一文字隼人 (シン・仮面ライダー)

「アンタが初期型の第1バッタオーグか」


「いや…"仮面ライダー”だっけ?」


SHOCKERの上級構成員。
クモオーグ様をはじめとして上級構成員様を次々と撃滅していく裏切り者のバッタを倒すべく緑川イチロー様が調達された暴力装置です。

掛け声とマスクの装着により「第2バッタオーグ」へと姿を変えます。

基本構造は裏切りバッタと同じ昆虫合成型オーグメントですが、イチロー様のカスタムによって強化されています。
旧式のように風を受けずとも己の意思とプラーナだけで姿を変えられる新型なのです。


性格は命令と秩序を重んずる、SHOCKERに似つかわしい人格者です。
親指を立てた「いいね」のサインは、組織に幸福をもたらす事でしょう。

オーグメンテーション手術によって以前の記憶は失われていますが、今が幸福であるなら瑣末なことです。

ご活躍

プラーナの圧縮を待って第1バッタオーグと交戦。
その力は凄まじく、旧式を圧倒。
左足をへし折り、勝利を収めます。

単独行動を取り、組織の幸福から目を背けて逃げ出す裏切りバッタは見事に成敗されました。
SHOCKERの一員となれば幸せになれるというのに、返す返すも残念です。
我々はただ、人類の幸せを追求するだけの組織だというのに。

独りよがりは何も生みません。
幸せはSHOCKERとみなさまで共に生み出してこそなのです。
さぁ、ともに幸せになりましょう。

BE HAPPY.

追記・修正はSHOCKERに心の幸福を委ねてからお願いします。


























「SHOCKERの洗脳をパリハライズする」











「悲しい記憶を全て封印し、多幸感を上書きするのがSHOCKERがたどり着いた洗脳スタイル」


「洗脳が解ける時、その全てを思い出すの」


「悲しみの洪水に耐えて。一文字隼人」




一文字が泣いている。
見つめるルリ子。


赤いマフラーを一文字の首に巻く。


「お願い…あなたもライダーになって」


新たな刺客、K.Kオーグを前に窮地を迎える本郷とルリ子。
絶体絶命のその時、横から一陣の風が吹き付ける。




「何だ貴様!?」





「俺か?」

「俺は今からショッカーの敵、人類の味方」

「一文字隼人。そして…」










「仮面ライダー」










登録日:2024/12/25 Wed 19:30:00
更新日:2025/04/05 Sat 12:12:27
所要時間:約 12 分で読めます







「お嬢さんのおかげでプラーナがオールスッキリした」
「これからは俺の好きにさせてもらう」



「まずは…」
「アンタを倒して」








「SHOCKERに借りを返す」






特撮映画『シン・仮面ライダー』の登場人物。


演:柄本(えもと)(たすく)


【本物の概要】

ジャーナリストの一文字隼人が本郷猛=仮面ライダー抹殺の手駒として緑川イチローに改造された姿。
第2バッタオーグとして本郷を襲うが、イチローとの接触により部分的にデータを入手した緑川ルリ子によるパリハライズ*1で洗脳を解かれ、人類の味方、「仮面ライダー」としてSHOCKERと戦う事を決意する。


洗脳により全ての記憶を奪われ、当初は戦うことしか頭にないと嘯いていた。
しかし一文字本来の人格が断片的に残っており、プラーナを放出しきった弱いままの本郷を甚振る事をよしとせず、風力による回復を待って万全の状態で戦おうとし、ルリ子には決して手を出さないなど、洗脳という状況下においてなお卑怯な手は好まず筋を通そうとする強靭な精神力の持ち主。

抹殺命令自体も従いこそしたが「頭がスッキリしない」と無意識下で拒否反応を示し、OMITシーンでは命令通り本郷と戦えばスッキリするかもしれないと一縷の望みを抱きながらも、どんなに戦ってもモヤモヤする心に苛立っていた。

洗脳から解放されたショックで膝をついたまま動けなくなってしまい涙を流すが、その時なにを思ったかは観客(視聴者)には明かされない。
とはいえここに至るまでに両親を奪われた過去があり、いきなり自分が生身ではない怪物の体になったという事実とともに正気に戻った訳で、その心中は察するに余りある。

ルリ子に対しては洗脳前後を問わず「お嬢さん」とちょっと古風な呼び方をする。*2

【一文字隼人】


「俺は好きに生きたい。"好きかどうか"が俺の行動基準だからな」

「俺は群れるのが嫌いだ。だからSHOCKERと戦うのは1人がいい」

2人目のバッタオーグに改造された青年。
ポケットカメラ*3を片手に真実の剣で隠された悪を暴くことを志すジャーナリスト*4で、信念のためなら危険の渦中にも迷わず飛び込めるペンとシャッターが専門の男。

世界中の事件を追いかけ旅をするなかで各国の言語を覚えたマルチリンガルで、誰とでも仲良くなる事ができる陽気で人当たりのいい性格。
しかし本質的には一所で群れる事を好まず、孤独を愛する一匹狼として振る舞う。
ゆえに孤独に旅を楽しめるバイクを愛する、本郷と同じ"ライダー”でもある。


"好きかどうか”を行動基準にし、心をスッキリに正直に生きたいというポリシーを抱いている。
思ったことはハッキリと口に出し、嫌だと思ったことは絶対にやらない。
そして受けた恩は決して忘れず、相手に命懸けで助けられたなら自身も同じように命懸けで報いようとする義理堅さ。
一見すると身勝手だがその言行は概ね善性に基いており、気持ちの良い好漢である。

言ってしまえば"距離をグイグイ詰めてくる文系"で、"人との関わりが不得手な理系"の本郷とは正反対。
しかし不思議とウマが合い、戦闘では即席でも抜群のコンビネーションを発揮する。
これは両者が悲しみを乗り越えて誰かのために戦える強く優しい心を持ち、バイクを愛するという"仮面ライダー"としての根幹部分を同じくするからなのかもしれない。

上記の通り基本的な要素は本家の一文字隼人を踏襲している一方、本家の「力の2号」の由縁である「複数の武道の有段者でスポーツ万能」という設定は現時点では確認されていない。
世界中で危険な取材を続ける中で、身を守る戦い方を覚えていったとされている。

カメラは日々も憩いでもあり、ライダーカードではオフに南米やアフリカなどに足を運んで自然や動物を撮り、相棒であるバイクの整備も手ずからマメに行うなど、日々の生活が断片的に語られている。
それらの珍しい風景や動物をバイク旅で本郷に見せてやろうとコッソリ計画していた…という、本編を鑑みると無性に泣けてくる設定も。

などなど、作品や時代に合わせた変化はあるが、基本的には本家の一文字隼人と同じ。

戦うためだけの人ならざる体を、悪と戦うための力として使う事ができる精神性。
孤独にして孤高である本郷猛と並び立ち、助ける事ができるただ一人の男。
もう一人の仮面ライダーである。

「悪と戦うのは世の中の役に立つ。だからこの力は好きだ」

【仮面ライダー第2号】


「本郷!俺は心決めたぞ!」

「つるむのは嫌いだが、好きになることにした」


「今から俺は仮面ライダー第2号だ!」


一文字隼人が昆虫合成型オーグメンテーション手術によって変化した姿。
平常時はやはり本郷と同じく黒のモーターサイクルコートで正体を隠す。
関連資料では原典の特撮TVドラマに倣って「一文字ライダー」とも呼ばれている*5

基本的な身体構造・外見は第2バッタオーグのままだが、一文字本来の人格が取り戻され首には本郷と同じくルリ子によって巻かれた赤いマフラー。
バイク乗りの必需品のマフラー、ヒーローといえば赤。
風に揺れるマフラーは、真っ赤に燃える人の心の証である。



基本的なデザインは概ね本家の旧2号と同一で、太い一本線が体の表面を走っている。
旧1号ベースなため複眼がピンクである本郷に対してこちらは赤い複眼なのも同じ。
これは設定上の理屈としては「複眼のように小さなカメラが無数に敷き詰められ、一文字の方がより多くのカメラを搭載可能となった事で密度が高まり濃い赤色に見える」とされている。
ただし手足のグローブやブーツはというよりほぼ真っ黒になっている。

マスク後部のエンブレムは洗脳を解かれ、一人きりの「仮面ライダー」として戦おうとしてもSHOCKERのマークが刻まれたままだった。
しかし本郷の窮地を救い、別々の「2人の仮面ライダー」から、力を合わせて共に戦う「ダブルライダー」としての決意を現した仮面ライダー第2号を名乗るシーンでは、本郷と同じくライダーのマークに変わっている。

強い意志で何かしらの決断をした時にマークが変わったというのは本郷と同じなのだが、精神性に呼応して変化するのかせっせと手作業で描き直してるかは不明。(さすがに前者だとは思うが…)


【変身システム】


「では、お見せしよう」

基本的には本郷と同じバッタオーグだが、緑川イチローによってカスタムされた強化型。
体内のプラーナをエネルギーに変換するシステムは本郷ライダーと共通だが、その最大の特徴は本家の一文字隼人と同じく風を受けず能動的に変身が可能な点にある。

本郷ライダーは風力によって大気中に圧縮された他生命のプラーナを吸収・増幅して自らの生体エネルギーに変換するが、一文字ライダーは自己のプラーナを体内呼吸で自発的に変身可能域まで高め圧縮・変換できる事で風力に依存せず任意で変身できる、というのが本作における理屈づけ。説明だけ聞いてるとどこかの吸血鬼退治の呼吸法のようである

直接人命を奪う事でしか効率的にプラーナ補給ができなかったり、そこから改良を重ねて大気中のプラーナを変換可能になっても少しずつ他者の命を吸い続けている構図が変わらなかった緑川グループ製オーグメントとの最大の相違点である。


この変身システムを支えるのは言わずもがなベルト。やはり本郷の白ベルトと違い、シャッターのついた赤いベルトを備えている。
正式名称は「タイフーン(開閉式安全装置付初期改良型)」
安全装置はそのままシャッター*6を指し、風車部分を保護する小さな防護ドア。

変身時にはこのシャッターが左右に開閉し、風車が回転。
体内のプラーナが自動的に圧縮され、変身が完了する。
初登場時はお馴染みの「変身」という掛け声を出していたが、以降のシーンを見ると必ずしも必要という訳ではないらしい。


望まぬこととはいえ他者から奪う事でしか成立しない本郷ライダーと自前で変身可能な一文字ライダーの違いは即ち緑川博士とイチロー兄さんの違いでもあり、OMITシーンでは「他者の助けがないとなにもできない親父を体現したようなシステム」とかなり痛烈に父を批判している。

ので、お馴染みの変身ポーズは取るものの、実は変身のシステムには寄与していない動作だったりする。
設定上がエネルギーを開放するための"型”で、ポーズを取ることでベルトが反応し身体中のエネルギーが湧き立ち力を漲らせるための動作、という理屈づけがされている。(本郷も同様)
本家でいう所のライダーファイト*7の役割。


【能力】


「お前と同じ昆虫合成型オーグメントだが、俺がちょいとカスタムした強化型だ」

イチロー兄さんによりカスタムされた強化型バッタオーグ。
最新技術を投じたことで変身システムに加え増加した人工筋肉でパワーも上がっている「力の2号」

その戦闘力は伊達ではなく、洗脳への抵抗を察して全力を出せなかったとはいえ同型の本郷を圧倒し、右のパンチ一発で大量発生型相変異バッタオーグ1人を撃破している。
単純なパンチやキックの威力は一文字が勝るが、パワーアップのための人工筋肉の増加分だけ体が重くなっており、ジャンプ力などは本郷に分がある。

・必殺技
仮面ライダーの伝家の宝刀。前方宙返りで勢いをつける飛び蹴り。
KKオーグをBlow itした。

本郷のように回転数やバイクとの連動などで工夫しない1回転キックだが。コンクリの塊を何枚もブチ抜いてドミノ倒しにする威力を誇る。
まさに力の2号。

    • ライダーチョップ
飛び上がってから振り下ろす右の手刀。
KKオーグのマスク左半分をまるで鏡が粉々に砕けるように叩き割った。

    • 頭突き
文字通り手も足も出なくなった状態での最終手段。
代名詞の仮面でお辞儀をかましてブチ当てる。

ちなみに本家のダブルライダーにも頭突き技があり、最終回でアジトのドアをブチ破った「ヘッドクラッシャー」がこれにあたる。

【サイクロン号】

平時は常用バイク(常用サイクロン)に偽装され、マフラーの変形とジェット噴射による飛行能力を持つなど、基本的に本郷のものと同じ。
Blu-ray特典の各話フォーマット版のオープニング映像では、本家の2号編の印象的なカットである「ビルを垂直に駆け上がり隣のビルへジャンプするサイクロン号」の映像を上記のジェット噴射の機能によるものとして再現している。
ライダーのベルト左側のスイッチで呼び出しも可能。

外観もほぼ同様だが、本郷のサイクロンは後部のマフラーが青なのに対し、こちらは銀色。*8

SHOCKER科学陣の粋を集めて開発され、設計には緑川博士も関わっていたという設定。
なので博士の存在に関わらず生産体制自体はあり、一文字の改造と同タイミングで2台目が製造されたと思われる。
更に組織が有する秘密のテストサーキットでは、量産化に向けた研究が進んでおり…

バイク旅が好きな一文字は日々の整備を欠かさず、一日の終わりには「よく頑張ってくれた」と労いの言葉をかけるという設定がライダーカードで開示されている。

孤独をおそれずただ一人、サイクロン号を友として。

【他作品・他媒体での活躍】


【真の安らぎはこの世になく】


「君を信じて…君に託す」
「戦ってくれ一文字君…!この国で蠢く陰謀と…!」

本編からおよそ2年前の時代から登場。
ジャーナリストの父親を尊敬しており、同じ道を志している。
かつて父が愛用していたポケットカメラのMinolta16P(ミノルタ)を欲しがっており、2年後には何らかの方法で隼人も同型のカメラを入手し使用している。

母親の誕生日に両親と外食に出かけるなど家族仲は良好だったが、SHOCKERの秘密を探ろうとしたために命を落とす。
失意の中、父の知り合いでSHOCKERを追いかけていた古賀元刑事*9に今までの捜査資料と情報を託され、真実という正義の力で両親の無念を晴らしSHOCKERの悪を暴く事を決意。
そして2年後に調査に訪れた組織の私有地の近くでは、バッタとクモの怪人が戦っていて…

本作では本郷VSクモオーグの裏で拉致され、間もなく改造された事になっている。

かつては両親の睦まじい夫婦仲を茶化し、深夜に友達と遊びに行くような、ごく普通の明るい青年だった。
"孤独を愛する"とする本編での在り様は、無関係の他人を巻き込みたくない気持ちの現れなのかもしれない。


【SD シン・仮面ライダー 乱舞】


「幸せってのは、自分の心が決めるもんだ」
「機械なんかに勝手に決められてまたまるか」


途中で敵対し、洗脳を解かれた後に仲間となる本編の流れと基本的に同じ。
ゲームの性質上、合流後は常に2人で戦うので、それに合わせて部分的に違ったりはする。
性能としては第1号より攻撃力が高い力の2号。
本編では無言だったライダーパンチやライダーキックの技名を叫び、ニュートラルで拓大の構え(下記参照)を取ってくれる。

超必殺技のライダーキックは、本家のライダー卍キックっぽく身を捩りながらの左足蹴り。
本郷と力をあわせる協力技は勿論「ライダーダブルキック」

大量発生型相変異バッタオーグに対して、「もしかしたら彼らも一文字のように」と躊躇する本郷に対し「人間の時分からろくでもねえ欲望に取り憑かれた連中だって大勢いるんだ」
とハビタット計画の完遂まで時間がない事を嗜め、優しすぎる本郷の心を心配していた。

セーフハウスでは本編では叶わなかった何気ない日常の会話もあり、ついにルリ子本人から突っ込まれる。

「その"お嬢さん"って呼び方、何とかならないの?」

「これでも気を遣ってるつもりなんだかな」
「"お嬢ちゃん"よりはマシだろ?」


【しん・仮面ライダーだゾ】

劇場公開と同時にまさかの春日部の有名な5歳児とコラボ。
本郷とルリ子と3人でSHOCKERと戦いながら各地を旅をしている。
ルリ子に軽口を叩いては睨まれたり、バスの上でサイクロンにチェーンロックをかけたりコミカルなシーンが多め。
真顔で天然ボケの本郷とわざとふざける一文字という感じでルリ子がいないと基本的に収拾がつかない。
(あくまでこの作品の設定として)本郷ともども酒は飲まないらしい。

クモではなく雲オーグと幼稚園バスで死闘が展開される。

変身のエネルギーに巻き込まれたしんのすけが変身したり、ダブルライダーが両手を合わせる事で不思議な光が起こってアクション仮面の人形が等身大になったり、技の名前を叫んでライダーダブルキックをしたり、総じてクレしんのコミカルなノリを背負ったまま古き良きヒーロー番組をしており、本編でもこんな光景が見たかったとファンから言われたりする。


【余談】


  • 「お見せしよう」「人類の味方」「シャッターが専門」など、本家一文字の印象的な台詞をそこかしこでオマージュしている。


  • 『仮面ライダー』を国民的ヒーローにまで召し上げた象徴的存在である旧2号のリブートという事でそのデザインには製作陣もかなり神経を遣っており、特徴である銀ライン*10の太さのミリ単位の調整について1時間以上の討議が行われたなどの逸話が残っている。

  • いかにも垢抜けた茶髪は特に具体的に決めていた訳ではなく、キャスティング決定時の柄本佑の髪型がたまたまそうなっていたから。その姿を見た某監督「茶髪?面白そうでいいねえ。そのままでいこう」と決めたという、非常にライブ感溢れる理由によるもの。

  • 代名詞である「いいねぇ」(あるいは"いいね")の際に親指を立てる仕草は柄本氏の段取り段階でのアドリブ。これが気に入られたようで、いつの間にか脚本のト書きに「親指を立てる」と指定されるようになった。

  • 初変身の直後「勝負願おうか」と言いながら片手の平を返して耳の辺りに当ててもう片方の手を相手に向かって伸ばすファイティングポーズを取っているが、これは本家の一文字隼人を演ずる佐々木剛が頻繁に行なっていたもので、俗に「拓大の構え」と呼ばれる。
    • 名称は当時『仮面ライダー』の製作陣がそれ以前に製作した『柔道一直線』で拓殖大学の柔道部に撮影協力を仰ぎ、その過程で同校柔道部の構えについてレクチャーを受け、佐々木氏が番組レギュラーとして出演しており…という流れに由来する。*11

  • 本家『仮面ライダー』が、旧1号の哀愁の怪奇アクションから、2号編の心の奥底に悲しみを隠しながらも明朗快活で不敵な一文字隼人のキャラクター、そしてダブルライダー制によって大人気番組に躍進したというのは現在もなお語られる歴史である。
    • 本作も前半は悲しみを乗り越え戦おうとする本郷の物語から、後半の一文字の登場によってより面白くなったとする評価もあるが、これはまさに本家の変遷を彷彿とさせる構造である。

  • 劇中でルリ子が「"辛い”という字に横線を1本足せば"幸せ"になる」と語るシーンがある。これは初めての戦いに辛さを覚えた本郷に幸せと人を守る事について説いた言葉であり、それ自体はどこかで聞いた事があるような、ありふれた教えである。
    • しかし、この「横線1本」は本作においては「第2号の体を走る太い一本線のライン」あるいは「一文字」とも置き換えられ、辛いという字に一本線が寄り添うように、本郷猛には一文字隼人がいるのがご存知『仮面ライダー』である。はてさて、偶然か否か。
      • 以上の事からファンには「幸せを運ぶ男」「一文字足してくれる男」と呼ばれたりもする。辛いという字に一文字。



追記・修正はSHOCKERに借りを返して心スッキリしてからお願いします。

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| 極秘 |
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TOP SECRET



ネタバレ

注意


IF YOU WANT

TO BE HAPPY,BE.






Action is eloquence(行動は雄弁である).

とはいえ何用でしょうか?


ここから先は本編ラストの内容を多分に含みます。
それでもよいと心決めた方は
スッキリした気分でスクロールなさってください。


お気遣いなく。
皆様の観察が私のtaskですから。







ネタバレを含みますので上映後に閲覧してください。

















自らの残存するプラーナを全て失ってでも、緑川イチローの心に寄り添った本郷猛。
その命の灯火は、今まさに消えようとしていた。





「後を頼む、一文字」



「本郷!」


「なんだよ…また1人かよ…」


"辛い"という字に一本線を足した男。
では、孤独になった一本線はどうなってしまうのだろうか。



「自分が消えた後も、君に仮面ライダーを名乗り続けてほしいそうだ」


「お嬢さんと本郷のためにも、アンタらと付き合う努力をしてみる」


政府の男から差し出された本郷のマスク。
一度は手放しかけた、赤いマフラーを再び首に結ぶ。

「ああ…多少は心スッキリだ」


「連絡は手を挙げれば済む」


「うーん…」

かつて本郷やルリ子がそうしていたように、右手を挙げる一文字。


「新しいサイクロン号とスーツが欲しい」










「俺たちはもう1人じゃない。いつも2人だ」







「2人でSHOCKERと戦おう」





BATTA-AUG
BAA-02+01







登録日:2024/12/25 Wed 19:30:00
更新日:2025/04/05 Sat 12:12:27
所要時間:約 5 分で読めます





【これがアンタの心なんだな…本郷】

本郷を失い、一度は自暴自棄になった一文字。
しかしルリ子が研究していたプラーナ固定化の技術により、体を失った本郷の心は第1号のマスクに遺された。
ルリ子のプラーナも別の場所で安全に固定されているという。

仲間たちのために自分のポリシーを曲げ、怪しさ満点の政府と情報機関の2人の男と連む努力をしようと決める一文字。
新たな決意で、戦う勇気が湧いてきた。

手始めに先の戦いで損耗した装備のリニューアルを依頼する。
スーツは新しくなり、遺された第1号のマスクは改修された。

SHOCKERの第2バッタオーグから、人類の味方仮面ライダーへ。
そして誰かと連む事を決意した仮面ライダー第2号。
更にその先へと向かうのは、新しくなった第1号のマスクを受け継いだ新たな姿。
一文字隼人は無二の相棒とともに、第4の名前を得て生まれ変わる。

【仮面ライダー第2+1号】


「このマスクは心地いい」

「マスクを被っても、前みたいな冷たいギラギラした感じではなく」

「優しさを感じる…」


一文字隼人が変身する、ただ1つの仮面ライダー。
第2号時代の太い1本ラインは2本線に分割され、マスクは明るい緑色と、本家における新1号をベースとした姿だが、手足は第2号の殆ど黒い緑のままで、2本ラインは体の裏側には存在しないなど、部分的に第2号の意匠が残されている。

マスクは以前のように闘争本能を掻き立てず、優しさを感じるらしい。
それはマスクに文字通り優しさが宿っている事に他ならないが、あるいは影を背負った飛蝗男からお茶の間のヒーローとなった新1号編へのリスペクトだろうか。

装着したマスクには固定化に成功した本郷猛のプラーナ、魂が宿っている。
肉体こそ失ったが本郷のプラーナは一文字に語りかける事ができ、一文字の得た感覚を同じく感じる事ができる。


現状は戦闘シーンがほぼ存在しないので詳細は不明だが、ライダーカードなどの情報を頼りにするならばパンチ力やキックなどの基礎能力は向上し、更に本郷と一文字がこれまでに得た経験を合わせて戦闘に活かせるとされている。ある意味V3。

まるで第2号の太い一本線のように群れを拒み、孤独を好んでいた男。
しかしもう1人ではない。
2つの心で支え合うかのように細い2本線のラインに別れた仮面ライダー。
2人で1人のダブルライダーとなった男たちは、終わりなき悪との戦いに身を投じていく。

【シンサイクロン号】


「本郷、感じるか?この風を」

「ああ。一文字の感じる風の力も、排気音も、匂いも全て感じる…」


一文字が政府と情報機関の男に依頼したニューマシン。
赤と白を基調にしたカウルに、ライト周りの青い線取りと、そのまま新サイクロン号をモチーフとしている。そしてシンのタイトルも回収された
最高時速720キロの快速を飛ばすとされている。

各話フォーマット版のラストでは、シンサイクロン号で疾走する第2+1号の横を第1号のサイクロン号が並走し、まるで蜃気楼のように揺らめいて消える。
それは決して幻などはない。一文字は本郷の気配を感じ取っているのだ。

「スピードを上げてくれ一文字。新しいサイクロンを味わいたい」

「よし…行くぞ、本郷」



風のようにバイクを駆って、ダブルライダーは今日も走り続ける。
SHOCKERの滅びるその日まで。

デザインの段階では一文字の常用サイクロンの改造と想定されていたが、撮影上の都合や「本郷の常用サイクロン号の予備として残しておきたい」という意向から完全新規造形となった。
その経緯から、ベース車両は常用サイクロンと同じCB250R。


ライダーカードは『シン・仮面ライダー』があたかも週30分のテレビ番組であるかのような体でテキストが綴られており
「ライダーの さらなる 活躍(かつやく)を、ぜひ たのしみに まっていてくれ!」
来週(らいしゅう)からは この シンサイクロン(ごう)が、ライダー と(とも)に だい活躍(かつやく)するぞ!」
と、まるでテレビマガジンがテレビ本編の情報を先行公開するような文で締められている。
果たして視聴者が実際に新たな活躍を拝めるのはいつの日か…


【その後の仮面ライダー】


Blu-ray初回限定版に収録された各話フォーマット版で新撮された主題歌映像、及びラストに収録された新番組予告(風の映像)では、その後の第2+1号の戦う姿が断片的に描かれている。
本家の「ロンリー仮面ライダー」をオマージュした映像では、赤と黄色3色カラフルな出立ちの未だ見ぬ下級構成員と立ち回りを演じ、最後に再生怪人軍団との戦いという本家の流れを概ね踏襲した映像が製作された。

長きに渡る戦いを経ているからなのか、スッキリ短髪だった茶髪はイチロー兄さんのように肩まで届くほどの真っ黒なロン毛になっている。
…マスクから堂々とはみ出た長髪を振り乱しながら戦う様は仮面ライダーというか、どこかの宇宙一有名な狩猟民族のよう。

やはり新1号の変身ポーズと同様に変化したファイティングポーズを取り、SHOCKER撃滅を果たすべく、もう一人の我が友・シンサイクロンを走らせて、嵐とともにやってくる。

【仮面の世界 新番組予告】



【余談】



  • 言うまでもなく新1号のオマージュであり、本作は2時間の中で旧1号編→2号編→新1号編の3部構成を詰め込んだ事になる。
    • が、手足を銀色にするのはご本尊への畏れ多さから控えたらしい。

  • 一文字がロン毛の髭面になっているのは柄本氏が当時NHK大河の『光る君へ』の道長様で多忙な時期になんとか3日間だけ時間を貰えたから、という事情に起因する。
    • ので、まだまだ撮影が続く道長さまの役作りを崩すわけにはいかなった訳で、特に最初から意図した変化ではなかった。もう少し遅かったらハゲ頭の一文字になる所だった*12

※追記・修正は1つの体に2つの心で辛いという字に横線を1本足してからお願いします。

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最終更新:2025年04月05日 12:12

*1 相手の心や魂のプラーナに働きかけること。これにより洗脳された心を解放する。正しく使えば人を救える特別な技術。

*2 これは原典の一文字隼人がしばしば女性ゲストに用いていた言い回しでもある

*3 愛用のカメラはMinolta16P。本家の佐々木剛演ずる一文字隼人も撮影で使っていた機種という、某監督の恐るべきマニア魂を感じさせる設定

*4 原典の一文字隼人はフリーカメラマンだが、記者としての取材活動なども行なっていたようである。カメラマンとは一口にいっても幅の広い職業なので、このあたりは曖昧

*5 本家が当初2人とも「仮面ライダー」だったため15話などで人間名+ライダーで呼称していた事に由来する

*6 蛇腹S字の分割面や左右シャッターの展開速度の差まで再現されている

*7 仮面ライダーの姿で改めて変身ポーズを取り「ライダーファイト!」の掛け声で自らを鼓舞し相手を怯ませる。要は「チェストー!」みたいな気合いの雄叫びと臨戦態勢のファイティングポーズ。ウルトラファイトでもレッドファイトでもない。

*8 これも本家における旧1号編→2号編のサイクロン号の変化に基づいている

*9 本家でコブラ男のエピソードに登場した人物と同姓

*10 一見すると白線であり、そのように記述されている書籍もある。本家の旧2号は夜間でも視認できる反射板としてラインに銀ラメを仕込んだという経緯があり、本作の第2号も暗いシーンをよく見ると粒々がテカっている

*11 ただし佐々木氏は左利きであり、シン・の一文字は左右逆の構えとなっている

*12 ちなみに原点の一文字役の佐々木氏も多忙故に脱毛症になっていたらしく、2号編序盤はそれを隠すために帽子やウィッグでを多用し、とあるシーンではヘルメットを被ったまま電話に出ていたりする