ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される

登録日:2025/09/22 Mon ??:??:??
更新日:2025/09/22 Mon 02:36:59NEW!
所要時間:約 8 分で読めます




「わたしが姉の身代わりなんて、無理に決まっています!」

ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』は、とびらのによるライトノベル作品である。
小説家になろう」に2019年から2020年まで掲載され、書籍版はMノベルスf(双葉社)より2020年より連載されている。既刊9巻(2025年8月現在)

略称は「ずたぼろ令嬢」。


【概要】

誰からも可愛くない」と呼ばれた主人公が、対極的に美しいとされる姉の代わりに婚約者の元を訪れて幸せをつかみ取るストーリー。
実は婚約者は美しいと言われていた姉ではなく、主人公である妹のことを最初から愛していたのがタイトルの所以である。
近世ヨーロッパと思われる世界で、政略結婚があたり前だった時代。
主人公はその容姿もあいまって、自分は誰からも愛されることはないと諦め気味であったのだが、相手の婚約者は最初から主人公に「溺愛」している状態だったので、好感度はMAXの状態だった。しかし、自分に自信を持てない主人公は心を閉ざしており、微妙なすれ違いを起こしてしまう。そうした状態からいかに脱却できるのか、主人公が勇気を出していっぽ踏みだせるかが物語のポイントになっている。

ちなみに主人公の容姿は「ずたぼろ」であると評されているが実際ではそうではない。美しい原石を秘めている。
本作はまさにそんな彼女が幸せをつかみ取るシンデレラストーリーでもある。
メディアミックスとしては、仲倉千景作画によるコミカライズ版が「がうがうモンスター」(双葉社)より連載されている。(既刊9巻:2025年6月)
また、テレビアニメ版が2025年7月より放送されている。

【あらすじ】

ずたぼろの服をまとい、両親から召使のように扱われている貧しい男爵家の次女・マリー。
それでも素直で優しい心を持ち続け、彼女は家族に尽くしていた。

ある日、マリーのバースデーパーティが開かれる。
ところが、主役はお姫さまのような姉のアナスタジア。
会場の外で哀しそうに佇むマリーは、偶然にも大富豪のキュロス・グラナド伯爵に遭遇する。

お互いに惹かれ合い、マリーにひと目惚れしたグラナド伯爵だったが、ある勘違いからマリーではなく、
アナスタジアに求婚してしまう!
急速に進んでいく、グラナド伯爵と姉との婚約。
しかしアナスタジアが事故死してしまい、代わりにマリーが伯爵家へ嫁ぐことになり……!?

勘違いから始まる“ずたぼろ令嬢”のシンデレラストーリー、開幕!
(テレビアニメHPより引用)

【キャラクター】


(主要人物)

・マリー
CV:本村玲奈
本作の主人公。
シャデラン男爵家の次女。
華やかで美しい容姿の長女アナスタジアとは対照的に、男性を思わせる長身、髪は赤毛で毛玉だらけの容姿で自分に自信を失っている。
しかし、実際は肌やメイク・服装を整えれば、たちまち美しい貴族令嬢に変わることが出来る。しかしそれでも自身がないのは両親から「醜い」「ずたぼろ」「不細工」といった具合に言い聞かせられ続けたことによる。
何なら両親からは虐待に近い迫害と父親の公務を手伝わされる扱いを受けている*1

18歳の誕生日の時に、グラナド伯爵のキュロスと出会い、一目惚れされるも、その時は名乗らなかったことから、彼は姉のアナスタジアとマリーを取り違えて姉の方に求婚してしまう*2。その後、姉が不慮の事故で亡くなり、姉の代わりにグラナド城へ向かうことになる。
そこでキュロスと再会することで取り違えの誤解は解けるのだが、両者にはまだ結婚に対する価値観やキュロスのマリーへの想いについてすれ違いが生じており、2人の気持ちのギャップをどう埋めていくかが物語の焦点となっている。

姉よりも学問に精通しており、キュロスの母の出身地・イプサンドロス共和国の物語や文化がお気に入り。
好きな本は姉が読み聞かせてくれていた「ずたぼろ赤猫物物語」。

・キュロス
CV:濱野大輝
グラナド公爵の1人息子である。しかし正室との間にできた息子ではなく、側室である母親:リュー・リューとの間で生まれた息子である。グラナド公爵家には1人しか男子の息子がいなかったことから、爵位を継承することになると同時にリュー・リューが正室に格上げされた。
しかし、この結果、元から関係が悪化していた元正室の母親が自害する形となり、家族としての関係性が崩壊した。
それ以降、彼は自身の力で伯爵の地位にまで上がることが出来た一方で、上述の経緯も相まって、誰かを愛すること、自身の地位や権力・財力を求める貴族令嬢の政略結婚から逃げ続けてきた。

その中で、自身のルーツであるイプサンドロス共和国のことが好きなマリーと出会い、恋に落ちることになる*3
上述の通り、アナスタジアをマリーと取り違えてしまい、誤った求婚をしてしまうものの、マリーと再び出会い、彼女の置かれた境遇を知ることになる。
それ以降はマリーに心から愛してもらうように配慮を重ねるが、微妙なすれ違いが生じてしまう。剣術や権力をもっているキュロスもマリーの繊細な気持ちを癒すことが出来ず、歯がゆい時を過ごすこともある。しかし、周囲の助けも相まってお互いの気持ちが徐々に通じ合っていくことになる。

マリーを一途に愛していることもあって、普段はクールな彼であるのだが、どうもマリー絡みのことになると我を忘れてしまうことも多い。

(シャデラン男爵家)

・アナスタジア
CV:田中美海
シャデラン男爵家の長女。
ウェ―ブのかかった美しい金髪が特徴的。
社交的で麗しい貴族令嬢。
両親の寵愛を受ける中で、迫害される妹のマリーをいつも気にかけていた。
「ずたぼろ赤猫物語」を妹に読み聞かせる時は役になり切るなど、芸達者な一面がある。服飾が得意で男装用の衣裳を作るのが得意だった。身長の高いマリーにも着れるようにしていた。シャデラン家が立ちいかなくなった際は得意の服飾技術で店を出してお金を工面すると言ってのけるなど責任感もある。
キュロスからの求婚でグラナド城へ向かう途中、事故で命を落とす。


・グレゴール
CV:岩田光央
シャデラン男爵家の当主でマリーの父親。
マリーを使用人のように扱うだけでなく、彼女が語学に通じているのを利用して、男爵家の仕事をやらせているが、その多くが、本来グレゴール自身が執り行わなければならない案件で、マリーに肩代わりさせることは違法である。
こうした振舞が結果的にキュロスの目に止まり、自身の破滅へ追い込まれていく。

・エルヴィラ
CV:園田恵子
マリーの母親。
祖母とは折り合いが悪かったようだ。
祖母が亡くなった後は、アナスタジアは優遇する一方でマリーを毛嫌いし、虐待に等しい非道を重ねていった。

(グラナド伯爵家)

・ミオ
CV:日笠陽子
キュロスの侍従頭。
両親に捨てられ天涯孤独の身だったところをリュー・リューに保護された。
キュロスより年上で、彼の幼少期から姉のように世話をしてきた。
よって、主人であるキュロスに対しても容赦のないツッコミを味合わせることも多い。
また、健啖家なのか、まかないの量が多い。ルイフォンからの誘いでマリーと共に剣術披露会に誘われた際は、露店にある食べ物を片っ端から買い漁っていた。
変装が得意で情報収集の任務を務めることもある。
ちなみに中の人曰く、キュロスの幼なじみとしての側面と従者としての側面を両立するような演技を意識しているという。

・リュー・リュー
CV:大原さやか
キュロスの実の母親。
イプサンドロスの出身で元旅芸人だったところをグラナド公爵に見出され側室となった。
しかし、彼女に対する正室との確執はさけられなかった模様。
彼女の自殺を契機にキュロスと共に城を出た。
マリーを婚約者にすると言われた際は、彼女に対して懐疑的であったが、その人となりやイプサンドロス語といった外国語を含む勉学が出来ることを知り*7、マリーの支えになろうと決め、令嬢としての教育も行なっている。

・トッポ
CV:柿原徹也
グラナド公爵家の料理長。
ふくよかな体型でそれゆえか作る料理の量も多かった。
マリーに出された料理も例外でなく、食べきれなかったことであらぬ誤解をしてしまったこともある*8
割と情にもろい性格。

・トマス
CV:小林竜之
グラナド家で門番を担当している。
なにかと周囲(主にミオ)に振り回されることがあり、苦労が絶えない。
マリーにもやさしく接するなど、頼もしい存在ではあるのだが・・・。

・チュニカ
CV:相坂優歌
グラナド伯爵家の湯の番を担当している。
ずたぼろの状態のマリーを湯につからせて、美容エステを施した結果、見違えるような貴族令嬢に変わるなど、その道のプロなのがうかがえる。

【テレビアニメ版】


2025年7月~9月に毎日放送等で放映されている。
(アニメイズム枠にて放送)
ほぼ原作通りの進行で物語が紡がれている。
監督は北川隆之。シリーズ構成は猪原健太。
アニメーション制作はLandQ studios。

(主題歌)

OP:「月蝕」 krageによるオープニングテーマ。
ED:「マリー」Myukによるエンディングテーマ。

追記・修正はずたぼろだった容姿と人生に生まれ変わるような出来事が起こった時にお願いします。

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最終更新:2025年09月22日 02:36

*1 シャデラン家は貧乏貴族なため、使用人がおらず、マリーが主に家事を担当せざるを得なかった

*2 マリーの服装や独り佇んでいた場面から、誕生日の主賓ではないだろうと勘違いしたことも要因としてある

*3 なお、シャデラン家の誕生日パーティーに出席したのは、同じ政略結婚でも困窮している貴族令嬢と結婚した方が、気が楽で御しやすいと思ったようである。せめてイプサンドロスに理解のある令嬢ならなおの事良いかなと思っていた模様である。

*4 長い髪を切り、隙をついて川に転落死したかのように偽装した

*5 これはノーマンが盲目になっており、女性だと分からなかったのと、上述の彼女の芸達者な演技が実を結んだと言えよう

*6 最もキュロスの変態的な言動がまれにみられ、本人もと共ドン引きしたことがある

*7 本人曰く、外国語が出来る貴族令嬢は引く手あまたの「いい女」らしい

*8 そりゃあ、あれだけの量をたべられるのは自身とミオくらいではないだろうか・・・