毒ヘビ

登録日:2020/06/22 Mon 19:04:51
更新日:2024/04/25 Thu 11:38:02
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毒ヘビとは、を持ったヘビの通称である。


…さて皆様は「毒ヘビ」と聞いてどんな姿を思い浮かべただろうか?
日本人にとって最も身近なマムシ?
沖縄の危険生物ハブ?
それとも威圧感バツグンのキングコブラ?
物知りな方は世界最「恐」と呼ばれるブラックマンバなんかも出てくるかもしれない。
なんにせよ、好印象を抱いている人はあまりいないであろう。

しかし、「怖い」というイメージが先行し過ぎて、相手を知ることを疎かにしてはいないだろうか?
確かに、都会で暮らしていれば、これらの毒ヘビ達と遭遇する機会はめったにないだろう。
だが、「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」というように、万が一被害にあった場合、適切な対処をするためには正しい知識が必要なのだ。

本項目では、毒ヘビの大まかな種類とその生態、そして対処法を説明する。
アニヲタ達が毒ヘビの被害にあった際に人命を救う一助となれば幸いである。

●目次

LD50について

LD50(半数致死量)とは、毒の強さを表す指標の一つである。
毒物の強さの指標として頻繁に使われる値であり、本項目でも参照するので解説する。

この値は、調べたい毒を投与した実験動物の半数が死亡する量を「致死量」とし、それを動物の体重1kg当たりに換算したものである。単位は(mg/kg)。
よって、体重60kgの方であればこの数値を60倍すれば自身の致死量が算出できる。
この数値が小さい毒物は「少量でも死に至らしめる猛毒」ということになる。
毒物及び劇物取締法における規定でもLD50が採用されており、LD50=50mg/kg以下程度は「毒物」、LD50=300mg/kg以下程度は「劇物」と定められている。

ただし、この値はあくまで目安として使うべきものであり、厳密ではない。
なぜならば、毒物というものは対象となる生物によって効果の現れ方が大きく異なるものがほとんど。人間が普通に食べられる玉ねぎが犬にとっては猛毒であったりする。
同じ生物でも毒の摂取のさせ方によっても変動することもあり、血管に入れば猛毒として振舞うが、口から摂取するとまるで害がないような毒も存在する。
なので、資料によって値が多少前後するのはご了承願いたい。
以下、特に記述しない限りはマウスに静脈注射したときの値である。

毒について

ヘビ毒には主に以下の種類が存在する。

神経毒

動物の神経伝達を阻害・撹乱する。
これにより筋肉が正常に動かせなくなり、最終的に横隔膜が麻痺すると呼吸できなくなりに至る。

この毒の非常に恐ろしいところは、注入されても痛みが少ないこと
よって被害者の危機意識が小さく、症状が出始めたころにはもう手遅れ……という事例が多い。
一方できちんとした治療が迅速に受けられれば、後遺症もなく回復するという特徴もある。

出血毒

生体組織を破壊する。
まず、血中の凝固因子を強制的に活性化させることで血液を凝固させる。
これにより凝固因子が大量に消費されるため、それ以降の出血を止めにくくなる。
その後、血管や臓器、筋肉を破壊する酵素により、咬まれた部位から組織の出血・壊死が進行する。
最終的に血圧降下、体内出血、多臓器不全を引き起こして死亡する。

神経毒とは違い、咬まれた直後から激痛がある
これは毒に含まれるタンパク質分解酵素により血管や筋肉が破壊されているためである。
罹患率が高く、毒の周りも神経毒に比べて遅いため、死亡率は低い。
しかし、命は助かったとしても、臓器に重篤な後遺症が残ったり、四肢の切断を余儀なくされたりすることが多い。

さらに、血液凝固を促進・阻害する毒は「溶血毒」、細胞を破壊する毒は「細胞毒」として区別される。

分類

ヘビとは、分類学的に言うと、動物界 脊索動物門 脊椎動物亜門 爬虫綱 有鱗目 ヘビ亜目に属する動物の総称である。
このうち、毒を持つのは以下の通り。
コブラ科 全種
クサリヘビ科
ナミヘビ科 一部
イエヘビ科
ユウダ科
マイマイヘビ科
なお全世界に毒ヘビは800~900種いると言われている。

コブラ科

かの有名なキングコブラが属する毒ヘビの二大勢力の一つ。
主な毒は神経毒だが、出血毒との混合毒であることも多い。

大まかにコブラ亜科とウミヘビ亜科に分かれる。
…そう、実はウミヘビは全てコブラ科に属する猛毒ヘビなのである*1
ただし、ウミヘビ亜科に属するヘビでも陸棲のものと水棲のものがいる。

コブラと言えば、首を持ち上げてフードを開き、敵を威嚇する「コブラポーズ」が有名だが、全ての種がこのポーズをするわけではない
また、コブラポーズをする種も普段は首を寝かせてフードをしまっているため、図鑑などで威嚇時の見た目に見慣れていると、実物を見た際にずいぶんと違う印象を受ける。
明確なルールはないが、コブラポーズをする種は和名に「~コブラ」と付く傾向がある。
このポーズは攻撃する一歩手前の印なので、出くわしたらマッハで逃げるべし。クマやハチみたいに逃げる人間を追いかけてきたりはしない。
…ただし、マンバの仲間は凶暴なのでしつこく追ってきたりすることもある。ヤベェ。

大きさはキングコブラやブラックマンバのような4,5メートルに達する超大型のものから、サンゴヘビのように1メートルに満たないものまで様々。
分布域は世界中だが、特にアフリカ大陸とオーストラリア大陸に多い。

また、「頭が三角形のヘビは毒ヘビ」といわれることがあるが、これは後述するクサリヘビ科に該当する特徴であり、コブラ科には当てはまらないので注意。

毒牙が顎の前側にあるので、「前牙類」と呼ばれる。

クサリヘビ科

日本が誇る(?)毒ヘビである二ホンマムシ、ハブが属する毒ヘビの二大勢力の一つ。
名前の由来は円形の模様が連なった「鎖」のような模様を持つものが多いため。断じて「腐りヘビ」ではない
主な毒は出血毒だが、一部の種は神経毒との併用。
全長は100㎝前後の小型~中型種が多いが、中には2、3mに達する大型種もいる。

おおまかにピット器官をもつマムシ亜科ともたないクサリヘビ亜科に分けられる。
ピット器官とは獲物が発する体温(つまり赤外線)を感じ取ることができる器官であり、これを持つヘビは視界の効かない夜間でも効率よく獲物を捕食することができる。
マムシ亜科に属するヘビとニシキヘビの仲間の一部が持つ。
マムシの場合は眼と鼻の穴の間に左右一対あり、主な獲物であるネズミ類の体温をあたかも「見る」ように感じ取ることができる。
これを応用して生まれたものがサーモグラフィーである。

また、クサリヘビ科のヘビは毒を注入する毒牙を折り畳むことができる。
そのため、普通であれば絶対に口を閉じることができないような長大な牙を持っている。
例として、ハブの毒牙は2~3cm、最長とされるガボンアダーは5cmにも達する。
コブラ科のヘビは牙を折り畳めないため、全長5mにもなるキングコブラでも毒牙の長さは5mmほど。最も牙の長いコブラでも1cm前後くらい。
長大な毒牙を持つということは、それだけ毒を「深く」「確実に」打ち込めるということでもある。
毒牙は完全な管状になっており、「管牙類」と呼ばれる。

これらの特徴から、毒ヘビとしては最も進化したグループと言える。

ナミヘビ科

前述のコブラ科やクサリヘビ科、原始的なメクラヘビ科やボア科を除くほとんどのヘビが含まれるとても大きなグループ。
アオダイショウやシマヘビなどの日本で一般的な無毒ヘビもココに入る。
しかし、一部の種はデュベルノワ腺と呼ばれる毒液を作る特殊な唾液腺を持つ。

咬まれても問題にならないような弱毒種が多いが、中には人を死に至らしめるヤバイ毒を持つものもいる。
コブラ科やクサリヘビ科と違って毒牙が顎の後方にあるため、「後牙類」と呼ばれる。

その他(イエヘビ科、ユウダ科、マイマイヘビ科)

あまり大きなグループではない毒ヘビの種類。
このうちイエヘビ科とマイマイヘビ科は日本には生息しておらず、出くわす心配はない。
イエヘビ科のモールバイパーは、毒牙以外の歯は退化しており、口を開けることなく牙だけを唇から出して獲物に突き刺す。

ユウダ科は、以前はナミヘビ科に入れられていたが、最近は独立した科とすることが多いようだ。
日本のガマガエルハンター・ヤマカガシはここに入る。

もし咬まれてしまったら?

やや下火になった感もあるが、登山やハイキングが流行ったこともあって山に入る人の数も以前に比べて多くなった。
それはつまり、毒ヘビの被害にあう確率も増加しているということでもある。
とはいえ、基本的に遭遇しただけで噛まれるという心配はない。こちらから不用意に刺激をしなければ、毒ヘビのほうから逃げてくれる。
しかし、仮にヘビがいることに気づかず誤って踏んでしまおうものなら、彼らは自らの身を守るため、その毒牙を人間に向けてくる。
ここでは万が一、毒ヘビの咬傷被害にあってしまった場合に「やっておくべきこと」「してはならないこと」を列挙する。

やっておくべきこと

  • ヘビの写真を撮影する。
病院で治療を受ける際に重要
ヘビ毒に対する特効薬である抗毒素血清は、毒ヘビの種類によって決まっているため、「何の種に咬まれたのか」が分からないと打つ判断が難しくなる。
もし血清を間違えると深刻な障害を起こし、ヘビ毒による症状より苦しむ恐れも……。
写真撮影できない場合でも、特徴は記憶しておきたい。
運良くヘビが踏み潰されたりして死んでいるなら、死体を持って行ければ理想的。
ただし未だ生きていて最後っ屁攻撃を食らう可能性もあるので、よっぽど明らかに死んでいるのでなければ写真で妥協した方が良い。

  • アクセサリーや腕時計を外す。
出血毒は腫れを生じさせるため、これらを身に着けたままだと外せなくなる恐れがある。
最悪、引っ張られた皮膚が裂けることも。
同様の理由により、足を咬まれた場合は靴を脱ぐこと。

  • 落ち着く。
一番重要なこと
冷静さを保たなくては、的確な判断を下せなくなってしまう。
また、焦って拍動が早くなると毒の回りが早くなる。
ただし、病院に行く際は急いでも早く向かった方がいい。

  • 咬まれた部分を洗浄する。
患部の組織は毒の影響により免疫力が低下しているため、細菌に感染しやすくなっている。
ヘビ毒からは助かっても、感染症や敗血症性ショックにより命を落としては元も子もない。

  • 病院に着いたら、何のヘビにどこを咬まれて、どのくらい時間が経過したのかを正確に伝える。
治療に必要。
咬まれてから長時間経過した場合は処置も変わってくるため、経過時間は重要な要素である。
もし本人が伝えるのは難しいようなら、付き添いの人が伝えられるようにしておくこと。

  • 患部を丸ごと切断する。もしくはバーナーで焼く。
最終手段中の最終手段。
アマガサヘビやマンバなどの強力な毒を大量に注入してくる種は、咬まれてから30分以内に死亡することも珍しくない
そういった種に咬まれた場合に、毒を患部ごと排除したり、焼いて不活性化させたりすることで命だけは持たせるという方法。
実際にこの方法を試して生き残った研究者の事例は存在する。
しかし、変に素人が真似すると、痛みによるショックや感染症の危険性が増すだけ。
というか日本に生息するマムシやハブの場合、この方法は明らかにデメリットの方が大きい。
素人は絶対に真似しないように。いいね?

してはならないこと

  • ヘビを捕まえようとしない。
多分やる人はいないと思うが(いないよね?)、何度も咬まれる危険があるためやってはいけない。
あからさまな自殺行為である。

  • 患部を強く縛らない。
「毒ヘビに咬まれたら、患部と心臓の間を縛って毒の回りを遅くする」という方法がよく知られているが、縛る場合は紐などではなく帯など幅のあるもので、ほんの少し皮膚に食い込むぐらいの軽い力加減でやること。
強く縛り過ぎると、組織に酸素が行き渡らなくなって壊死を早めることになる。
また、どんなに緩く縛るとしても10分に一回はほどいて血を流すこと。
…正直、被害者を安心させる「気休め」としての役割が大きい。

  • 傷口を切らない。
前述のとおり感染症の恐れがあるうえ、切っても毒液はほとんど排出されない。

  • 口で毒を吸い出そうとしない。
経口摂取ならセーフな毒があるためによく言われるが、これもあまり効果がない。
それどころか、毒が口内の傷口から侵入してしまった場合、に近いためもっと酷いことになる恐れもある。

  • 氷で冷やし過ぎない。
痛みを和らげるのには有効かもしれないが、冷やしても腫れは引かない。
むしろ組織の壊死を進めるともいわれている。

  • アルコールやカフェインを摂取しない
血行を良くして毒の回りを早める可能性があることに加え、これらを含む飲料は毒に対する体の抵抗力を下げる可能性もある。
要するに「薬を飲んだら酒を飲んではいけない」と同じ理屈。

日本の毒ヘビ

日本で出くわす可能性のある毒ヘビについてざっくりと解説。

二ホンマムシ

分類:クサリヘビ科マムシ亜科マムシ属
学名:Gloydius blomhoffii
分布:日本全土(北方領土から大隅諸島まで)
毒性:出血毒(LD50=1.32~1.7mg/kg)

日本全土に分布し、多くの日本人にとって一番遭遇率の高いであろう毒ヘビ。単純に「マムシ」と呼ばれることも多い。
全長は60~80㎝といったところ。意外に小さい。
しかし、のように縦に切れた瞳孔*2と三角形の頭部は、毒ヘビ特有の威圧感がある。
薄茶色の地にこげ茶色の円い模様があり、さらにその中央に黒い点がある「銭形紋」という独特な文様がある。

出血毒であるため、咬まれた直後から激痛があり、組織の壊死を生じる。
毒の強さ自体は非常に強いものの*3、小柄な体格故に注入量がかなり少ないため、死亡に至ることはまれ。ただし、体の小さい幼児は危険。
人によっては患部近くが腫れる程度で済むこともあるが、重症化すると組織の切除が必要になる場合もある。
死亡例での死因は、血液凝固障害により生じた血栓で起きた多臓器不全が多い。

幸い毒の回りはかなり遅いので、病院に行って適切な治療を受ければ死ぬことはほぼ無い。
とは言え、毎年1000人程度が咬まれ、そのうち10人程は死亡しているので、油断は禁物。
ちなみに長崎県対馬には「ツシママムシ」という亜種がいる。

ヤマカガシ

分類:ユウダ科ヤマカガシ属
学名:Rabdophis tigrinus
分布:本州、四国、九州、五島列島、屋久島、種子島
毒性:溶血毒(LD50=0.27mg/kg)

北海道を除く日本の各地域に分布する。
ほんの数十年前までは主食のヒキガエルが全国に多くいたため、日本最多の個体数を誇ると言われていたが、休耕田の増加により減少傾向にある。
毒は血液凝固作用を強力に促進する性質を持ち、血管に血栓を作り、最悪の場合、脳出血や内蔵出血を起こし死亡する。

毒を持っていること自体は古くから知られていたのだが、ヤマカガシの毒牙が顎の後ろの方にあり毒も根元から出るので、実際に咬まれても毒が入る確率は極めて低く、ヤマカガシがおとなしい性質なのもあり咬傷被害がほとんどなく、詳細な毒性の研究がなされていなかったために、それほど危険視されていなかった。
近代に入ってからの一時期は迷信扱いされていたとも。
しかし1985年に14歳の少年がヤマカガシに咬まれて死亡する事故が発生してから、人を死に至らしめる強毒を持つことが判明し、研究が進められた。
現在は抗毒素血清が作られているので、死に至ることはそうそうないと思われる。
だがその被害の少なさやヤマカガシの野生個体数の減少が災いして、血清の供給が年々縮小しているという意外な問題が発生している。
つまり将来的には「ヤマカガシに噛まれてすぐに入院しても一向に血清が届かない」という事態になりかねないのだ。やはり噛まれないに越したことはないだろう。

ヤマカガシの主食はカエルで、特にヒキガエルを好むことが分かっている。
ヒキガエルの仲間は、ブフォトキシンというそこそこ強い毒を持っているので、他種のヘビは見向きもしないのだが、何故かヤマカガシだけは平気で捕食する。
さらに、捕食したヒキガエルの毒を、首筋にある頸腺と呼ばれる器官にため込み、自衛用に再利用するという器用なこともしている。

ヤマカガシの首筋の皮膚は非常にもろく、少し強めに押さえると皮膚が破れて頸腺が露出し蓄えたヒキガエル毒が飛び散る。
人間に限らずヘビを餌とする野生動物は、最初に首を押さえにいくことが多いのだが、この毒はそうした行動に対抗するために進化させたと考えられている。
「攻撃用の毒と防御用の毒を別々に持つ」「倒した相手の力を利用する」と中二病っぽいカッコよさを感じさせる毒ヘビである。

なお、毒牙の位置は「主食であるカエルを丸呑みしつつ毒を打ち込むのに便利」と考えられている……のだが、対カエルを想定しているにしては毒の威力が明らかにオーバースペック。
近縁の種はここまで強毒を持っていないので、なぜヤマカガシだけがここまで毒を強化したのか不明。
今後の研究に期待である。

ホンハブ

分類:クサリヘビ科マムシ亜科ハブ属
学名:Protobothrops flavoviridis
分布:沖縄諸島、奄美諸島
毒性:出血毒(LD50=2.5mg/kg)

南国の危険生物
全長100~180㎝と二ホンマムシに比べかなり大型になる。
毒性自体はマムシより弱いのだが、とにかく注入量が半端ないため、治療を施さなかった場合は48時間以内に9割方死ぬと言われている。
非常に攻撃的な性格であり、近寄っただけで噛みついてくる*4
攻撃の際の動作は非常に敏捷であり、現地では「ハブにうたれる」と表現するほど。木の上から襲われるケースもある。
だいたい全長の半分から3分の2くらいまでが射程圏内なので、2m以内に近づくのも危険。
民家にもネズミを求めて平気で入ってくる。
ハブ酒に漬けられたハブが未だ生きていて咬まれた例すらある生命力…などなど、危険要素のオンパレード。

かつては年間数百人単位で咬まれて在日米軍すらビビらせていたほど。
ただし抗毒素血清の普及や人々の危機意識向上に伴い、咬傷被害は年々減少傾向にあり、2005年以降の死亡例は確認されていない。

咬まれた時の症状はマムシとほぼ同じだが、こちらは毒量が多いため血圧低下、意識障害などの全身症状になることが多い。
また咬まれてから40分以内に抗毒素血清を打てば、ほぼ後遺症無しで完治する。

島に生息しているという性質上、島ごとに模様や体色などで個性が見られる。
沖縄本島の個体は「黄緑色の」を意味する学名の通り黄色がかった体色なのだが、黄色がさらに強い「金ハブ」、逆に黄色が抜けた「銀ハブ」、徳之島の個体に多い赤みの強い「赤ハブ」、全身黒色の「黒ハブ*5」など体色や模様のバリエーションが非常に豊富。
特に沖縄諸島のものと奄美諸島のものは遺伝的にかなり離れており、毒成分も違いが見られることから別種としてもいいのではないかという学者もいる。

トカラ列島には近縁の「トカラハブ」がいる。
こちらはホンハブに比べて全長60~100㎝とかなり小柄で、毒性も弱いことから死亡例は確認されていない。

なお、ホンハブに限らないが、暖かい地方に住むヘビは基本的に冬でも冬眠しない。
一年中被害にあう可能性があるため、決して油断しないように。

サキシマハブ

分類:クサリヘビ科マムシ亜科ハブ属
学名:Protobothorops elegans
分布:八重山諸島、沖縄本島(国内外来種)
毒性:出血毒(LD50=3.8mg/kg)

ホンハブに近い種だが、全長60~120㎝とやや小型で性格もおとなしめ。
本来は八重山諸島の固有種……だったのだが、沖縄本島において観光目的で飼育されていた個体が逃げ出して定着。国内外来種となってしまった。
この他、タイワンハブ*6も飼育個体が逃げ出して野生化し、沖縄本島はホンハブvsサキシマハブvsタイワンハブの三国志ばりの三つ巴状態に。
ホンハブとサキシマハブの分布域は本来重なっていなかったため、従来はどこの島で咬まれたかで自動的に種が同定できていたのだが、咬まれた場合に種類をよく確認しておく必要が出てきた。

移入個体のどちらもホンハブより危険度低めなのだが、厄介なのは交雑種が確認されていること。
血清は基本的にヘビ特有のものが必要であり*7、交雑種は従来の血清が通用するのかどうか分からず、もし咬まれると有効な治療が行えない可能性がある。
ホンハブとサキシマハブの血清は別々であり、交雑種にどちらが有効なのかは実際に打ってみないと分からない。

外来種問題は生態系の崩壊や農作物への被害など人間の生活に間接的に影響を及ぼすことがほとんどだが、直接的に人間にとって分かりやすい害となる例の一つである。

ヒメハブ

分類:クサリヘビ科マムシ亜科ヤマハブ属
学名:Ovophis okinavensis
分布:沖縄諸島、奄美諸島
毒性:出血毒(LD50=3.83mg/kg)

体長50~60㎝の小型のハブ。
ホンハブがほっそりとした体形なのに対し、ヒメハブはビール瓶かなにかのような異常に太短い体形が特徴。
その姿はまさに「リアルツチノコ」といっても過言ではない…というより、ツチノコの正体は何らかの原因で本土に流入してしまったヒメハブという説もあるほど。
LD50値を見ても分かるように毒は弱く、死亡例は一件のみ。それも毒そのものが原因ではなくアナフィラキシーショック*8が死因である。

ホンハブの好物がネズミ類なのに対し、ヒメハブはカエルを好む。
結構記憶力がいいのか、毎年同じ場所で同じ個体がカエルを求めて待っていることもあるのだとか。

卵生であるため卵を産むのだが、卵殻は異常に薄く、産卵されてから1~2日で孵化する。
ほとんどのヘビが卵を放っておくのに対し、ヒメハブは産んだ卵を孵化まで抱き続けるという母性愛に溢れる一面も。どうせすぐ孵るからかもしんないけど

ヒャン、ハイ、イワサキワモンベニヘビ

分類:コブラ科コブラ亜科ワモンベニヘビ属
学名:Sinomicrurus japonicus japonicus(ヒャン)、Sinomicrurus japonicus boettgeri(ハイ)、Sinomicrurus macclellandi iwasakii(イワサキワモンベニヘビ)
分布:徳之島を除く奄美諸島(ヒャン)、徳之島と沖縄諸島(ハイ)、石垣島と西表島(イワサキワモンベニヘビ)
毒性:神経毒?(LD50=不明)

日本に生息する数少ない陸生コブラのグループ。
その強力な神経毒で数多くの人の命を奪っており、南国の民からは恐れられながらも太陽神の使いとして崇め奉られている………



…というのは真っ赤なウソ
オレンジと黒、白のストライプ模様の体色を持つなど見た目は毒々しさ満開なのだが、体長は50~60㎝と小柄で口も小さいので、ヒトに咬みつけるほど顎を開くことはできない。
本人もそのことが分かっているのか、ヒトに捕まっても咬もうとはせずに尖ったしっぽの先をぐりぐりと押し付けて脅かそうとしてくる。かわいい。
しかし尻尾に毒を注入する仕組みは無いので、こけおどしにしかならない。やっぱりかわいい。

…ただ、人工的に集めた毒をマウスに注射したら微量で呼吸が停止し死亡したという不穏な実験結果もある。
どんなに小柄でかわいくてもコブラはコブラということなのだろう。

実際にこれらのヘビに咬まれた事例が1件も確認されていないので、ヒトに対して毒性があるのかは今も分からない。
とはいえ、もし見つけても触ったりしないのが賢明。

ちなみに太陽神の使いとされているのは本当であり、現地では本種が目撃されると日照りが続くという言い伝えがある。

エラブウミヘビ

分類:コブラ科ウミヘビ亜科エラブウミヘビ属
学名:Laticauda semifasciata
分布:南西諸島沖
毒性:神経毒、細胞毒(LD50=0.15mg/kg)

日本近海に生息するウミヘビの中で恐らく一番有名なウミヘビ。
テレビの無人島生活でナスDが手づかみしていたヤツと言えばお分かりだろうか。
あるいは某推理漫画で凶器として使われたヤツとか。
全長は70~140㎝とそれほど大きくは無いが、太くがっしりとした体つき。

LD50値こそ立派なのだが、性格は極めておとなしく、素手で捕まえても咬もうとしないほど。
とはいえ捕らえようとすると攻撃されたと勘違いして噛んでくることも考えられるので、やはり無闇に触ったり近付いたりはしない方が賢明だろう。

そしてこのヘビには、ウミヘビというジャンルゆえの恐ろしさがある。
それは「海中で咬傷被害にあう可能性が高い」ということ。
水中で咬まれれば、その恐怖から毒が回る以前にパニックに陥って溺死してしまう危険があるし、溺れなくても早く海から出ようともがくことで毒が早く回ることも考えられる。
しかも体のコントロールを奪う神経毒なので、海から上がる前に毒の効果が現れてしまうと極めて危険。周囲に助けてくれる仲間がいないと、もう絶望的。

…え?
自分はダイビングなんてオシャンティーなことしない非リア充だから大丈夫だって?
甘い。甘すぎる。コイツは上陸することができるのだ。
ウミヘビの仲間は海での生活に特化して腹板*9が退化している種も多いのだが、エラブウミヘビ属のウミヘビは腹板があるので、陸上でも支障なく行動できる。

水陸両用な理由は、本種が卵生であることに関係がある。
一生海から出ないタイプのウミヘビは卵胎生であり、母親の胎内で卵を孵して子ヘビとして生まれる。
しかし、エラブウミヘビのような卵生の場合、海中に卵を産み落としても水中の酸素を吸収出来ないので子ヘビが育たない。
そこで上陸し、岩場などに卵を産むのである。
まぁ、中には単に陸地でくつろいでいるだけのことも多い。
上陸できるといっても海からそれほど離れることは無いが、海岸の木に登っていたりすることもあるようなので要注意。

日本近海に住む近縁種としてアオマダラウミヘビ(Laticauda colubrina)とヒロオウミヘビ(Laticauda laticaudata)がおり、
海外に住む近縁種では、ニューカレドニアのトリコ・レイエと、ニウエのニウエ・シークレイトがいる。
いずれも黒と青のストライプ模様で上陸可能と似た生態を持っているが、食べ物の好みで棲み分けている模様*10
どれも人を咬んだ事例はほとんどないが、ヒロオウミヘビはやや神経質な性格であり、咬まれたと思しき人が洞窟で死亡しているのが見つかったという話がある。
地元のウミヘビ獲りのおばぁいわく「エラブは大丈夫だけど、青いのは危ないさ~(ヒロオウミヘビは他2種に比べ鮮やかな青色をしている)」とのこと。

「こんなもの捕まえてどうすんだよ」と思うかもしれないが、地元では精の付く薬膳料理として昔から食べられている。
味は「かつお節を極限まで生臭くした」みたいな感じとのこと。
沖縄に行ったら試しに食してみてはいかがだろうか。

クロガシラウミヘビ

分類:コブラ科ウミヘビ亜科ウミヘビ属
学名:Hydrophis melanocephalus
分布:琉球列島、インドネシア、ニューギニア
毒性:神経毒、細胞毒(LD50=0.11mg/kg)

沖縄で多いウミヘビの1種。
エラブウミヘビ属のウミヘビとは異なり腹板が退化しているため、陸上に上がることは無く生涯を海中で過ごす。
餌はアナゴなどの細長い魚類。

やや気性が荒い傾向にあり、ちょっかいを出すと追いかけてきて咬みついてくる。
こちらが何もしなくても、気が立っていると向かってくることもあるようなので、平和主義者のエラブウミヘビと違って非常に危険な種である。

毒は神経毒が主だが、細胞を破壊する毒も多く含まれる。
咬まれると1~2時間ほどで全身筋肉痛、嚥下障害、ミオグロビン尿*11などの症状が出て、最終的に急性腎不全や心不全で死亡する。
ウミヘビは神経毒を持ってはいるが、この種のように実際の死因は細胞毒による筋肉破壊を要因とした多臓器不全が多いと言われている。

セグロウミヘビ

分類:コブラ科ウミヘビ亜科ウミヘビ属
学名:Hydrophis platurus
分布:太平洋、インド洋
毒性:神経毒、細胞毒(LD50=0.067mg/kg マウスへの皮下注射)

非常に独特な生態を持ったウミヘビ。
他の多くのウミヘビが浅海域に生息しているのに対し、セグロウミヘビは外洋を回遊している。
その外見もとてもユニークで、ヘビらしからぬ長く伸びた吻(要するに鼻先)と扁平な体を持つ。

LD50を見てもわかるように毒はトップクラスに強く、全毒ヘビの中でも4位の猛毒である。また、筋肉にも毒がある
体色は上面が黒、下面が黄色に塗り分けられており、魚類と同じく迷彩の役割を果たしていると考えられる。
その他、単独行動が基本のヘビとしては珍しく群れを形成することも知られており、ヘビよりは魚類に近い生態を持っていると言える。

体長は100㎝未満と小型。
流れ藻などの海面の浮遊物の下に集まる魚類を狙って捕食する。
毒性は極めて強いものの、主に外洋に分布している関係でヒトと遭遇することがほぼ無いため、咬傷例はとても少ない。
ただし、まれに本種が海岸に打ち上げられることがあり、このような個体には触れないように注意。
セグロウミヘビは陸上行動は全くできないが、肺呼吸なので魚類のように陸上でも窒息死はしないし、水から出されたウミヘビは凶暴化する傾向にあるからだ。

ちなみに出雲大社における「龍神信仰」の龍神とは、打ち上げられたセグロウミヘビのことである。

イイジマウミヘビ

分類:コブラ科ウミヘビ亜科カメガシラウミヘビ属
学名:Emydocephalus ijimae
分布:琉球列島沖、台湾沖
毒性:神経毒(LD50=不明)

沖縄で個体数が多い、全長60~100㎝の中型のウミヘビ。
体色は乳白色と黒の縞々模様であり、現地ではエラブウミヘビとよく混同される。

食物は魚卵。岩に産み付けられているスズメダイやハゼの卵を口周りの鱗ではがして食べる。

ウミヘビの仲間なので毒は当然持っている……と言いたいところだが、長年魚卵ばっかり食べ過ぎたせいで毒を使わなくなり、毒腺が退化してしまった。
一応小さな毒牙は残っているものの、ヒトを咬むことはほとんどできず、前述の通り毒性もほとんど失われているため無害なウミヘビである。

腹板は持っているが、陸上に上がることは無い。


海外の毒ヘビ

ここでは、海外でも指折りにヤバい毒ヘビを紹介する。

キングコブラ

分類:コブラ科キングコブラ属
学名:Ophiophagus hannah
分布:インドから東南アジア
毒性:神経毒・出血毒(LD50=1.66mg)

全長は3〜4メートル、最大で5.59メートルにも達する世界最大の毒ヘビ。毒自体はコブラの中ではあまり強くないものの、巨体ゆえに一度に注入する毒の量が多く、をも斃す威力を誇る。まさに毒ヘビの王者。森林とその周辺で昼も夜も活動する。現地ではむやみに殺すのは避けられるため、出来るだけ森に返すようにしている。主食は同じヘビと、まさかの共食い。だが意外にも大人しくむやみに刺激しなければそこまで危険ではない。
孔雀は神経毒に耐性を持つため天敵とされる。

ブラックマンバ

分類:コブラ科マンバ属
学名:Dendroaspis polylepis
分布:アフリカ東部から南部
毒性:神経毒(LD50=0.079mg)

詳しくは該当項目参照。キングコブラに次いで2番目に大きい毒ヘビ。名前のブラックは口の中が黒いことから名付けられた。
毒性も高い上に注入する毒の量も多くなるため、噛まれてから1時間以内に血清を打たなければ死ぬ。
また時速15キロほどで動くことができ、走りにくい草原とかだとすぐに追いつかれてしまう。

ナイリクタイパン(インランドタイパン、タイパン)

分類:コブラ科タイパン属
学名:Oxyuranus microlepidotus
分布:オーストラリア
毒性:神経毒(LD50=0.025mg)

最大で3.4メートルに達する毒ヘビ。全毒ヘビの中でも最強の毒を持ち、一咬みで成人男性100人を殺せる毒を注入する。
...しかしエラプウミヘビと同様に性質は大人しい上に生息数が少なく、人家の近くに現れることもまずないため噛まれる事故は少なく、現在では血清も開発されているため死亡例はないとされている。

イースタンブラウンスネーク(ブラウンスネーク)

分類:コブラ科ブラウンスネーク属
学名:Pseudonaja textilis
分布:オーストリアとパプアニューギニア
毒性:神経毒(LD50=0.0365mg)

1.5〜2メートルに達する毒ヘビ。ナイリクタイパンについで2番目に強い毒を持ち、しかもこちらは攻撃的で動きも素早いためオーストラリアでは最も恐れられている。

ブームスラング

分類:ナミヘビ科ブームスラング属
学名:Dispholidus typu
分布:地中海沿岸や砂漠を除くアフリカ全域
毒性:出血毒(LD50=0.5mg)

全長1〜1.8メートルで細長い体形を持つ。性質は大人しいので刺激しなければ襲われることはないものの、ナミヘビ科ではトップクラスに強い毒を持つ。1957年にはあるアメリカの研究者が噛まれたのだが、血清を打たずに症状を書き綴り、自らの命を犠牲にして貴重なデータを残したという逸話を持つ。

最後に

毒ヘビは確かに恐ろしい存在である。
自身や近しい人が被害を受けたことがあるならばなおさらだろう。

だが、これらの毒ヘビは自然環境になくてはならない存在でもある。
例えば、ネズミ類を主食としているハブが、ある日突然沖縄からいなくなってしまったら、ネズミが増えすぎて農作物の食害が急増し、衛生環境も悪化することが予想される。

その他にも、ヘビ毒は医薬品として利用することも研究されている。
血液凝固を誘発する毒は、血友病などの血が固まりにくい疾病の治療に応用できるかもしれないし、逆に血液凝固を阻害する毒は、心筋梗塞などを起こした際に流れなくなった血が固まるのを防ぐために医療現場で使われている。
神経の伝達を妨げる神経毒も、上手く使えば副作用のない強力な鎮痛剤として利用できるのではないかと注目されている。

つまり、ただ怯えて忌み嫌うのではなく、上手く付き合っていくことが肝要なのだ。

もちろんヘビがダメという人は多い。
ましてや毒を持っているとあれば、さらに恐ろしい存在に思えるかもしれない。
しかしそもそも毒ヘビが咬みつくのは、多くの場合、人間側に原因がある。
それも「存在に気づかず誤って踏んづけてしまった」とか「知らないうちに近づいてしまっていた」とかならまだしも、
「ちょっとした好奇心でちょっかいを出した」とか「からかい半分で手を出した」とかは自業自得としか言いようがない。

彼らは攻撃から自分の身を守ろうと必死なだけなのだ。
かけがえのない命のひとつであることに変わりはない。
慈しむ心を持っていたいものである。

追記・修正は毒ヘビに咬まれても冷静に判断を下せる方にお願いします。

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最終更新:2024年04月25日 11:38

*1 魚類の「ウミヘビ」もいるが、これはウナギやウツボの仲間であり、爬虫類のウミヘビとは全くの別物。ダイナンウミヘビ等がいる。当然咬まれても毒は無いが、歯が鋭く顎の力が強いので、肉を食いちぎられることがある。

*2 クサリヘビ科共通の特徴

*3 実はキングコブラと同等レベル。

*4 マムシは自分から攻撃してくることはほぼ無く、人が誤って踏みつけた場合にかみつくことがほとんど。

*5 これは黒化型と呼ばれ、ハブ以外でも様々なヘビで見られる変異型の一つ。住んでいる地域が何らかの理由で寒冷化した時に体温を維持しやすい形質である黒化型をバリエーションとして遺伝子内にキープしていると考えられている。

*6 こちらは日本に本来生息していないホンモノの外来種

*7 極めて近縁の場合のみ、同一の血清でも効くことがある。

*8 体内に侵入した物質に対して起きる過剰なアレルギー反応。気管が腫れあがって呼吸困難に陥ることもあり非常に危険。

*9 ヘビのお腹側にあるキャタピラみたいな一列の鱗。地上を這うために必要不可欠。

*10 エラブウミヘビは魚、アオマダラウミヘビはウツボ、ヒロオウミヘビはアナゴ

*11 筋肉の主成分であるミオグロビンが尿として排出される症状で、筋肉の融解が進んでいる証拠である。