グラディウス2(MSX)

登録日:2025/03/30 Sun 10:20:00
更新日:2025/04/20 Sun 17:15:44
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わたしは、真実だけを のこさなければならない。

時として真実は、いかなるものよりも
つらく、悲しい。
しかしまた、真実こそが
あたらしい生命をつくりだせるのだ。

─── 惑星グラディウス史記 XIII 序文より



KONAMI  PRESENTS

 GRADIUS 
 2 

THE GRADIUS SAGA CONTINUES
WITH
THE ULTIMATE
COSMIC ADVENTURE



グラディウス2(ツー)』とは、コナミ社が開発・販売する横スクロールシューティングゲーム「グラディウス」シリーズ のMSX用ゲームソフトである。

アーケードで稼働した正統続編『グラディウスII GOFERの野望』とは全く異なる内容であり、混同を避けるためシリーズファンは本作を「グラディウス・に」(略称:ぐらに)、AC版『II』を「グラディウス・ツー」と呼ぶ事も多い。
以下、本項目ではAC版グラディウスIIの事は『II』と省略表記する。



▼概要

1987年8月22日に発売された当時における完全オリジナルの新作STGであり、時期としては『沙羅曼蛇』が発売して1年ちょっとが経った頃、すなわち『II』は影も形も見えていない状態である。
そんな中で制作・発売された本作は、家庭用機で腰を据えて遊ぶことを念頭に置いた作品として製作されたため、後の『II』はおろかどのシリーズ作品にも搭載されていない独自の仕様を備えた異色作となった。

また、アーケードで『II』が稼働し始めると、シリーズ正統系作品であるAC版シリーズに対してMSX版は明確に別系統の流れを汲むシリーズとして確立。本作の後にはMSX版『沙羅曼蛇』→ 『ゴーファーの野望エピソードII』と、元になった作品のモチーフを織り込みつつオリジナル要素の強いゲームが続くことになる。

もともとゲーム用途メインでないMSXで開発された為、地形スクロールや巨大戦艦の移動など大きなオブジェクトが8ドットずつカクカクとしか動かないなどの欠点*1はあるものの、
1キャラにたった2色しか使えないMSXの仕様を感じさせないグラフィックや、本作で初採用された拡張音源チップSCCを利用した一段高音質なサウンドといった点は、間違いなく今作の魅力と言える。

▼ストーリー

惑星グラディウス』を母星とするグラディウス帝国と、全宇宙の侵略を目論む亜時空星団『バクテリアン』は幾度とない戦いを繰り広げてきた。
そんな最中、帝国の宇宙科学庁長官『ヴェノム博士』が政治的対立からクーデターを決行。これは帝国軍により鎮圧され、クーデターを決行したヴェノム一味は辺境の惑星サードへと追放された。

しかしクーデターにより政局は一層不安定になり皇帝は暗殺されてしまう。その上混乱に乗じて惑星サードからヴェノム一味は姿をくらまし、行方不明となってしまう。

それから1年のち、惑星グラディウスの植民惑星である7つのネオ・スペースプラントが何者かによって侵略・制圧されるという事件が発生。その犯人はバクテリアンに寝返りグラディウスに牙を剥いたヴェノムであった。

ヴェノムの復讐を止めるにはネオ・スペースプラントを奪還し、逃亡先の惑星シンに潜む彼を討つ以外に手は無い。かつてバクテリアンの魔の手から惑星を救ったパイロット『ジェイムス=バートン』と、彼の駆る新型戦闘機『メタリオン』の新たなる戦いが始まる。



▼自機『メタリオン』

初代グラディウスと同様に装備タイプは1種類のみ。
ただしゲームを進める事でパワーアップゲージ自体がどんどん成長していくという独自システムが採用されている。

各ステージのボス戦艦は他シリーズとは異なり倒してもすぐに爆発しない。
そこから爆発するまでの間にコアに接触する事で戦艦の中に入る事ができ、戦艦の最深部にあるバイオコンピュータと交信する事でパワーアップ項目が追加されていくのである。

追加パワーアップにより得られる兵装は強力なものが多いため、どんどんボスからゲージを強化していく事が基本的には望ましい。
ただしメリットだけではない。例えばゲージが増える事でオプション取得までに必要なパワーアップカプセル数が多くなり、復活からの立て直しが困難になるなどのデメリットも存在する。

なお、一応ゲージ自体が無強化であっても1周クリアはできる難易度ではある。


▽パワーアップ


初期状態のパワーアップゲージ
SPEED UP MISSILE DOUBLE LASER OPTION ?
Lv1 SPEED UP MISSILE #1 DOUBLE LASER #1 OPTION #1 FORCE FIELD
Lv2 MISSILE #2 LASER #2 OPTION #2
Lv3~7

SPEED UP

初期状態である0速から7速までパワーアップ可能。
だいたい2速か3速あたりまで積んでおくと問題なく操作可能だろう。

MISSILE

斜め下に投下され地面を滑走する、いつものスタイルのミサイル。
2段階強化可能で、Lv2を取るとミサイルの移動速度が上昇する。

DOUBLE

ノーマルショットと一緒に斜め上前方にショットが出る、こちらもお馴染みのスタイル。
ただし前・上両方が画面から消えるまで次が撃てず連射性が落ちるため、やや扱い辛い。

LASER

自機目前から一直線に進むレーザー。
射出中に限り自機の上下移動に沿う通称:レーザーワインダーも可能だが、自機から射出されきった時点でワインダーは効かなくなってしまい、以降は縦座標固定で真っ直ぐ飛んでいく*4仕様。
Lv1だとレーザーが短く威力も然程高くはないが、Lv2強化でいつも同じくらいの長さと威力になる。
ただし後半面ではレーザーをそのまま反射して打ち返してくる敵も出てくるため油断は禁物。

歴代シリーズと同じく、ダブルとレーザーは同時装備不可で排他選択となっている。
それぞれパワーアップを取った段階で同時装備できないパワーアップは自動で解除される仕様。

OPTION

自機の動きをトレースしながら攻撃する分身。
MSXメタリオンの性能上、追加できるのは2個まで

FORCE FIELD

自機前方に攻撃を防ぐバリアを展開。フォースフィールドと言いつつ実質シールド。
耐久力は10発分だが、レーザー系兵器やプラズマ・電撃攻撃を受けると1発で剥がされてしまうほか、ハッチや地形などには反応してくれない。
なお耐久力が残り1発になるとバリアが赤くなる。


▽特殊パワーアップ

通常のパワーアップカプセルによるパワーアップのほかに、それぞれ対応するアイテムを取得する事で特殊なパワーアップが可能。
これらのパワーアップには制限時間があり、15秒経過すると効果が消えて元通りになる。

E.SLOW (ENEMY SLOW)

敵と敵弾の移動速度が低下する。なお地形スクロール速度や、動く地形の速度に関してはそのまま。
速度が低下しているからといって、当たってしまうとしっかり被弾するのでちゃんと避けるように。

O.VARRIOR (OPTION VARRIOR)

オプションが自機の周りを右回りに旋回する。
つまりFC版『II』やSFC版『III』に登場するローリングオプションや、『V』のローテートオプションと同様。

V.LASER (VECTOR LASER)

発射すると縦方向に広がっていくレーザーを発射する。
挙動としては『II』以降のリップルレーザーと同様だが、ベクトルレーザーはそれに加えて貫通性能を持つ
ただし地形に引っかかって消えやすいのはリップルレーザー同様弱点で、ほかにも撃った弾が消えないと再発射できず連射性が低いのも惜しいところ。
なお、プログラム解析により当初は通常パワーアップとして実装しようとしたと思われる痕跡が見つかっている。

R.DRILL (ROTARY DRILL)

自機がきりもみ回転し、制限時間中は破壊可能な地形を体当たりで掘れるようになる。


▼ステージ

惑星グラディウスの植民惑星である7つのスペースプラントが舞台。
それぞれ1つの惑星につき1つのステージとなっている。

  • 巨像惑星
険しい顔の描かれたトーテムポールのような石像が立ち並ぶ遺跡の惑星。
例によって過去作のモアイのようにこの石像も弾を吐き出してくる。顔に攻撃し続ければ破壊も可能。

  • 植物惑星
一面が植物に覆われた鬱蒼としたジャングルの惑星。
大量の花粉を敵弾として吐き出してくる植物やら、壊せる壁やら、いきなり盛り上がってくる草木の壁やら、2面にして厄介な地形ギミックが盛りだくさん。

  • 古代惑星
ギリシャ時代の神殿を思わせる白い遺跡の惑星。
ところどころ道を塞いでいる柱を壊して進んでいくが、柱を壊すと支えていた天井が一気に落ちてくるので要注意。

  • 浮遊大陸
氷山の島が宇宙空間に浮いている浮遊大陸の群の中を進む。
前方から氷塊が飛んで来たり、山からザコが噴き出してきたりと敵の攻撃が一層激しくなってくる。

  • 炎の惑星
灼熱の炎に覆われた燃え盛る惑星。
『沙羅曼蛇』のようないきなり出てくるプロミネンスは無いが、所々で炎の柱が行く手を遮っているため、攻撃を当てて穴を開ける事で通り抜けなければならない。

  • 生命惑星
シリーズお馴染みの細胞面。元々は実験プラントだったという。
至る所から細胞が襲い掛かってくるほか、壊せる細胞壁が行く手を塞ぎよく考えて進まないと行き止まりになってしまうなどの難所が襲い掛かる。

  • スペーストリッキー・エリア
古代惑星と生命惑星に入り口が隠されているエクストラステージ。
このステージでのみ黄色や緑色のボーナスカプセル*5が出現する。
地形のグラフィックや登場する仕掛けは古代惑星と同じだが、こちらは壊せる粒子地形が天井を支えていることがあるので、崩し過ぎに要注意。

  • 要塞惑星
ヴェノムによって要塞に改造された惑星。
シリーズお馴染みの要塞面で動く壁や床、狭い通路といった難ギミックの目白押し。さらには全面がプラズマ鋼(破壊可能な壁)に隠された区画もある。



▼余談


  • 制作スタッフにメタル好きの人間が居たらしく、本作の登場人物ならびに用語はメタルバンドの人物名などから取られているものが多かったりする。

  • 後にコナミ社内で他のソフト*6の制作があまりにも行き詰まり過ぎた際、本作を改造してストーリーやグラフィックなどの内容をメチャクチャにしたものを開発スタッフが作っていたとの事。
    • しかし、それを見た偉い人が「これ面白いから売ろう!」と言い出してしまったため、それを手直しして世に出たのがパロディウスシリーズの第1作『パロディウス ~タコは地球を救う~』だったりする。

  • 本作のプランナーを勤めた松井直樹氏は、本作の開発後まだまだ駆け出しだった小島秀夫氏と共に「戦場をテーマにした誰も見た事が無いゲーム」である『METAL GEAR』をMSXで制作、発表することとなった。

  • 後に発売されたハードではPS『コナミアンティークスMSXコレクションvol.2』SS『同ウルトラパック』PSP『沙羅曼蛇ポータブル』に収録。
    • 前者2作はベタ移植だが、『沙羅曼蛇ポータブル』版ではオリジナル版に加えて、スクロール速度がスムーズになりファイアブラスターの性能が正常になったリファイン版も収録されている。



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最終更新:2025年04月20日 17:15

*1 MSX版グラディウス、沙羅曼蛇ともに共通の仕様

*2 文書によっては『宇宙歴』『グラディウス帝国歴』ともされるが、ここでは『グラディウス歴』に統一とする。

*3 こちらも宇宙科学庁、宇宙技術庁、技術庁など表記ゆれがあるが、本項目では『宇宙科学庁』ないし『科学庁』に統一する。

*4 MSX版グラディウス、沙羅曼蛇ともに共通の仕様

*5 黄色のボーナスカプセルは取得でスコアが増加、緑色のボーナスカプセルは取得で1UPする。

*6 この開発が難航したソフトは本作の続編であるMSX版『沙羅曼蛇』とも、開発スタッフが一部共通するPC-88版『スナッチャー』とも言われている。