Math (モジュレーター)
MathはModifierカテゴリーに属しており、2つの入力信号に対してリアルタイムで算術演算を行い、その結果を1つのモジュレーション信号として出力するデバイスです。
概要
1. 基本仕様とインターフェース
Mathモジュレーターは、ソースとなる2つの入力(Input A とInput B)を組み合わせ、中央のメニューで選択した演算子(Operation)に基づいた信号を生成します。
- Input A / Input B
- ノブを直接操作して固定値を設定できます
- 他のモジュレーター(LFO、Velocity、Pressureなど)をモジュレーション・ルーティングすることで、動的な信号を入力できます
- Smoothing (インスペクタ)
- 出力信号の急激な変化を滑らかにするパラメータです。演算結果が階段状になったり、ノイズを含んだりする場合に有効です
2. 搭載されている5つの演算子
Mathモジュレーターで選択できる演算は、以下の5種類に限定されています。
| 演算子 |
数式 |
動作説明 |
| ADD |
A + B |
AとBを加算します。2つのLFOを合成して複雑な周期を作る際などに使用します |
| SUB |
A - B |
AからBを減算します。特定の信号が上がった時に値を引き下げたい(反転的な動き)場合に便利です |
| MUL |
A * B |
AとBを乗算します。「モジュレーションの強さを別の信号で制御する(VCA的挙動)」ために最も多用されます |
| MIN |
min(A, B) |
AとBのうち、値が小さい方を出力します。信号の上限を制限するリミッターのような振る舞いをさせることができます |
| MAX |
max(A, B) |
AとBのうち、値が大きい方を出力します。複数のトリガー信号を統合したり、下限を保証したりする際に使用します |
3. テクニカルな活用例
- モジュレーションのサイドチェイン(MUL)
- 構成: Input Aに LFO を、Input Bに Audio Sidechain をアサインし、演算子を MUL に設定
- 効果: 「オーディオ信号が入ってきた時だけLFOを効かせる」といった、入力音量に依存した複雑なモジュレーションが可能になります
- ロジックゲートのシミュレーション(MIN/MAX)
- 構成: Input AとBにそれぞれ異なる Note Sidechain や Gate 信号を入力
- 効果
- MIN: 両方のノートが押されている時だけ出力が出る(ANDゲート的挙動)
- MAX: どちらか一方のノートが押されていれば出力が出る(ORゲート的挙動)
4. 高度な数学的処理が必要な場合
- Mathモジュレーターには Abs (絶対値) や Div (除算)、あるいは Pow (累乗) といった機能は搭載されていません。これらが必要な場合は、以下の代替手段を検討します。
- 1. Polynom (Modifier)
- y = ax^3 + bx^2 + cx + d の多項式を用いて信号を変換できます。カーブをV字型に設定することで、擬似的に絶対値(Abs)に近い出力を得ることが可能です
- 2. The Grid (Poly Grid / FX Grid)
- Grid内の Mathカテゴリーには、Abs、Divide、Modulo、Sign、Quantize など、数学的に完全なモジュール群が揃っています。Mathモジュレーターの5種を超える複雑な計算が必要な場合は、Grid内でモジュレーション信号を構築し、Modulator Out ポートでデバイスへ出力するのが最適です。
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最終更新:2026年04月13日 17:06