登録日:2026/02/24 Tue 19:39:00
更新日:2026/06/22 Mon 11:10:48
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概要
SCP-3221-JPは、共通の異常性を持った自動車である。
1台ではなく多数確認されており、車種もバラバラで四輪で屋根がついてるぐらいしか共通点がない。
出現範囲は、関西を中心に
東京都、
愛知県、
広島県、
島根県、
香川県で少数見つかっている。
このオブジェクトは複数の異なる異常性が組み合わさってできている。
まずは「遵法意識が高まる」というドライバーに対する精神作用。この作用により、非異常の車に比べ事故を起こす確率が70%以上も少ない。
次いで、他の車のドライバーに対しても漠然とした畏怖の感情を与える効果。強いものではないようだが、結果として適切な車間距離を空けたり、オブジェクトに対する煽り行為を控えたり等の行動を取る。つまり事故に巻き込まれる可能性も減らす。
なお、ドライバーはオブジェクトへ乗り降りする際にお辞儀を断続的に3回、拍手を連続で2回行う。明らかに異常行動だが、これには認識災害がかかっており認知抵抗値が1.2以上でないと違和感を覚えないらしい。
見た目の部分では、ダッシュボードに瓶状の容器、火付け道具、紙片、葉、植物を主原料とする食品が等間隔で配置されている。
また、このオブジェクトには、異常存在が出没することがある。
この異常存在(SCP-3221-JP-A)は小柄で不明瞭な見た目をしており、出没後、最短で5分、最長で8時間の間オブジェクトに滞在する。そして下記のような行動を行う。
- 車のエンジンをかけ、車を南東方向に向ける。
- 空調を操作する。
- 車窓に身体を張り付ける。
- シートを倒して寝そべる。
いまいち意味が分からないが、ドライバーや車に危害を加えたりする意図はないようだ。
ちなみに、こいつは人間を察知すると消失するためドライバーその他の人が遭遇したりすることはない(後述する行動から、意図的に人の目を避けていると思われる)。
また、消えた時点で元の状態に戻るため、ドライバーが違和感を覚えることもない。
ただ、後述するように防犯カメラのような映像機器にはしっかり記録されるようだ。後述の経緯から見るともしかしたらこの実体も認識災害持ちなのかもしれない。
燃料を全部抜く、(電気自動車はバッテリーを0にする)と現れなくなる。
あれ?特に害ないじゃん!普通にちょっと変だけどいいオブジェクトじゃない?何か隠された害があるんじゃないの……?と思ったかもしれない。
これが全てである。出没するSCP-3221-JP-Aには知性があるようだが、特に悪いことはしていないようだ。
とはいえ、カメラにバッチリ記録される異常存在が認識災害付きの車両をばらまいているのだ。財団としては収容するしかない。
特別収容プロトコル
上記を踏まえ、収容プロトコルは
- サムズ・カーポート株式会社がSCP-3221-JP-Aが出現しないか監視するよ!
- 回収したオブジェクト車は燃料を抜いて管理してる駐車場に分散して保管するよ!
- 研究用に1台だけオブジェクト車(ハイエース)を燃料入りで保管するよ!
- 発生源となった駐車場はサムズ社が管理権を取得して有料駐輪場へ改装して一般に開放するよ!
といった感じ。
そして、オブジェクトとしては無害寄りであるこいつがKeterである理由。
それは単純に「全てのオブジェクトを収容し切れてないから」。
その詳細な理由(というか事情)は後述する。
オブジェクトはどこで生まれたのか
収容プロトコルにも少し書かれていたがこいつの起源は判明している。
上で触れたように出現場所のほとんどが関西に集中していた。そこに着目した財団がオブジェクト車について調査をした結果、全ての車両が大阪府
大阪市で、とある稲荷神社の駐車場を利用していたことが判明した。そして財団が実際に神社の駐車場に赴いたところ、オブジェクト化した車がいくつも見つかった。
オブジェクトの起源がこの神社あるいは駐車場にあるに違いないと踏んだ財団は神社の調査を実施。結果、オブジェクトの起源に関する決定的な証拠を掴むに至った。
この神社は江戸時代からある小規模ながら由緒正しい神社であるが、氏子の減少や老朽化により資金繰りが悪化。
2022年に神社を維持するため一部の施設を縮小してコストダウンを図り、空いたスペースは収益性の向上を目的に有料駐車場とした。
しかし、上記の改修工事を行った年の秋頃から異変が生じるようになった。具体的には防犯カメラに変なものが映るようになった。
……はっきり言ってしまおう。この変なものこそオブジェクトと化した車に出現するとされている実体、SCP-3221-JP-Aである。
そして、ここに映されている実体はオブジェクト内で出現していた時とは少々違う動きをしている。実際どんな感じで映っているのかログを見てみよう。
<2022/11/26>
13:21、駐車場にSCP-3221-JP-Aが出現。対象はアスファルトに手を触れ、しばらくの間、腹ばいの姿勢をとった。1分後、通行人の接近と同時に消失。
恐らくこれが最初の記録。行動の意味がよくわからないのはこの頃からのようだ。
<2022/11/27>
01:30、駐車中のスズキ ワゴンRにSCP-3221-JP-Aが出現。対象は後部座席に横たわると、そのまま動かなくなった。4時間後に消失。
駐車場に止まっていた軽自動車に出現。車に興味を示し始めたようだ。寝たのだろうか?
<2022/11/28>
02:06、駐車場内に車両なし。SCP-3221-JP-Aは併設された自動販売機の横でうずくまっている。2時間後に消失。
この日は止まっている車が無かったようだ。可哀そう。
<2022/11/29>
11:52、トヨタ ハイエースにSCP-3221-JP-Aが出現。積み込まれていた工事用資材を手に取り、観察するような仕草を見せる。ペンキ缶の蓋を開けたところで消失。滞在時間は15分だった。
今日は積み荷が特殊な工事車両に興味を示した様子。この感じだと積み荷の用途は分かってないと思われる。
<2022/11/30>
03:41、ドライバーが立ち去って間もないメルセデス・ベンツ Cクラスに、SCP-3221-JP-Aが出現。何度か座席を触り、ダッシュボードに伏せると、そのまま動かなくなった。8時間後、持ち主が駐車場に戻る寸前に消失。
高級車に興味を示す。座り心地が良かったのかそのまま寝てしまったようだ。出現時間も最長を更新した。
行動の意味がよく分からないのは相変わらずだが、睡眠に関する行動が多いように見える。
<2022/12/01>
06:30、日産 フェアレディZにSCP-3221-JP-Aが出現。ルームミラーをしきりに動かし、防眩を解除する。続けて、車内にあったカップ酒の空き瓶、ライター、紙タバコ、枯れ葉、自動車損害賠償責任保険証明書をダッシュボードに並べる。直後、エンジンがひとりでにかかり、暖房が起動する。当車両は現在、SCP-3221-JPに変異していることが分かっている。
06:45、境内の掃除を終えた神主・桐岡氏が、清掃用具を携えて駐車場へと移動。車窓にもたれていたSCP-3221-JP-Aは消失する。桐岡氏はフェアレディZをモップで水拭きしつつ、その場で朝拝の儀式を執り行った。
オブジェクト誕生の瞬間である。そう、オブジェクト車に出現する異常実体(A実体)こそ、オブジェクトを生み出した張本人だったのである。
恐らく、「条件に合う」車を片っ端からオブジェクト化していたのだろう。目的は上記の実体の行動からなんとなく推し量れるが……それについては後ほど考察する。
駐車場の封鎖、そしてオブジェクト収容へ
こうして、A実体はオブジェクト車を量産。一ヶ月ちょいくらいの期間で少なくとも362台の車をオブジェクトに変異させた。
そしてその結果、財団が発見した頃には駐車場そのものが異常性を帯びており、来訪者は駐車場看板を鳥居と勘違いしてくぐる、自販機の緑茶をお清め水と勘違いして手を清める、精算機と賽銭箱を混同し精算機に小銭を入れて拝礼するといったことが行われるようになっており、さらには神社の御利益に交通安全が付け加えられていた。
もちろん財団がこんな駐車場という名のオブジェクト量産工場を見逃すはずもなく、すぐさま「欠陥工事」のカバーストーリーによって駐車場は封鎖。
さらに四輪の車が停められないよう駐輪場に改装され、発生源は断たれることとなった。神社の経営は大丈夫なのだろうか?
そして駐車場から追い出される形となったA実体はすでに変異させていたオブジェクト車に現れる機会が急増。
結果、財団がオブジェクト車を補足しやすくなり、あっという間に日本国内のオブジェクト車は全て確保された。
正体
さて、オブジェクト車を量産していたA実体とは一体何者なのだろうか?
その正体は問題の神社に祭られていた
お稲荷様であろう。
それは、A実体が出現した経緯やオブジェクト車の特性がそれを物語っている。
まず、出現したタイミングについては神社の改修が行われた2022年である。
この改修の具体的な内容は参道の短縮や拝殿の簡素化、社務所および一部鳥居の撤去等。この結果、神社は小さな祠のような姿となってしまった。
このうち、鳥居は神域を区別する役割を持っており、これを撤去してしまったことにより神域との境が無くなってしまったものと思われる。
お稲荷様にしてみれば自室と外界を隔てる壁が唐突に取り壊されたようなもの。神社の維持費という切実な事情があったとはいえ、祟られてもおかしくない所業である。
ただ、幸いにもこのお稲荷様は顕現して(させられて)からも悪さするようなことはなかった。おそらくは監視カメラのない神社エリアで野宿していたのだろう。
しかし、年も暮れ寒さが厳しくなると流石に野宿はきつくなってきた。
神域との境が消えたことで良くも悪くも活動範囲は広がり、ぬくぬくと暮らせる場所を探し回るようになる。
ある日、駐車場の軽自動車に目を付けた。屋根もあり、柔らかい椅子もある。であれば、寝床にできるのではないか?
お稲荷様は試しに車中泊をしてみることにした。思った通り快適であった。こうして、以降は駐車場の車で過ごそうと決めた。
しかし翌日は車が来ず、悲しい思いをすることになった。需要はあるとはいえ、その日に車が駐車場を訪れるかは運次第なのである。
お稲荷様からすれば寝床は安定して確保したい。できれば気に入った車に泊まりたい。
そしてお稲荷様は閃いた。
と。
試しに停まっていた
フェアレディZの車内にその場で見つけたもので即席のお社を作ってみた。結果は大成功。フェアレディZは見事お社となった。
ここまで書けば、車をオブジェクト化するのに必要な条件もはっきり分かる。ズバリ、神棚に必要なものが用意できる車である。
これは酒、もしくは水だろう。酒は新生、水は恵みを意味する。
灯明の代わりだろう。火は暗闇を照らすものであり、あらゆる宗教において重要な神具の一つである。
紙垂や真榊の代わりだろうか?いずれも神域の境界を意味する道具である。
榊の代わりだろう。これも神域の境界を意味する道具であるが、神の依り代としての意味合いも持つ。
米の代わりと思われる。酒や水と並ぶ神棚への重要なお供え物の一つである。
これに加え、お稲荷様がやっている車を南東方向に向ける、ルームミラーを調整して防眩を解除するという行動も意味を持っている。
まず、南東は太陽に照らされ神社が輝く方角であり、神社が一般的に向いてる方角である。そして、神棚もこれに倣うのが良いとされている。
ルームミラーは神鏡の代わりと思われる。神鏡は神の依り代であり、同時に人と神の境界を溶かす役割を持っている。
神棚としてはいろいろ足りてないが即席だし車で寝泊まりしたいだけなのでこれでいいということなのだろう。
また、上記から、車を乗り降りするときの奇妙な行動も神社を参拝するときの作法である二礼二拍手一礼であることが分かる。
ともあれ、駐車場の車をお社化することに成功したお稲荷様は、その後もオブジェクト車もといお社カーを量産し、無数の別荘を手に入れた。
この時、想定していたかは不明だが信仰の力が強まったのだろう。一時は駐車場そのものを神社化するまでに至った。
認識災害によるものとはいえ、300以上もある分社のほぼ全てに朝晩で最低1人は参拝者が訪れるような神社と化したのだ。そりゃ信仰も増すだろう。
しかし、お稲荷様はやり過ぎてしまった。お社カーを増やしすぎて財団に捕捉されてしまったのである。その後の顛末は記した通り。
お社カー量産工場であった駐車場は駐輪場になってしまい、新たなお社カーの製作が不可能となったばかりか、
駐車場を追い出されてお社カーへの出現頻度が増えたことで即座に捕捉、回収されるようになってしまった結果、瞬く間に国内の全ての車が回収されたのだった。
……300以上もの分社を取り上げた財団が祟られなかったあたり、本当に温厚なお稲荷様だったようだ。
日本国外への流出
ここまで読むと「あれ、なんでオブジェクトクラスがKeterのままなんだ?」と思うだろう。
確かに、日本国内のお社カーは研究用の1台を除いて全車両が回収された。
しかし、お社カーによる交通安全の御利益は、あくまでも悪質ドライバーに是正を促す程度でしかない。
財団に回収されている点からもわかるように、駐車されている状態で車両ごと盗難された場合ほとんど無力なのだ。
そう、近年で社会問題化している車両窃盗団グループの魔の手はお社カーにも及んでおり、一部が財団が捕捉するより前に盗まれ、海外に流出してしまった。
その結果、お稲荷様は海外でのみ見かける存在となってしまった。
お稲荷様 in ロシア
そして2月末となり、ロシア・サハ共和国オイミャコン地区のサムズ駐車場に持ち込まれていたお社カーにお稲荷様が出現。
すぐさま監視体制を整えた財団だったが、ここでなんとお社カーが駐車場から飛び出して走り始めた。
基本的に向きを変える時以外ほとんど運転しなかったお稲荷様としてはかなり特異な行動である。
なぜいきなり車を運転し始めたのか?その答えは、回収されたカーナビの履歴に残されていた。
2/27 20:08:32: Автостоянка на западе Оймякона(サハ共和国オイミャコン)
2/27 20:29:55: [カーナビ オフ]
2/28 00:01:03: [カーナビ オン]
2/28 00:01:34: niho
2/28 00:02:09: 日本
オイミャコンに姿を現したお稲荷様。現在位置……というか日本に戻れたかどうかを確認しようとしたのだろう。
しかしカーナビが外国語表記になっており初っ端から大苦戦。30分に渡る格闘の末どうにかナビを日本語表記に設定することに成功した。
……が、
2/28 00:02:22: 大坂
2/28 00:02:51: 大阪市西区███の██
2/28 00:03:58: [桐岡氏の居宅から█████神社駐輪場までの経路を検索]
出現した場所はロシアの内陸。恐らくエラーか何かで表示されなかったのだろう。
続いては本拠地の神社がある大阪市……だが、古い表記の「大坂」となっているあたりが近代以降の事情にあまり詳しくないことを窺わせる。
大阪の次に入力されている謎の住所は神社の神主である桐岡氏の住所。恐らく、カーナビの故障を疑い、試しによく知ってる場所の経路表示を行ったと思われる。
しかし経路は正しく表示され、自分が間違いなくロシアに居るという事実を突きつけられたのであった。
そしてお稲荷様は帰宅の手段を模索することとなる。まず最初に入力された行先は――
2/28 00:04:33: 遠野妖怪保護区(秘匿地域につきエラー表示)
いきなり要注意団体の名が出てきた。
遠野妖怪保護区とは、ざっくり説明すると岩手県にある蒐集院や大日本帝国異常事例調査局(IJAMEA)などが過去の大戦で使役していた妖怪たちが暮らす地域である。
一部の妖怪は外部との交流も持つ個体もおり、近年は地域そのものが積極的に外部と交流を持つ方針に転換したことから財団から要注意団体に指定されているのだが、
この緊急時にそこまでの道筋を求めたということは、お稲荷様はここの出身あるいは関係が深い存在なのかもしれない。
まあ、いずれにせよそんな場所が市販車のカーナビに登録などされている訳がなかった。
2/28 00:05:25: 伏見稲荷大社(京都府京都市)
2/28 00:06:30: 稲荷神社(兵庫県神戸市)
2/28 00:07:42: 稲荷神社(岡山県倉敷市)
2/28 00:08:15: 稲荷神社(徳島県阿波市)
2/28 00:08:56: 稲荷神社(鹿児島県鹿児島市)
2/28 00:12:32: 若宮稲荷神社(ハワイ州ワイパフ)
次に各地の稲荷神社を探し始めた。恐らく、お稲荷様は稲荷神社まで行けば転移で戻れるのだろう。
しかし場所はロシアの内陸。どこも話にならないくらい遠かった。ハワイのとか逆に大阪より遠いだろ。
2/28 00:16:00: 海
2/28 00:16:00: 港
2/28 00:20:58: [ウラジオストク港への経路案内を開始]
2/28 00:23:49: [発車]
転移が使えないと分かり、港までの経路を検索するお稲荷様。なおオイミャコンからウラジオストクまでは4000km越え、
アメリカ大陸横断に匹敵する距離である。
しかし他に手はないと覚悟を決めたのか、渋々ながら港まで車を動かすことにしたようだ。3分弱の間がその葛藤をよく表している。
そして車を発車させたのだが……。
2/28 00:30:21: [車両が木に衝突、自走不能]
2/28 00:31:35: ひ
2/28 00:32:04: 車 引っ張るところ
2/28 00:33:19: 車 直すところ
やっぱりだめでした。交通安全の御利益とはなんだったのか。
ただ車で寝泊まりしていただけのお稲荷様に豪雪地帯での運転スキルなどあるはずもなく、10分もしないうちに車を大破させてしまった。
車を修理しようとしたお稲荷様だが、間もなく苦難が襲い掛かる。
2/28 00:35:18: 油屋
2/28 00:40:42: あたたたかきとこ
2/28 00:47:23: 温か
大破した後に暖房を起動したのだが、間もなく燃料切れを起こして暖房が止まってしまったのだ。つまりどのみち詰んでた。
ところで、お稲荷様の現在地であるオイミャコン。基本的にのどかな田舎の村であるが、大きな特徴が一つ存在する。
それは、世界一寒い村であるということ。
1926年には-71℃を記録し、以降2026年現在まで当たり前のように-60℃を下回る極寒の地である。
イベント発生時は2月末の深夜。そんな場所で暖房が止まった車内の温度など推して知るべし。
お稲荷様はまず燃料切れをどうにかしようと考えたが、当然ながら車の動作原理などわからない。
なので手元にあったサカキ葉や米粒、油揚げを給油口にぶち込んでみた。もちろん車が再び動き出すことはなかった。
とりあえず車の修理を中断し、体を温める手段を探すことにしたお稲荷様。入力キーワードからもかなり追い詰められていることが分かる。
最終的に温泉に行きついたようだが……。
2/28 00:55:35: 温泉
2/28 00:59:11: 一番近き 温泉
2/28 01:23:56: さうな なにぞ
サウナって何?
ロシアではバーニャと呼ばれるサウナの方が伝統が古く、メジャーである。ナビでもそちらが多数ヒットしたものと思われる。
しかし、長らく大阪の神社で暮らしていたお稲荷様がサウナなど知るはずもなかった。
この後、意図的なものかは不明だがお稲荷様は消失した。残された車には給油口への「試行錯誤」の跡が残されていたという……。
ところで、ここまでの流れを読み終えた後に一つの疑問が残る。『なぜお稲荷様は日本に戻れなかったのか?』という点である。
収容プロトコルを思い出してほしいが、財団には1台、燃料入りハイエースが保管されている。
お稲荷様の目的から考えてもここに転移すればいいのではないか?と思われるが、頑なにそれをしようとしていない。
財団を始めとする要注意団体の存在を認知していて避けている、という可能性は低いだろう。お社カー製作の勢いが派手すぎるからだ。
もし仮に国内で活動していた時から財団を認知しているなら、もう少し慎重に動くはずだ。
ではなぜか?
おそらく、任意で転移できる範囲が限られているからだろう。
そしてこれは、能力の問題というよりはお稲荷様の土地勘が大きく関係していると思われる。
お社カーの出現範囲を思い出してほしいが、東京より東あるいは北の地域に出現していない。稲荷神社は東北にも多数存在しているにも拘わらずだ。
また、上記カーナビの入力履歴を見てもハワイ以外の稲荷神社は全て西日本のものである。
つまり、お稲荷様は西日本+ハワイしか知らないが故に、それ以外の地域では任意で権能を振るえないと推測される。
ただ、それでもロシアに出現している点から能力自体はあるため、任意でない形で「発動」することはあるのだろう。
ともかく、お稲荷様は以降も海外を転々としていたものと思われる。
そして財団の調査により、6月には最後の一台こと《お社カー362号》の所在が突き止められた。
お稲荷様 in シリア
最後の一台は、
トヨタのハイラックス。シリアで発見されたのだが……。
国内情勢が不安定なシリア、そしてトヨタのピックアップトラック。この組み合わせで何も起きないはずがなく……。
なんと、現地のイスラム系武装勢力の手に渡っていた。
お稲荷様が出現した時、ちょうどこのお社カーを背景に動画撮影が行われていたのだが、その内容は諸国指導者達の顔写真を貼り付けたマネキンを銃撃・焼却するという武装勢力らしい過激なものであった。
そんなろくでもない撮影の真っ只中に放り出されたお稲荷様は周囲の様子を確認して仰天。動画には焦燥/慄然している姿が映し出されていた。本当に可哀そう。
しかも運悪く、この時に立てた物音が原因で動画撮影者に発見されてしまう。パニックを起こしたお稲荷様は慌ててお社カー362号を動かして逃走を試みた。
一方の武装勢力からしてみれば、組織の権勢を示すための生配信中に突如として現れた車泥棒である。
もちろん過激に追跡を開始。テクニカルまで持ち出して、逃走するお稲荷様に機銃で追撃を行った。
だがここで、お社カーの御利益がその効力を遺憾なく発揮。武装勢力側のドライバーは車間距離を詰められず、放たれた銃弾はその全てが外れた。
そしてお稲荷様が国道を突っ切って逆走し始めたあたりで、ついに武装勢力は追跡と配信を中断。
なんとか逃げ切ったお稲荷様とお社カー362号であったが、以降の消息は不明である。
しかし武装勢力の怒りは収まらない。当たり前である。
全世界に向けた示威行為を台無しにされ、その犯人を取り逃がした上に、武装車両の機銃は一発も当たらないノーコンぶりを晒す羽目になったのだから。
彼らはライブ配信の映像を元に、お稲荷様を車ごと【状態/生死不問の指名手配】とした。
そして、これこそSCP-3221-JPのオブジェクトクラスがKeterのままとなった最大の理由である。
まず、現状オブジェクトの消息を財団が捕捉できていない(監視下に置けていない)という時点で十分Keter案件なのだが、
加えて「武装勢力にオブジェクトが指名手配されている」というギャグのような状況も極めて問題である。
財団からしてみれば異常存在が広告されてるも同然であり笑いごとではない。
ここまでの行動を見てもらえばわかる様に、神様として祀られていたお稲荷様は一定の神格を持っていると思われる。
そんな存在が襲撃され「消滅」することとなれば、その際に何が起こるか分かったものではない。財団にとって無視できないリスクである。
武装勢力そのものは非異常の団体と思われるが、そもそも武装勢力自体が極めて厄介かつ話が通じないであろう連中。
自分達の他にもお稲荷様を探す謎の集団がいると気付こうものなら、間違いなく財団にも矛先を向けてくることは容易に想像できる。
そして可能性こそ低いとはいえ、もし万が一にでも神格存在が組織の手に落ちたらどうなるかも知れたものではない。こっちも無視できないリスクである。
このような状況であるため、財団も必死でお稲荷様の行方を追っている。確保・収容・保護、その理念の基に。
武装勢力にその身を狙われ、中東の地で社中泊を続けるお稲荷様の明日はどっちだ。
余談
ディスカッションには著者によるイメージイラストが投稿されている
*1
追記、修正はお稲荷様の帰還を祈りながらお願いします。
- 早く収容してあげてよぉ! -- 名無しさん (2026-02-24 19:55:27)
- 申し訳ないが顛末に笑ってしまった。がんばれお稲荷様。 -- 名無しさん (2026-02-24 20:33:58)
- まさかの不憫系SCP…お稲荷様生きて超生きて -- 名無しさん (2026-02-24 20:39:09)
- 財団の保有するSCP-3221-JP-Aを -- 名無しさん (2026-02-24 20:51:08)
- シリアに持ち込んで助けられないだろうか -- 名無しさん (2026-02-24 20:51:46)
- 間違えた、Aはお稲荷さん本神か。他のお社カーを財団がシリアに持ち込めないだろうか -- 名無しさん (2026-02-24 20:55:10)
- ↑ロシア→日本のワープがお稲荷様にロシアの土地勘がないせいで成功しないのなら、シリアに持ち込んだところで逃走中のお稲荷様に現地の土地勘がない以上無理なんじゃないかな なんなら入れ違いになる可能性もあるし…
ていうか過激派がナチュラルにアノマリーの存在を認めてるのはなんなんだ -- 名無しさん (2026-02-24 21:04:05)
- い…嫌じゃ…異国の地でタヒにとうない… -- 名無しさん (2026-02-25 00:10:43)
- トヨタのハイラックスってTop Gearで酷い目に遭わされてた車じゃなかったっけ… -- 名無しさん (2026-02-25 00:45:07)
- がんばれ財団がんばれお稲荷様 -- 名無しさん (2026-02-25 00:45:54)
- 不憫狐耳少女お稲荷様可愛い -- 名無しさん (2026-02-25 01:12:25)
- いketerアイデアと思ったのに…… -- 名無しさん (2026-02-25 07:35:13)
- ロシアのくだりで水曜どうでしょうの大泉さんにしか見えなくなった -- 名無しさん (2026-02-25 18:26:50)
- ↑7目視できるレベルまで他のお社カーを近づければ何とかなりそうかと思ったがどうなんだろう。過激派はコスプレした車泥棒だと思ってるだけだと思う。 -- 名無しさん (2026-02-25 20:52:35)
- 何気にロシアからシリアに移動するまでの間で最低限の運転技術を習得してるのが凄いよお稲荷様……財団の救助が来るまでどうかご無事で…… -- 名無しさん (2026-03-01 12:02:04)
- X年後、そこには過激派も財団の追手も何のその、華麗なドリフトで翻弄する名ドライバーが爆誕する可能性も。 -- 名無しさん (2026-03-12 13:25:24)
最終更新:2026年06月22日 11:10