沙羅曼蛇

登録日:2025/04/04 Fri 11:46:05
更新日:2025/04/20 Sun 17:09:36
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Destroy Them All !


沙羅曼蛇(サラマンダ) (SALAMANDER)』とは、コナミが発売したアーケード用シューティングゲームである。



目次

概要

1986年7月6日に稼働を開始したコナミのシューティングゲーム。システム基板はTWIN16。
ゲーム名や大きな蛇が口を開けたイメージイラストからは想像しにくいが、グラディウスシリーズの第2作にして、その亜流である沙羅曼蛇シリーズの第1作目である。

開発初期はタイトルも『グラディウス2』だったものの、製作が進んでいくうちにグラディウスとは異なる形に派生したため独自タイトルになったという経緯を持つ。
そのため自機や、最大4つまでつくオプション(マルチプル)などの共通点はあるものの、かなり異なるゲーム性になっている。

また本作より合成音声が導入され、ゲーム展開によってセリフを喋るようになっている。
ゲームスタート時のデストロイゼモー! Destroy Them All!」のほか、パワーアップ取得時のミッソー Missile」、「モータポー Multiple」など耳に残るボイスも多く、後のグラディウスシリーズでもボイス演出は引き継がれた。

『沙羅曼蛇』の特徴

  • ステージ毎にスクロール方向が違う
シリーズ最大の特徴にしてグラディウスとの違い。
グラディウスシリーズは全面横スクロール*1だが、沙羅曼蛇シリーズではステージごとに横スクロールシューティング面と縦スクロールシューティング面が切り替わる。
なお縦スク面でも画面背景のみならず左右にちゃんと地形が存在するため、その点でも他の縦スクロールシューティングの中では珍しい。

今作では奇数ステージ(1,3,5面)が横スクロールで、偶数ステージ(2,4,6面)が縦スクロールとなっている。

  • ミスからの復帰はその場復活式
被弾して自機がやられてもゲームは中断されず、数秒後に残機を消費してその場で復活する。
またミス時にマルチプル(オプション)装備だけは被弾時のポジションにてアイテム化して、スクロールとともに流れていくので、復活後に触れて回収すれば素早く再装備できる。

初代グラディウスのように「やられても復活ポイントまで戻されることが無い」ので連コインによるゴリ押しが効きやすい*2ため初心者でもお金さえあればある程度は進める仕様にはなっている。
なお、本作では追加コイン以外による残機増加(例:スコアエクステンドや1UPアイテムなど)が一切存在しない。

ミス時は状況次第でオプションを取り戻せる可能性があるとは言え、ミス時の復活(≒装備強化しつつ立て直しての進行)には、固定の復活ポイントが用意されていた前作(=復活時のパターン化ができる)と比較して状況が大きく異なるため、非常に強いアドリブが求められるようになった。
そのため1コインプレイを貫徹する場合はミス時の復活には非常に厳しい設計となっており、一度のミスが全滅・ゲームオーバーに直結する可能性が著しく高いため「(残機が意味をなさない)一機ゲー」と表現されることが珍しくなかった。

発売された80年代ではまだグラディウス同様の戻り復活式*3が多かったため、ゲーメストなどのゲーム雑誌ではその場復活の事を「曼蛇方式」と呼んでいた。

  • 2人同時プレイ可能
1P側と2P側で同時にプレイが可能。これも80年代のSTGで珍しい要素の一つだった。

ただし本作では自機同士にも当たり判定があり、接触すると押し合いになってしまう。このため狭い地形を通り抜けるときや敵弾の雨の中を潜り抜ける時などは特に注意が必要。

  • 全体的に速めなゲームテンポ
グラディウスシリーズと比べスクロールや敵機の移動するスピードが速い。
またそれに合わせて自機のスピードも底上げされており、スピードアップ装備を取らない0速状態でもある程度は進められるくらいの移動速度を持つ。

前述の戻り復活式と併せてサクサクと進むゲームテンポになっているが、その反面で破壊不可能な隕石が高速で突っ込んでくる、いきなり地面から炎が吹き上がるといった初見殺し的ギミックが多い一因ともなっている。

  • パワーアップは個別アイテム式
それぞれの装備ごとに異なるパワーアップユニット(アイテム)が存在し、取得で即装備されるダライアスR-TYPEといった他のシューティングゲームと同様の方式。

ただし移植作品や派生作品ではグラディウス同様にパワーアップカプセルを集めて選択するメーター式の場合もある。

  • ダーク・ハードめな作風
グラディウスシリーズに比べ、ステージや敵キャラのグラフィックがよりSF調になり、若干のダークさを帯びたものになっており、一面からいきなり細胞面というのがそれをよく表している。

この傾向は派生作品である『ライフフォース』や続編『沙羅曼蛇2』でさらに強まっている。

ストーリー

千光年の彼方より、炎の海に潜む巨大な竜が覚めし時、
狂気のフォースが迫り来て、天地は暗に呑み込まれ、
やがて光は打ち砕ける。
――惑星ラティス「炎の予言」より

美しい輝きを放つ水の惑星ラティス。
しかしそこにバクテリアン星団の精鋭部隊、サラマンダ軍の侵攻の手が伸びる。
サラマンダ軍は究極生命システマイザー「ゼロスフォース」によって惑星の吸収を開始。

ラティスの王子であるロードブリティッシュは自ら時空間戦闘機で迎撃を試みるが敗走し、辛くも惑星グラディウスの下へ逃げ延びるのが精一杯で、ラティスの人々に最早反撃の術は残されていなかった。

ラティスの助けを求める声に応じ、グラディウス軍は超時空戦闘機ビックバイパーを出撃させ、復讐を誓うロードブリティッシュと共にサラマンダ軍の母星へと飛び立つのであった。



自機

1P側は青い機体でグラディウスに引き続き『ビックバイパー』。
2P側は赤い機体で惑星ラティスの王子と同じ名前の『ロードブリティッシュ』。
違いは自機や弾のグラフィックが違うくらいで性能に差はない。

パワーアップ


SPEED UP(スピードアップ)
グラディウスでもおなじみの自機スピードアップ。無強化を0速として最大5速まで。
とはいえ本作は最初からそこそこの自機スピードとなっているため、グラディウスの感覚で取得しようとすると自滅のもとになる可能性も。
1~2速が扱いやすい。

MISSILE(ミサイル)
放物線を描いて放たれ、地形に着くと敵か壁に当たるまで滑走するサブウエポン。地形判定のものに対しては完全に沿って進んでいき、登坂能力もある。
横スク面では上下同時発射の2WAY、縦スク面では左右+画面奥の背景に投下する3WAYとなっており超強力。
特に縦スク面に登場する背景から攻撃してくる砲台などの敵に対抗する手段はこれしかないため、手に入れたらできる限りミスせず維持しておきたいところ。

なお、実はこのミサイルを隕石や1面ボスのゴーレムの脳部分、3面ボスのイントルーダの胴体部、6面ボスのゼロスフォース本体など、本来破壊不能なものに数発当てると被弾判定が消失するというとんでもないバグ裏ワザが存在する。

なおミサイルボタンにはソフトウェア連射が搭載されており、次弾発射可能な状況であればボタンを押しっぱなしにしておくと常に最速のタイミングで放てる。

MULTIPLE(マルチプル)
自機の動きを遅れてトレースしながら、自機と同時攻撃を行う発光体。
グラディウスにおけるオプションだが、沙羅曼蛇シリーズではマルチプルと呼ばれる。
初代グラディウスでは(プログラミングの関係もあり)正確に自機の軌跡をトレースするものではなかったが、本作より軌跡のトレースが正確になった。
移動レバーを入力止めた際はマルチプルも止まる点は同じだが、そこから再び移動する際に1個ずつワンテンポ遅れてから追従を始めるという特性がある。自機から遠い3個、4個目などは小刻みな移動を行うとディレイがかかって動き出すのがわかりやすい。

また横スクロール面では画面左側で動かすと拡散気味の広い間隔で、右側で動かすと収束気味の狭い間隔で動く仕様がある。
縦スクロール面も同様で、画面下側で動かすと拡散気味、上側で動かすと収束気味となる。
各面で縦方向移動展開・横方向移動展開を行うとわかりやすい。

初代グラディウス時とはまた異なった特性を理解して展開する状況が各ステージで求められる。
本作で最も敵が落とす頻度の多いアイテムであるほか、やられても一応は回収できるため、補充はしやすい方。

LASER(レーザー)
自機目前から一直線に進む、高威力の長いレーザー。地形判定や破壊不可能なもの以外を貫通する。自機の上下移動に沿ってレーザーも座標を合わせて移動するレーザーワインダーが可能。
放たれたレーザーが規定の長さを超える前にボタンを離すとそこで切れるが、再度ボタンを押すと合計での規定の長さに達するまで再射撃が可能。ボタンを連打したりすれば細切れレーザーの3連射などができる。
ミサイルと同じくソフトウェア連射が組み込まれており、押しっぱなしにしているだけで最短の間隔で連射が可能。

こちらもグラディウスでお馴染みの装備だが、グラフィックがらせん状のエネルギー(レーザートレイサー)を伴うサイクロンレーザーになっている。
また、横スクでは画面右端、縦スクでは上端に自機を寄せてレーザーを発射するとレーザー発射音が最速連射間隔にになる連射レーザー状態が起きるが、特に意味はない。

初代グラディウスでは攻撃判定のズレが見た目以上の攻撃範囲を誇っていたのと比較すると少し抑えられ、初代でよく見ることができた「一方ではレーザーのグラフィックが敵に当たっているのに命中判定にならず、一方では逆に明らかにグラフィックの届いていない範囲で勝手に敵が破壊されている(通称:レーザー熱)」のような場面はほぼない。同時に、レーザーの弾速もやや低下。

とはいえグラフィック以上の攻撃判定は健在であり、小型敵機1キャラクター分くらいの距離ズレなら軽々とヒット扱いに持ち込んでくれる。性能変化としては重厚化と呼べるもので、攻撃判定がしっかりと厚くなる方向で強化された。弾速低下もゲームバランスを考慮した上のもので、むしろ攻撃判定が長時間残るのと同時に次弾発射のサイクルが割と速めなため、ボタン押しっぱなしで画面最後尾にいても弾切れがほぼ気にならないくらいの性能になった。
また、レーザーの弾速低下もマルチプルの周期をズラして射撃する「常時切れ間の無いレーザー」のしやすさにつながっている。

RIPPLE(リップル) LASER(レーザー)
広範囲攻撃を行う新兵器。
飛距離が伸びるにつれ大きくなるリング状のレーザーを発射する。
貫通性能は無いが、弾速が早く2連射が効く。広範囲をカバーしながら敵を殲滅できるためこちらも強力。

FORCE(フォース) FIELD(フィールド)
自機前方にボール状のバリアを展開。フォースフィールドという名前ではあるが『グラディウスII』以降におけるシールドのような感じ。
なお1つ取得で1個追加され、そこから最大4個まで強化可能。

……ということになっているが、実は1周で3個までしかアイテムが出てこない。*4
加えて1周回において最初に装備したバリアと、それ以降に追加装備したバリアとで性能が違うという謎の複雑な仕様が存在。
最初のバリアは敵弾を防いでくれるがアイテムでも耐久値が削れる。2個目以降のバリアは敵弾を防いでくれず、敵の体当たりしか防いでくれない。
ということでモロに欠陥装備かつ、取得で内部の難易度ランクが上がってしまうため、プレイヤー間では取らない方が良いという扱いになってしまっている。
ただしアイテム回収スコアは入るため、スコアアタックプレイヤーは取得することが多い。



ステージ

STAGE1. 増殖性細胞 / 横スクロール

巨大な生体組織の中を進んでいく。
地形から伸びて自機を追ってくる触手や、巨大な牙が付きだしてくるなど不気味なギミックが満載。

中盤には血管網のような壊せる壁に、ショットを打ち込むと膨張・破裂する肉塊が多数浮かんだ空間が出現。上手く大量破壊すればスコア稼ぎのチャンス。このようにかせぐのだ。

そして終盤では壊しても時間経過で復活する再生細胞壁の地形が続で、細胞壁で行き止まりになった所をショットで掘り進んだ先にステージボスが控える。

BOSS: ゴーレム
巨大な脳髄から2本の触手が伸びた異形の怪物。自機に向かって触手を伸ばし体当たりしてくる。
弱点はしばらくすると脳髄の額部分に現れる一つ目だが、触手がこちらの攻撃をブロックしてしまうため、一旦後ろに回ってどかすよう誘導してやらなければならない。

こんな見た目だがシリーズのマスコットキャラクターその1。
外部作品にもいくつか出演しており、ケニヤに出現して主人公の究極戦隊と戦ったり、脳トレ施設の所長に就任したりしている。

STAGE2. 隕石空域 / 縦スクロール

大量の隕石が飛び交うアステロイドベルトに突入する。
隕石は破壊不可能なためしっかりと避けることが求められる。加えて大量に弾を放つ敵の編隊が飛んでくるので気が抜けない。
ミサイルで攻撃し続ければ隕石を素通りできてしまうのはナイショ

そんな中で登場する中型機サンダーミューは弾こそ放たないものの、画面全体を点滅させてプレイヤーに直接攻撃してくる害悪過ぎる敵。健康のためにもさっさと処理しておきたい。
その様な性質を持つ事からか、「アーケードアーカイブス」等で登場した近年の移植作品では、登場時に画面を真っ白にしてくる様になっている。ご時世だけに仕方が無いと言う他ない。

BOSS: 巡洋艦テトラン
遮蔽版で青いコアを防護するビッグコア系統の戦艦。
4本の触手を持っており、回転させたり触手の先から弾を放って来たりすることで攻撃を仕掛けてくる。

シリーズのマスコットキャラクターその2。
後のグラディウスシリーズで亜種が多数登場したり、ボス・オンパレード(ボスラッシュ)面のお馴染みさんとなる。ただし今作では画面幅の狭い縦スク面での登場とあって若干触手が短め。

STAGE3. 高密度エネルギー / 横スクロール

生命エネルギーが炎の形をとって燃え盛る、本作を象徴する見た目の火焔地獄ステージ。
炎の中から飛び出してくる火炎弾や火の鳥、そしてノーモーションで吹き上がるプロミネンスのアーチといった初見殺し要素が襲い掛かってくる。
そして流れるBGM『Planet Ratis』はこちらの気分を盛り上げてくれるロック調となっており、見た目、曲、そして難易度とすべての要素がアツいステージである。

なお、この面でアイテムが登場するのはステージ開始から火焔地帯に入る直後までの冒頭区間のみ。できるならノーミス、ミスってもマルチプルを回収し損ねることは無いようにしたい。

ちなみに、プロミネンスは1周目に限って1回タイプの物が中心になっている。
加えて、実は火の鳥や火炎弾は見えないハッチから発射される形式になっていて、ミサイルを撃つとハッチも破壊出来たりする。
この2つを利用する事で、1周目のみだが安置で後半までひたすらやり過ごすというパターンが確立。
これにより、1周目に限った話になるが、結果的に一番熱いステージが休憩ステージと化してしまう事に…

BOSS: イントルーダ
炎で出来た体を持つ龍。自機を追尾してくるほか直線状に進む炎を吐いてくる。
弱点は頭の部分だけで、それ以外の胴体に打ち込んでもダメージは与えられない。
後のシリーズに登場するドラゴン系の敵に比べ、尾の部分を振り回すような挙動を取る。そのため動きを誘導しようとしてうっかり体に激突しないよう要注意。

なお、上述の裏技を試すと…

STAGE4. 地底火山 / 縦スクロール

洞窟の中にできた火山地帯のステージ。
グラディウスシリーズの火山・逆火山ステージをそのまま縦スクロールにしたような構造。もちろん大きな火山から噴火してくる火山弾のギミックも存在する。
さらにこのステージより縦スク面に画面奥の背景が登場。奥に設置された砲台からの対空射撃が飛んでくるのでミサイルは手放せない。

ステージBGMの「Starfield」は他の面と比較して穏やかなイメージの楽曲。
・・・しかし、そのままではパッとしなかったのか、以降の作品では何故かアレンジされる事が多い。
後述の移植作品でのBGMは基本的にアーケード原作の楽曲をほぼそのまま持ってきている一方、本曲だけは倍速のハイスピードアレンジに。
beatmania 2nd mix収録のNITE SYSTEM(ヒロシワタナベ)によるアレンジ「Salamander Beat Crush mix」では、曲名の通りイントロ以外のフレーズが別物になった様な曲に。CORE REMIX収録のDECADES(DJ SIMON)による「Salamander Beat Crush mix ~CRASH MIX~」はソフランこそないが色々追加されたヘンテコ曲へと変貌。サイモンなら仕方ない

BOSS: 要塞ヴァリス
巨大要塞の壁に埋め込まれた3つのコアに、それぞれ3枚の遮蔽版が用意されている。コアを3つとも撃破でクリア。
後にグラディウスシリーズで登場する要塞面の壁コアの原型とも言えるボス。

攻撃方法は画面背景に用意された砲台のほか、コアから画面端で乱反射する青いボールを延々と吐き出してくる。
まずはミサイルで砲台を撃破し、画面がボールでいっぱいにならないうちに短期決戦で撃破を狙いたい。
・・・しかし、ここに到達したばかりの初心者にとっては、何が何やらわけわかめになりがち。
そこで、活躍するのが安全地帯の存在。
初めてここに到達したら、まず安置で自爆を待った方が良いだろう。

ちなみに、電源投入後、彼を一回倒した状態でもう一度戦った際に、
ボスの攻撃が始まる前に背景にある中央上段の雑魚砲台を破壊すると、何故か何の行動もしなくなるバグが存在する。
(以降のは電源をリセットしない限りこの技は毎回有効)

STAGE5. 小惑星 / 横スクロール

隕石が多数飛来する小惑星帯の中を進んでいく。
2面をそのまま横スクロールにしたようなステージで、出現する敵も2面のものに数種類が追加されたバリエーションとなっている。またしてもサンダーミューは登場するので出現次第さっさとやっつけたい。

この面に登場するボール型の中型機ファランクスはとても固い厄介なザコ敵。おまけに倒すと破壊可能な誘導弾をばら撒くのでしっかり後処理も必要。
さらにステージ中には自機を取り囲む敵ザブIIが現れるポイントがいくつかあるため、不用意に動き回ったりせず出現次第すぐ切り抜けられるようにしたい。

BOSS: 空母デス
ビッグコアと同様青いコアを持つ円筒形の細長い戦艦。
今作では空母という設定で、艦載機を飛ばしながら自機狙い弾を撃ってくるのが主な攻撃方法。

ただし戦いが長引くと要塞ヴァリス同様乱反射するブルーボールを飛ばしてくるので悠長な戦いは禁物。速攻で倒して次のステージに進みたい。

STAGE6. 要塞地帯 / 縦スクロール

いよいよサラマンダ軍の母星へと到着。最後の決戦に臨む。
最終面とあってこれまでのステージよりも長く、長期戦を強いられる。

ステージ前半はバクテリアンの都市上空を進む。
地上からは自機を狙う対空ビーム砲が容赦なく飛んでくるほか、自機狙い弾を吐き出す小さなボール状の敵クリスタムボムが大量に飛来してくる。
そこから敵基地入口にたどり着くと中ボスとしてなんだか一回り小さいビッグコアと3連戦。倒さなくてもしばらくすると画面下に逃げていく。

中ボスを越えるとステージ後半である要塞内部。
グラディウスの要塞面でお馴染みの剥がれる壁がなんと画面奥から飛んでくる。もちろん砲台も左右壁地形にしっかり配備。
さらにボス直前にはイオンリングを吐きながら飛び跳ねるお馴染みのモアイが密集する地帯となっており、バクテリアン軍の総攻撃といった形になっている。

BOSS: ゼロスフォース
モアイ地帯を抜けると何もない空間にたどり着き、スクロールがゆっくりになる。
するといきなり画面下部から現れる、一つ目のついた巨大な赤い球体。これこそが最後の破壊目標である究極生命システマイザー「ゼロスフォース」である。

……とはいってもグラディウスシリーズのラスボスなので例によって何もしてこない
ただしスクロールは動いたままなので、さっさと倒してしまおう。
ゼロスフォースを地形に固定する4つの留め具を破壊すると…

ヴァーーーーーーーーーー

と叫び声を上げて落下していく。

しかしまだこれで終わりではない。崩壊するサラマンダ基地からの脱出が待っている。
突然スクロールが高速になり、左右から迫るシャッターをかいくぐって脱出に成功すれば、みごとミッション・コンプリートである。

なおゼロスフォースを倒さずにその先に無理やり抜けようとするとZAPとなり、次周のどこかへ飛ばされてしまう。



派生バージョン


LIFE FORCE(国外版)

北米に輸出されるにあたり内容が手直しされたバージョン。タイトル画面のロゴ上に「STEREO SOUND」の記述があることから、区別のために「ステレオサウンド(-ライフフォース)」と便宜上の呼称をされることがある。
ストーリーが変更され、サイボーグ生命体「センチネルXR1」の中に巣くう機械と細胞が混在した悪性腫瘍を破壊し治療すべく、医療救命艇「USSライトシップ」でセンチネルXR1の体内に潜入する、という形になっている。

これに合わせてデモ演出中にストーリーテキストが表示されるシーンが追加されたほか、ボイス演出の内容が変更、さらに一部パワーアップの名称が変更され下記の通りになっている。
  • SPEED UP → HYPER SPEED
  • MISSILE → DESRUCT MISSILE
  • RIPPLE LASER → PULSE LASER
  • FORCE FIELD → SHIELD
また、体内という設定に合わせ全ての面の背景が1面のような毛細血管風の背景に変更。
それぞれのステージの舞台も1面が腹筋、2面が腎臓、3面が胃、4面が肝臓、5面が肺、6面が脳となっている。

それ以外に関しては国内版と同じゲーム内容。
なのだが、国内のヒットが想像以上で筐体が足りなくなってしまったため(後述)、本来は海外に輸出するはずの筐体を流用して国内で稼働させたケースもあったとの事。

LIFE FORCE(国内アレンジ版)

上記海外版の設定を一部逆輸入し、さらにゲーム内容もアレンジした、いわばアナザー・バージョン。
このため「ライフフォース」というゲームが事実上2種類存在するややこしいことになっている。

ストーリーは未知の超生命体「ライフフォース」が出現。あらゆる物質を吸収し成長し続けるこれを滅ぼすべく、惑星グラディウスからビックバイパーが出撃する、という沙羅曼蛇と海外版LIFE FORCEを足して2で割ったようなもの。
なお、パワーアップ名は海外版準拠となっている。

大きな変更点として、パワーアップ形式がグラディウス同様のパワーアップメーター方式へと変更になった。
これにより装備の切り替えを行う戦略性が復活したが、実は1Pと2Pでメーターの内容が異なる。
1 2 3 4 5 6
1P SPEED MISSILE PULSE LASER MULTIPLE ? (SHIELD)
2P MISSILE LASER MULTIPLE PULSE SPEED
1P装備がグラディウス準拠で一見馴染みやすいが、沙羅曼蛇のゲーム性に合っているのは2Pの方でこっちの方が断然有利。
初心者と上級者の組み合わせや、カップル同士などで接待プレイ用にこのような設定にしたのだと思われるが、実際は案の定2P争奪戦になる事が多かった模様。ただし1P側はスピードアップを最速で装備できるため、敵機の飛行速度や速くなり敵弾が飛び交う高次周回の状況においては、スピードアップが取得が非常に遠い2Pよりも復活が有利というメリットがある。

個別の大きな変化点として、パワーアップのSHIELD(FORCE FIELD)が死に性能ではなくなり、装備時はきちんと毎回防御性能を発揮するようになった。(ただしアイテム取得時に耐久力を削られる点も変わらずセット)
パワーアップカプセルさえ確保できれば任意のタイミングで装着できるため、沙羅曼蛇のほうでは不可能だった4つ同時装着も可能。

また、ストーリーに合わせグラフィックの統一化が図られ、機械的なものが1面のような生体的なものに変更。
沙羅曼蛇との差が激しいのが2、5面で、全て1面のような有機的な細胞面のグラフィックになっている。また3面の炎も赤から青(胃液)に変更。

もちろんボスも例外ではなく、テトランは脳みそに青いコアが埋め込まれたような見た目のサイランに、デスは剥き出しの外骨格のようなグロいガウに変更された。
このうちガウは後のグラディウスシリーズにて、デスとは異なる攻撃パターンを持つ別キャラクターとして独立するという謎の出世を遂げている。
一部敵の配置や攻撃パターンの変化、安全地帯の削除等があるが、ゲーム全編を通して概ね沙羅曼蛇の攻略パターンがそのまま使える。

本バージョンでは沙羅曼蛇では存在しなかったスコアエクステンドがあり、高次周時(=スコアが溜まってエクステンドが重なり、残機が多い状態)は復活しやすいという点がある。

沙羅曼蛇(ファミリーコンピュータ版)



初の家庭用移植作品。内部の基盤が見えるスケルトン外装のカセットが特徴的。
ハードウェアの制約上合成音声はなし、スクロールスピードもグラディウス並に抑えられたほか、ステージ構成に大胆な変更が加わったアレンジ移植。
しかし特殊チップをROMに搭載したことでグレードアップしたグラフィック表現を含め、アーケード版の雰囲気やプレー感覚を全く損ねていない。
2人同時プレイもバッチリ完備されている。ただしタイトル画面で2人プレイモードを選択した場合のみで、途中参加による2人プレイは不可。
またクレジット追加による復活ができない代わりに、残った側のプレイヤーの残機が複数ある場合のみ残機を1つ貰って復活するタイプのコンティニューが可能。

パワーアップ形式は国内アレンジ版ライフフォースと同じくパワーアップメーター方式となっている。ただしメーターは両プレイヤー同じ。
パワーアップ内容や武器の特性などは「グラディウス」寄りになっている。
特にAC版との目立つ違いは「パルス」が「リップル」になっていること、「マルチプル」が「オプション」になっていること、
そしてバリアがフォースフィールド形式となり明らかなハズレ装備だったAC版から他シリーズ同様使える装備となり、以降のフォースフィールドはここで初登場したエネルギーを纏うタイプが定着する。

ステージ構成
ステージ 1 2 3 4 5 6
内容 細胞(横)    火山(縦) プロミネンス(横) 細胞Ⅱ(縦)    神殿(横) 機械都市(縦)  
BOSS ゴーレム ゲート*5
巡洋艦テトラン 
イントルーダ*6 ギーガ クラッシュバム 
ツタンカーム
沙羅曼蛇
ビッグアイ*7

  • FCオリジナルBOSS・中BOSS達
    • ギーガ:頭蓋骨型のボス。弾を吐いて攻撃してくる。
    • クラッシュバム:ビッグコアを小型化した様な中ボス。3機同時出現。
    • ツタンカーム:ツタンカーメンのマスク型のボス。周囲に回る金色の球が攻撃・防御を担う。
    • 沙羅曼蛇:蛇型のボス。ビッグアイと同時に出現。

沙羅曼蛇(MSX版)

ホビーPCであるMSXへの移植作…というよりかは沙羅曼蛇のモチーフや要素を使った派生作品。
というのもMSXではグラディウス2(MSX)を基軸とする独自シリーズが展開されていたため、こちらもその中に組み込まれる形となった。
ストーリーもグラ2の続編となり、皇帝兼指揮官となった前作主人公ジェイムスの命を受け、2人の若きエースパイロットが惑星ラティスを汚染するサラマンダ軍の掃討、および環境の再正常化を目指すものとなっている。

MSXグラディウスシリーズでは唯一オプションを4つまで装備できるほか、2人同時プレイにも対応*8
さらに独自要素としてパワーアップメーター方式と強化版装備を採用したほか、ステージ2~5が選択式となったり、設定のみの登場だった「炎の予言」がゲーム内アイテムとして登場し、取得でボスの攻略ヒントが見れるなど気合いが入っている。
グラ2同様グラフィックも2色制限を感じさせないドット絵が描かれ、追加メモリ音源チップSCCによるサウンドも高品質。特にボス曲「Poison of Snake」の鬼気迫るアレンジは一聴の価値あり。

が、カクカクの8ドットスクロールは相変わらずで、復活方式も従来同様の戻り復活式。
さらに気合いが入りまくったが故か難易度が異常に高い。敵攻撃の激しさにより1ミス=実質ゲームオーバーという調整で、さらに1面からいきなり横スクロール状態のまま縦に画面が動く、ボス「エニグマ」は謎解きを成功させないと超長期戦を強いられる、などの難ギミックも目白押し。

極めつけは前作グラディウス2を同時に本体へ刺してプレイしないとグッドエンドに辿り着けない*9という仕様。
この条件自体は複数のゲーム雑誌で公開されていたものの、実質ソフトが2本無いと満足に遊べない仕様は大きく物議を醸した。

沙羅曼蛇(PCエンジン版)

ファミコンのライバル機であるPCエンジンにも移植版が発売されていた。
グラフィックに関してはほぼ完全再現と言ってもよく、またパワーアップも個別にアイテムが用意されているとアーケード版に準拠。
ステージのギミックに関してもアーケード版に登場する物は一通りこちらでも再現している。

ただし復活方式はその場復活ではなく戻り復活式となっている*10
また家庭用機で遊ぶことを考えてか、各所にオリジナルとは異なる調整が施されている。
アイテムの出現処理はAC版から一新され、より多く出るように変更。
敵キャラは全体的に速めに動く調整がかかったほか、要塞ヴァリスの反射ブルーボールが画面下から出ていくようになったり、デスが新たに大量のブルーボールを一斉射出する攻撃を繰り出してきたりと、理不尽さを無くす一方で新たなギミックも加えられた。
さらに一部の面ではアーケード版には無いエリアが追加されるなど、既にアーケード版を極めた人にも油断させない作りになっている。

BGMの方も中々再現度が高いほか、一部アレンジを利かせた曲もある。
例えば「Poison of Snake」にはイントロが追加された渋いアレンジになっている。
またタイトル画面やパワーアップデモにも新曲が用意され、こちらも他曲と雰囲気があっているため高評価。

戻り復活式への変更さえ除けばアーケード版の粗い面を見直し、さらにブラッシュアップする形となった良アレンジ版なのだが、
コアなゲーマーにとってはどれだけアーケードを再現し、練習に使えるかという点も重要であるため、評価されない期間もあった不遇の作品でもある。
同じグラディウスシリーズのSFC版『III』に近い立ち位置と言えるだろう。

後年になって海外版のPCエンジンミニに収録された際に、グラフィックとBGMをよりアーケード版に近づけて合成音声を追加したほか、1Pプレイ時もその場復活方式を採用したnear Arcade版が新たに制作・収録されている。



余談

  • 音楽について
BGMの作曲を担当したのはMIKI-CHANGこと東野美紀で、制作当時はなんと大学生。アルバイトとしての参加だった。
作曲にはかなり難航したらしく、未使用データ内にはかなりの数の没曲が存在する。その内の3曲に関しては上述のライフフォースにて手直しが施されたうえで日の目を浴びることとなった。*11楽曲を聴いてもわかりやすいのだが、三連付をこれでもかというほど多用している。スコアを見ると非常にわかりやすい。また一部に変拍子もある。

なお、本作のBGMはFM音源によるステレオ対応で制作されており、対応する専用筐体もセットで販売された。
とは言え流通数は少なかったため、設置された店舗には列ができたのだという。国外版LIFE FORCEの項目で触れた予想外のヒットというのもこのこと。
北米版LIFE FORCEにはタイトルロゴの上に「STEREO SOUND」と表示されるようになっており、大きなウリの一つだった。
当時の『マイコン BASIC Magazine』には「YK-2」こと古代祐三氏による左右両チャンネルに分けてのBGMの演奏プログラムが公開された。

  • 弾幕STGの祖先?
本作もグラディウスシリーズ同様、ゲームをクリアしても2周目3周目と難易度が上昇して続いていく。
そして高次周になるほど打ち返し弾が激化し、常人では切り抜けられぬ量の弾が画面に飛び交うことになり、これを誘導と切り返しで突破するのが達人の証となっていった。

この光景(と、別STG『バトルガレッガ』)を見たあるゲームディレクターは「大量の弾をすり抜ける面白さ」に着目。
より遊びやすく自機当たり判定を極小にするなどの調整を施して誕生したのが『怒首領蜂』であり、そこから派生する弾幕系シューティングゲームという新たなSTGの流派が誕生する事になった。

  • 難易度とゲームバランス
1周目は各ステージを覚える必要があるが、強化が済んだ自機の攻撃性能・なにより安定性が非常に強く、各ステージにおける攻略の要所を押さえて丁寧に立ち回ることを心がければ比較的難易度は低め。

一方で高次周回は難易度上昇率の曲線がかなり急で、敵の撃ち返し弾が始まる3週目からその片鱗を味わえる。
周回を重ねることで撃ち返し弾が増加するため、攻略における立ち回りがガラッと変わるのが大きな特徴。

しかしながら本作は比較的処理落ちがかかりやすく、またプレイヤー側がそれをコントロールしやすい特性がある。
また、敵の出現や配置・攻撃パターンは完全に固定であり、そのパターン性の強さが非常に際立っていて同年代のシューティングゲーム作品とは一線を画するものがあった。

ゲームテンポが早めで一周は約15分かかるかどうかという短さ。
アイテム取得方式に変更されたことと同時にアイテム取得スコアが導入されたことによる獲得点効率が非常に良いことも加え、高次周回の苛烈な難易度・ミスが許されないパーフェクトゲームを求められるような「一機ゲー」の評価とは裏腹に、パターン化しやすいことで全国各地で1,000万プレイヤーの発生が相次いだという珍しさを持つ。



追記・修正はちゃんとゼロスフォースを倒してからお願いします。

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最終更新:2025年04月20日 17:09

*1 一応グラディウスにも『Ⅳ』や『』の一部面など縦方向に進むシーンはあるが、自機は横向きのまま進む形。

*2 本作ではコンテニューが無いものの、コインを投入すると即座に1プレイ分の残機が追加されるという豪快な仕様。ただし上限がありディップスイッチ設定にて最大でも9コイン分×残機設定分まで

*3 ミスすると一旦画面が暗転、ゲームが中断され、一番最後に通過したチェックポイントまで戻ってリスタートする方式。

*4 一応システム上は4つ付けられるようになっているので、デバッグ機能などを使えば4個装備は一応できる。

*5 アーケード版における要塞ヴァリスと同一。

*6 容姿はアーケード版とは異なり、画面右端から巨大な頭部のみが登場する。

*7 アーケード版におけるゼロスフォースと同一。最初から固定配置となっている。

*8 ただしその場復活には対応せずどちらか片方がやられた時点で戻る仕様のほか、2人プレイだとオプションが最大3つまでになってしまうのはハードの限界か。

*9 正確にはグラ2を同時刺しでプレイすると出現する隠しアイテムを取り、それによって出現する隠しステージをクリアしないとラスボスを倒してもバッドエンドになるというもの。

*10 2P同時プレイであればその場復活式になる。

*11 2面BGM「Thunderbolt」、4面「Slash Fighter」、5面「Combat」が該当。このうち「Thunderbolt」がファミコン版で、「Combat」がMSX版でも採用されている。