アニメオリジナルエピソード

登録日:2012/03/28 Wed 09:00:04
更新日:2025/04/02 Wed 02:28:55
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ん? 何をやっているのだ一護?


あれ? 俺達破面と戦ってたんじゃ……?


大人の事情というものだ。



「アニメオリジナルエピソード」とは、原作のあるアニメにおいて、原作には無いオリジナルのエピソードの事である。
アニオリ展開・アニオリ描写とも言うべきか。



【概要】

一般に、週刊連載の漫画と30分のTVアニメでは、後者の方が1話辺りに必要な内容が多い*1
特に戦闘描写などは顕著で、漫画では数話におよぶ激闘でさえ動画にすると1話にすら満たない事も少なくない。

例えば、『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』等の超がつくほど長編のマンガ等を原作としてアニメを開始すると、相当原作が進んでからアニメ化しても比較的早い段階でアニメのストーリーが原作に追いついてしまう
『ドラゴンボール』のフリーザ編では「漫画1話がバトルだけなので忠実にアニメ化すると10秒。なので漫画1コマをアニメ1話に引き伸ばし」という極限状態の伝説も。

なら原作が終了した後にアニメ化してじっくり進めれば…という意見もあるが、原作が完結してからも人気を保つ保証は無く、連載終了と共に人気が失墜してからアニメ化してソフトや関連商品が全く売れず大赤字になってしまうリスクも大きいので、相当ファンから長らく語り継がれるなどして原作終了後でもメディア展開で売れると判断される作品でないと機会は無い。原作連載中でも人気が失墜する事だってあり得るのだ。

そこで不足分を補うため、アニメでは原作にないエピソードを挟むのが一般的になっている。
または総集編、過去回想只管爆発までの1分を戦いつづける、前回のあらすじで尺を埋める等で調整を図るのである。
先に述べた様な超長編だと一話分どころか「アニオリナントカ編」といった長編エピソードになったりする。

逆に、展開・尺の都合・各方面への配慮といった事情から、時折一部エピソードの省略や、アニメ未登場キャラクターが出る事もある。


と、ここまでの内容はほとんど「アニメとは人気漫画に色と音をつけたもの」以降の時代の話であるが、1970年代以前だと勝手が違う。
本来アニメと漫画はあらゆる全ての意味で完全に全く別のメディア・芸術であり、特に昔のアニメスタッフは漫画をアニメ化するためだけに業界に入ったわけではない。
ハリウッド映画と原作の関係、実写ドラマと原作漫画の関係と同様に、かつてはアニメ界も「原作はあくまで原作」という姿勢であった。

しかし80年代に入ると「オリジナルアニメの質・量・人気の急激な低下」「大ヒット漫画の続出」「スポンサーの影響力の増大」などで両者の関係が変化し、そして東映アニメーションのジャンプアニメによって「アニメオリジナルエピソード」の現在のイメージが根付いた。
70年代以前から活動している「東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)」「日本アニメーション」は
エピソード以外の部分でもアニメオリジナルの色が強い作品が多い。

90年代、2000年代ともなるとライトノベルの発達とともに「名前や大まかなプロットと版権は使うが、作風も展開もガラッと変える」という形でのアニメが増加。ちょっとしたエピソード追加どころか序盤のエピソードを終えたら全く別物のシナリオになるという作品が比較的多くみられた。

時代の流れか、2010年代後半以降はアニメ制作会社の人員や予算的な理由から3クール以上のアニメや夕方のキッズアニメが激減。テレビ東京の平日夕方アニメ枠も多くが深夜帯に移行する形でほぼ消失し、金曜日の夕方の枠を残すのみとなっている。
そのため、アニメを通年通して長期間放送する事が減り、大半が12話程度の1クール制となったため、原作を区切りのいいところまでアニメ化するだけでも尺に余裕が無くなり、その結果アニメオリジナルエピソードも珍しくなっていった。

だが、アニメオリジナルエピソードが完全に無くなったわけではなく、ドラえもんなどのいわゆる国民的アニメのエピソードは大半がアニメオリジナルエピソードとなっている。
それ以外でも、アニメオリジナルエピソードによって原作の補完をしている場合もある。

また、近年のリバイバルブームに伴い、かつてアニメオリジナル展開で完結した昔のアニメを、原作に忠実な流れで1から再アニメ化するというケースも見られるようになった。

【オリジナルエピソードでよくあること】

◆アニメ終了によるオリジナルラスト

原作漫画がまだ続いているアニメが途中で諸事情や当初の予定通り終了した場合、その殆どまたは後半や結末をオリジナルエピソードにする事もある。
例:『ハヤテのごとく!』一期や『鋼の錬金術師2003年版』『ソウルイーター』など。

まあ、原作がきっちりあるのにオリジナルキャラやグルメスパイザーなどのオリジナルアイテムをちょこっと多めにした『トリコ』とか、すこ~し設定と内容を変更したこれの8話みたいなのもあるが、この辺の細かい違いをオリジナルエピソードと呼ぶかは、個人の主観に任せます。


◆端折られた部分の補完

尺稼ぎするケースだと原作ではたった一言で済まされた部分を若干肉付けして視聴者に分かりやすく伝える、コマ割りの都合上目立たなかった部分を画面全体に描くことで分かりやすくする、ページ数の都合上端折られた原作の設定やエピソードをアニメで映像化など。
真逆のケースだと1クールでキャラを掘り下げるために原作のエピソードをシャッフルする、構成を組み換えて後のほうに来るエピソードの一要素を前のほうのエピソードに組み込む、おまけ漫画で描かれた要素を本編に直接組み込むなど。


◆バトル漫画のアニメオリジナルエピソード

長期バトル物の作品などでは特に脚本家泣かせであろうパターンでもある。
何せ勝手にキャラクター達に原作を先取りした様な新技や別能力を使わせるわけにもいかず、既存の設定だけで話を進めなければならない。敵キャラなんかも下手に原作のエピソードに絡ませる事も出来ない。
実際、それをしてしまって原作本編との矛盾が生じた作品も少なくない。

それでいてただ同じ技や能力で敵を倒すだけではマンネリになるので、原作の流れに抵触しない程度に魅せ方などを工夫する必要がある。
長期シリーズであれば、懐かしさ補正もかねて旧来の装備・能力の再登場というパターンに持っていく事もできるが、そういうものも無ければ難易度は大幅に上昇する。

これらの事情でどうしてもバトル絡みのオリジナルエピソードを作れない場合、キャラ過去話や束の間の日常回で間を埋める事もある。
それすらも出来なくなった場合の最終手段が、今迄のエピソードの使い回しを流しながらそれらを無駄に細かく解説する、いわゆる『総集編』である。


◆アニメオリジナルキャラクターの扱い

オリジナルキャラクターを登場させても、アニオリ終了後も登場させる訳にはいかないので、
最後にはキッチリ退場させる必要がある。(死亡、消滅、どこかへ去る、別世界に残る、等)
一方で思いがけず人気となり、繰り返し登場したり原作に逆輸入される事も多々ある。


◆オリジナルエピソード制作の難しさ

以上の様にオリジナルエピソードは、上記の制約を全てクリアしてストーリーを作らなければならないのである(これらは劇場版などにも言える)。
この手の数少ない例外は「原作でも起こってはいるが、原作では様々な事情で描写していなかった物語」を下敷きにした場合である*2

ちなみに、このパターンの一つに
原作読んで楽しかった長編が流れ的に次から始まるぜ!

オリジナルエピソード長編

なん…だと……!?

と言った風な流れで挿入されることもある。
純粋な原作ファンには不快に思う場合もあるだろう。
その挙句、原作の話を最後までやらずに終わってしまうなんてパターンもあるので厄介な事である。
一話完結作品であれば長寿化する可能性も高いため、そういった作品の場合あっという間にオリジナルオンリーになってしまうこともある。
(特に作者が既に逝去している、いわゆる「国民的アニメ」の場合は顕著)

しかし原作ファンからも名作と呼ばれるエピソードもまた沢山あるので、アニオリだからと食わず嫌いをせずに一度見てみるのもアリである。

原作ではあまり触れられなかったキャラの設定の掘り下げや数コマだけだったシーンに尺を割く等の試みが行われた結果、
あんまり目立たないキャラが活躍したり、違った一面を見られたり、原作ではあやふやだった場面の補完…などなど、新しい魅力も見つけられるかもしれない。
中にはオリジナルながら原作者サイドが監修している事もある。
ちなみに上記の逆パターンとして、アニメから入って原作を読んでみたらアニメで気に入ったエピソードが無くて驚いたというケースもある様だ。

良くも悪くも脚本家やスタッフの作品への理解度が問われるため、双方が上手くかみ合うかが評価の分かれ目になるといえるだろう。

近年の深夜枠の原作付きTVアニメなどは放送期間が大体が1クール、長くても2クールしか放送しない作品が多いため、全日帯のTVアニメに比べるとアニオリによる引き延ばしや大胆な改変などは少ない傾向にある。
一方、4コマ形式の日常系作品などの場合は、各エピソードが独立しているがゆえにアニオリを挟みやすいため挿入される事が多い。


【有名なオリジナルエピソードの一覧】

放送開始順に列挙していく。

記載している作品はほんの一部だが、オリジナルエピソードは良作も駄作もあるがゆえ、軽んじてはいけないし重んじてもいけない。
しかし、結局は視聴者が楽しむことが一番なので、せっかくだからこれを機に視聴してみてはいかがだろうか?但し、当方一切責任は負えませんのであしからず。




















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最終更新:2025年04月02日 02:28

*1 漫画の内容が薄いという訳ではないので、そこは勘違い無きように。

*2 既存キャラに新規設定を盛り込むのが難しい点はあまり変わらない場合が多いが

*3 アメリカ遠征編は大幅な改変がなされている

*4 ソードボードに全身串刺しにされるも、キン肉マンが『キン肉マンGo Fight!』を歌いながら復活するシーン等

*5 当時この展開には当然ながらブーイングがあった

*6 一応、作中でも理由付けはされている。

*7 なおこの話は一応原作の扉絵が元ネタである。255話と256話の扉絵は新年の二週連続カラーのお遊びとして同じ構図の絵の間違い探しになっているのだが、悟空とピッコロが教習所で運転を練習するも二枚目の絵では一枚目で乗っていた車がぶつかって壊れている、というちゃんとストーリー性の分かる内容である。

*8 ドル箱アニメにもかかわらず、ナイター中継や特番で潰れやすい水曜のゴールデンタイムに放送し続けたのも放送休止で話のストックを稼ぐという事情もあった模様。

*9 たぶんタイミング的にクリリンと思われる

*10 そもそも「極力原作と同じになるように再編集・再構成、一部はリメイクした」のが企画コンセプトなので当たり前なのだが

*11 ジュジュの旅立ち後ほぼフェードアウトしたドキドとプラトー教関係者、コパール編のゲストキャラだったレピア等

*12 原作のおまけ漫画のエピソードが盛り込まれた13話、アラハビカ編で「再登場」する敵キャラを登場させたイエタ村編等

*13 ニコイチされた光魔法結社編と地の王編等

*14 特に近年は原作あるいは劇場版を見ていた前提で話を進める事が多い。

*15 赤井秀一や安室透、世良真純などの重要人物については劇場版のプレストーリー回以外は基本として登場せず、スピンオフ作品のほうで登場するキャラも少なくない。その為、特定のキャラのファンから不満の声が出る事も少なくない。

*16 コナン達の担任である小林澄子などのサブキャラが登場する回もあるが、数年に1回登場する程度のキャラがほとんどである。

*17 元々はOVA形式で後日談の場合もある。

*18 特に大和屋暁が担当した回だと「実在する競馬関係者に由来する」場合がある。これは氏が馬主をしている為で、有名どころだと戸崎圭太・三浦皇成(ともに騎手)が引用されたことがある。

*19 特に目と鼻が大きく異なっており、原作と比べて美形のゲストキャラが非常に多い。

*20 現在は辻と大和屋の他にも、扇澤延男などの2時間ドラマの脚本経験者、大和屋の師匠でシュールなコメディに定評のある浦沢義雄などが脚本に参加している。

*21 例えばWGP編におけるTRFビクトリーズ(=1期主要キャラクター)のマシンはアニメでは大きくチームのロゴが掲げられ、アイゼンヴォルフのベルクカイザーは左右反転した機体が登場しキット化も望まれているが実現していない。その他、1期にはセイバーやプロトセイバーの色違いが多数登場しているがこれらも未発売。

*22 この時期のEDで巴の姿が描かれている。

*23 ただしこれは「25周年記念 るろうに剣心展」で展示されたネームを元にしており、完全なアニオリという訳ではない

*24 TVアニメ化以前に劇場版アニメとして公開されたが、そちらは原作テイスト

*25 ゲームでは主人公の姿はバトル中ほぼ映らないが、アニメでも同じように大量のポケモンをゲットして厳選し戦わせるだけだと、当然ながら絵面がひどいとシリーズ構成の首藤剛志は考えた。

*26 アニメ化時に話順がシャッフルされているため、それによる変化も含まれる

*27 特に原作でのローグタウンは作者が「100話でグランドラインに進出させたい」と考えていたためかなり駆け足になっている。

*28 現在はそれなりに回復しているが、およそ月一程度の頻度で休載が挟まれる

*29 ワノ国編の放送中は、諸事情で計14週分の中断が入った。

*30 ゴンとカイトが再会するキメラアント編までアニメ化出来る保障が無かったため、伏線未解消でアニメが終わらない為の措置

*31 アニメでは瀬人と剛三郎の因縁があまり深く描写されてこなかったため、その補完も兼ねていると思われる。

*32 ドラマCDでその間にあるティファニアに保護されるエピソードやルイズが自殺未遂をする原作の話が補完されている

*33 実はきらら系列で2クール放送したアニメは『けいおん!』2期のみ。

*34 もっとも、アニメ制作時にはこの人物が登場するエピソードは掲載されていなかったので仕方ないとも言えるが

*35 限定本の描き下ろしや原作者から提供されたネームで構成されたため厳密には完全アニオリというわけではない。

*36 作者のなかま亜咲も『OGS』最終巻あとがきにて「路線変更は失敗だった」と述べている。

*37 原作ではコマとコマの間で時間経過を表現していたものを、暗転などを入れずにそのままアニメにしたため、数秒で戻ってきたようにしか見えなくなった。

*38 恐ろしい一面を見せながらも原作ではうまく関係を築けているエリコはほぼ妖怪じみた扱い

*39 原作ではメインストーリー加え、キャラクターの掘り下げが行われるキャラクターエピソードやイベントエピソードが存在し、メインエピソードではキャラクターエピソードで主人公とそのキャラクターが出会ったことを前提に話を進めている場面も存在するため、アニメでメインだけを描写すると原作を観ていない視聴者からはチンプンカンプンとなりかねない。更に前述したトゥインクルウィッシュに関しては詳しく言及するにはRe:Dive前の無印時代の描写も必要であるため、1期1クールでは並大抵の構成では時間が足りなくなる可能性がある。実際原作1部のストーリーを取り込んだ2期はアニメファンからは戸惑う声も多かった。ただしこの件はアニオリのモブキャラに尺を割いていたりするなど必ずしも構成と時間だけの問題ではない

*40 ただしその解釈でもアニメで描写されたバッドエンド前の描写とゲーム版における描写が食い違ってはいる。ある人物が「バッドエンドを何度も繰り返した」事を示唆しているためそのループの1つと考えれば整合性は取れるが

*41 原作ではペコリーヌが紆余曲折あり、王宮に復帰して第2部ではそれから始まる騒動が描かれるが、アニメでは父親と母親が王宮に復帰しペコリーヌは美食殿に戻っていたりと差異が既に存在する

*42 プリンセスフォームの設定、レイジ・レギオンとの力関係、TWがキーキャラとなるエリスやアメスの存在など。この上シェフィやミロク、クレジッタに尺を割く必要性もある

*43 後にスマホ用アプリゲーム『-Alternative Rap Battle-』にもプレイ可能な楽曲として配信。第1期ED「絆」は、後にナゴヤ・オオサカパートを追加した「絆+」としてリメイクされた。

*44 「遊郭編」の後日談も兼ねた内容となっている。