エスカルゴ(食材)

登録日:2012/01/01(日) 21:21:02
更新日:2025/03/03 Mon 19:44:13
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エスカルゴとは、カタツムリのフランス語訳。及び、食材としてのそれを指す。フランス語表記はescargot。



古くよりキャベツ畑や葡萄畑を荒らしていた害虫であったカタツムリは、フランス人にとっては駆除の対象であると共に、庶民にとってはご馳走であった。
駆除のついでに茹でし、爪楊枝で殻からほじくり出して食べていたという。また中世の頃にはすでに市場で食材として売られていた。
そして、その味わいは貴族達すら虜にし、宮廷料理としての地位まで獲得するに至った。


■調理方法
殻から取り出し内蔵を脱いて、パセリやニンニク、エシャロット、レモンなどを混ぜたエスカルゴバターと呼ばれるバターで炒め、殻に戻して供されるのが一般的。
フランス料理においてはオードブルの定番である。
そんなもん敷居が高すぎて食えねーよ!という我々のような一般庶民ならば、
ファミリーレストランのサイゼリヤで「エスカルゴのオーブン焼き」というメニューが提供されている。こちらは同店舗のメニューの例に漏れずお値段も非常にリーズナブルなので気軽に食べられる。
なお、調理前に野生種も養殖種も絶食させて、老廃物を排泄させる必要がある。
また、エスカルゴの卵はホワイトキャビアと呼ばれる食材となる。


■主な品種
フランスで食されていたのはリンゴマイマイとプティグリと呼ばれる品種だったが、これらは繁殖力が弱く、アフリカから輸入したアフリカマイマイが現状よく使われている。
日本では東南アジアから輸入した乾燥カタツムリが使われる。


■命をかける男達
しかし、三重県松阪市のカタツムリ養殖場にて、リンゴマイマイの人工繁殖に成功した人がいる。
工場長は実に25年もの歳月をかけてこれを達成したが、それはミクロ単位での壮絶な調整と戦いの日々であったとか。

だがレストランなどでの需要は意外に低い。
コストがかかる故に高価になってしまうリンゴマイマイより、味が落ちても安価な乾燥カタツムリを大半の店が選択してしまうのだ。
それでも、毎年多額の赤字を出しながらも、工場長はリンゴマイマイの養殖を辞める気は無いと言う。

エスカルゴはまるで上質なサザエのように味わい深い食材である。
本場フランスでも、これに合うワインについての議論には未だ決着がついていないそうだ
(エスカルゴは魚でも肉でもないので、ワインを合わせるのが難しい)。

「カタツムリなんて……」と毛嫌いしている人々も、何故これほど多くの人々がエスカルゴに情熱を燃やしてきたかを一度よく考えてみてほしい。

そして、三重県にお立ち寄りの際には、是非ともリンゴマイマイの養殖場に行こう。
彼らの熱意あるエスカルゴへの語りを聞いたならば、その後併設のレストランで出されるリンゴマイマイ料理に手を伸ばさずにはいられないはずだ。
美味しく召し上がれ

警告
この項目を見て「その辺の野生のカタツムリを取ってくれば食べ放題じゃん!」などと考えたアニヲタ諸兄には、そんな事をしたら命の保証はないと警告しておこう。
カタツムリは「広東住血線虫」という寄生虫の宿主であり、詳細は割愛するが、この寄生虫が人間の体内に入り込むと激しい頭痛や発熱を引き起こし、最悪の場合には死に至る事もある。
レストランなどで提供されている個体は人間の手によって厳密な衛生管理の下に養殖され、調理の際にも万が一に備えて寄生虫を殺菌するため充分に加熱する必要がある。
素人がロクな知識もなく調理したり、ましてや生食など絶対にしてはならない。

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(((\\二ノノ ・ω・)
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最終更新:2025年03月03日 19:44