の難易度を下げることもできるので、ぜひともアイテムを使いこなしたいところ。

収集要素として「機密文書」と「コレクション」が存在する。
前者は本作とドルフロシリーズにおける背景設定をまとめたものであり、本作から入ったプレイヤーでもストーリーの設定を理解するのに大いに役立つだろう。
マップ上でも目立つ形で置かれているので、なるべく取っておこう。
ドルフロ本編じゃ背景設定はろくに掘り下げられないから、ドルフロ(2)のメインシナリオの解像度もかなり上がるぞ!
後者はストーリーにかかわりがないお遊び要素であり、マップ上でも表示されず、隠すように置いてあるためノーヒントでのコンプリートは非常に困難。
実績に関わるくらいなのでそこまで頑張るものでもないが、ドルフロシリーズを思わせるイースターエッグ的な要素もあるので、興味があれば集めてみよう。

ストーリーパートは地の文を除いてほぼ全編がフルボイスとなっており、メイン、サブキャラだけでなく、モブキャラにもきちんとボイスが用意されている。
(オート状態の場合)約3時間という、読み始める前に警告文が出るくらい長尺のストーリーパートも存在しており、そこも当然フルボイス。

グラフィックと音楽


戦闘マップでは『ドルフロ』と同じ2DのSDキャラクターがメインとなる。
ドルフロよりキャラが少ないためか、1体あたりのモーション数が多めに取られているリッチな作りに。
SDキャラを使ったカットシーンもよく出来ており、短いながらもしっかりとアクションや細かい動きが描かれている。

音楽はリメイク元の『パン屋少女』やその後のドルフロシリーズにも参加していた、G.K氏が中心となって作られた。
ほとんどが新曲でありながらも、ドルフロと世界観のつながりを感じさせるサウンドは流石と言うべきか。
そして『少女』から『ドルフロ』へと受け継がれ、さらにその後のシリーズにも受け継がれた、
シリーズのプレイヤーにとっては聞きなじみがありすぎるあの曲も、しっかり本作へと受け継がれている。

ストーリー


2092年。
遺跡技術に詳しい人物――コードネーム「パン屋」を護送するために、
ロクサット連盟(ロ連)の勢力下である北コーカサス地方に入った南極諜報機関のモンドは、
ロ連軍の待ち伏せで所属部隊の壊滅に直面するも、謎の少女ジェフティに助けられ、共に南極への脱出を試みる。
だが、その裏には世界を揺るがす巨大な陰謀が渦巻いていた…

作中年表&用語


+ 年表
西暦 出来事 補足 登場作品
2030 北蘭島事件 爆心地の中国・北蘭島を中心に、コーラップス汚染が全世界へ広がる 設定のみ
2035 オーロラ事件 スカンジナビア半島を中心に、ヨーロッパにコーラップス汚染が広がる
2045 第三次世界大戦が始まる /
南極連邦(南連)が急遽成立 成立後、間もなく鎖国体制に入る
2051 第三次世界大戦が終わる 新ソ連が勝利するも、新ソ連も含めた各国が弱体化
大戦による各国の弱体化によって民間軍事会社の台頭が始まる /
第一世代人形普及開始
2057 第二世代人形普及開始
2060 ニューラルクラウド計画始動 人形のメンタルデータをリアルタイムでクラウドサーバーに保存する実験
トラブルによりニューラルクラウド計画中断 実験に使われていたマグラシアサーバーとの交信断絶
ニューラルクラウド計画完了 詳細は不明だが、当初の目的の実用化は成功した
2061 胡蝶事件 鉄血工造の人間職員が全員死亡し、同社製の人形が人間を攻撃し始める ドルフロ
2062 民間軍事会社グリフィンに新たな指揮官が着任 /
新ソ連軍の反乱軍によってグリフィンが一時壊滅
2063 グリフィンの指揮官がマグラシアサーバーへダイブ 目的は、サーバー内に取り残された人形のメンタルの救出 ニューラルクラウド
グリフィンの指揮官が現実に帰還 マグラシア内では約3年が経過したが、現実ではこの間数日程度
マグラシアサーバーの中身が16labのサーバーへ移動 /
2064 新ソ連軍の反乱軍が壊滅 ドルフロ
タリンで逆コーラップス現象が観測される
東ドイツで宗教組織パラデウスによるテロが多発
死海のパラデウスの本拠地が攻撃により崩壊 攻撃したのは新ソ連保安局とグリフィン
パラデウスが壊滅 /
欧州でロクサット主義合衆国連盟(ロ連)が誕生
2065 ロ連による民間軍事会社の解体、再編が始まる 設定のみ
2066 新ソ連がロ連に編入される
2067 鉄血工造が正式に解体され、その技術が公有財産になる
2071 第三世代人形が公表される
2074 パラデウスの存続が発覚する ドルフロ2
2075 国際救援組織GRFが発足 設定のみ
南極連邦が鎖国体制を解く
2078 ベルリンで三女神計画が始動 南連とロ連の共同プロジェクト パン屋作戦
2084 三女神計画が中断
2086 ワルシャワ事件 ワルシャワの街が壊滅
2092 パン屋作戦 /


+ 用語
  • 遺跡
本作やドルフロシリーズの根幹にある重要ワード。
1905年にロシア帝国で発見されて以来、世界中でその存在が確認されている、非常に高度な文明によって作られた遺跡のこと。
遺跡内部には生体認証が遺されているが、現生人類ではそれを突破することはできない。
「遺跡が起動すると世界が滅ぶ」と言われるほどの影響が予想されることや、遺跡の内部には「コーラップス粒子」と呼ばれる危険物があることなどを理由に、
国際的な協定によって長らく調査や研究が禁止されてきた。
だがパラデウスを筆頭に、遺跡の持つ可能性を利用しようと密かに研究を進めていた組織は少なくない。

  • 南極連邦(南連)
2045年に成立した、南極大陸の巨大空洞とそこにある遺跡を調査していた基地を前身に持つ国家。
第三次世界大戦などを理由として長らく鎖国状態を続けていたが、2075年に鎖国を解いて世界の表舞台に姿を現した。
遺跡研究の産物である「逆コーラップス」を利用することで大きな発展を遂げており、南極の巨大空洞とその遺跡の上に近未来都市を築いている。

  • ロクサット主義合衆国連盟(ロ連)
2064年に成立した連邦制国家。欧州と新ソ連を中心に、その他残存する諸国家が所属している模様。
平等な分配と反腐敗を謳った「ロクサット主義」に基づき、AIが運営、管理するディストピアである。
なのであまりまともな国とは言えないものの、汚染エリアの浄化作業を行っていることや、
南連が表舞台に現れるまでは唯一の力ある国家であったということもあり、曲がりなりにも機能していた模様。
『ドルフロ2』では味方側のキャラクターの何人かがロ連の下に居たが、本作でのロ連は敵役である。

  • コーラップス粒子
超文明が遺した危険な粒子。特殊な容器の内部では液体のように見えることから「コーラップス液」とも呼ばれる。
コーラップス放射線を発しており、これに長くさらされ続けると「ELID」という奇病を発症し、やがては死に至る。
前述の通り遺跡内部で保管されていたが、2030年に中国・北蘭島にて起こった大爆発事故「北蘭島事件」が原因で世界中に拡散してしまい、
その後も世界各地でコーラップスが拡散してしまうような事故が起こったため、多くの土地がコーラップスによって汚染された。
ちなみに、北蘭島事件が発生したのは、地元の中学生たちが北蘭島の遺跡に侵入したのが原因。
コーラップス汚染されたエリアは色によってその危険度が分けられており、
汚染度が薄いほうから順にホワイト>グリーン>イエロー>レッド>ダーク(ブラック)となっている。
人間が立ち入ってはいけないレッドエリア以降では、コーラップス放射線を吸収して育つ花「エピフィラム」が群生している。

  • 生骸
通常、「ELID」を発症すると狂いながら死ぬのだが、その中でも遺伝子変異が起こった個体は生骸へと変化してしまう。
こうなってしまうと、生き物の形を保っていようがその存在はゾンビのようなものであり、どうにもならない。
『ドルフロ』では「ELID」と呼ばれ、病気の方とはあまり区別されていなかったが、本作や『ドルフロ2』では「生骸」と呼ばれるようになった。
リメイク元の『パン屋少女』に登場した生骸は、人間の頭部の造形を残したかなりグロテスクな見た目だったが、
本作では『ドルフロ』に準じたゾンビやミュータントに近い造形となっており、グロさは抑えられている。

  • 完全免疫体
コーラップス放射線に適応し、その悪影響を受けない存在のこと。
かつて確認された完全免疫体たちは、コーラップス汚染下では正常だが汚染が薄いエリアでは逆に弱ってしまうという、普通の人間とは逆の様子を見せていた。
本作で登場する完全免疫体は、いずれもそれをクリアしている。
なお、世界で初めて完全免疫体が発見されたのは愛知県。

  • 三女神計画
遺跡内部で発見された謎の生物の死体「GAVIRUL」から採集された遺伝子を使って、
遺跡の生体認証をクリアするための「鍵」を生み出すためのプロジェクト。
南連とロ連がベルリンで行う共同研究だったが、研究の中心人物たちが対立し、その後両国の関係も悪化したことで中断している。
成果物である三体の完全免疫体のうち、G-214「ノエル」はロ連が、G-264「ルニシア」は南連が確保している。
この計画以前にも完全免疫体を生み出す計画は幾度も行われており、古いものでは1990年代の「黒百合と白薔薇」まで遡ることができる。

  • シュライク細胞
遺跡技術による生物兵器。
高度な擬態能力、非常に高い再生力と分裂能力を持つ、厄介な存在。
ロ連ではシュライク細胞による大規模な事故も起こったことがあるため、南連、ロ連のどちらからも危険視されている。

  • ()コーラップス
遺跡技術の研究によって実用化された、既知の物理学を根底から覆す技術。
端的に言えば「ワープ」であり、劇中で最も多用されるのは、偵察機やタレットをワープさせて遠隔地に配置する使い方。
現象そのものは以前から観測されてたものの、人間の手で使えるようになったのは研究の賜物である。
南連は長年にわたって遺跡研究を続けていたため、逆コーラップス技術ではロ連よりも優れているが、
それに対抗するためにロ連も遺跡研究を加速させて巻き返しを図ろうとしている。

  • 人形
本作やドルフロシリーズの世界観において一般普及しているアンドロイドの総称。
2045~51年の第三次世界大戦が終わった後の人手不足の中で急速に普及し、今や人の暮らしには欠かせない存在となっている。
ただ、本作の舞台となる北コーカサス地方は僻地であるためか、人形はほとんど居ない。
メタ的にはリメイク元に人形が居なかったためと思われる。

  • 戦術人形
銃器などを扱えるように作られた、あるいは改造された人形のこと。
戦術人形にはスティグマと呼ばれる特定の武器との結びつきが与えられており、その武器に関してのプロフェッショナルである。



登場人物


  • モンド
主人公。南連の諜報機関「MID」のエージェントである栗毛の青年。22歳。
自他ともに認める若造であり、保護対象である「パン屋」ことジェフティにむしろ引っ張られながら共にロ連と戦う。
幼いころに離れてしまった両親には思うところがあり、複雑な思いを抱いている。
料理に結構こだわるタイプで、準備フェイズの小休止では食べ物についてよく語る。ジェフティもちょっと引くくらいの熱弁っぷり。
+ ネタバレ
両親は「三女神計画」に関与しており、モンドの幼少期に離れてしまったのもこれが原因。
そんな両親によって、幼いころに肉体改造を受けたため(ジェフティほどではないが)肉体の回復力が高く、
出血するような傷でも気が付かないうちに治ってしまう。

ユニットとしてはタレット狂いであり、覚醒スキルは破壊されたタレット全復活+タレット全快全強化という、中々ピーキーなもの。
その他のスキルもどちらかと言えば防御寄りで、攻撃的なスキルはあまり多くない。なんなら全プレイアブルキャラで唯一のステルス向きスキルも持っている。
モンド単体の攻撃力は後半までお預け。

  • ジェフティ
もう一人の主人公。ロ連から逃げている銀髪の少女。14歳?。
逃げる途中にロ連に捕まった妹のリゲルを助けるため、モンドと共にロ連との戦いに挑む。
年の割に大人びており、銃火器の扱いにも精通している。
「三女神計画」によって生み出された完全免疫体の1体であり、軽い傷ならすぐに完治してしまうほどの再生力を持つ。
+ ネタバレ
ジェフティが死亡すると、別の世界のジェフティに死亡したジェフティの記憶が流れ込むようになっているため、
これを活かしてリゲル救出のための様々な選択肢を試しているが、未だ解法を見つけられずにいる。

モンドの実の両親であるマーティン夫妻とは研究所で親密に接していたため、彼女にとっての親でもある。

こちらは素直なスナイパータイプ。
射程と攻撃力と破甲に優れており、ジェフティが使える戦役ではメインアタッカーを務めることになるだろう。
その分、モンドをはじめとした他のユニットより柔らかいので、位置取りには気を付けたい。


南極連邦(南連)


  • アテナ
南連軍精鋭部隊「TASA」に所属する電子戦のスペシャリスト。
軍人として冷静な判断を心掛けているが、ロ連との戦いで軍人だった妹を失っているため、姉として妹を助けようとするジェフティの言葉を無視できない。
性能は分かりやすいタンク役。アイテムの扱いも上手いため、運用はわかりやすいだろう。
攻撃力も低くはないのだが、どうにも射程が短い。一応補う手段もあるが。

  • ジェヴァン
「TASA」所属の撤退支援部隊のリーダー。
モンドにとっては上官だが、モンドやジェフティにも気さくに接する。
運によって発動するスキルの追加効果や、デメリットがあるスキルを生かして戦うギャンブラー系アタッカー。
ハマれば怒涛の連続攻撃でボスも仕留めきれる。

  • カール
モンドが所属するフォックス小隊の隊長。
ロ連の襲撃で死亡したかに思われたが、何とか逃げ延びてロ連への反攻作戦を計画していた。
老いた隊長という設定を反映してか、攻撃よりもサポートに重きを置いた性能。
クールタイムの長さ以外はどのスキルも一級品。

  • ケンプフェ
南連軍大佐にして「TASA」の司令官。
モンドの義父であり、南連でのジェフティの保護を受け入れたのも彼である。

  • フィリップ&ヘレナ
モンドの実の両親であるマーティン夫妻。いずれも科学者であり、職場結婚している。
モンドが幼いころに研究のため南連を離れており、モンドを友人のケンプフェに預けた(その後も会ってはいる)。
6年前に夫妻の滞在していたキャンベラ付近で紛争が起こり、それ以来連絡が取れていないため、モンドも両親は死んだものだと思っている。


ロクサット主義合衆国連盟(ロ連)


  • ウィリアム
本作、そして『ドルフロ』における元凶。非常に高い技術力と最低な人間性を持つ科学者。
かつてはパラデウスという宗教組織を率いて、遺跡技術の研究や実験をしながらドイツを中心に大混乱を巻き起こしていた。
現在も、遺跡の起動を目標として実験や謀略を続けている。
『ドルフロ』の胡蝶事件、新ソ連正規軍の反乱、パラデウス絡みの諸々はウィリアムのせいだし、
『ドルフロ2』のヘレナにまつわる事件にも十中八九関わっていると思われる。
『ドルフロ2』では指揮官がウィリアムは死んだと思い込んでおり、またワルシャワ事件でも死亡したと見られていたが、御覧の通り生きている模様。
『パン屋少女』では白髪の老人だったが、本作では『ドルフロ』で再設定されたデザインを基にした、金髪メガネで描かれている。

  • 母体
「三女神計画」で生み出された完全免疫体の「ノエル」がシュライク細胞に飲み込まれた存在。
ウィリアムによって制御されているため、彼の尖兵でありボディガードでもある。
イメージとは裏腹に複数の母体が存在する模様。

  • シュライク分裂素体
母体から分裂した意思のない分身。ノエルの姿を模している。
全てのシュライクの視界、行動はの母体と繋がっており、母体にとっては偵察兵のようなものだが充分強い。

  • リゲル
ジェフティと共に逃げる完全免疫体。
しかし逃げる途中でロ連に回収されてしまい、ジェフティはリゲルを助けるために戦い続けることになる。
元々はシュライク分裂素体の一体だったが、どういうわけか自我に目覚めたため、
研究所ではジェフティやマーティン夫妻が面倒を見ていた。
専用の遮断装置を付けていないと母体に乗っ取られ、リゲルの意識が消えてしまうため、救出も一筋縄ではいかない。
普段は少し幼めの喋り方だが、母体に乗っ取られると戦闘マシーンになったり、蠱惑的になったりと中の人の変化が激しく、見た目もシュライクなのでよく変わる。

  • ヤポネンシス
南連と内通しているロ連軍人。
南連とは長い付き合いで、報酬さえしっかり払っていれば確かな情報をよこしてくれる。

  • ベリヤ
北コーカサス地方のロ連軍基地の司令官。恰幅のいい軍人。
副官のキリルと共に、後からやってきたウェアウルフ隊が仕切っていることに怒りを募らせている。

  • オレグ
ロ連中央政府によって送り込まれた「ウェアウルフ隊」の強面な第三分隊隊長。
「石橋を叩きすぎる」と言われるほど慎重な性格で、作戦には常に万全以上の備えで臨む。
ゲーム上ではとにかくタフなボス。ただ固いだけならともかく、反撃によってこちらの体力も削ってくるので厄介極まりない。
攻撃力か射程を削ぐ、射程外から撃つなどすれば楽になる。

  • シュガー
常に人を小馬鹿にしている「ウェアウルフ隊」第三分隊副隊長。
自由自在に操る尻尾には強烈な毒が仕込まれており、普通の人間ならひとたまりもない。
赤と青の分身をターンごとに生み出し、青分身がある間はシュガー本体がカチカチになるので、分身から処理していこう。
そもそもシュガーと正面からぶつかる戦役はあまり多くないが。

+ ロ連のモブ敵たち
  • 偵察兵
灰色の帽子とゴーグルが特徴。
ステータスは高くないが、反潜視野の広さがステルスミッションで大活躍してくれやがる。
上位種の精鋭偵察兵は各ターン一度、最初の通常攻撃を必ず回避するという厄介な特性持ち。
適当なタレットなどで一回無駄に回避させてからじゃないと攻撃を当てられないが、手榴弾などのダメージ系アイテムなら普通に当てられる。

  • 突撃兵
青黒い帽子とゴーグルが特徴。
偵察兵よりも攻撃力や耐久こそ高いが、たいていは遠くから打ち抜かれる。
上位種の精鋭突撃兵も似たようなものだが、体力が半分以上だと必ずクリティカルを発生させる特性があるため、
うっかり見落とすと危険。

  • 狙撃兵
白いカモスーツが特徴。
シンプルに射程と攻撃力で殴ってくるタイプ。
たいていはジェフティで撃ち返せるが、高台など場所によっては少し難しいことも。
上位種の精鋭狙撃兵は純粋な強化版だが、撃った後に移動するので少し追いづらい。

  • 衛生兵
白い三角頭が特徴。
名前の通り味方を回復できる。通常攻撃もできるので、衛生兵だからと舐めてはいけない。
黒くなった精鋭衛生兵は、範囲内にいる体力が減った味方を片っ端から回復させるため、
さっさと排除しないと面倒なことこの上ない。

  • 将校
四角い帽子が特徴。
単体の性能が凄いわけではないが、周囲の味方に回避バフを与えるのが中々に無法なので、
こちらも衛生兵と同様に優先ターゲットとなる。

  • 重装兵
いかにもないかつい見た目が特徴。
ガトリングによって連続ダメージを与えてくるため危険だが、足も遅いので遠距離から処理してしまおう。
ただ、装甲持ちなのでジェフティじゃないと有効打になりづらい。
また、見た目から勘違いしそうだが人間ユニットなので、機械ユニット用の対策では×。

  • スヴァローグ
ロ連軍でよく使われているホバータンク。
視野が非常に広く、一部のステージを除いてスヴァローグから隠れることはまずできない。
射程内に入ってしまうと、レーザー砲で一気にやられてしまうのでとにかく射程内に入らないのが重要。
また、装甲持ちであるのに加えて、力場*2によってダメージを大幅カットしてくるので、倒すには力場を壊せるロケランが必須。
幸い、スヴァローグが出てくるマップではちゃんとロケランを拾えるようになっている。

なお、名前が『ドルフロ』や『ニューラルクラウド』に登場していた「スヴァローグ重工」と被っているが、
どちらもスラブ神話を由来としている名前なので、特に関係はない……はず。
スヴァローグ重工が作っていてもおかしくない類の兵器ではあるけど。

  • AA-03
対生骸用機甲"アサルトアーテラリー"の一種。
見た目通り高い耐久力を持つが、攻撃力は見た目ほどでもない。
装甲持ちなのでジェフティ以外だと少し苦労するだろう。後半になると装甲を抜く手段もいっぱいあるが。
『ドルフロ』で新ソ連正規軍のエゴールが使っていた超新星メカことAA-02アレスはこれの前世代機と思われる。

  • 特殊兵-ドクロ
ウェアウルフ隊の隊員。名前の通りドクロのようなヘルメットが特徴。
ステータスの高さもさることながら、ステルスによっていつの間にか近づいてきているため、
こいつらが出てくる戦場では偵察機が欠かせない。
さらに反撃能力も持っているため、なるべく遠距離から処理したい。

  • 特殊兵-疾風
ドクロと同じウェアウルフ隊の隊員。ドクロとは逆にこちらはのっぺらぼう。
回避に優れており、ドクロと同じくステルス機能も持っているため対処も基本的にはドクロと同じ。




GRF 国際救援機関(Global Rescue Foundation)


2075年に軍事スキルを持つ有志によって設立された国際NPO。
イエローエリアをさまよう難民たちを保護し、グリーンエリアや適切な医療施設へと送り届けるその取り組みは、
ロ連から高く評価されているため、ロ連の勢力下でもある程度の裁量を持って活動できる。
一方、南連はGRFに対して多額の援助を行っており、その見返りとしてGRFに紛れてロ連勢力下での活動が可能となっている。
主な活動エリアが汚染エリアなので、実働部隊は戦術人形たちによって構成されている。

  • ベティ(IDW)
  • アビゲイル(M500)
  • ルビー(P2000)
  • バルメット(FI M82)
北コーカサス地方で難民移送を担っている人形たち。
いずれも、かつて民間軍事会社グリフィンに籍を置いていた戦術人形である。
バルメットは『ドルフロ2』にて戦場を離れ図書館で働いていることが語られたが、どうやらその後復帰したようだ。


パン屋少女2092R


特定の条件と手順を満たすことでプレイできるようになる『パン屋少女』の直接リメイク。
『パン屋作戦』が大幅なストーリーや設定の変更を加えられているのに対し、こちらはほぼオリジナルのまま純粋なリメイク。あるいはリマスター版と言うべきか。
なのでちょっとシャレにならないワードも飛び出てきたりする。
システムも『作戦』をベースにしつつ、当時のものへと極力近づけられている。
『作戦』に比べて全体的にあっさり目でややチープだったり、難易度が同人ゲー特有の大味なものだったりするものの、
初となる『少女』の公式翻訳版なので、ある種のレガシーとして楽しむのが良いだろう。
プレイする前に「現行設定と食い違っている部分もあるけど、新しい設定の方が正しい」と注意書きが出るように、こちらで得られる情報には古い情報もあるので注意。

敵グラフィックは『作戦』のものを流用しているが、メインキャラクターのグラフィックや背景、マップは原作を意識した専用のものが用意されていたりと手の込んだ仕様。
BGMは原作から流用されており、中にはドルフロプレイヤーにとって聴きなじみがありすぎるあの曲たちも。

「コレクション」の過去作要素


+ ネタバレ注意
名前 解説 備考
厚手のコート グリフィンの指揮官の制服 /
箱いっぱいの戦利品 『ドルフロ』の前線基地での収集アイテム
輝くコイン 『ドルフロ』でガチャを回すときのアイテム
精巧なかつら 『ドルフロ』のM4A1の髪型にAR小隊メンバー5人のメッシュが入ったもの
貴重なゲームカートリッジ 『ドルフロ』のIDW(ベティ)のMOD3専用装備 ベティの初期配置のすぐそばにある
兵士の胸章 『ドルフロ』の新ソ連正規軍のもの 正規軍も使っていた機甲兵器の残骸のそばにある
黄色の腕章 『ドルフロ』でUMP45と9が付けていたもの /
赤のラベル 『ドルフロ』で廃棄された異性体に付いていたもの
どくろの
フラットキャップ
『ニューラルクラウド』のアントニーナが被ってる帽子 /
コーラップス結晶 劇中アイテムとしては一般的なものだが、『ドルフロ2』での"石"でもある
壊れた遮断装置 『ドルフロ』でニモゲン、マーキュラスが付けていたもの 大きなゲートのそばで拾える
赤い手袋 『ドルフロ』に登場したマザー・リューバのもの 拾えるのは脱線した電車のマス
小さなメモ帳 表紙に『ニューラルクラウド』の「追放者」のマークが描かれている 邦訳の説明文では「亡命者」とされているが
誤訳と思われる*3
小さな恐竜の
バックパック
『ドルフロ2』のヴェプリーが背負っているもの 名前は「ピザ君」
防毒マスク 『ドルフロ』のAK-12が装備していたもの /
閃光地雷 『パン屋少女』に存在したアイテム 『2092R』にも存在する
さびた刀 『ニューラルクラウド』のソルが持っている2本の剣のうち短い方 剣の名前は「アルスヴィド」と「アールヴァクル」で、その後者
ロボットの漫画本 『ニューラルクラウド』のクロックが愛するアニメ「武装機兵」の書籍 説明文からしてクロックの持ち物だった可能性?
不思議なネックレス 『ドルフロ2』でヘレナが収まっていた箱の旧デザインを象ったもの? 最初期のトレーラーで旧デザインを確認できる
ぼろぼろの白衣 『グリッチランド』においてイサドラが着ていた白衣…らしい 『グリッチランド』はドルフロシリーズの開発中止タイトル。
イサドラとは『ドルフロ』のサンダーの同作での名前…らしい
異色のヒガンバナ 『ドルフロ』の鉄血に所属していたリコリス博士をイメージしている? ヒガンバナの学名が「リコリス」
花弁が白と赤なのは白衣+鉄血のイメージカラー?
白いフェイスマスク 『ドルフロ』でネイトたちが儀式の際に付けていたもの /
青い蝶 シリーズ通して「ルニシア」の象徴とされているもの
白いコーヒーカップ ドルフロシリーズに登場する「ペルシカ」が愛用しているもの*4 カップには「42lab」と書かれている
切断されたケーブル 鉄血工造のマークがプリントされたテープで束ねられている太いケーブル ジュピターの残骸のそばで拾える
精巧なカフスボタン 『ドルフロ』に登場したシュタージのもの ボタンには「U」と象られている
ラフベリーチェス 『ドルフロ』内のミニゲーム /
戦場ジャーナリストのカメラ 『パン屋少女(2009)』*5におけるモンドのカメラと写真*6 写真に映っているのは『パン屋少女(2009)』のビジュアル
エピフィラムの容器 『ドルフロ2』にてパラデウスの信徒が掲げていたもの /
壊れたドッグタグ 『ドルフロ2』のイベント
「遠日点・下」(メイン10章)
本作が発売された時点では謎のアイテムだった
知育玩具 『ドルフロ』の重装部隊のチップ 後に知育要素は廃止された
戦車の模型 『パン屋少女』における戦車 『少女』ではホバータンクではなく、
リアル戦車の延長線上だった
旧式の
ボルトアクションライフル
『パン屋少女(2009)』におけるジェフティのモシン・ナガン /
取材許可証 『ドルフロ』で登場したシャドレスのもの キャラデザが本編のシャドレスとは異なる
コーラップスボム 『ドルフロ』でM4A1が使用したもの /
姉妹が一緒に映った写真 『ドルフロ』のUMP45&40と、
顔が判別不能なもう一人が映っている
判別不能なもう一人もUMP40に似ている
ICレコーダー 『パン屋少女(2009)』におけるモンドのICレコーダー /
折れた矢 『ニューラルクラウド』のシーモが使うクロスボウの矢
ゴリアテの残骸 『ドルフロ(2)』に登場した自走爆弾
トラ猫のぬいぐるみ 『ドルフロ』のカリーナがモチーフ
チーム記念品の
トレーディングフィギュア
『ドルフロ』の人形たちのフィギュア ラインナップはイベント「静止点」で登場した人形たち
特典チェス 『パン屋少女』が発売された当時の予約特典 2092Rではデジタル版が遊べる




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最終更新:2025年04月19日 19:29

*1 リメイク前ではプロデューサー、ディレクター、アートディレクター、脚本、アニメーション、UI、アイコン、パッケージデザイン、EDの一部作詞を担当していた

*2 翻訳のせいで少しわかりづらいが、実態としてはドルフロのパラデウスが使っていた偏向障壁のようなもの

*3 ドルフロ要素を抜きにすれば間違った訳ではない

*4 どちらの「ペルシカ」なのかは不明

*5 SLGの『パン屋少女』の前に作られたビジュアルノベル

*6 この作品ではモンドが従軍記者、ジェフティがパン屋として登場する