混沌の遣い(新・光神話パルテナの鏡)

登録日:2013/03/12(火) 15:47:59
更新日:2024/02/05 Mon 12:30:33
所要時間:約 9 分で読めます





「全ての生き物が望まれて生まれると思ってんの?」

「せっかく生まれてきたのに、無かった事にはできないっしょ?」



混沌の遣いとは、新・光神話パルテナの鏡に登場する敵キャラクターである。



●概要

冥府生まれと推測される凶悪な邪神。
緑色の羽が生えた紫色の毒々しい一つ目サソリ、という表現が適切なほど虫っぽい外見をしており、あまり神らしさは無い。
尻尾のアンカーフックで魂を引っかけて奪い、例えそれが神であっても自分の餌として喰らい尽くす恐ろしい生命体である。
ちなみに言語を一切喋らない。
本編中での外道な行いを考えると、喋らなくてよかったとさえ思えるかも。


本編における騒動が起こる前は、ナチュレ率いる自然軍の手で、宇宙に建造した人工物「月の神殿」に封印されていた。






●物語中での経緯


・アロンの敗北 (13章 月の静寂)

前述の通り、混沌の遣いは自然軍が厳重な管理のもと封印している。
だが、神殿の構造と、神殿を守る人物にいささか問題があった…

月の神殿は主である自然軍幹部、静寂のアロンの力によって制御・維持されており、もし彼が倒れるような事があればたちまち神殿が崩壊してしまう、すなわち混沌の遣いが放たれるというシステムのもとにあった。

しかし、アロンは礼儀正しい態度とおちゃめな一面とは裏腹に律儀でとてもカタブツ(ナチュレ評)な人物であったため、パルテナ軍からピットが攻めて来た際にも、浄化される最後まで事情を説明しなかった。しかも運悪くナチュレはこの時留守であった。

まあ外敵勢力が悪用しかねない可能性は無きにしも非ずであるし、そもそも自然軍はパルテナ軍と(この時は)真っ向から対立する立場にあったので、アロンの行動は幹部として正しいと言えるし、ナチュレも「敵の拠点を叩くのは当然のこと」と、パルテナを非難することはなかった。

アロンの浄化が引き金となり月の神殿は崩壊。
ピットは意図せずして混沌の遣いの解放に加担してしまう結果となった。
(この時脱走する混沌の遣いを目撃しているが、遠目にしか見えていなかったのでパルテナはアロンが脱出したんだろうと判断した)


「あれは…?」

「ん?なんですか?」

「アロンが脱出したのでしょうか…」



・パルテナの乱心

開放された「混沌の遣い」は、侵略者オーラムとの戦いで疲弊しきったパルテナ軍の隙をつき女神パルテナへ寄生する事に成功。
ピットの魂を「混沌の指輪」に封じて地上界へ捨てるなど、なかなか狡猾な策も行った。
18章開始時点では、いきなり指輪の状態から説明ゼロで放り出されるため*1*2、ピット(プレイヤー)は混沌の遣いの存在はおろか、まさかそんな大事件が起きていたなんて知る由もない。

取りつかれたパルテナは一転して、いつもの愉快さが微塵も感じられない冷酷無情な女神に変貌。
パルテナ軍を指揮して、何と地上界に戦争を仕掛けたのである。
女神の奇跡によるものか、地上は巨大な竜巻に蹂躙され、イカロス達は街ひとつ制圧する程にまで人間達の恐怖の対象となっていた。
更に、対ヒュードラー用に検討されていた無人兵器パルテノートが戦線に投入され、魂が抜けたピットの体も混沌の遣いに操られて戦うだけの人形と化し、イカロス達と共に破壊活動を行っていた。
手の平を返したかのような惨い仕打ちは、明らかに「女神パルテナが乱心した」と思われても仕方の無いものであった。


なお、何が目的でパルテナを介して戦争を勃発させたかったのかは明確にされていない。
おドールの説明文には「意思らしい意思が見受けられない」「混沌を好む」などと記述されている事から、単純な本能だけで動いているのだろう。



・ピットの反撃 (18章 三年の歳月)

しかし指輪にされたピットは意思力により少女→犬→マグナ(傭兵)という珍妙なリレーを経てピットの体と対決、見事に体を取り戻す。
飛翔の奇跡も発動するが、それを行っているのはパルテナではなくナチュレ。
この時点ではナチュレがあまり説明してくれないので、まだ騒動の真実は分からない。
荒れ狂う竜巻を乗り越え、エンジェランドに駆けつけるが…


「悲しい事ですが、時代は流れていくものです」

「幾多の戦いを通じ、人間にもつくづく愛想がつきました」

「ピット。意識が戻ったのなら…あなたはここで死になさい!!」


荒れ果てたエンジェランド、そしてパルテナの変わり果てた言動に困惑するピット。
更に強固なフォースフィールドに阻まれ、一時撤退せざるを得なくなった。
さりげなく精神的にも攻めてくる辺り、混沌の遣いの性悪っぷりがうかがえる。



・騒動の原因? (19章 光の戦車)

混沌の遣いは登場しないが、ハデスさんが騒動の原因がピットにあるかのような発言をする。

「ピットくん、騒動の原因はキミなんだよ?」

客観的に見たら間違っちゃいないけど…

この時のナチュレの台詞は、混沌の遣いの出自と後のハデスの言い分を考えるとやや深いものがある。

「惑わされるでないピット!諸悪の根源は冥府軍じゃ!」



・悪あがきに次ぐ悪あがき (20章 女神の魂~21章 混沌の狭間)

エンジェランドへ向かう空中戦の途中、ナチュレの口からようやく混沌の遣いの名が明かされる。
エンジェランドに着いてからも、ピット(プレイヤー)は神々の会話から混沌の遣いにまつわる真実を知る事になる。
月の神殿に封印されていた事、おそらく冥府生まれの危険な生命体である事……
ちなみに項目冒頭の台詞は、この時の会話でハデスが発したもの。

「おっと、聞かれる前に答えるけど…混沌の遣いの事は知らないよ?」

直接対決でも混沌の遣いは姿を隠し、実体化してもパルテナを盾に攻撃をやり過ごすなどかなり卑怯な振る舞いを見せる。
結局ピットに見破られ敗北。パルテナも混沌の遣いから解放され、正気に戻った…束の間…
















「ピット、後ろじゃー!!!!」

そうする間もなく混沌の遣いは起き上がり、ピットが油断してパルテナを介護しようとした隙をついて彼女の魂を強奪、直後にパルテナの身体は石化してしまう。そしてそのまま自身の生息する異次元世界「混沌の狭間」へ逃走を図った。

(ちなみに初見では勘違いしやすいが、この時パルテナが石化したのは混沌の遣いの仕業ではなく、再び身体を乗っ取られるのを防ぐために彼女がとった最終手段である。)


カオス極まりない混沌の狭間で壮絶な追走劇を繰り広げた末、混沌の遣いは浮島に墜落。
ピットがこれまで戦ってきた軍勢の幻影を生み出し、ごった煮の混合軍で迎え撃つもブラックピットの加勢が重なり全滅。*3
ナチュレの介入もあって退路を絶たれ、パルテナの魂も奪還され、白い天使と黒い天使のコンビプレーで今度こそ息絶え…

















てはいなかった!!


なんと往生際の悪いことに、燃え尽きた塵状の体になっても混沌の遣いは生きていた。
今度は油断して去ろうとしたブラピを宿主にして甦ろうと彼に纏わりつき、連れ去るように浮島から落下。ピットはすぐさま救助に向かいつつ、ナチュレに飛翔の奇跡の再発動を要請する。だが飛翔の奇跡は既に5分という使用限界に達しており、「これ以上は翼が焼け落ちるから諦めろ」と強く制止するナチュレ。

だがピットは『いざとなったら翼が燃え尽きても構わない』、『ここでブラピを助けられなければ絶対に後悔する』と猛反論。結局ナチュレは、ピットに気圧される形で飛翔の奇跡を再発動。ピットは決死の覚悟でブラピを救出。
新たな宿主を奪われ取り残された混沌の遣いは、眼下に広がる混沌の海へ今度という今度こそ消えていった。





使用限界を超えて翼が焼け落ち、ピットが再起不能になるという大きな爪痕を残して……



「残念ながら、ピットは再起不能じゃ。もう空を飛ぶことも、戦うこともできまい。」





●ボスとしての混沌の遣い

20章ではパルテナとセットで戦う。
ただしパルテナを倒すとゲームオーバーになってしまうため、傍に隠れている混沌の遣いを射撃であぶり出し攻撃する必要がある。
混沌の遣いの行動パターンは毒霧を噴射する、パルテナを盾にするといった単調なものであり、コイツ自体に苦戦する要素は殆どない。
むしろ一緒に攻撃してくるパルテナ様に注意を向けるべき。
攻撃技はもとより、パルテナフラッシュによる目暗ましや、護衛のイカロスナイト召喚は地味に鬱陶しい。
体力はそれまでのボスと比べると高ホンキ度でも低めなので攻撃力の高く、パルテナを巻き込まないよう弾が小さかったり、誘導性の低い神器で挑みたいところ。


21章では空中戦(後半)と地上戦の2回に分けて戦う。

・空中戦

衝撃波や誘導性のキツイ空中機雷を飛ばしてくる。
途中で耐久力の低いパチモンも出てくるので惑わされないように。
最後の岩に激突するシーンで残り体力を一気に削りきらねばならず、それまでにガンガン攻撃して体力を削る必要がある。
仕留め切れないとゲームオーバー。


・地上戦

ブラピが加勢して2対1の構図となる。
ここでの混沌の遣いはキモイぐらいカサカサと素早く動き回る。
そのため弾のスピードが遅い神器では非常に狙いづらいのだが、浮島上にナチュレが電磁キャプチャーを設置していくので、うまいこと引っかけて足止めさせるのが基本的な戦い方。
追い込んでハメるのは難しいが、こちらに向かって突進した時は大チャンス。




●余談

本作の敵対勢力は大半がユニークな連中で占められており、そうでないシリアス一辺倒なキャラクターはストレートな悪役のメデューサや、無機的に侵略を繰り返すオーラム軍ぐらい。
その中にあって混沌の遣いは

  • オーラム軍との戦いで疲弊した隙につけ込んでパルテナを操る
  • ピットの魂を指輪ごとポイ捨て
  • パルテナの乱心に見せかけ地上で戦争
  • パルテナを盾にして戦闘
  • 油断を突いてパルテナの魂を奪う
  • 自身は姿を隠し、幻影の混合軍で一方的に攻める
  • 油断を突いてブラピの体にまとわりつく

など、全体的に外道な行いが目立つっており一際異端性がある。
サソリみたいな外見で異常ななスピードでカサカサ走り回る気持ち悪い挙動、最終的にピットを再起不能にさせた所業も含め、多くのプレイヤーから一身に憎まれている。ただし20章は非常にハート目当ての周回をしやすいため、廃人プレイヤーには逆に愛されている。




ところで、混沌の遣いが退場した後のストーリーは既に終盤に差し掛かっており、
ピット復活、ハデスとの決戦……と怒涛の勢いで展開していくため、騒動に関する後日談的なものは残念ながら無い。
しかし、長きに渡って人間に味方してきたはずの女神パルテナが、人間達に牙を剥いたという事実が彼らにどれだけショックを与えたかは想像に難くない。
最後は地上界で大きな街を背に最終決戦を繰り広げたピットだが、これで人間達からの信頼をやっと取り戻せたと思われる。





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最終更新:2024年02月05日 12:30

*1 奇襲に近かったのかピットは襲撃された時の記憶を全く覚えていなかった。おぼろげに混沌の遣いの名前は覚えていたようだが

*2 どうでもいいがこの時の指輪ピット、少女に拾われる前にスライドパッドをグリグリすると微妙に動くことができる

*3 全部で13陣。初見の場合2〜3回のコンティニューは覚悟した方がいい