都電荒川線(東京さくらトラム)

登録日:2021/08/05 (木) 01:30:40
更新日:2021/09/02 Thu 17:59:23
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都電荒川線(とでんあらかわせん)は、東京都交通局が運営する路面電車。かつて東京23区の大半を結んでいた都電唯一の生き残りであり、東急世田谷線と並ぶ東京の路面電車の1つである。

東京都荒川区の三ノ輪橋停留所から新宿区の早稲田停留所*1までの約12.2kmを結んでいる。

2017年には「東京さくらトラム」という愛称が設定された。正直言ってダサい。

駅ナンバリングはSA。これは上記の愛称から来ている。

概要

元々この区間は王子電気軌道(王電)という会社が敷設した路線であった。それが1942年。戦時中の統制により当時の東京市電気局(東京市電)に買収され、その翌年に東京市と東京府の合併により東京都が成立したことで都電となった。

しかし高度経済成長期にモータリゼーションが普及していく中で車の量が増えていった結果、都電は邪魔物扱いされるようになり、都電の幹線を代替する地下鉄網の整備が進行した背景もあり、1967年から相次いで廃線されていった。
当初、荒川線に当たる27系統三ノ輪橋~王子駅前間と32系統も廃線が検討されたが、専用軌道が多かったことや沿線住民の希望などから存続が決まり、1974年にこの2系統を合体させた「荒川線」が誕生した。*2

前述の通り路面電車という割に専用軌道区間が殆どであり、現在併用軌道区間(自動車と並走する区間)は、王子駅前~飛鳥山間のみとなっている。*3

運行形態

基本的に三ノ輪橋から早稲田まで通しで運転される。たまに町屋駅前、荒川車庫前、王子駅前、大塚駅前止まりの便がある。

あと昼間の時刻表が「この時間帯は5~7分に1本来ます」というかなりざっくりしているものになっているのも特徴。自動車と並走する関係で遅延しやすいのが原因か。

車両

都電荒川線の車両は全て1両編成で運行されている。これでも東京の23区の中を走る路線です。
また、全車両電鈴を装備しており、ドアが完全に閉まるときに「チンチン」となる。*4

現役車両

8500形
1990年デビュー。7500形以来28年ぶりの完全新造車であった。白地に緑帯というまさに都の電車という塗装をしている。当初はこの形式で全ての車両を置き換えるつもりのようであったが、都の財政難により5両を増備するに留まった。
先行車である8501号は他の車両と試作要素があったせいか、他の4両とは前面が異なっている。また8501号はかつてワンハンドルマスコンであったが、運転手から不評だったため後に他の車両と同じくツーハンドルマスコンに改装されている。
また、8503号以降は座席がオールクロスシートになっているのも特徴。

9000形
2007年デビュー。明治期の都電を再現したレトロ車両であり、車内も木目調になっている。2両が所属しており、それぞれエンジ色とブルーの塗装になっている。
イベント車両や貸切電車としての抜擢が多い。

8800形
2009年デビュー。丸い車体とつぶらなライトが特徴。座席のモケットは沿線のバラをモチーフにしている。10両が所属している。
色はローズレッド、バイオレッド、オレンジ、イエローの4種類あり、それぞれ5両、2両、2両、1両となっている。なおイエローは1両しかいないせいか、乗ると幸せになれるという噂があった。現在は8900形のイエローも加わったので、この噂があるのかどうか微妙だが

8900形
2015年デビュー。角張った車体が特徴。座席のモケットは都電のマスコットキャラクター「とあらん」をあしらったものであり、実際に同じモケットを使ったクッションが発売されたことがある。8両が所属している。
色はオレンジ、ブルー、ローズピンク、イエローの4色があり、それぞれ2両ずつ存在する。

7700形
2016年デビュー。7000形を大規模改修したもの。8両が所属している。
特徴はなんといっても吊り掛け駆動車をVVVFインバータに更新させたということであろう。これは相鉄3000系以来の事例である。
9000形と同じくレトロなラッピングを施してあり、カラーは緑、青、えんじの3色である。それぞれ2、3、3両存在している。
またレトロさを表現するためか照明が暖色系になっているのも特徴。
ちなみに7707号車は7000形時代にセーラームーンSの劇中で怪人「トデーン」に変体させられ、セーラー戦士と戦った過去がある。

過去の車両

ここでは荒川線成立以降に走っていた形式について扱う。
6000形
1947年デビュー。全部で290両という戦後の都電車両としては最多の製造数*5を誇った。そのため昔の都電のイメージとしてこの車両を思い付く人も多い。
荒川線成立時には13両が残り、1978年のワンマン化まで走行した。
一度は引退したものの、応急車両として残っていた6152号が1986年に再デビューを果たし、「一球さん」という愛称でイベント用車として親しまれてきた。
しかし2000年の法改正でブレーキ系統が1つしか無い6152号は新しい安全基準に適合しなくなり、2001年に引退。現在は沿線のあらかわ遊園で保存されている。
この他、廃車後に都内の個人宅で保管されていた6086号が2008年に荒川車庫へ里帰りしており、自走不能状態ながら車庫公開の際などに表に出てきて展示されている。

7000形
1954年デビュー。全93両が製造され、荒川線には31両が継承された。
1977年から78年にかけてワンマン化のために車体更新され、四角くスマートな見た目になった。当初は黄色と青帯という塗装であったが、1986年からの冷房化改造の際に、緑帯の見た目となった。
なおデビュー当初の塗装は2005年に7022号が纏う形で復活し、更に2013年には7001号が黄色に赤帯というツーマン時代の塗装になった。
後継車両の登場により次々に数を減らし、2017年に引退となった。
なお一部は7700形に改装されて現在も現役である。ただし、デビュー時の面影は一切残ってないがな。
その他4両が豊橋鉄道に譲渡されており、今でも元気な姿を見ることが出来る。

7500形
1962年デビュー。なおこの約5年後に都電の廃線が開始されたため、結果として荒川線成立以前最後の新車となった。
全20両が製造され、荒川線には18両が継承された。その内16両が1978年にワンマン化改造され、他の形式と同じく赤帯から青帯へと塗装が変わった。
その後1986年に13両が車体更新され、丸形の2つ目ライトの見た目から、角張った緑色の見た目になった。
2011年に引退。その後7510号は「花100形」として花電車に改造されたが、それも2018年に廃車となった。
車体未更新のまま通学ラッシュ用に使用されていた7504号が荒川車庫前の「都電おもいで広場」に保存されている。

主な停留場

特に言及してない所は2面2線の相対式ホームである。

SA01 三ノ輪橋
レトロな見た目が特徴の停留場。2面2線で乗車ホームと降車ホームが分かれている。2018年には「三ノ輪橋おもいで館」という案内所ができた。東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅とは区を跨いだレベルで離れているが、一応乗り換えの案内はしていた時もあった。

SA02 荒川一中前
2000年開業という荒川線の中では一番新しい駅。ジョイフル三ノ輪のもう一つの入り口。

SA03 荒川区役所前
名前の割に肝心の荒川区役所は停留所から500メートルも離れている。早稲田方のホームではスカイツリーを背に走る車両を撮ることができる。

SA04 荒川二丁目
荒川自然公園最寄駅。2017年には「ゆいの森あらかわ」という図書館などの複合施設が近所にできた。

SA05 荒川七丁目
三河島水再生センター最寄り。荒川自然公園はこちらからも行ける。

SA06 町屋駅前
東京メトロ千代田線、京成線乗り換え。ただし京成線は普通しか停まらない。周辺はセンターまちやを中心に商業施設や飲食店などが建ち並んでいる。混雑時には臨時改札が設置されることがある。

SA08 東尾久三丁目
都立尾久の原公園最寄り。トンボが有名。

SA09 熊野前
日暮里・舎人ライナー乗り換え。尾久橋通りと交わった所にある。

SA10 宮の前
荒川線で唯一、ホームが上下ともに道路上にある。

SA12 荒川遊園地前
その名の通り「あらかわ遊園」の最寄停留所。
周辺には子供をターゲットにした飲食店や商店などが多い。
東京水辺ライン(観光船)の荒川遊園発着場は乗りかえ。また、JR東北本線、尾久駅は乗り換え可能。

SA13 荒川車庫前
その名の通り「荒川電車営業所」が近くにあり、車庫もそこにある。
荒川電車営業所には「都電おもいで広場」という広場が隣接されており、そこにはかつて走っていた路面電車2両が保存・展示されている。
なお三ノ輪橋方面のみ乗車ホームと降車ホームが分かれている。

SA14 梶原
「都電もなか」が名物の「菓匠 明美」の最寄駅。
早稲田方面の乗り場ににタバコの商店がある。が、都電の乗り場は禁煙。

SA16 王子駅前
東京メトロ南北線京浜東北線乗り換え。また、飛鳥山のモノレールも乗り換えである。北とぴあ前。
周辺は商業施設や飲食店などが建ち並んでいて、賑やかである。
混雑時は臨時改札が設置されることがある。その場合は車内で運賃を支払うのではなく、停留場で支払う。
最混雑時間帯は降り口にも駅員が設置される。
ここから飛鳥山まで都電は併用軌道区間であり、道路の真ん中を走る。
ちなみに飛鳥山公園はここからでも行ける。

SA17 飛鳥山
飛鳥山公園最寄駅。ここ周辺は都電の定番撮影スポットとして有名。

SA18 滝野川一丁目
桜丘中学・高等学校最寄り。南北線西ヶ原駅はまーまー歩くがここで乗り換え可能。

SA19 西ヶ原四丁目
武蔵野中学・高等学校最寄り。地名は西ケ原四丁目。

SA20 新庚申塚
都営三田線(西巣鴨駅)乗り換え。300メートル歩くが。白山通りと交差するところにある。

SA21 庚申塚
おばあちゃんの原宿として有名な巣鴨地蔵通り西の玄関口。ただし当電停が面している箇所は地蔵通りには当たらない。
年齢層需要があるからなのか、三ノ輪橋と同じくレトロなホームとなっている。

SA23 大塚駅前
山手線乗り換え。駅前という割に停留場があるのは山手線ホームの真下である。周辺は飲食店などが建ち並び、最近では再開発によってホテルができた。

SA25 東池袋四丁目
東京メトロ有楽町線(東池袋駅)乗り換え。池袋駅東口にも歩いていける。サンシャイン60最寄停留所だが、そのサンシャイン60までは約1km程離れている。

SA26 都電雑司ヶ谷
夏目漱石などの数多くの著名人墓がある雑司が谷霊園の最寄停留所。
2008年までは「雑司ヶ谷停留所」であったが、副都心線の駅と紛らわしいという理由で現在の名前へと改名された。
2015年に豊島区役所がここに移転してきた。
ちなみに「Steins;Gate」のアニメ版で出てくる路面電車の停留所はここである。

SA27 鬼子母神前
東京メトロ副都心線(雑司ヶ谷駅)と乗り換えができる。
すすきみみずくで有名な雑司ヶ谷鬼子母神の最寄駅。

SA28 学習院下
名前の通りここから坂を登ると学習院がある。少し面影橋よりにある高戸橋は春になると桜とコラボした撮影スポットになる。
多くのアニメやドラマで出てくる急坂「のぞき坂」はここが最寄。

SA30 早稲田
終点。2面1線の駅で、降車ホームと乗車ホームで分かれている。降車ホームは、複線区間まで延びており、前の電車が止まっている時は、ここで客を降車させる。ドーム状の屋根が特徴。
早稲田大学の最寄駅である。しかしその一方で東京メトロ東西線の早稲田駅とはかなり離れたところにあるので注意。(大学の構内を通らないといけない。)

運賃

大人170円、小学生以下90円。どこからどこまで乗っても170円である。超やすい。
注意点として、例えば熊の前から王子駅前に行く場合、車庫前ゆきの電車に乗ってしまうと、王子駅前までいけない。その場合、乗り継ぎ券は発行されないので、もう一度170円を払うことになる。その場合は乗車停留所で次の電車まで待ちましょう。

乗り方

前乗り後ろ乗り。事前に乗り場で、ICカード、現金、回数券、定期券、一日乗車券を用意しよう。ICカードは事前にコンビニなどでチャージしよう。現金は釣り銭のないように。都営の一日乗車券、都電の一日乗車券、回数券は車内でも購入可能。
乗車したら運賃精算機に、現金(小銭)の場合は運賃箱へ、1000円札はお釣りがあることを知らせてから支払いましょう。回数券も運賃箱へ。
ICカードは読み取り機にしっかりタッチ。車内チャージは1000円札のみ対応しています。
定期券、一日乗車券は日付面をしっかり見せましょう。
子供運賃だったり、大人数の運賃を一気に払う場合、運転士に事前に知らせよう。
朝ラッシュ時は積み残しが日常茶飯事です。焦らず苛立たずのんびり待ちましょう。
乗車したら車内の中程、出口まで進みましょう。
降りる電停が近づいたらブザーボタンを押して運転士まで知らせましょう。
ドアが開いたら足元と忘れ物に注意しておりましょう。降り遅れは結構多いです。もしも降りれなかった場合で、電車が発車していなかった場合はもう一度ブザーボタンを押すと開けてくれます。





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最終更新:2021年09月02日 17:59

*1 ここではWikipediaを基準に駅のことを「停留所」と呼ぶ。

*2 なお27系統は王子から先、赤羽駅まで線路が延びていたが、こちらは殆どが併用軌道であったせいか廃線となった。この区間はだいぶ後年になってから東京メトロ南北線に代替された

*3 かつては熊野前~小台間も併用軌道であったが、都市計画によってセンターリザベーション化し、車道と分離化された

*4 これは、ツーマン運転の時代に車掌が運転手に発車の合図をしていたことの名残である。ちなみに路面電車の愛称の1つである「チンチン電車」の由来はこれである。

*5 なお戦前も含めた最多は大正末期に製造された木造3000形で、その数610両