登録日:2025/05/15 Thu 12:39:07
更新日:2025/05/17 Sat 05:53:23NEW!
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東京都交通局7000形は、かつて東京都交通局が保有していた路面電車である。
本項目では更新車である7700形と譲渡車、派生形式についても解説する。
概要
1954年から1956年にかけて93両が増備された、都電の代表的な車両である。
都電荒川線移管後の1977年に大規模な更新工事を実施。
それまでの路面電車のイメージを大きく変えるデザインが好評となり、車体更新車では異例となる鉄道友の会ローレル賞を受賞している。
昭和期の都電荒川線といえばこの形式を思い浮かべる人も多いだろう。
新造車
共通項としては前面2枚窓かつ窓下に前照灯1灯のデザインで、塗装は黄色に赤帯だった。
1954年増備のグループで、7001~7030号車が相当。
7001~7020号が新造車で、7021~7030号車が車体更新車となる。
7020号車は直角カルダン駆動および間接制御を採用した試作車である。
それ以外は直接制御を採用しており、都電としては最後の採用となった。
前面窓は1965年以降3枚に改造された。
都電の路線縮小に伴い1967年末から更新車を筆頭に廃車が始まり、1972年までに全車引退した。
1955年増備のグループで、7031~7050号車が該当。
都電(ryだが、1970年に10両が函館市電に譲渡された。
1955年から1956年にかけて増備されたグループで、7051~7093号車が該当。
荒川線誕生後も31両が生き残り、次述の車体更新が行われた。
更新車
1977年から荒川線のイメージアップを目的に実施されたもので、前述した3次車31両が対象となり車両番号も7001~7031号車に振りなおされた。
更新のため機器類は既存のものを流用しているが、車体は前面一枚窓、直線基調という従来のイメージを覆すものに更新され、その後日本各地に登場する路面電車の設計に多大な影響を与えた。
また、車内には当時の鉄道車両としては珍しかった車椅子スペースも設置されている。
1986年からは25両に冷房化改造が実施され、車体色が緑基調のものへ変更された。
8500形の導入に伴い1991年から廃車が始まったが、都の財政問題もあってか置き換えは一旦ストップ。
そのため、2002年からはLED方向幕化やパンタグラフのシングルアーム化等の再更新が実施された。加えて黄色に赤帯・青帯旧都電カラーの復元塗装も登場した。
2010年代から8800形・8900形・9000形の増備に伴い再度廃車が始まり、次述の7700形に更新された車両を除き2017年までに全車引退となった。
現在は荒川車庫に7001号車(更新車)が動態保存されている。
7700形
さて、前述した新形式による置き換えで全廃…と思われた矢先、まさかの事態が発生する。
そう、再更新の実施である。
これに至ったのは、新車導入よりもコストが安く済んだのが理由ともされている。
製造から60年以上たった機器類を8900形と同等の新品に交換し、外観も9000形に近いクラシカルなラッピングに変更された。
このため、7000形時代の部品といえば車体と冷暖房装置・放送装置のみであり、まさにテセウスの船状態。
以下に種車と塗装の対照表を記す。
7700形 |
種車 |
車体色 |
7701 |
7007 |
緑 |
7702 |
7026 |
緑 |
7703 |
7031 |
青 |
7704 |
7015 |
青 |
7705 |
7018 |
青 |
7706 |
7024 |
えんじ |
7707 |
7005 |
えんじ |
7708 |
7010 |
えんじ |
譲渡・派生形式
老朽化した2軸単車置き換えのため、1970年に前述した2次車10両が譲渡された。
車両故障や路線縮小で廃車が進み1985年以降は3両のみの陣容だったが、それでも2010年まで運用された。
このうち一両は都電時代の黄色に赤帯塗装に復元されて運用されたことがある。
軌道線(
東田本線)の近代化を目的として、1992年から2000年にかけて4両が譲渡された。
92年の譲渡車は都電時代非冷房だったが、譲渡に際して冷房装置が設置されている。
また、台車も豊橋鉄道に合わせて狭軌のものに交換されている。
いずれもラッピング車両として活躍しており、2024年にはリニューアル車が登場した。
リニューアル車は車体が一新されており、
二度目の車体載せ替えという鉄道車両では珍しい事態が生じている。
1957年から1964年にかけて31両が導入された。
本形式の原型車をベースとした車両で、製造から60年以上経過した現在も冷房化と行先のLED化も実施され28両が現役という奇跡的な車齢の持ち主。
1987年以前には2両連結運転が行われていた。
関連作品
テレビアニメ版第3作、「美少女戦士セーラームーンS」第10話「男の優しさ!優一郎レイに失恋?」
劇中で新7010号車が登場、敵対組織デスバスターズの幹部であるカオリナイトによって女性型の怪人であるダイモーンの一人、「トデーン」に変貌し、セーラー戦士と交戦した。
トデーンの風貌は鉄道車両そのもの、というよりかは女性乗務員をイメージした服装で、口調も車掌のアナウンス風である。
最終回に登場する。有名なシーンであるが、最終回ということでネタバレを防止するために、本項目では説明しない。詳しくは当該回を視聴されたし。
2003年発売のセット品「組み換えパレットシティ」に収録。新7015号車がモデルになっている。路面電車は専用の構造をしており、2軸(1軸は動力)+中央の1輪の構造で、1本の溝が用意されたパネルに中央の1輪をあてがい、走行する仕組みである。そのため、通常のポケトレインの線路上は走行できない。
なお、この構造を利用した路面電車用のパネルと車両の追加販売も計画されていたが、立ち消えとなり、都電7000形が唯一このシステムを利用する。
ポケトレインの販促アニメ。ちょうど放送開始と前後して上述のセット品が発売され、「7000がたとでんあらかわせんちゃん」、セリフでは「都電ちゃん」と呼ばれ、赤ちゃんのキャラクターとして登場した。
もちろん号車表示も玩具に合わせて新7015号車であり、
なお、玩具とは違いほかの列車も走る鉄道線に入っていくシーンもある。
扉絵を中心に何度か作中に登場する他、2006年には連載30周年を記念し7004号車にラッピングが施された。
追記・修正は7000形の原型部品を見つけた方がお願いします。
- 一応土佐電の600も都電7000の類似形式だから、関連作品に土佐電関連のものを入れてもいいはずだが、消す理由はあるんですか?また、車番も新造車と更新車で振り直されてるので、混乱を避けるために更新車は新n号車と分かりやすさを優先したはずですが。 -- Blackboshi3700 (2025-05-17 05:53:23)
最終更新:2025年05月17日 05:53