戸田恵子

登録日:2025/07/02 Wed 21:25:00
更新日:2025/07/09 Wed 21:26:09
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戸田 恵子(とだ けいこ、1957年9月12日 - )は、日本の女優、声優、歌手、タレント。
ルックアップ所属。



【来歴】


母の勧めで小学生の頃からNHK名古屋放送児童劇団に所属。テレビ番組『のど自慢』のチャンピオンにもなった経験を持つ。
10代で上京し、1974年にアイドル演歌歌手・あゆ朱美(あけみ)の芸名でデビュー。しかしヒット曲には恵まれず、タレントやリポーター業もこなしていた。

1977年、19歳で野沢那智が主宰する劇団薔薇座に入団。舞台女優としての修業を積み、『スイートチャリティ』で文化庁芸術祭賞、『渾・身・愛』で紀伊國屋演劇賞個人賞などを受賞。薔薇座の中心的存在として活動した。

野沢の勧めで生活のために声優活動を始める。
声優としては1979年の実写版『眠れる森の美女』のオーロラ姫役がデビュー作、『無敵鋼人ダイターン3』が初めてのアニメ出演作となった。

同年に『機動戦士ガンダム』のマチルダ・アジャン役で一躍有名となり、『キャッツ♥アイ』では主人公・来生瞳を演じ注目を集める。
富野作品繋がりで出演した『伝説巨神イデオン』では、実質的なメインヒロインであるカララ・アジバを演じているが、実はデザインも含めて当時の戸田のイメージで作られたキャラクターである。ED曲も担当するなど富野作品では特に重要な扱われ方だが作品そのもののインパクトのせいで薄れがち。

声優デビューして間もない頃は、アニメの画面に合わせて声をあてる難しさに苦労した時期もあったが、次第に技術と感情表現を磨き、多くの代表作を持つようになる。

1988年に放送が開始された『それいけ!アンパンマン』では主人公のアンパンマンを現在に至るまで演じ続けており、声優としてのライフワークとなっている。

1990年代中期以降はテレビドラマ『総理と呼ばないで』への出演を皮切りに、『毎日が夏休み』『ショムニ』『ちゅらさん』など実写作品のコメディエンヌとして重宝されるようになり、知名度が大きく上がった。1997年には映画『ラヂオの時間』の千本のっこ役で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞している。

2007年には歌手として再デビューし、アルバム『アクトレス』を発表。女優業が活動の中心となって以降はアンパンマン以外での声優活動は以前より縮小しているものの、アニメ・洋画の吹き替えを問わずに単発的に継続している。2020年代には『ヒーリングっど・プリキュア』や『うる星やつら (第2作)』といったテレビアニメに準レギュラー出演した。

2012年に声優アワード・高橋和枝賞を、2014年に同アワードの特別賞を受賞した。

【特色】

洋画の吹き替えではジュリア・ロバーツ、ジョディ・フォスター、ジリアン・アンダーソンなどの声を担当。アニメの吹き替えはディズニー・ピクサー作品が多い。

歌手として芸能界デビューした経歴と歌唱力を活かし、『ガンダム』や『イデオン』などの出演作で主題歌や挿入歌を担当する機会が多い。

【交友関係】

野沢雅子を深く尊敬している。『ゲゲゲの鬼太郎』第3シリーズで2代目鬼太郎役に選ばれた際には、第1期2期で鬼太郎を演じていた野沢から「役を奪ってしまう形になった」とかなり気に病んでいた……が、これが結果的に野沢の声優人生で最大の代表作への大抜擢につながったとか。
また第5シリーズの劇場版『日本爆裂!!』の冒頭で同時上映された短編映画『ゲゲゲまつりだ!!五大鬼太郎』ではそれまでの歴代が当代の鬼太郎(CV:高山みなみ)と共演を果たし、それぞれの歴代鬼太郎役を演じた野沢・戸田・松岡洋子(4期)が再演している。
このころ戸田は女優業をメインとしており、アンパンマン以外の声優業はほぼ行っていなかったために当初はオファーを断るつもりだったが、野沢も同作に出ると聞いて出演を決意したとか。

交友関係は広く、特に竹下景子や児童劇団時代からの付き合いである三ツ矢雄二とは半世紀以上にわたり親交がある。

戸田のファンを公言する脚本家の三谷幸喜からは長年にわたって信頼を寄せられており、舞台やドラマの出演依頼を直接受けることも多い。
前述した『総理と呼ばないで』も『ラヂオの時間』も三谷作品であり、三谷作品の常連の一人に数えられる。
なお、三谷とは実写版テレビドラマ『サザエさん』の伊佐坂夫婦役で共演を果たしている。

上記の野沢や三ツ矢の他、声優業では納谷六朗、内海賢二銀河万丈玄田哲章山寺宏一、藤田淑子、鶴ひろみとの共演が多い(ちなみに『アンパンマン』ではここに挙げた全員がレギュラーまたはゲストとして戸田と共演している)。

【エピソード】

  • 『機動戦士ガンダム』で共演した池田秀一とは一時結婚していたが、短期間で離婚。
    戸田は後年ジオン軍連邦軍の結婚はうまくいかなかった」と冗談めかして語っている。
    その後、1990年には俳優の井上純一と再婚するも、2006年に離婚した。
  • 声優仲間からは「グリコ」の愛称で親しまれている。由来は薔薇座入団当初の髪型が「イガグリ頭」だったためで、お菓子とは関係ない。

◆アンパンマン

戸田は当初、アンパンマン役のオーディションには参加していなかったが、選考が難航したため原作者・やなせたかしにデモテープを提出し、最終的に起用されたという経緯がある。

「パンの擬人化」という過去に演じたことのない異例のキャラクターを演じるにあたり、どんな声を出すべきか当初は困惑したものの、やなせから演技に対する具体的な指示はなく、「世界一弱いヒーロー」という言葉のみを頼りに演じ始めた。
本人は声のイメージを練るにあたっては、キャラクター個々が持つ第一印象を重要視することが多いと語っており、アンパンマンについてはその丸い顔から優しい声や口調を想起させたという。

前述の山寺や三ツ矢をはじめ多くの共演者とは親しい間柄。やなせとも主演として長年交流があった。2013年にやなせが逝去した時にはショックで一時は降板も考えたが、アンパンマンを応援する子供たちの姿に励まされ続投を決意。追悼の場では「1本でも多く続けたい」と語った。

番組については「偉大なるマンネリ。変わらず続けることが大事」と述べ、「100年続く番組を目指したい」との思いを持っている。

「アンパンマンの声」が日本人なら誰もが聞いたことがあるほどの存在になったことで、バラエティなどでしばしばアンパンマンの声を出すよう振られることも多い。
だが、本人は子供の夢を壊さないための配慮から丁重に断るか、それでも出す場合は口が映らない(=戸田がアンパンマンの声で喋っているという光景を直接見せない)よう気を配った上で披露している。
映画の舞台挨拶でも長らく登壇することはなかったものの、やなせ死去後の2014年以降はばいきんまん役の中尾隆聖と共に顔出しで出演するようになった。

自身のブログでは、毎週月曜に行われる『アンパンマン』のアフレコの様子についての報告や実際に使用した台本の写真をアップすることが多い。
台本の表紙にはサブタイトルが書かれているため、今後放送予定のエピソードや新キャラなどをいち早く窺い知ることができ、アニメファンに重宝されている。

【出演作品(声優)】

※「☆」は三谷幸喜が監督または脚本を手掛けた作品。

◆テレビアニメ


◆アニメ映画


◆吹き替え


◆その他の作品

  • リトルツインスターズ(キキ)*1
  • 連続人形活劇 新・三銃士(ミレディー 他)☆
  • シャーロック ホームズ(イザドラ・クライン 他)☆

【主な出演(女優)】

◆テレビドラマ

  • 総理と呼ばないで(官邸事務所秘書係主任)☆
  • ショムニ(徳永あずさ)
  • 古畑任三郎 vs SMAP(前田)☆
  • HR(宇部恵子)☆
  • 新選組!(お登勢)☆
  • 電車男(山田剛司の母)
  • サザエさん〈観月ありさ版〉(伊佐坂軽)
  • 遺留捜査(佐倉路花)

連続テレビ小説

  • チョッちゃん(山野鈴)
  • ちゅらさん(下柳聡子)
  • 純情きらり(松井かね)
  • まれ(ナレーション/魔女姫)
  • なつぞら(煙カスミ)
  • あんぱん(薪鉄子)

◆映画

  • ラヂオの時間(千本のっこ)☆
  • THE 有頂天ホテル(矢部登紀子)☆
  • ザ・マジックアワー(マダム蘭子)☆
  • ステキな金縛り(旅館の女将)☆




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最終更新:2025年07月09日 21:26

*1 劇場アニメ『キキとララの青い鳥』、OVA『オリジナルアニメストーリー』シリーズ、『大好き!ハローキティ』。