▽惑星グラディウス史記
~プロローグ~
太陽に対し水平な地軸を持ち、常昼の北半球と常夜の南半球を持つ『惑星グラディウス』。
ここを母星とする『グラディウス帝国』は、全宇宙の侵略を目論む亜時空星団『バクテリアン』との終わりの見えぬ戦いに巻き込まれていた。
最初の惑星間抗争となったのはグラディウス歴6644年の『北十字戦』だった。
惑星グラディウスへと突如侵攻してきたバクテリアンに対し帝国は防衛作戦を展開し抵抗するも、惑星の60%以上に及ぶ深刻な被害を受ける。
このうち戦争初期から大半の攻撃が人口の多く繁栄していた北半球に向けられたもので、甚大な損害を被った帝国政府は復興に大きく手間取ることになる。
しかし、常夜の南半球にも侵攻の手の一部が及び、戦闘の流れ弾が爆発する事で発生した宇宙放射線によってそこに住む少数部族『リーク人』がほぼ絶滅状態に追い込まれる事となる。
少数部族であった彼らの助けを求める声に対し、北半球で手一杯であった帝国政府から復興の手が差し伸べられる事は無く、もとより原始的な部族であると見下されてきたリーク人たちの、帝国政府への不信や憎悪は増すばかりであった。
そんな最中のグラディウス歴6645年、帝国の宇宙科学庁により、リーク人が感知し操るサイキック・エネルギー『リークパワー』が発見される。
調査と分析によりこれが新たなエネルギーとして活用可能である事が分かると、帝国は手の平を返したかのようにリーク人保護政策を開始する。
しかし今までの仕打ちに反感を抱くリーク人たちは帝国政府の元を去り、残ったのは北十字戦で孤児となったため科学庁が身柄を預かった3歳の男児『ジェイムス=バートン』ただ1人であった。
グラディウス歴6647年、第16代皇帝が死去し、ラーズ17世が第17代目の皇帝として即位する。
この頃から惑星グラディウスの北半球を照らし続けてきた太陽の温度が異常上昇する現象が発生。気候変化への対処は問題なく行われたものの、惑星の多くで利用されていたエネルギーであるリカベラー粒子が太陽から抽出不可能となってしまった。
ここに来て代替エネルギーの必要性に迫られた帝国政府はリークパワーの技術研究を急ぎ、そのカギを握るリーク人の探索、保護活動をさらに活発化させていく。
未だ不信の拭えぬ一部リーク人の反発があったものの、受け入れた者たちによる全面的な協力により、リークパワーの研究はおおむね順調に進んでいった。
グラディウス歴6653年、科学庁がリークパワー研究の成果としてリークエネルギー生成システムの開発に成功。そしてこのシステムを組み込んだリークパワーエンジンを搭載した超時空戦闘機『ビックバイパー』が完成する。
しかしこれに前後して科学庁内部ではリーク人技術者とグラディウス人との間における対立が再燃。かねてより科学庁でリークパワー研究に協力してきたジェイムスはこれを厭い、宇宙科学庁から帝国国防庁へと移籍した。
グラディウス歴6658年、惑星グラディウスをバクテリアンが再襲撃。第二次惑星間抗争『闇の女神戦』が勃発。
この戦いでジェイムスはビックバイパーのパイロットとして戦いに挑み、死闘の末バクテリアン軍の撃退に成功する。
~反乱の予兆~(グラディウス リバース)
闇の女神戦での成果により、リークパワーは民間の研究機関にも大いに注目され、開発競争は激化の一途を辿った。
そんな状況の中ついに、宇宙科学庁の中でも初となるリーク人の長官と『ヴェノム博士』が就任した。
彼の下でエネルギー効率を飛躍的に改善するハイパードライブシステムIIが開発され、さらにリークパワーエンジンへと技術応用したサイキック・リークパワー推進装置が実用化に至る。
これを受けて国防庁はビックバイパーの次となる次世代戦闘機への技術採用を決定、科学庁は最新鋭超時空戦闘機『メタリオン』の開発に着手する。
しかし、バクテリアンの魔の手は静かに迫っていた。
グラディウス歴6664年、グラディウスと同盟を結ぶ『惑星アンティクトン』からの交信が突如途絶える事件が発生。
ヴェノム博士の下で事件の調査を行った科学庁は、惑星のマザー・ブレインがバクテリアンによって浸食・掌握され、惑星が制圧されてしまった事を突き止める。
事態を重く見た帝国政府はアンティクトンへ国防庁より軍を派遣する事を決定。
ジェイムスは先の闇の女神戦に引き続きビックバイパーを駆り、アンティクトンに巣くうバクテリアン軍を撃退する事に成功する。
しかし……
~サイレント・ナイトメア事件~(グラディウス2)
バクテリアン軍を撃退し繁栄を維持してきたグラディウス帝国であったが、内部の対立は静かに、しかし確実に深まっており、ついには科学庁と帝国政府間の対立まで発展していたのである。
アンティクトンの事件の裏でヴェノム博士を始めとする10名が帝国政府へとクーデターを決行。
しかしヴェノム博士の素性、そして科学庁長官就任の経緯に疑惑を抱いていた政府側は密かに身辺調査を実施しており、それによりクーデターへの対抗措置も速やかに実行された。
皇帝ラーズ17世によるグラディウス軍の緊急発動によりクーデターは鎮圧。ヴェノム博士らは逮捕され、軍事裁判の後に辺境の惑星サードへと追放されたのだった。
クーデターは失敗に終わったものの、政局の混乱は一層深まるばかりだった。
グラディウス歴6665年、不穏分子の凶弾により皇帝が暗殺され、さらに後継者争いが勃発。帝国は完全に政治的混乱に陥り、それに乗じて惑星サードへ捕らえられていたヴェノムら10名が、何者かの手引きによって脱出逃亡し行方不明となる。
そのさなか、開発が続いていた超時空戦闘機メタリオンが遂に完成。テストフライトでも優秀な成績を収めたものの、ハイパードライブシステムIIの効果が不安定であることが発覚。
メタリオンが100%の性能を発揮する為には、ヴェノム博士らがクーデターの際に持ち出し、所在不明となったバイオコンピュータシステムとの連携が不可欠である事が判明する。
そしてグラディウス歴6666年、惑星グラディウスの植民惑星である7つのネオ・スペースプラントからの交信が一斉に途絶える『サイレント・ナイトメア事件』が発生。政府の調査により何者かによる侵略である事が判明し、その兆候が惑星グラディウスまで及ぶと事態は一気に緊張を迎える。
侵略者の正体はバクテリアンに寝返ったヴェノムであった。
惑星サードからバクテリアンの手によって惑星シンへと逃亡したヴェノムはそこに拠点を築き、スペースプラントを次々に侵略。そしてその魔の手はグラディウス本星に迫ろうとしていたのである。
帝国政府は最新鋭の戦闘機であるメタリオンを出動させ、ヴェノム艦隊およびバクテリアン軍の掃討を決定。
しかしメタリオンは未だ本来の性能を発揮できない状態のままであり、ヴェノムが確保するバイオコンピュータシステムを奪取、機体とリンクすることで強化を試みながらの戦いとなる。
この困難な戦いに任命されたのは、闇の女神戦、そしてアンティクトン事変を戦い抜いた経験があり、ヴェノムと同じリーク人であるジェイムスであった。
惑星グラディウスの命運を懸けた戦いが、奇しくも同じリーク人同士の2人の手によって、今始まろうとしている……
▽登場人物
グラディウス歴6641年生まれ、男性、惑星グラディウスの南半球出身で、超能力と親和性のある少数民族『リーク人』。
3歳の頃にバクテリアン軍の第一次侵略『北十字戦』に巻き込まれて孤児となり、グラディウス歴6645年に帝国宇宙科学庁の下に保護される。
その後は科学庁に協力しリークパワー解明へと献身的に協力するが、徐々に増していくリーク人とグラディウス人との政治的対立に嫌気がさし、グラディウス歴6653年に国防庁へと転属。
国防庁では超時空戦闘機『ビックバイパー』のパイロットとして多くのミッションを経験。彼の持つ潜在的なリークパワーによる機体性能の底上げと、パイロットとしてのセンスによって難局を乗り越えてきた。
『闇の女神戦』ではバクテリアン軍撃退の功績を認められ、弱冠17歳にして少佐へと昇格。その後は第7スペースプラントに駐留し惑星間紛争し惑星間紛争の解決に奔走し、グラディウス歴6663年に帰還すると国防宇宙軍大佐に就任する。
翌6664年の惑星アンティクトンでの事件ではヴェノム博士によるサポートの元、再びバクテリアン軍を撃退。しかし同時に博士によるクーデターも察知しており、博士へ任務完了の報告と共にクーデターの失敗を宣告した。
今回は最新鋭超時空戦闘機『メタリオン』に搭乗し、復讐鬼と化したかつての同胞を討つために出撃する。
惑星グラディウスの南半球を出身とする『リーク人』の技術者。グラディウス歴6625年生まれ。
全身緑色の肌をした丸坊主の男性だが、リーク人がみなこのような容貌ではないようだ。
『北十字戦』に巻き込まれたリーク人の中で生き残った、たった12人のうちの1人。
しかし自らを見捨てた帝国政府に不信感と激しい憎悪を抱き、仲間ら4人と共に北半球へと向かって消息を絶つ。
そして十数年の空白を経て、グラディウス歴6658年、宇宙科学庁において初のリーク人長官に就任。リークパワーを活用した様々なシステムの開発・実用化に携わる。
しかし実は帝国政府への憎しみは未だに消えておらず、グラディウス歴6664年に帝国政府へクーデターを決行。しかしその身辺を怪しんだ政府の事前調査のかいあって、クーデターは事前鎮圧される。
クーデター前夜の模様が『グラディウス リバース』において一部描かれるが、惑星アンティクトンのマザーコンピュータを破壊するようジェイムスに圧力をかけるなど、何かしら暗躍していたらしき様子が伺える。
クーデター失敗後は惑星サードに幽閉されるも、バクテリアンの手引きにより脱走。
そしてリークパワーを最大限に引き出す為のサイボーグ手術を施され、額に縦並びの三つ目が開く異形の姿へと変わった。
共にクーデターを起こした同胞と共にヴェノム艦隊を立ち上げ、バクテリアンと共に惑星グラディウスへと牙を剥く。
グラディウス歴6647年~6665年の間在位した惑星グラディウスの第17代皇帝。
本名: ラーズ=ハメット17世。
リークパワーの技術研究を国策として推進したほか、バクテリアンの侵攻に備え国防システム体形の整備を命令。ビックバイパーを始めとする超時空戦闘機の開発は彼の政策の一環によるもの。
グラディウス歴6664年、ヴェノム博士のクーデターをきっかけとした政局の混乱の中、厳戒令を発動し事態の収拾に乗り出すも、翌6665年に不穏分子の凶弾に倒れ、死去。
- オーバーキル大佐
- アンスラックス大佐
- ジューダス=プリースト将軍
- モーターヘッド大佐
- テスタメント大佐
- トータルデス大佐
ヴェノム博士と共にクーデターを実行したリーク人科学者たち。
クーデターは失敗に終わるも、彼らもバクテリアン軍の手引きによってヴェノムと共に脱走。惑星グラディウスから持ち出されたバイオコンピュータシステムを搭載する大型母艦に乗り込み、各惑星で指揮を行う。
▽キーワード
惑星グラディウスにおける公式歴史書。歴代皇帝が著述する。
実はMSXシリーズ以外でも存在する概念で、『II』の広告ポップには「惑星グラディウス史記I」からの抜粋とされる文章が記載されていた。
太陽系から2億8000万km離れた所に位置する惑星。
地軸が太陽に対してほぼ水平を保つため、常昼の北半球では一年中太陽の恩恵が得られる一方で、常夜の南半球は闇に閉ざされている。
そのため文明の進んだ大都市圏は北半球に集中しており、そこに住むものを一般的に『グラディウス人』と呼ぶ。
一方で南半球の開拓はほとんど行われておらず、原始的生活を行う民族『リーク人』が生活するのみだった。
惑星グラディウスを母星とする星間国家。およそ人口約20億人。
母星の北半球に位置する帝国の首都を拠点とするほか、周囲に存在する7つの惑星を『ネオ・スペースプラント』として植民星としている。
代々軍事的な威光を持つ皇帝を頂点とし、政策を決定する議会や、国防軍を有する国防庁、技術研究を行う宇宙科学技術庁などの機能が存在する。
惑星グラディウスの南半球側に定住する唯一の民族だった。
体内に保有する特殊で強力なマグネティック・イオンにより、他の種族とは一線を画するサイコパワーの感知・操作能力を持つが、その一方で自然界に存在する多種雑多な宇宙線に非常に敏感かつ影響されやすいという繊細さを持つ。
南半球に居を構えたのも、太陽光が当たらないが故に宇宙線が少なく安全だからというのが理由であった。
しかし少数民族であるがゆえに文明があまり発達せず、原始的な生活を続けるリーク人の存在は、帝国にとっては悩みの種であり、認知を拒否し続けてきた。
しかし『北十字戦』において惑星グラディウスで戦闘が行われた結果、直接攻撃こそ無かったものの大量の宇宙放射線が南半球に流入。
これによって多くのリーク人が心身を失調し、死に追いやられた。
戦いの後に生き残ったリーク人はわずか12名で、彼らは帝国に援助を求めるも声が届く事は無く、さらに4名が死亡。これによってリーク人たちに帝国への根深い不信と憎悪が生まれる。
その後彼らの持つリーク・パワーに着目した帝国が融和政策を取るも、今までの経緯から帝国への不信を募らせた彼らとグラディウス人との間で人種対立が勃発。
結果的に生き残り8名のうち、ヴェノム博士を含む科学庁所属の7人がバクテリア軍へと離反。グラディウス陣営に残ったのはジェイムス=バートンただ1人だった。
リーク人の操ることができるサイコパワーの総称。
あらゆる動力機器および生体エネルギー源として扱う事ができる万能資源でもあり、今まで頼っていたエネルギー資源が活用不可能になったグラディウス帝国を救う鍵となった。
発見がリーク人由来である事からリークパワーと呼称されているようで、別にリーク人でなければ発生させることができない訳ではなく、発生メカニズムが解明された後はドライブ・エンジンによりある程度自在に発生させることができた模様。
改良ハイパードライブシステムIIことサイキック・リークパワー推進装置が搭載された最新鋭超時空戦闘機。
もともとヴェノム博士在籍時の科学庁で開発が進められており、エネルギー効率を飛躍的に改善した新型ドライブシステムにより、従来の戦闘機をはるかに越える性能を備えるとされる。
しかし開発完了を待たずしてヴェノム博士がクーデターを実行したため、最終調整を残した段階で開発がストップしてしまう。残されたか科学庁技術者によって調整が試みられたもののうまくいかず、結果的に未完成状態でのロールアウトとなってしまった。