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イワン博士(シン・仮面ライダー)

登録日:2026/03/10 Tue 22:55:00
更新日:2026/05/24 Sun 18:12:49
所要時間:約 12 分で読めます




「SHOCKERの人間は皆 世界幸福のしもべ」


イワン博士とは、シン・仮面ライダーの登場人物である。
映画本編には影も形もないが、漫画スピンオフの「真の安らぎにこの世はなく」で活躍した。
SHOCKERの一派閥である「絶望派」の発起人であり、人体改造の名手。
マッドサイエンティストであり、あるいは穏やかな老紳士でもあり、非常に多面的な人物である。


なお、現状フルネームは判明しておらず、相手によっては「イワン先生」とか「イワンのおじさま」とも呼ばれているが、ここでは通りのよい名称として便宜上「イワン博士」を用いる。(何かの弾みでフルネームが分かったら相談のうえ変更を検討)

キャラクターの説明のみでは判然としない部分も多いので、ここでは漫画作品の設定や今後登場しそうな要素についても軽く交えつつ記述していく。



【概要】

組織の創設者である石神大造とも知己の間柄だった古株のSHOCKERメンバー。
その意志を受け継ぐように「深い絶望の個人を救済する幸福実現」の理念に忠実であり、創設者の死後に組織の変革の変革を訴えるメンバーと対立して前述の理念を旨とする絶望派を旗上げ。
「優れた人間のみが入会を許される特別なサロン」と称し、あちこちで深い絶望を抱えた人間たちをスカウトしている。



博士と呼ばれているだけあり、表向きの顔は学者。
天才の緑川を以てして「イワン先生ほどの方が」と畏れるくらいの名を残しているらしい。

人体改造と強化を得意としており、下級構成員(戦闘員)やオーグメントなどの本編のSHOCKERの戦力基盤は殆どこの人の手によるもの。
ただし初期はその過程で精神崩壊を引き起こすほどの危険な施術であり、目的達成のために人体を化け物に作り変えていく姿は他派閥から「死神」と呼ばれ恐れられている。
絶望派は幹部それぞれが独自に派閥を築いており、イワンが率いる派閥は「死神グループ」と呼ばれ、配下はクモやサソリなど手術を受け人間をやめた物ばかり。

一方で同病相憐れむように社会や人間に裏切られ捨てられた絶望者たちの気持ちに寄り添う一面もあり、自らの手で人体改造を施した相手にも慈愛の心を持つ。
グループの性質上最終的には敵対する運命にある絶望した人間達に手を差し伸べるのもそうした不幸や暴力を隠して平穏を装う世の中への怒りからである。
決して自分の絶望と世界変革を諦める訳ではないが、「個人の絶望による幸福実現」さえ成されるのであれば贄として負けることも本望だと考える絶望的騎士道の持ち主。

「私なりの反抗だからだ」
「絶望を見て見ぬふりをする世の中へのな…!」


そんな本人の経歴は一切不明。ロシア系っぽい名前だが国籍すら分からない。
絶望による幸福実現にも並々ならぬ執念を見せるが、当の本人がどんな理由で絶望したか、かつどんな世界変革プランを立てているのかすら不明である。


【活躍】


「世界を変えたいとは思いませんか?」
「組織はあなたに力を与えます」

「この私が 断言しましょう」

妻を失った緑川博士をスカウトし、幹部の証であるクリプトキューブの1つを授けるなどその能力に期待する。
やがて組織の実験を握ろうとする創業派との抗争になるが、緑川の加入による人体改造技術の進化などで形成を逆転しこれに勝利。
SHOCKER日本支部を完全に掌握する。


国内組織こそ掌握したがSHOCKERは世界各国にも支部を張っており、組織統一のためには海外支部攻略が必須であった。
とはいえ創業派のように組織の理念に反しているわけでもなくいずれの勢力も事を荒立てる気はなかったので膠着し、束の間の平穏が続く。

そして5年後、米国支部の幹部・ウルフソンがコンタクトを取ってくる。
通信越しに語られたその幸福像は放置すれば人類全てが支配下に置かれるもので、日本支部の絶望派もまた例外ではない。
そこでイワンは自身が日本に留まりつつ実働隊に米国支部の打倒を依頼。
いくつかの犠牲を払ったがこれに勝利し、米国支部は陥落。
他の海外支部も日本支部に対抗する術はなく、SHOCKERは絶望派の一党独裁となった。




【蠱毒の始まり】


「決断の時が来た…」
「イチローは…組織の未来のために排除せねばならぬ」


他勢力の排斥にこそ成功し、日本政府をどのように御するかなどの課題を残しつつも組織は新たな段階を迎えていた。
一応は絶望派という思想の元にまとまった幹部たちは最終的に各々の幸福プランを賭けて争う蠱毒の運命にある。
イワンはそれらの調整を行いつつ人工子宮実験でヒロミ、トオルを誕生させ、緑川の息子であるイチローの幹部抜擢など次世代のSHOCKERを担う人材の養成も並行して行い、幹部の証である8つのクリプトキューブを託すに足る人物の発掘に心血を注いだ。

だが幹部になるや否やイチローは洗脳を用いた強引な勢力拡大を悪であると断固反対し、正義による組織改革を訴える。
今更数々の悪逆を成してきたSHOCKERにとってそんな偽善的プランは眉唾物だったが、意見は合わずとも若きイチローの幸福への熱意は本物であると尊重し、組織が安定した情勢もありしばらくは静観を決め込む。

…が、さすがにそれが10年も続くと堪忍袋の緒も切れまくっており、新政党を設立させてあくまで社会道徳を逸脱せずに世界を変えようとするイチローに苛立ち排除を視野に入れ始める。
しかしクモオーグの「友情」による私闘の影響でイチローはSHOCKERを嗅ぎ回っていた罪のない人間を手にかけてしまい、精神状態の急激な悪化に伴ってクリーン路線を断念した事で衝突は回避された。

謎の技術流出、イチローのプラーナ暴走などの不穏な事件が続き、元より協調性のない幹部同士の諍いも激しさを増すが、研究こそが組織の存在意義として動きを止めるような事はせず幸福実現の活動に邁進するも、SHOKCERは完全に停滞を迎えていた。

バッタオーグを連れた緑川の脱走の時点で数多くの新技術を秘匿していたが、現状での投入は得策ではないと判断し静観。
幹部を含む主要構成員の大半が死亡ないし行方不明となったため現体制の放棄を決断する。

「私は時間が欲しいのだ」
「新たなSHOCKERを生み出す時間が」

「私は私なりにこの日に備えてきた」
「次世代のオーグメント達を今の段階で投入するのは得策ではない」


という訳で、実は映画本編が終了した時点で諸々の禍根を残しつつ普通に生き延びている。
今後の作品展開によってはバッタオーグ=仮面ライダーと対面する日も遠くはないだろう。





【イワン博士 悪魔の発明】


以下、作中で登場した技術の一覧。
人体改造や洗脳など、作品世界的に必須ではあるがヤバいものが目白押しである。
性質上、生身の人間を使ったものが多く、世間バレすると即終了なので構成員は機密保持に気を使う。



・強化人間
イワン博士の代名詞。
人体強化用のナノボットを用い、対象に並外れた力を与える。
後のオーグメントの原型だが太っ腹な事に成果を全グループに共有している。(メタ的にはこうしないと設定的に他グループから改造人間が出せなくなるという事情もある)

最初期のこの技術は被験者の殆どが精神異常を起こすというとんでもない代物で、お世辞にも戦力の量産は望めない。
適合者もクモとサソリの強い憎悪や狂気を標準装備している2人であり「既に狂ってるから壊れようがない」みたいな有り様。
そのため最初期はバックアップの研究員ばかり多く、荒事に対する戦力は上記2名しかいないという赤貧部隊だった。

常人離れしているが、強化人間という名前が示す通りまだ一応は人間の範疇。
クモさんもこの時点では殆ど人間である。

後に強化用のナノボットが技術流出し、空気感染したクマが保育園で暴れるという時事ネタ獣害事件に発展した。
一応は手術で身体に適合させる必要があり、自然環境では48時間程度で崩壊するのでバイオハザードの恐れはないらしいが、逆に言えばそれまでは強化され凶暴化した獣が襲いかかってくるのを意味する。
本能的に同じ強化人間(というか強化された生物全般)に引き寄せられる性質があり、結果的にSHOCKERの構成員を次々と殺害していた。





・軽度人体強化手術
緑川の神経科学技術を参考にし、精神崩壊を招かない軽度の人体改造。
肉体のイワンと精神の緑川が織りなす悪魔の夢のコラボ第一弾。ただしあくまでイワン博士が独自に緑川の技術を応用した様子である。

これにより万人に適合し、さほど体を弄らないが常人より強い兵隊を量産できる下級構成員、つまり戦闘員の製造に成功して戦力の大幅アップに成功。
創業派へのクーデターを大幅に早める事となった。

大量の人員は基本的に絶望思想に共鳴して人の身を捨てて尽くしたいと自ら志願したイワンの部下たちで構成されているが、肉体と同時に精神状態を外部から操縦可能で、こちらも精神崩壊などのリスクが克服されている。

・精神制御技術
対象を思いのまま操る。
精神崩壊した被験体を無理に動かす際にも用いる「腐ってなければ使える」の人形レベルらしく、作中ではヘルマン様がアヘアヘされていた。
これを用いて外部勢力の要人を操り、勢力拡大や根回しに利用している。

後に緑川が改良を加え、人格の保全と元の状態での回帰が可能になった。(プラーナ洗脳)



【人物像】

大事の前の小事を地で行き、幸福実現のためなら暴力は厭わず実行して人体改造も洗脳も廃人化も何でもござれのマッドサイエンティスト。
一方で自らの行いが罪である事に自覚的で、絶望を抱えた同胞に手を差し伸べる優しさを持つなど、意外なところで人情家の一面も併せ持つ。
曲がりなりにも万民の幸福を目指す緑川よりイワンの方に人間味を感じるのはある種のミステリーである。

その上で絶望による幸福実現思想の極右であり、イワンが覇権を握ればそれは世間一般の人間にとって地獄のような世界が待ち受けているのは間違いない。
善良な理想だと人体実験から目を背け、世界平和ためと言いつつ周囲に無自覚に闇をぶちまける緑川とはあらゆる点で対照的だが、それぞれの肉体と精神の研究分野は驚くほど相性が良く、双方共に平時は理性的なこともあってイワンが組織運営で相談を持ちかけるのは大抵は緑川であり、決裂するまでは皮肉にも良好な関係だった。

【その他の主だった対人関係】


綾小路律子
誰こいつ
物語の開始時点でイワン博士と共に絶望派の幹部だった女性。
漫画版の開始時点から映画本編の時代まで17年くらいの月日が流れているのだが、その中で地味に中堅OLくらいの若々しい外見を保ち続けている。同僚の緑川は申し訳程度にちょっとずつ老けてたのに


最古参のメンバーで血液研究に定評があり、イワンも認めていることから一角の人物だとは思うのだが、作中では特に研究成果を見せたりせず、何かにつけて「危険な技術だから開示しろ」だの「危険だから研究全部凍結しましょう」など揚げ足取りと他人の文句しか言わないお局のおばさんみたいな姿しか見せていない。
その実態は絶望派に属しながらも他の幹部たちの足を引っ張ることで研究の停滞を目論み漁夫の理を攫おうとしていたネズミ。
自分は何もせず、他人を下げようとする姿はある意味で現代的で生々しい。
一応SHOCKERの一員らしくアイのお墨付きを得た幸福実現プランもあるはずなのだが、最終的に日本政府にSHOCKERの情報を売り込んで利益を得ようとしていた小物だった。
しぶとい事に映画本編の終了時点でも生きており、イワン共々なにかしかの火種となる可能性は高い。




クモ(クモオーグ)
人外融合型オーグメント第1号。
自己も含めた人間という存在に絶望しきっていた所をイワンに拾われた。
死神グループの最古参で、それゆえに技術が確立されていない危険な改造手術を繰り返し受けてきたが、人間嫌いの彼にとって「人の体を捨てる」という事は希望であり、生きる道を示してくれたイワンへの報恩のために死力を尽くす。

イワンもそんなクモの気持ちが分かるなど狂った科学者と実験台という間型ながら互いに主従を超えた信頼関係で結ばれている。
クモオーグが組織の掟を破り独断でイチローとの果し合いに出た際も「SHOCKERの力を都合よく使いながら罪を背負わないのは不可能であり、偽善を抱えたままではイチローの精神は破綻するので魔道に堕とす」という友情だと理解し、責任追及を受けてもクモを切り捨てなかった。

(本人の希望もあるが)非人道的な実験を次々と施しながらも「お前を失うのは惜しいので己を粗末に扱うな」と気にかけ、それでも人間性に苦しみ獣として死に場所を探そうとする美学を尊重して負け戦への出陣許可を出すなど、常人には理解不能な、されど男臭い友情関係。

サソリ(サソリオーグ)
強化人間+左腕だけオーグメント。こちらも死神グループの古参メンバー。
父親からDVを受け母を失い、制服姿で1人露頭に迷って悲しんでいた時にイワンに拾われる。
本来の名前は詩織で、絶望的な日々から我が身を守るためにサソリという人格が作られた。

年頃の娘さんながら容赦なく化け物に改造されているのだが、本人としては行き場を失った人生に居場所を与えてくれた組織に感謝しており、命令には逆らわない。
イワンもサソリを節々で可愛がっており、単行本のおまけページではオフの時間にお茶に誘って穏やかな雰囲気で談笑し「イワンのおじさま」と慕われていた。
人体改造もクモのような全身改造ではなく部分的に留め、最終段階のサソリオーグでも概ね人の姿を保っている。(クモは人の姿を捨てる事を自ら希望したのもあるが)
サソリの人格が消え去った10年の間も特に処分することなく治療の可能性があるならとイチローに預けており、かなり甘々。

それでも最終的には精神崩壊からの回帰が不可能と結論づけられると身柄を預かり、精神制御による強引な補正でサソリオーグとして傀儡幹部に仕立て上げる。
少女を改造し、洗脳して時間稼ぎの駒にしながらもサソリオーグの服装を「見事な出で立ちだ」と褒め「すまぬ…」と意思疎通もできない相手に鎮痛な面持ちで詫びるイワンの心中でどんな思いが巡っていたのか、それは誰にも分からない。


【余談】


  • 最終的に大物然とした態度でフェードアウトしたが、恐らくプラーナへの対抗策がまだないのでイチローのハビタットが発動していたらこの人も強制成仏確定の実は危ない状況だった。そもそも秘密裏に進めていたイチローの計画を知る術がない。
    • 仮にそれで終わっても「他の誰かの強い絶望の贄になるなら本望」なのかもしれないが…

  • 死神と呼ばれた人体改造の達人という事で、もうこれで違ったら逆に凄いというレベルでモチーフは元祖ショッカーの死神博士。イワンという名前も死神博士の設定上の本名である「イワン・タワノビッチ」で、そもそも作画が完全に天本英世。
    • 本家の死神博士は妹を失った重い過去で魔道に堕ちたが、こっちのイワン博士の過去に反映されてるかはやはり不明のままである。ご自分をイカオーグにする予定はあるのだろうか


※追記・修正は絶望派のクーデターを成功させてからお願いします。

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最終更新:2026年05月24日 18:12