愛と憎しみの特撮音楽劇「カザーン」

登録日:2025/09/21 Sun 14:40:00
更新日:2025/09/22 Mon 18:48:18
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火山
それは敵か?味方か?
それとも……


【概要】

『愛と憎しみの特撮音楽劇 カザーン』とは、大分県が2024年に発表した啓発動画である。
もしかして→大権威ガ・ダーン

火山を擬人化したキャラクター「カザーン」を主人公に、火山を正しく恐れる火山防災意識をミュージカルで啓蒙していくというもの。
製作は『TAROMAN』でおなじみの藤井亮。氏の作風に違わず昭和の特撮を再現したものとなっている。

動画はカザーンと反火山団体との戦いをミュージカル方式で描く本編と、火山の知識をカザーンが解説する「おしえてカザーン」の2パートに分かれる。
全4本で、トータルで14分弱。
挿入歌の歌詞のテロップは『太陽仮面サンタワー』と同じく『電人ザボーガー』風で、作風も東映作品よりはピープロ作品に近い。

現在はYouTubeで全話公開中。大分県の人でなくても見れるのでご安心を。

【ストーリー】

大分県の火山の化身カザーン。
彼は温厚で優しい性格であったが、火山を恐れる反火山団体ノーノーボルケーノはカザーンを抹殺しようと企む。
出動する反火山ロボから放たれる火山消滅ビーム。
はたしてカザーンと大分県の運命は?
そして……火山とは、本当に恐ろしいだけの存在なのだろうか?

【登場人物】

  • カザーン
大分県の火山の化身。カザーン伝説を信じるブンゴの歌に呼ばれてモスラよろしく現れた。
山に巨大な団子っ鼻の顔がついた容姿をしている。顔は造形で目と口が可動する。
キモいと見るかキモかわいいと見るかは人によるかなりインパクトの強い顔。
腕もあり、こちらは手袋をはめた演者が演じている。
性格は非常に温厚かつ理知的。自ら他者を傷つけることはせず、火山の知識をわかりやすく解説する知的さを併せ持っている。
しかし、一度怒ると大魔神のように恐ろしい形相に変わって強力な力を発揮する。

  • ブンゴ
大分県の自然を愛する少年。
カザーンと仲良くなり、彼から火山についての様々な知識を教えられる。
名前の由来は大分県の旧名の豊後。

  • イズミ
ブンゴと行動を共にしている女性。空気。

  • 博士
火山を研究している博士。蒸し卵が好物。
大分県が誇る日本一の温泉の効能で美しい体を保っていると言うが、めちゃメタボ体形。
むしろ大分県へのイメージダウンである。電柱組の差金じゃねーのかこいつ?

  • ノーノーボルケーノ総統
すべての火山を消滅させようとする反火山団体ノーノーボルケーノの首領。
火山を逆さまにした被り物をして、顔に×のペイントをしている。
多数の戦闘員を従えており、そいつらは全身タイツに山に×をつけたマスクをしている。
組織力はかなりのもののようで、巨大な搭乗ロボット「反火山ロボ」を建造している。
反火山ロボも山に×をつけた顔をしており、胸から火山消滅ビームを放つ。
ぶっちゃけ本当に火山を消滅できたらノーベル賞ものである。

【余談】

藤井亮作品では、残念ながらマイナーな部類に入る。
過去にも石田三成のCMを手掛けているが、石田三成という全国的にメジャーな武将と違って、大分県人以外にはまず馴染みのない大分の地理や火山の知識が他県人にはとっつきにくいのは事実。
主人公のカザーンの容姿も万人受けするものとは少々言いづらいことが理由としてあげられる。

また、公開当時はタローマンの人気も沈静化した時期だったため藤井監督の知名度も及ばず「県民の税金でこんなものを作るな」という批判が少なからずあった。
そのためかせっかく作ったのに大分県の後押しも限定的で、大分県民でも知らない人も多い。
しかし本作のミュージカル描写は後の劇場版タローマンにも共通しており、タローマンを見た人ならピンとくるところも多い。
そして火山に関する解説はちゃんとしたものなので、決して見て損をする作品ではない。



君も火山の脅威と恩恵を追記・修正してカザーンと共に生きよう。
なお、同じ九州の阿蘇山はかつて日本全土を壊滅させたほどの破局噴火を起こした形跡が確認されている。
また、地球の歴史上で何度も起きた生物の大絶滅の原因のひとつに火山の大爆発が数えられている。
火山が本気で怒った時の災害は人間が対策したくらいじゃどうにもならないのであきらめよう。
しかしただの噴火であるなら防災マニュアルに従って適切に避難すれば犠牲は抑えられることは種々の事例が証明している。
火山、あなたは敵と思いますか?味方と思いますか?


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最終更新:2025年09月22日 18:48