登録日:2011/07/13 (水) 23:19:18
更新日:2025/01/08 Wed 19:47:59
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スケートしながら戦ったり、鉄板の上で戦ったりする特異な決闘法が多い『らんま』中でも屈指のカオスバトル。
【格闘ディナー編あらすじ】
ある日、乱馬はおフランス流格闘ディナーの家元「ピコレット・シャルダン」と格闘ディナーで対決し敗北する。
いつか再会したら必ずリベンジすることを誓いつつ天道道場に帰宅すると、なんとそこにはくつろぐピコレットの姿があった。
実は昔、修行時代の早雲と玄馬は空腹で行き倒れそうになっている時にシャルダン家の営む道場を発見、格闘ディナーの勝負に勝てば食事代はタダという文句に釣られて挑戦するもあえなく敗退。
代金の代わりにいつか娘が生まれたらシャルダン家に嫁に出すという約束を交わしてその場を収めたことがあり、ピコレットはその約束に基づき天道家の三姉妹のうち1人を嫁として迎え入れるためにやってきたのだ。
今一度格闘ディナーで勝負して勝てば約束はチャラにするとピコレットは宣言するが早雲は敗北。
娘1人を嫁に出すことを余儀なくされた所に、負けたことが悔しくて一泡拭かせようと目論むらんまが身代わりになり、ピコレットと格闘ディナーで対決することに。
当然、負ければらんまがピコレットの嫁になる。らんまはピコレットの下で格闘ディナーの家元の妻としての花嫁修行を行う傍ら、早雲&玄馬と共に幻の
必殺技「グルメ・デ・フォアグラ」の特訓も行うのだった。
※以下ネタバレ含む
【格闘ディナー概要】
400年の歴史を誇る格闘流派で、高級
フランス料理のオードブルから
デザートまでのフルコース完食する早さを競う。
要は
大食い・早食い競争の究極型と思ってもらって構わない。
ただし、サンポールが「お上品お食事競争」と語った通り単なる早食いではなくフランス料理のテーブルマナーを守らなければならず、おまけに
「食べる姿を見せてはいけない」という禁止事項があり、これを破ると減点。
敗者はお互いが食べた高級
フランス料理フルコースの全額を請求される。
立食パーティーに見せかけた乱取り稽古も存在し、一見すると豪勢なパーティーでありながら実力がなければ何一つ食べる事ができないという厳しいものである。
【シャルダン家】
早雲「う゛~~む、いずれおとらぬ面構え…」
なびき「妖怪図鑑じゃないの?」
格闘ディナーの思想が根付きすぎている関係か価値観が常人とズレており、手を使わず舌だけで物を食べる行為を「上品」「優雅」と捉えるのが特徴。
歴代の偉人たちは皆異様なサイズの口と長すぎる舌を持っている。
ピコレットによれば一族の男は代々嫁不足に悩んでいたそうだが、なびきには「異様にデカい口と変態同然の求愛ムーブが原因ではないか」とツッコまれた。
ボンジュールでございます!
お待ちしておりました、マドモアゼルらんま!
CV:難波圭一
おフランス流格闘ディナーの家元で、格闘ディナーの名手。
ビジュアルは金髪碧眼の美青年。
「~でございます」が口癖で、一見キザながらも紳士的な善人だが、舌は数メートルほど伸び、口の皮膚と筋肉がスイカや鳥の丸焼きがスッポリ入ってしまうほどに伸縮するという、格闘ディナーをするために生まれてきたような変態的能力を持つ。
彼にとってキスとは相手の顔を丸呑みにする事である。
異様なデカさの口と傍迷惑な求愛さえなければ比較的良識人であり、らんまに対しても真摯に愛情を向けていた。
ただしらんまが一週間もまともに食事をとれない前で普通に料理を食べてらんまの怒りを無自覚で煽り、これ見よがしに食事をかすめ取っておきながらそのまま口説こうとする辺りかなり天然が入っている。
格闘ディナー家元らしく格闘ディナーに関しては右に出る者がなく、初戦では乱馬と早雲を圧倒。
甘栗拳並みの速さでのフォーク&ナイフ捌きが可能で、超スピードの口と舌の動きと合わさって、格闘ディナー時はあまりの早業に周囲の料理が消えていくようにしか見えない。
手の速さではらんまも引けはとらないが、肝心の「食べる速さ」では負けており、後述するグルメ・デ・フォアグラの習得を余儀なくされた。
機転も利き、皿ガードを破られた際は口をひょっとこみたいな形状に伸縮させることでらんまの攻撃を躱す下品な技も披露した。
お下品な!人に食べる姿を見せるとは何事ざんすか!?
CV:三田ゆう子
シャルダン家の花嫁教育係。丸眼鏡と七面鳥の丸焼きみたいな髪型が特徴。
シャルダン家の人間に違わず彼女もまた異様に伸縮する口と舌の持ち主。
「~ざんす」という口調と小言が多い小姑で、事あるごとにらんまを「お下品!」と罵り、ピコレットの嫁に相応しい大口になるよう苛烈なスパルタ教育を課していた。
一応本人も厳しく指導している自覚はあったので根はピコレット同様善人。
らんまの才能を見抜いた上でを一人前の妖怪格闘ディナーの使い手として育てるため心を鬼にしており、手を使わず食事をとってみせたらんまの姿を見た際は陰で感涙を流していた。
【技一覧】
正確には技ではなく、頭の上に乗せた皿の料理を「手を使わず」「食べる姿を見せず」食べてみせろというレッスンを課せられたらんまに、ピコレットが見せたスロー版お手本。
おフランス流格闘ディナーの基本形と言える。
- 「アン」で口を開き、
- 「ドゥ」で舌を伸ばし皿の料理を捕え、
- 「トロワ」で口中に収める。
カエルや
カメレオンが舌を伸ばして瞬時に獲物を捕食する姿を連想してもらうと分かりやすいかもしれない。
大昔の格闘ディナー界に存在した少数過激派の達人集団「小さな口」が編み出した禁断の奥義。
口が小さく格闘ディナーに不向きな人間のための技で、食べる姿を見せずに相手より早く食べなければならないというルールの裏を突き、対戦相手をガチョウに見立て、相手に自分の料理を食べさせるというのがその本質である。
グルメ・デ・フォアグラの事をらんまがピコレットに
問い詰めた時にはお茶を濁したりするなど、口がデカい奴らの天敵的な存在。
らんまは甘栗拳の応用で、素早い手捌きでこれを観客に食べさせるという進化したグルメ・デ・フォアグラを披露した。
ちなみに作中の描写から考えるに、らんまが披露した形が本来のグルメ・デ・フォアグラである可能性がある。
また、本来自分が食べる料理を相手の口に放り込むため、この技の名人はみな非業の最期を迎えているという。
対グルメ・デ・フォアグラ用の技その1。
皿1枚を丸ごと口にはめ込むことで、グルメ・デ・フォアグラによって口めがけて飛ばされる料理を防ぐ。
「皿を口にはめ込むなんて下品」とか言ってはいけない。おフランス流格闘ディナーのルール上は全く問題ないためシャルダン家基準だと優雅な戦法となる。
ご丁寧にも弾き返した料理はらんまの皿に戻ってくるという、まさにグルメ・デ・フォアグラ返しと呼ぶに相応しい技。
これに対し、らんまはもう1枚の皿をピコレットの口にねじ込むことで隙間を作り、見事このガードを打ち破った。
対グルメ・デ・フォアグラ用の技その2にして格闘ディナー究極奥義。
ナイフもフォークも捨て、皿に顔を付けて料理を吸い食う。もう行儀が悪いなんてレベルを通り越しているが、「食べる姿を見せてはいけない」というルールは守っているので有効とみなされる。
必要最低限の動きで食事を進められる上に顔と口が皿に密着しているためにグルメ・デ・フォアグラが通用しないという、究極奥義の名を冠するに相応しい技ではあった。
ピコレットの力量もあって食べる速度も非常に早い。
【勝敗】
犬食いによりグルメ・デ・フォアグラを破られたらんまは観客に食べさせる作戦に出たが、遠くまで料理を飛ばすために体力の消耗が激しくなり、さらにピコレットの犬食いの素早さを見てこのままでは負けると判断する。
対決する前から花嫁修行の一貫で一切食事を取っていなかったらんまが最後に出した技、それは自分に向けてグルメ・デ・フォアグラを放つ、すなわち……
食べる。
極度の空腹と元来の意地汚さが合間って、超絶的な早さで食べることが可能になったらんまは「食べる姿を見せてはいけない」というルールを見事突破し勝利を収めた。
【補足・蛇足】
前述の通り、グルメ・デ・フォアグラは目にも止まらぬ速さで相手に自分の料理を食べさせる技である。
某画像・動画投稿サイトなどでは、しばしばただの早食い描写に「グルメ・デ・フォアグラ」とコメントされているのが散見されるが、これは誤り。
追記・修正は犬食いしながらお願いします。
- うわっ…俄味「なww -- 名無しさん (2014-06-13 20:37:06)
- ルール(食べる姿を見せてはいけない)によって目的(上品な食事)を見失った(犬食い)、て、現実の競技にもあるよね。 -- 名無しさん (2014-12-29 06:16:14)
- 攻略法がルールの隅を突いた技巧、相手も対策を披露するものの、最後は正攻法で勝利。カオスなように見えてきちんと少年誌のバトルのテンプレに則ってる。これを考える作者の引き出しの広さが凄い。 -- 名無しさん (2015-02-28 20:37:40)
- 食べる姿を見せないようにする事よりも、舌で食べ物を取るほうが下品だと思う -- 名無しさん (2016-03-18 16:41:50)
- 「ルールに従うことを優先するあまり、『なぜそのルールが決められたか』が忘れ去られる」というのは現実のマナーや法律でもあるあるだからなあ…… -- 名無しさん (2018-03-29 10:20:19)
- あー、これ覚えてる。あかねが『きっと向こうではたくさん食べさせられるから』と消化剤くれたりとか。 -- 名無しさん (2018-03-29 12:11:19)
- コレ見た時笑いが止まらなかったコイツらほんとに人間なのか? -- 名無しさん (2019-02-16 22:45:12)
- シャルダン家の資料読んだ時なびきの「妖怪辞典じゃないの?」って冷静なツッコミでめっちゃ笑ったわ -- 名無しさん (2020-10-08 20:46:50)
- この話はCS放送で見て余りのカオスっぷりに笑いが止まらなかったwwwあと、この時は未登場だったけどもしシャンプーと右京(共に飲食店関係)が格闘ディナーの存在知ったらどういう反応するか気になる(まあ、それよりも好意を寄せてる乱馬が理不尽な目に遭わされたって知ったら激怒して「乱馬/乱ちゃんを虐めるな!」ってピコレット・シャルダンに対してフルボッコしてた可能性ありそうww) -- 名無しさん (2020-12-17 21:33:39)
- 勝負には勝ったが乱馬自身の借金は返済されていないので将来乱馬とあかねの間に娘が生まれたらピコレットの子供が嫁取りに来るんだよな。対策としてはグルメ・デ・フォアグラを幼少期から叩き込んでおくか、あかねが気合で男の子だけ産むか、それでも女の子だったら呪泉郷で男になる体質にしてごまかすか -- 名無しさん (2022-04-29 21:15:25)
- ピコレット・シャルダンはニコレット・シェリダンをもじった名前? -- 名無しさん (2024-05-10 19:07:00)
- ↑2の問題は乱馬は嫌がるだろうが、おさげの女に扮して九能先輩に借金を立て替えてもらうとかは無理かね?交換条件でデートを申し込まれるだろうが、なびきから「今後を考えれば安いモンよ、乱馬くん」と言われそうではある -- 名無しさん (2024-07-24 23:22:33)
- 「自分が勝ったら以前の借金は帳消し」という条件を付けて、乱馬の姿でリベンジを申し込むとか。ピコレットは「乱馬」がグルメ・デ・フォアグラを会得してるって事は知らないだろうし -- 名無しさん (2024-07-24 23:39:38)
- そう言えば最終決戦では、らんまはチキンでのクロスカウンター食らって減点されてたけど、あれって勝敗の判定には反映されてたのかな? 残り1皿の差を覆せるほどの減点にはならなかったって事か?(ピコレットが食らった方のカウンターは、レフリーがよそ見してて減点されてないし) -- 名無しさん (2024-07-24 23:51:19)
- ↑ 原作コミックだとマダム・サンポールがフライパンで制裁するだけだったけど、アニメ版では減点ペナルティとして大盛り料理が一皿追加されてたような覚えがある。話は変わるが特訓中に着せられた鋼鉄製コルセットがやつれたおかげで脱げた→男に戻れる→その格好ですごむのへやめたまえ の流れは笑った -- 名無しさん (2025-01-08 19:47:59)
最終更新:2025年01月08日 19:47