古代のクンペル海を席巻したクココッチの魔王。
肉体的にはただでさえ貧弱な同胞の中でもさらに見劣りするほどだったが、突然変異の異常知能を持っていた。水の魔法を精霊の観察から独自に編み出し戦いに用いることができたし、それを同胞に教えることもできた。
自分の才能に気づいた彼は陰謀による群れの頭目の排除と改革に着手した。改革とは、下っ端の意見を吸い上げることである。暴力と恐怖により統治するのが普通の種族の風潮に逆らうこの政策は功を奏した。知能的には愚かでも狡賢さに光るものがある種族特性とそれを総合しブラッシュアップする彼の知能により、もはや群れは一つの「文明」となり、規模を急拡大していった。幼体の日常の思いつきですら抜けない穂先を持つ石槍の発明に繋がり、耄碌した個体の譫言からですらその背後にある深い経験が引き出され待ち伏せ法が改良された。そして不穏分子は芽の段階で張り巡らされた陰謀の罠にはまり、こき使われることで彼の目を楽しませる奴隷となった。彼が生まれた群れを含む多数のクココッチが崇める深淵の邪神も彼の嘲笑の対象となった。
広範囲の、大量のクココッチの群れを傘下に収めた彼は情報網の整備にも着手。ある日、ウェモン共和国の最高戦力ティブリトが遠征のエルニア帝国で敗れ共和国の本土はガラ空きになったことを察知した。この好機に彼は水の魔法を伝授した弟子たちを親衛隊として大量の群れを率いてウェモン共和国を襲った。共和国の軍勢が得意とする炎の魔法は水の魔法に容易に消し止められ、共和国はなす術なく滅亡。その住民であるジンをクココッチたちは殺戮し、魔物が共通して持つ知的種族への加害衝動を大いに満たした。
彼は廃墟から回収した軍事文書をもとに帝国への攻撃すらも計画、勢いに乗じて攻めることをせずじっくりと計画を練って親衛隊を率いて奇襲をかけたが、アヴェントゥラによって呆気なく全滅させられた。
求心点にして操縦者を失ったクココッチ「文明」は瞬く間に崩壊していった。西マジョリアの知的種族がアヴェントゥラとエルニア帝国を失っても神聖イルニクス帝国とアルカナ教団という代替品を用意できたのに対し、クココッチはダクトックが強力に推進した悪知恵を無秩序に互いに向け合い、不穏分子は抑えから解き放たれ、「文明」全体を考える個体すらいないまま元の野獣じみた生活へと戻っていったのだった。
肉体的にはただでさえ貧弱な同胞の中でもさらに見劣りするほどだったが、突然変異の異常知能を持っていた。水の魔法を精霊の観察から独自に編み出し戦いに用いることができたし、それを同胞に教えることもできた。
自分の才能に気づいた彼は陰謀による群れの頭目の排除と改革に着手した。改革とは、下っ端の意見を吸い上げることである。暴力と恐怖により統治するのが普通の種族の風潮に逆らうこの政策は功を奏した。知能的には愚かでも狡賢さに光るものがある種族特性とそれを総合しブラッシュアップする彼の知能により、もはや群れは一つの「文明」となり、規模を急拡大していった。幼体の日常の思いつきですら抜けない穂先を持つ石槍の発明に繋がり、耄碌した個体の譫言からですらその背後にある深い経験が引き出され待ち伏せ法が改良された。そして不穏分子は芽の段階で張り巡らされた陰謀の罠にはまり、こき使われることで彼の目を楽しませる奴隷となった。彼が生まれた群れを含む多数のクココッチが崇める深淵の邪神も彼の嘲笑の対象となった。
広範囲の、大量のクココッチの群れを傘下に収めた彼は情報網の整備にも着手。ある日、ウェモン共和国の最高戦力ティブリトが遠征のエルニア帝国で敗れ共和国の本土はガラ空きになったことを察知した。この好機に彼は水の魔法を伝授した弟子たちを親衛隊として大量の群れを率いてウェモン共和国を襲った。共和国の軍勢が得意とする炎の魔法は水の魔法に容易に消し止められ、共和国はなす術なく滅亡。その住民であるジンをクココッチたちは殺戮し、魔物が共通して持つ知的種族への加害衝動を大いに満たした。
彼は廃墟から回収した軍事文書をもとに帝国への攻撃すらも計画、勢いに乗じて攻めることをせずじっくりと計画を練って親衛隊を率いて奇襲をかけたが、アヴェントゥラによって呆気なく全滅させられた。
求心点にして操縦者を失ったクココッチ「文明」は瞬く間に崩壊していった。西マジョリアの知的種族がアヴェントゥラとエルニア帝国を失っても神聖イルニクス帝国とアルカナ教団という代替品を用意できたのに対し、クココッチはダクトックが強力に推進した悪知恵を無秩序に互いに向け合い、不穏分子は抑えから解き放たれ、「文明」全体を考える個体すらいないまま元の野獣じみた生活へと戻っていったのだった。