『
秋静葉』
【午後 14:47】C-3 紅魔館 一階個室
異能なる男・DIOとの会話を終え、私は心ここに在らずの恰好で一人となって、適当な部屋に篭った。
いま一人になる事が恐ろしくはあったけど、DIOの方からそれとなしに休息を促されてしまい、力ない足取りで何とかベッドのある部屋へと辿り着けたのだった。
彼は、知っているのだろう。
いや、知っていた。
『人殺し』の呪いから目を背けてきた私へ烙印を押し付けるように、その罪を囁いた事の意味を。
呪縛から逃げ出そうとばかりに思っていた私を、一人に閉じ込める事の意味を。
ボフッと、糸が切れたマリオネットみたいにベッドへと倒れ込む。考えてみれば戦い尽くしだ。感覚が麻痺していたらしく、体力も限界に近付いていた。
鉢ごと絨毯の上に転がった猫草が不満そうな目つきで起き上がり、私を睨んでる気がするけど無視した。
眠りたい。だが、眠れば───
『…………ぅして、……んな酷い…とを……?』
キタ。また、『声』がする。
『…たし、シズハさんを、信ジテ……のに……っ』
これは『罪』か。これは『罰』か。
『テメェ…決闘……ャマしたんだ……れを、…ろしたのは、テメェだ……』
これは『呪縛』か。これは『因果』か。
『もし…トリ様……ろすなら、……がオマエを焼きコロシ…やる』
これは『幻想』か。これは『歪み』か。
(頭が……痛いっ! あの人達の『声』が鳴り止まない……!)
極限のスキマを常にギリギリで駆け抜けるような戦い。気付いたら、毎日丁寧に整えていた金色のショートヘアもボサボサになっていた。
その『発信源』を私は、両の腕で必死に抱える。
上から押さえ付けるように。
痛みを我慢する幼子のように。
これは『試練』か。
紅葉神程度がイキがり、分不相応な境地【殺人者】へと足を踏み入れた。その反動が脳を揺さぶる声となって、こうして私を苦しめているのだ。
すべての参加者達を蹴落とし──殺し、一人生き残る。その意味する所は当然理解出来ていたし、覚悟もしていた。
だがこうして一人の身になり、箍を緩めた事によって『声』が飛躍的に増幅した。
秋静葉がこれより戦うべき相手。
それは生者に非ず。
乗り越えるべきは死者だったのだ。
過去の因果を。崖から蹴落としてきた者達を。
背負い。或いは、捩じ伏せなければならない。
無慈悲な形相で背中から取り憑こうとしてくる数多の腕を、残らず振り払わなければ。
きっと私は、容易く奈落へと引き摺り込まれる。
あの男は困惑する私にそう説いた。
「断つべきは……過去の『因縁』……」
頭に響く声を、断つ。その手段は二通り。
耳を塞ぎ、声を拒絶するか。
受け入れて、呑み込むか。
前者を選ぶなら簡単だった。DIOと会うまでは無意識に行っていたのだから。
後者の場合。これが私にとって困難極まる試練。
たった三人分の声でさえこの体たらくだ。この先、声はもっともっと増え続ける。
その時、私の心が圧し潰されないとは限らない。
声に惑わされ、崖から足を踏み外さない保証なんてない。
健常なまま確実にゲームを進み通したいというのであれば、逃げを選ぶべきだ。恐れから身を守ろうとする行為は、生物が遥か古来から受け継いできた究極の本能に過ぎない。
反して、後者は。本能に逆らい恐れを受け入れようとするなんて……どうかしている。正気の沙汰ではない。
『その声を断ちたいか?』
穴蔵から無数に湧き出る蛆蟲のような、過去からの怨念達。それらとは一線を画す声。
また、彼の声が脳裏に響く。力強くもどこか居心地のよい、この今においては何よりも依存していたくなる声が。
『その因縁を断ちたいか?』
周囲の鬱陶しい唸り声を払い、神々しい光を纏ったDIOが……こちらへと手を差し伸べる。
私は藁をも掴む気持ちで、すぐにその手を取ろうと腕を伸ばしかけ。
少しだけ、考えた。
───私は果たして、〝どっち〟なんだろう、と。
『静葉。君が私に対し、どのような認識を抱いているかは知らないが…………このDIOは〝悪〟だ』
自らを悪と断言せしめたDIO。こうまで威風堂々とこの台詞を吐ける輩が、この世に果たしてどれほどいるだろう。
私は彼を『悪』だとは思えない。単に彼の事をまだよく知らない、と言えばそれまでだけど。
『世間一般的に様々な定義はあろうが……私が思うに〝悪〟には二種類存在する。
自らを悪と認識せぬまま悪行を重ねる『無自覚の悪』。
そして悪の限りを我が身に自覚させた上で悪を遂行する『悟った悪』というものだ』
どっちがより悪だとか、より厄介なんだろうか、とか。DIOが言いたい事はそういう説教染みた話ではなく。
私が〝どっち〟を選びたいかという、意思の確認。
『こういった事は通常、口に出して確認するものではないのだが……選択を迫るのもまた、時には重要だ』
選択。確かに、それは重要かもしれない。
述べられた二択を例に出すなら。そしてDIOが自分でも言う通り〝悪〟であるのなら。
彼は間違いなく『悟った悪』の方に当て嵌るのだろう。
私の場合だと……恐らく、私は〝悪〟ですらない。
つまり『無自覚の悪』かというと、そういう訳でもなく。
自分で言うのも何だけど、私は昨日まで〝善〟の境界線に居座っていたのかもしれない。
でも今日、初めて人を殺した。明確に、誰かの命を故意に奪った。それも三度も。
その行為は間違いなく〝悪〟だ。
今。この時。この瞬間。
私は悪を自覚し、本当の意味で〝善〟から〝悪〟に成る。
その決意をした時点で、私の取るべき二択から『無自覚の悪』への道は自動的に消失した。
というよりも、DIOが私へと選択を迫った時点で、と言った方が正しいかもしれない。
なんて恐ろしい。DIOは選択を迫るなどという建前を口にしておきながらその実、私に一方のルートを強制させた様なものだった。
『無自覚の悪』なんていう逃げ道を壊されたも同然だ。選択を迫られた時点で、無自覚でいられる訳がない。
『方便さ。騙した訳じゃあないだろう?』
本人は良かれと思っての事なのか。あのまま私が『無自覚の悪』の道を辿れば、志半ばで果てていたのかもしれない。
『そうとも。無自覚の悪とは、罪の意識から逃げ出す事だ。耳に栓し、本来受け入れるべき因果の声を無視する事だ』
それが叶えば、どんなに楽なことだろう。
私は、その楽な方の道をとうとう捨てた。
『悟った悪とは、どこまでも前向きになれる生き方の一つさ。茨の道だが、最終的には望むモノが手に入るだろう』
見返りなど、最初から一つしかない。
失われた半身を取り戻すには、声を受け入れ、呑み込み、糧にするしか。
『おめでとう。
秋静葉』
『君には生きる資格がある』
『君には勝利者になる資格がある』
『君には私の友達になる資格がある』
『そして……君には〝悪〟に成る資格がある』
───〝悪〟に成れる資格は、誰もが心に有しているものだからね。
今、理解した。
〝強さ〟とは。
目を背けたい自らの穢れた過去を自覚してなお、『顧みない』事なんだって。
私、
秋静葉は。
ここから先……〝悪〟に成る。
たとえ最後には奈落に堕ちようとも。
垂らされた蜘蛛の糸を掴む資格だけは……無いのかもしれない。
元より『希望』なんか、望んじゃいない。……もう。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【C-3 紅魔館 一階個室/午後】
【
秋静葉@東方風神録】
[状態]:自らが殺した者達の声への恐怖、顔の左半分に酷い火傷の痕(視覚などは健在)、上着の一部が破かれた、服のところが焼け焦げた、
エシディシの『死の結婚指輪』を心臓付近に埋め込まれる(2日目の正午に毒で死ぬ)
[装備]:猫草、宝塔、スーパースコープ3D(5/6)、石仮面、フェムトファイバーの組紐(1/2)
[道具]:基本支給品×2(
寅丸星のもの)、不明支給品@現実(
エシディシのもの、確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:穣子を生き返らせる為に戦う。
1:頭に響く『声』を受け入れ、悪へと成る。
2:DIOの事をもっと知りたい。
3:
エシディシを二日目の正午までに倒し、鼻ピアスの中の解毒剤を奪う。
[備考]
※参戦時期は少なくともダブルスポイラー以降です。
※猫草で真空を作り、ある程度の『炎系』の攻撃は防げます。
※名簿のジョースター一族をおおよそ把握しました。
※プッチ、ディエゴ、青娥と情報交換をしました。
『DIO』
【午後 14:54】C-3 紅魔館 二階客間
「失礼致します。DIO様、二人をお連れしましたわ」
普段の奔放な態度とは明確に違う、上品な作法を前面に出した
霍青娥が二回のノック音と共に、身体を柔らかに折り曲げて入室した。
後方には真っ青な顔でただ連れられるメリー。その少女を見張るように最後尾につく蓮子の二人。
既に友人と談笑でも開始していたのか、DIOとプッチは何とも座り心地良さそうな椅子を対面に向け合い、三人の来客の姿を認めた。
ふと刺々しい視線を肌に感じ、青娥は部屋の窓際に目を向ける。吸血鬼在室中ゆえ基本的に殆どの窓にはカーテンが掛けられていたが、その一角だけは半分ほど幕が開けられ、ふてぶてしい態度のディエゴが日光に目を細めていた。
怪我人なのだから大人しく個室で休むか、せめて座ってれば良いですのに……と、青娥は言葉には出さずとも視線に込めて彼にお節介を焼いてみた。無視されたが。
「あぁ、ご苦労だった青娥。君も疲れているだろうし、遠慮せずに座りたまえ」
家主(ではないが)の許可が得られたところで、青娥はスカートの裾を押さえながらちょこんと椅子に座る。今更その白々しい恥じらいは淑女の真似っぷりにしか見えないが、彼女が演じると相応の絵になるのも事実だった。
「どうしたメリー? 怖がらなくていい。君も楽にしていいのだよ。もっとも、蓮子の分の椅子は足りないがね」
さあ、とDIOは自身の真横に置かれた同様の椅子を指し、朦朧のメリーを柔らかく導いた。
逞しく盛り上がった二の腕と反発するかの如く、ピンと伸ばされた人差し指は細く、白く、滑らかに。場の全員が男の何気ないその所作を、優れた指揮者の振るうタクトの動きと被って見えた。
だが彼の危険性が脳骨に染み込んでいるメリーにとって、その仕草一つ取っても死神の手招きにしか映らない。その上、一体いつ付けられたのか。男の左瞼の上から下を切傷が真一文字に走っていた。
知れたことだが抵抗も無駄。諦観に頭を支配されかけているメリーはもう、大人しく従う以外の道など選べるわけがない。
(また、知らない男の人…………DIOにそっくりな人と……『神父』、さま?)
彼女の視界の内には更なる新手の二人。
あのDIOと瓜二つの顔形を持ったジョッキー風な男性に、神父服を着た教誨師の様な男性。こちらは一見温和そうで、DIOとの距離感も近く見える。
第一印象ではあるが、この中では一番話が通じそうな人種というか、穏やかな人物かもとメリーは受け取った。
その神父らしき男がメリーを眺めながら、まったりと口開く。
「この娘が君の言っていた『境界が見える』女の子かい? DIO」
「ああそうだ。中々面白そうな人材じゃあないか?」
「君の話通りならね」
「なあメリー……そう怖がるなよ。彼は私の友人で、
エンリコ・プッチという。見ての通り教会職さ」
そう言ってDIOは対面に座る神父を紹介した。その様は父親が娘へと、来訪してきた旧友を紹介するようであり、DIOの奇抜な格好を除けば何ら不自然のない光景だった。
オドオドする余裕すら無くなっているメリーは、招かれるままに用意された椅子へと腰を下ろす。後ろを付いてきていた蓮子が、無言のままに背後の位置へ立つ気配も同時に感じながら。
「どうだプッチ。君はどう思う?」
DIOは実に楽しげにメリーを指しながら、友人の意見を尋ねる。
「どうって」
「メリーさ。非常に酷似しているのだよ、あの
八雲紫の容姿や能力と」
「と言われてもな。私はその
八雲紫をまだ目にしてすらない」
ごく簡単な見落としを指摘されたも同然なDIOは、「それもそうか」と自らの額を軽くぺしっと叩く。多少盛り上がっているDIOに比べ、プッチはやや大人しめだ。彼も怪我人には間違いなく、疲れも幾分見えている。
しかしその表情に一切の煩わしさは浮かべず、彼自身も友人との会話を楽しんでいる節はある。マイペースな人物、と初見ながらもメリーは思った。
「じゃあ視点を少し変えて……そこのディエゴはどうだ? 彼を初めて見てどう思った? プッチ、私はそれを聞きたいのだ」
スゥ…と、DIOの視線が今度はこちらを監視するように離れて立つディエゴに向かった。急に振られる形となった本人は別段意にも介さず、ほんの少し鼻を鳴らす程度に留まる。
「
ディエゴ・ブランドーか。無論、驚いたさ。姓も君と同じだというのだから尚更ね」
「私も彼という存在をこの土地で初めて知った。ただのそっくりさんでは片付けられない、強烈な『引力』を感じたよ」
「……何者なんだ? 君とディエゴはどういう関係だい?」
二人の会話は着々と、真髄に迫っていく。
そもそも言って、DIOの生き写しとも呼べる存在のディエゴをプッチが軽く考えられるワケもない。
この非常に重要な『関係性』という問題点に、しかし答えたのはDIOではなく。
「知るか。オレにとっちゃドッペルゲンガーと会話してるみたいで、あまり良い気分とは言えん」
いい加減眺めるのも飽きたのか、話題の渦中に放り込まれた事に嫌気が差したのか。ディエゴが溜息混じりで首を振り、不機嫌オーラを隠そうともせずに答えた。
以前、大統領のスタンドと闘った経緯もあってか、同じ顔の自分と話すというのがそもそも彼にとって不吉以外の何物でもないのかもしれない。
確かDIOと初めて出会った時は『縦に繋がった平行世界』がどうとか論じていたか。信じる道理もなければ根拠もない。だがそれのどこかで、惹き込まれる魅力を放つ言葉の節々と感じたのも事実だ。
「───人類の夜明け」
低い声で不満を垂れるディエゴを横目に、DIOが言う。
その言葉を耳に入れた瞬間、プッチは刮目した。
「……! それはDIO……『時の加速』の事か?」
「私とディエゴ。そしてメリーと
八雲紫の存在は現にあるのだ。それを否定する材料もあるまい」
ハハッ……と、笑いをこらえきれないプッチの口の端が釣り上がった。
待ち望んでいた世界がようやく到来したような。焦がれる程に渇望していたモノが手に入ったような。浅く、深い笑みだった。
本人達のみが理解し得る会話もあるのだろうが、傍から聞いている者達にとってはイマイチ要領を得ず、現実感も薄い内容である。
「という事はディエゴやメリーは……一巡した宇宙【新世界】の人間なのか……!?」
「私はそう思っているよ。そして“その現象”を引き起こした者など一人しかいない」
かつて──プッチの視点からでは『未来』となるが──宇宙の終焉と始まりを巡って勃発した戦い。
曰く『天国』と。とある邪悪な男が称したその世界を作り上げた人間……
エンリコ・プッチの計画。
それは正確に述べれば、DIOが綴った日記が端となり増幅していった悪意の芽。プッチはそれを彼自身の観点・解釈で引き継いだに過ぎない。
「つまり私達の天国計画は『成功』していたのだ、と……」
「こんな突飛なゲームにさえ呼ばれなければね。あくまで可能性だが」
正史によればその計画は、最終的に潰される事となる。
ジョースターの意志を継いだエンポリオ少年によって。
しかし今回、荒木と太田の開催したバトルロワイヤルが、本来辿っていた筈のルートを大きく逸らしてしまった。
これで未来は、分からなくなってしまった。
「……DIO。君がディエゴに大きな引力を感じたという事は分かった」
小刻みに身体を震わせるプッチが、興奮を抑えるかのように息を整え、そして首を回した。
しっかりと。今度はメリーの瞳を覗きながら、男は再び友人に問う。
「じゃあ、彼女はどうなんだ?」
「メリー、か」
「容姿や能力が件の大妖怪と酷似している、ただのそれだけでは決め付けられない。君がディエゴに感じた『引力』のように、説明出来ない不可思議なエネルギーが働いたという確たる根拠があれば決定的だが」
引力。その言葉はメリーにとっても実の所、的を射ている。
電子新聞という媒体越しではあったが、彼女は確かにあの『
八雲紫』を目に入れた瞬間、自分の心が言いようのない困惑と興味に突き動かされたのだから。
「……今までの話を聞いていたかいメリー?」
背骨を直接撫でられたかのような、不快感とも恍惚感とも言い難い未知なる感触。
隣に座るDIOが黙する自分に語りかけた、という事に彼女が気付くのには凡そ数秒の時を必要とした。まるで彼の吐き出す言葉が意思を持ち、全身を睨められたのかと錯覚しそうになる。
恐怖で口が動かない。絶対零度の冷水を掛けられ、唇が凍結してしまったかのように。
「そう怖がるなと言っているじゃあないか。
なあメリー……私は一つ『質問』がしたいだけなんだ」
拒否など不可能。もとより物を考える余裕などとうに失せていた。
全てを投げ出し、今はDIOの言う事を聞き入れるしか出来ない。
「実は君をこの部屋へ呼んだ理由の一つでもある、どうということもない質問さ」
「………………なん、ですか」
「───君は『スティール・ボール・ラン』をご存知かね?」
その言葉をこのゲームの中で聞くのは二度目だろうか。確か竹林をさ迷う最中、ジャイロが話題に出していた。
霞がかる記憶の光景を脳裏に描きながらメリーは、絶え絶えといった様子で肯首を返す。そのSBRレースとやらがこのゲームにどう関係しているのか。古ぼけた懐古の授業風景で教えられた内容では、大規模ではあったが単なる馬のレース。それ以上でも以下でもないような認識だったが。
DIOの質問の意図を図りかねていると、思考を遮る声が背後より届き、メリーの腰が僅かに跳ねた。
「私も知っています。世界史の中では有名な乗馬レースですから。確か開催年月は1890年……スタート地点はアメリカ・サンディエゴビーチとされていた筈です」
蓮子のどこまでも淡々とした声だ。大学の面倒臭いプレゼンの時でさえこうも機械的には喋らないだろう。
「ふむ。やはりメリーも蓮子も知っているようだ。どうやら世界的にも随分名の知れた催しであったらしいが……」
「スティール・ボール・ラン……? DIO、私はそんなレースなど初めて聞いたが」
「私もそこのディエゴから話を聞くまではとんと知らなかった。1890年といえば私が海底に沈んだ直後の年……そこまで大きなレースを開催する噂すら耳に入らなかったというのは不自然だ」
DIOもプッチも件のレースに関して初耳だと口を揃えている。その一方でメリーや蓮子、ディエゴやジャイロらにとってはそうではない、と。
この者達を二分している隔たりは、何だ。
ディエゴがもしもDIOの『一巡後』の姿だと仮定すれば。
「私の予想だと、メリーは
八雲紫の『一巡後』の存在だと睨んでいる」
もはやDIO達が何を話しているか、メリーには皆目見当もつかない。しかし、一巡した宇宙だとか新世界だとかいう単語の数々は、朽ちる寸前にまで追い込まれたメリーの憔悴した心でさえも僅かに打ち震わせる。
DIOとプッチの『天国論』。
その謎が、自らのルーツに関わるピースだとすれば。
(───知りたい)
良かった。自分にはまだ、『秘封倶楽部』としての矜恃は残っているらしい。
この世の謎だろうがあの世の謎だろうが、それがはたまた一巡前の謎だろうが。
真相を解明し、次なる謎を追い、この世界の全てを暴いてやるのが“二人”の目的なのだから。
(だから……お願いよ。早く……早く正気に戻ってよ…………蓮子っ)
心でいくら祈りを捧げても、私のたった一人の相棒には届いてくれやしない。
『声』ではもう、駄目なんだ。悪意の触手に絡み取られた親友を正気に戻すには、もう…………
(……『行く』、しかない)
行く。もう一度『あの場所』へ。
(今度は白楼剣も無いわ……でも、もう限界)
限界。それは、蓮子が?
それとも───私?
(戻ってこれないかもしれない。そうなったら……そうなったで)
いいの? ねえメリー。それは本当に貴方が選んだ希望の道?
それとも、DIOによって選ばざるを得なくなった破滅の道?
分からない。分からなくなってしまった。
正常な判断力なんて、とっくに奪われているのだから。
(ツェペリさん。どうか私に力を、貸してください)
武器は、心だけ。
けれどもそれは、私だけの心じゃない。
あの人が教えてくれた大切な『心』が、きっと私を空へと導いてくれる。
「───DIO」
どこにそんな力が残っていたのか。メリーの男を呼ぶ声には、今までとは明らかに違う……『決意』が込められていた。
あるいはそれは『無謀』、とも呼べるかもしれない。
DIOはメリーの声を耳に入れ、彼女を向く。
二人の表情はとても対照的で。
覚悟を決めたメリーの、硬く……そして脆い瞳を。
男は微笑みながら覗いた。
この世ならざる妖艶な……そして残酷な笑みだった。
「操縦桿を握るのは……貴方じゃないわ」
そこからは、一瞬だった。
勢いよくメリーが立ち上がったかと思うと、後ろの蓮子の腕を取り、そして。
メリーと蓮子。秘封倶楽部の二人が真正面から互いを『覗き込み』、次の瞬間メリーだけが床に崩れ落ちた。
「───随分と、手こずらせてくれた」
何が起こったか理解出来ずにいる人間はDIOと蓮子以外の者だけだ。
突然メリーが気絶するも、DIOの言葉はまるで予定調和だと言わんばかりの落ち着きぶりであったのだ。
「今、メリーが〝私〟の中に自らの意思で侵入(はい)って来たのを感じます。これで彼女も、じきにDIO様のしもべになるでしょう」
そんなDIOに同調するように、蓮子は依然として変わらず平坦に口を開いた。
同調するのも当然の話だ。今の
宇佐見蓮子は、まさしくDIOの一部と成り果てているのだから。
彼女の言葉で青娥もディエゴも。メリーをよく知らぬプッチでさえも現況を把握出来た。
「なるほど。つまりやっとの事でメリーちゃんを手篭めにしてあーんなコトやこーんなコトまで出来る……ってワケですのね」
「そういうことか。つまりDIO……今のがメリーの『能力』という事かい?」
青娥がやれやれといった具合に首を振り、同時にプッチも合点がいった。
話に聞いていた『結界の境目を見る』能力。メリーは今、蓮子の額に取り憑いていた肉の芽を間近で直視したのだ。
以前もポルナレフの肉の芽を介してメリーを傀儡にする腹積もりだったが、その時は邪魔者が多くて失敗に終わったと聞いている。
「手間も時間も掛かったが……ようやくと言ったところか。完全に洗脳が完了するのに、もう時間も掛かるまい」
待ち望んだオモチャがようやく手に入った。DIOは息を整え椅子に座り直すと、歪んだ笑みから安堵のそれへと表情を移し替える。
メリーは『あっち側』へ旅立つ前、何か悟った風な台詞を吐き捨てていったが。聞くに耐えない、空しい虚勢の戯言。所詮はその程度の悪足掻き以下の断末魔でしかない。
現に彼女に秘策などない。DIOの支配する空間に我が身一つで飛び込み、今回こそは戻れる保証なんて完全に無い賭けに出た。
それはメリーにとっての最終手段。足掻く腕も、地を蹴り上げる脚も、空を翔ける翼ももがれたダルマ。そのうえ声すら届かない。
全ての道が閉ざされた彼女はとうとう『直』に強行手段にでた。状況を見れば誰がどう考えても自殺行為であり、それを最後の希望だのと都合良く捉えた破滅者がようやく自ら蜘蛛の巣に飛び込んだのだ。
蜘蛛の巣、というよりは奈落。巣どころか蜘蛛の糸などという希望すら垂れない地獄だ。翼のないメリーに、奈落より這い上がる方法などない。
底の無い暗黒を永久に堕ち続ける、惨めな蛹(さなぎ)の完成だ。
「さてさて! もうすぐ新しい『お仲間』が増えるということで……ねぇ〜DIO様?」
意外にも気の利く女なのか。床に転がったままのメリーを甲斐甲斐しく自らの椅子に座らせ、一切の邪気なく満面の笑顔を咲かせた青娥が猫なで声で主へと語り掛けた。
今の今まで大人しく聞き役に徹していただけに、幾分かソワソワした様子である。彼女が楽しそうにしていると大抵ロクな事が起こらないというのだから、青娥を知る者なら警戒しそうな声色であるが。
しかしDIOはそれをも受け流すリラックス具合で、しなやかに応答する。
「なにかね青娥」
「そ・ろ・そ・ろ♪ 教えて下さる?」
両掌を合わせて頬に添えながら、わざとらしくピコンピコンと首を傾ける青娥。ディエゴはその光景を、なるべく巻き込まれないよう離れて眺めていた。
ハッキリ言って気色悪い。邪仙が気色悪いのは今に始まったことでもないが、容姿のみを評価すれば極上の花とも言っていい美女の笑顔がこうまで黒く見えてしまうのは、明らかに今までの行いの悪さ故だろう。
「教える、とは何のことだ?」
「勿論……『ジョースター』についてですわ。貴方様がそこまでして彼らを敵視する理由……私たち新参者にはイマイチ図りかねてますもの」
この女にしては至極マトモな質問だ。腕を組み直し、窓に映った雪降る日本風景を横目に入れながらディエゴは思う。
DIOとジョースター。両者の関係は根深く、ただの因縁という言葉では片付けられない重みを感じる。
どうやらかつてDIOは最初のジョースター……ジョナサンに敗北したらしいが、それも実質痛み分けだったと聞いた。
いや、宿敵ジョナサンの肉体を奪ってこうして生き延びている以上、勝利者は寧ろDIOの方ではないのか?
空条承太郎だって既に死亡している。そんな血族に何をそこまでビビる事があろうか、とディエゴ自身当然のように見下している。
(良い機会かもな。奴の『過去』を本格的に知るには)
ゆえに青娥の疑問は、ディエゴにとっても利害の一致である。DIOの性格を考えれば、自らの敗北譚など軽々と話したくもないだろうが。
しかしそれでは前に進めない場合が、世にはあるのだ。『過去』を乗り越える為の試練には。
「オレも知りたい。ジョースター共を効率よく一掃するには、その因縁の根っこの所を掌握しとくに越したことはないからな」
かくしてディエゴも諸手を挙げた。あのDIOを苦戦させた強敵、という枠から認識を一歩広げるために。
欺瞞も慢心も捨てるべきだ。DIOとは違ってどこまでも『人間』であるDio/自分には、油断など相応しくない。
「DIO。私も彼らの意見には一理あると思うが」
肉人形である蓮子を除けば、プッチ含む全員がその『過去』を求めてきた。
無論、他者には語れないアンタッチャブルなラインもあるだろう。しかしDIO自身も、どこかで変化を促さねばその精神は不変のままである事も承知していた。
ふぅ、と白い息をひとつ吐き。
男は静かに、その口を開いた。
「良いだろう。“差し支えない範囲”で話すとしようか」
部屋の温度が、一気に低下した。
一味の全員がそれを瞬時に体感するほどの異変が起こったのだ。
その時。その変化が。
この紅魔館全体に。
「───だが、それも次の機会だ。鼠の始末を先に行いたい」
始めの動きはDIOからだった。
彼はゆっくりと腰を上げると、首筋に手をあてながら視線を宙空に泳がせた。
「……! DIO、これは」
「分かっているよプッチ。『ジョースター』がこの館に侵入した。それも、この気配は……」
次にプッチが大きく反応し、DIOへと目配せする。二人の首筋に刻まれた『星のアザ』が、敵の気配を察知したのだ。
「……そのジョースターと関係してるのかは知らないが、こっちにもお客さんだぜ。DIO、正面玄関だ」
至って冷静のままであるディエゴがプッチの次に動いた。窓から半面のみを覗かせた彼の瞳の先には、紅魔館のアーチを渡ってくる『男』の姿をちょうど捉えていた。
コソコソと警戒心だけは立派なものだが、一本橋という立地的に身を隠せる箇所など無い。故に男の動向は残念ながら上からでは丸わかりである。
ホル・ホース。金でしか動かず、心の底からDIOに従っているとは言い難い現金な男だったが。
しかし殺し屋としての実力は充分。それ以上に彼という男の自由性が、DIOはいたく気に入っていた。出来れば手元に残しておきたい戦力だが。
「ディエゴ。君の翼竜包囲網は紅魔館周辺に張ってあるか?」
「さっき張ったばかりだ。多少の遅れくらいは目を瞑って欲しいね」
「館内部はどうだ?」
「既にそこかしこに潜ませている。だが屋内の恐竜共は基本的に監視役には向かないぞ。行動も制限されるし、何より目立つからな」
つまり……例えば『地下』などからの侵入には、ディエゴの翼竜は上手く機能してくれない。アザの感覚からいって侵入したジョースターは『下』からのようだ。
ホル・ホースはともかく、ジョースターの方は寄り道としてこの館を選んだだけとは思えない。明らかに我々や包囲網の目を警戒している侵入経路だ。
「私が出よう。この『シグナル』はよく知っているからな」
帝王が黄を彩るマントを翻し、戦闘準備に入った。
アザの感覚よりも更に色濃い、身内ならではの強い反応。
間違いなく
ジョルノ・ジョバァーナだ。当然、たった一人で踵を返してくるわけが無い。
奴の目的はなんだ?
承太郎と霊夢の二人を安全圏まで送り届けるに終わらず、尚も向かってくる理由とはなんだ?
「……青娥。メリーは君に任せよう」
「アイアイサー! この娘々にお任せあれ〜♪」
親からの言いつけを守ろうと張り切る無邪気な子供。勢いよく返事を返した青娥だったが、子供ゆえに果たしてマトモに言いつけなど守ろうとしてくれるか怪しい。
そのやり取りを見ながらプッチは心中、主旨を掴みあぐねていた。正直言って、この女では不安だ。
もっと言えば、DIOがここまでメリーに執着する理由もわからない。
世界中を旅し、その方々にて多種多様なスタンド使いを見てきた男の舌を唸らせる程なのか?
メリーがスタンド使いかはともかく、所詮はその中のあらゆる人材の一人という程度。
それがメリーという少女。
プッチの認識ではそうであった。今は、まだ。
DIOは違うのか?
彼女をどう捉えている? どう見ているのか?
昔から意図の全てまでは図れない男だと感じてはいたし、プッチ自身そんなDIOが好きではあったが。
だが、彼が自らの生み出す行為に引力を感じていると言うのなら。
それでいい。それが正解なのだろう。
きっと『運命』は、彼を基準に是正されてゆく。
そして己が身もまた、彼を押し上げる位置に在る事が正解なのだ。
(……まさか、な)
そして……プッチだからこそ思い当たる節が、一つだけ。
あくまで可能性に過ぎない。
しかし、もしもプッチの“ある予感”が的中したなら。
メリーは……ただの蛹に終わらない。
金の卵より産まれ育った、唯一無二の蛹だ。
これが“もし”無事に羽化したならば───
「プッチ。君も共に来てくれ」
今それを必要以上に考える意味は無い、と。
プッチが不意に浮かべた予感を、あたかも意図して中断させたかの様な声が、手を差し伸べてくる。
それは共に在るのがごく当然とでも言うように。
DIOはプッチの手を必要とした。
「君と組むのはそういえば初めてだな。誰にも負ける気がしないよ」
プッチにもまた、DIOが必要だ。
奇妙な星の下にて巡り会った二人の男は、長き時を経て足踏みを揃える。
もう二度とは願わなかった……有り得ない『if』が実現したのだ。
「蓮子。君も来い」
「ありがとうございます」
そんな二人の『悪』に追従していく『悪の芽』の少女。
妖刀を携え、眠りに堕ちた親友の姿を一瞥すらせず。
三人は音もなく部屋から出ていった。
残るは、毒林檎を齧ってしまった白雪姫と……
「……って、もう“行っちまった”か。早速の命令違反、清々しすぎて呆れる気も失せるぜ」
二人のみであった。残るべくである、もう一人の女は既に居ない。
つい数瞬前までそこに居たはずの邪仙が、影も形も残さず消えていた。ご丁寧に、眠れるメリーを残して。
床下へ『潜って』行ったのだろう。面白楽しいイベントを求める彼女の性質を考えればこの行動も予想はしていたが、それにしたって躊躇というブレーキが全く備わっていない。
「人のこと言えやしないが、全員身勝手なモンだ。この寝惚けたお姫様をオレはどうすりゃいい?」
チラリと、椅子の上で寝息ひとつ立てず瞳を閉じた少女を見下ろす。
見れば見るほど本当にそっくりだ。あの舐め腐った大妖怪の女とやらと。
深く冷たい沼を彷徨う様に静かに眠るメリーを眺める内に、軽い悪戯心と征服心が湧き上がる。
試しに、恐竜化させてみようか。
「……なんてな。触らぬ神に祟りなし、だ」
馬鹿な事を。こんな怯えついた女ひとり手篭めにした所で意味などない。
神などという、この世のクソを煮詰めてこしらえた様な出来損ないの依代共は、触ろうが触るまいが自己中心的な気まぐれで人間を祟るもんだ。
『神』に見棄てられた男・ディエゴは、来る修羅場を予感させながらもその場でクツクツと浅く微笑んだ。
今回は祭りに参加する気はない。だからと言って、素直に子守りを請け負うつもりも毛頭ないが。
さて……。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【C-3 紅魔館 二階客間/午後】
【
ディエゴ・ブランドー@第7部 スティール・ボール・ラン】
[状態]:体力消費(小)、右目に切り傷、霊撃による外傷、 全身に打撲、左上腕骨・肋骨・仙骨を骨折、首筋に裂傷(微小)、右肩に銃創
[装備]:なし
[道具]:幻想郷縁起、通信機能付き陰陽玉、ミツバチの巣箱@現実(ミツバチ残り40%)、基本支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る。過程や方法などどうでもいい。
1:さて、オレは……。
2:幻想郷の連中は徹底してその存在を否定する。
3:
ディオ・ブランドー及びその一派を利用。手を組み、最終的に天国への力を奪いたい。
4:同盟者である大統領を利用する。利用価値が無くなれば隙を突いて殺害。
[備考]
※参戦時期はヴァレンタインと共に車両から落下し、線路と車輪の間に挟まれた瞬間です。
※主催者は幻想郷と何らかの関わりがあるのではないかと推測しています。
※幻想郷縁起を読み、幻想郷及び妖怪の情報を知りました。参加者であろう妖怪らについてどこまで詳細に認識しているかは未定です。
※恐竜の情報網により、参加者の『14時まで』の行動をおおよそ把握しました。
※首長竜・プレシオサウルスへの変身能力を得ました。
※光学迷彩スーツのバッテリーは30分前後で切れてしまいます。充電切れになった際は1時間後に再び使用可能になるようです。
※名簿のジョースター一族をおおよそ把握しました。
※プッチ、静葉と情報交換をしました。
【
マエリベリー・ハーン@秘封倶楽部】
[状態]:気絶中(蓮子の肉の芽の中)、精神消耗、衣服の乱れ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:蓮子と一緒に此処から脱出する。ツェペリさんの『勇気』と『可能性』を信じる生き方を受け継ぐ。
1:蓮子を『芽』の中から連れ戻す。
2:
八雲紫に会いたい。
[備考]
※参戦時期は少なくとも『伊弉諾物質』の後です。
※『境目』が存在するものに対して不安定ながら入り込むことができます。
その際、夢の世界で体験したことは全て現実の自分に返ってくるようです。
※ツェペリと
ジョナサン・ジョースター、
ロバート・E・O・スピードワゴンの情報を共有しました。
※ツェペリとの時間軸の違いに気づきました。
『
聖白蓮』
【午後 15:13】C-3 紅魔館 一階厨房
いや、正確に言えば彼女は涙目となって狼狽していた。
命蓮寺にかの大魔法使いあり、とまで謳われた華々しい肩書きも、現在の彼女の体たらくを見た後ではアホらしくもなる。
真相とは、この通りである。
「ど、どうしましょう……! 服……ちっとも乾いてくれないわ……っ」
その尼公は真っ裸であった。
驚くべきことに……未だに。
「この白蓮、一生の不覚……! まさかキチンと袋を閉じていなかったなんて……」
説明するのも馬鹿馬鹿しくなる程の大失態だが、彼女はエニグマの紙を入れたビニール袋を完全に締め切れていない事に気づかなかったのだ。
寒中遊泳の最中、頭を過ぎるばかりの部下の死。その事に気を取られていたのは致し方ないとも言える。
お陰で紙が濡れ、中に仕舞い込んでいた衣服の数々も全てダメになってしまった。不幸中の幸いか、武装品の独鈷や紙を媒体としない特殊仕様の魔人経巻は水難に耐えられたが、その代償として敵地の館内部を痴女として彷徨い歩く罰を与えられたのでは、少々釣り合いが取れない。
白蓮の目的は奪われたジョナサンのDISCだ。彼の肉体があのまま現状維持を保ってくれる保証などない。
従って単騎で動く白蓮に時間的猶予があろうはずも無く。そんな事は彼女自身、おおいに理解出来ている。
だが焦眉の急である現状と、このまま全裸で敵地のド真ん中に現れるリスクや不名誉とを秤に乗せれば、一介の女性としての社会的立場が「ちょっと待て」と声高にストップを掛けるのもやむなし。
「やれるだけはやってみたら?」と頭に棲まう善性の白蓮が辛うじて助言を授け、窮地に陥る彼女は懸命な抵抗を選んだ。
その“やれるだけ”というのが、熱によって水気を乾かすという実に古典的な手段である。
おあつらえ向きに裏手から侵入したこの場所は、館の厨房だ。火を起こすにはうってつけ。その住職に考える時間は、もう残されていなかった。
「…………駄目。時間が掛かりすぎる……!」
侵入成功から時間にして三十分は無駄にしただろうか。釜の火にあてがう僧服は依然として乾かない。その間、半泣きで火にあたる事しか出来ないというのは侵入者としての自覚以前に、いい歳した大人として恥ずかしいというレベルだ。
「───覚悟、しないと」
苦渋の決断である。幾らなんでも、間抜けすぎる。
しかし人命が懸かっている。恩人の命が助かると思えば、一糸まとわぬ痴女姿で表を歩く程度、日課の滝修行より余程楽だ。
(いえ。これも修行の一環だと思えば……)
そうだ。これは修行なのだ。
裸がなんだ。外界には裸の王とやらも居るらしいではないか。
大したことない。逆境の時でこそ、逆に考えるんだ。
見せちゃえばいいさ。
そうだ、そう考えればいい。
見せよう。寧ろ、うんと見せてやろう。
ボディスタイルには、まあ自信はある。なら恥ずべき所など無いのではないか。
見せよう。もう見せちゃおう。
聖白蓮の何もかもを。余裕だ、こんなの。
違う。もっとだ……もっと気持ちを過剰化させて!
「み……見せたい! 裸を見られたいわっ!」
いいぞ。これくらいでないとミッションは達成できない。
よし行こう。もう随分時間を無駄にした。本当に。
裸一貫の尼は、若干の気恥ずかしさを交えながらも、とんでもない台詞を吼えて立ち上がった。勢い余って胸部に熟れた二玉の大きな果実が、振動を吸収しながらもぶるんと揺れる。白蓮、これを気にしない。
もう完璧に吹っ切れた。頭のおかしい方向へであったが、とにかく覚悟を決めた。ヤケクソである。
露出願望が渦巻いていたのだ。己の心の奥底には。
全てを受け入れよう。受け入れ、前へ進めよう。
なんと愚弄されようと構わない。正義は此処に在り。
ガンガンいく僧侶? 妖怪寺の露出魔住職?
上等だ。どんなに破廉恥な十字架を背負わされようと、もう誰も私を止められない。十字架だと別の宗教だけど。
「いざ、南無さ「あら、貴方は……」ん………………」
纏う全ての衣を脱ぎ捨て。記念すべき最初の一歩を踏み出そうと。
厨房の扉を開け放ち、未知の世界に入門しようとした……
───瞬間に、いきなり見られた。何もかもを。
「っ! キャ…………───」
キャー!などという生娘同然の初心な叫びを上げるわけにはいかない。まがりなりにも潜入中の身だ。
何度でも確認するが、ここは敵地だ。然らば、出会う人間は基本的に敵。
そこは流石の
聖白蓮。いかに美しい醜態をフルオープン解放中とはいえ、すぐさまスイッチを切り替え戦闘態勢に入る。
ビクビクと局所を抑えていた両の腕を迎撃の姿勢に移し。
豊かな双丘にサンドされていたエニグマの紙を瞬時に開き。
得意のゼロコンマ以下からのノータイム詠唱を可能にする魔人経巻を掌に出現させる。
その、ほんの僅かな間に相手側が予想外の反応を示した。
「まあ! まあまあまあまあ! これは一体……!?」
この白々しい反応。白蓮には見覚えがある。
「聖大僧正サマ? なんてお見苦しい姿を……!」
霍青娥。最悪だ、よりによってすぎる。
命蓮寺のライバル宗派である神霊廟に出入りする、あの胡散臭い邪仙その人だった。
青娥は通路で鉢合わせするや否や、顔を大層怯ませ目をも丸くさせ口元に手まで当てながら素っ頓狂に驚いていた。
あまり考えたくないが、目の前の青娥は突然の敵襲に驚いたというよりかは、白蓮のあられない姿そのものに呆気にとられている感じだ。
これが常人の反応なのかもしれない。
今更ながらに我がアンビリーバブルな姿を再度認識させられた白蓮は、紅魔の館もかくやと言わんばかりに途端に赤面し始める。
「えェーとぉ……?
聖白蓮、サマですよね?」
「あ…………………………は、はい」
「……………………なにゆえ、真っ裸で? まさか、そーいうご趣味でも」
死にたくなってきた。
奔放で自分勝手で邪極まる、あの
霍青娥に素でドン引きされる屈辱恥辱。
なにゆえ、私はこんな格好で? それは自分自身が今一番知りたい。
「…………聞かないでいただければ、幸いです」
反射的に返してしまった。もう、色々と終わりかもしれない。
「…………しばし、お待ち下さいな。こちらでお召し物を用意しましょう」
そう言って、邪仙は普通にその場をパタパタと離れ。
後に残された惨めな裸の女が、魔人経巻を半端に開いた姿のまま硬直から抜け出せずにいた。
唇だけはパクパクさせながら。
◆
「有り合いの物で申し訳ございませんが、“無い”よりはうんとマシでしょう」
何処だかの部屋から失敬してきたであろう替えの服を脇に抱えた青娥は、厨房の隅に引っ込んで蹲っていた憐れな知り合いへ同情の目を向けながら肩を叩いた。
邪仙の施しは白蓮にとって、涙が出るほど渡りに舟である。彼女の性格が性格だけに正直、撮影機か最悪応援部隊を呼ばれるかもと、疑っていた自分が恥ずかしいくらいだ。
「全くもう。聖様も弟子達の模範となるべき命蓮寺のトップなのですから、もう少し恥じらいというか……淑女としての自覚を持ってほしいものですわ」
正論だ。この女にそれを言われたのでは耳も痛くなるが、こればかりは自分の方がどうかしていた。
裸を見られたいって、何。
青娥から渡された着替えを広げながら白蓮は、未だ赤面の収まらぬ頬の熱を逃がすように首をブンと振る。
「たまたま居たのが私だったから良かったものの、殿方ならば一生モノの黒歴史ですよ。自粛なさって下さいね」
それは考えたくない。何から何まで彼女の言う通りなのが余計に惨めさを助長してしまう。この歳になって母に叱られる娘の気持ちを体感するなどと夢にも思わなかった。
「と、とにかく! 此度の失礼と、替えの衣類に関しては謝り申しておきます……!」
「貸し一丁、覚えておきますわ」
はあー、と一際大きな溜息が白蓮の口から漏れた。この面倒臭い相手に借りなど作っては、連日連夜敷居を跨がれ取り立てに現れるだろう。
いつまでも過ぎた失敗を悔やんでいても仕方ない。渋々といった表情で下着を着付け、何やらスベスベした素材の服を上から身に付け始める。
「何か……この服、見た事ある気がしますが」
「適当な箪笥に仕舞われていた衣類ですわ。文句があるなら没収しますよ?」
本当にそれだけは勘弁して欲しい。喉奥から湧き上がる不満不平を寸での所で塞き止めた白蓮は、最後に前面のジッパーを胸元まで上げて着替えを完了させた。
妙にテカテカした光沢の激しい、いわゆるライダースーツ。住職を務める彼女の清楚とした普段とを見比べれば、あまりに不釣り合いなギャップ。場違いとすら言える。
漆黒のスーツに首元を緑のスカーフであつらえた姿は、しかし一方で彼女の為に産み出されたのだと豪語できるフィット具合だ。
印象が180度見違えた、和から洋へのコーディネート。それを超然と着こなしているのも、つい最近これと全く同じモノを着用した記憶があるから故か。何故あの服がこの場所にあるかは深く考えないようにしたい。
「とぉ〜ってもお似合いですわ聖様! えぇ、えぇ。それはもう、こっちを本職にした方が様になってると言える程!
もし私が服なら「着て!」って喋り出すレベルですよ〜!」
「意味が分かりません……」
おだてるのだけは無駄に達者だ。呉服屋の店員か何かに転職した方が様になるのは彼女の方ではなかろうか。
まあ、ヒラヒラした以前の服よりかはまだ動き回るのに適した作りではある。ボディラインがよりピッチリと浮き出る素材というのは小恥ずかしいが。
「───で、青娥さん」
だが、もう充分と肩の力は抜けた。おふざけはここ迄だ。
言葉にせずとも、目付きや気迫だけでそれが肌に伝わる程、白蓮の纏う雰囲気が一変する。
青娥、そのオーラを受けて尚、ヘラヘラ顔を崩そうとしない。
「なんで御座いましょう?」
「単刀直入に尋ねます。貴方……ここで何を?」
遅すぎる疑問が物理の言霊と化し、鋭い真剣へと研がれた。
たまたま通りがかっただけ、では通らない。神父と秋の神がこの館に潜んでいるのは分かりきっている。
霍青娥。良い噂は聞かない。
豊聡耳神子の師であり、実力は完全に未知数。
他人を誑かして甘い蜜を吸う詐欺師同然の謀略は立派なものだと、霊廟の連中からも聞く。
握手しながら足を踏むような真似を、平気の平左でやる女だ。
無邪気が故の行いだと、ある者は言う。
(無邪気……? 邪気の塊が目に見えて溢れ返っているように見えます)
先程の青娥の、白蓮に対する反応や施しは……恐らく作りではない。素であろう。
新鮮にも見えたが、彼女のマイペースが崩される事などそうない。擬態やフリでも何でもなく、あれがいつもの
霍青娥そのもの。
だから気にかかるのだ。
十中八九、神父側であるこの女が何を狙っているのか、と。
「何を、と言われましてもねえ。裸の痴女がなにやら助けを求めていたようでしたので、私なりに……」
「この館で誰と、何を企んでいるのかと訊いてます」
この女のペースに乗せられるな。はぐらかされて適当に遊ばれた後、毎度みたく尻尾を巻くに違いない。
「あらやだ。査問でしたの? これは失礼。頭が回りませんでした。通りで眉間にシワが寄ってるわけですね」
「二度は訊きませんよ。急いでいますので」
暴力も辞さない。これ以上、のらりくらり躱されるようなら。
「ここで何をしているは、こっちの台詞ですわ。人様が休憩を選んだアジトに無断で、しかもあろう事か産まれたままのお姿で入ってきたのはそちら───」
轟、と。全身が突風に叩き付けられたようだった。
何の比喩でもなく、目にも留まらぬ速度で青娥は頭から突風を纏った脚に押し倒された。後頭部の痛みを勘定に入れれば、踏み潰されたとも言い換えられる。
ちょっとばかし、遊びすぎたかしらん? 青娥は心中で自省する。
聖白蓮は基本的には温厚で知られるが、力技で他を圧倒する暴君の如き側面も見られる。マトモに正面から戦えば無類の強さを誇る肉体派尼公だ。
床に倒され手も足も弾幕も出せない青娥は、他にやることも無いので取り敢えず眼前から見下ろす白蓮の瞳に見入ってみた。
笑ってない。怒ってるというよりかは、永い永い説法をこれから始めてやるぞという心意気燃える瞳だ。
じゃあ逆にこっちは笑ってやる。
怖気の欠片も見せずに唇を半月型に歪ませる青娥の顔は、反抗期の悪ガキと何ら変わらない思考をなぞりながらそう語っていた。
「貴方の時間稼ぎに付き合うつもりはないわ」
「やん。乙女として壁ドンってのに憧れてはいましたけど、床ドンはあまりドキドキしないものですわねぇ」
「ではもう少しだけドキドキさせてあげます」
スゥ……、と動いた白蓮の右拳が固く固く握り締められる。筋肉が圧縮する摩擦音まで聞こえてくるようだ。
(あ、これマジなやつかも。ちょっ タイム)
生命に警報が鳴らされている事を今更ながら理解した青娥は焦りを覚える。
この肉弾強化尼に接近戦で敵う道理はないが、そもそも青娥には闘う気だってありはしない。
とびっきりのお祭り会場に一番乗りでS席を確保しようと近道を通ったら、たまたま露出魔に遭遇しただけだ。
プッチらから話も既に聞いていた。この女の目的はジョナサンのDISCだろう。仲間も連れず、恐らく単身。
館に侵入したとかいうジョースターとはまた別だ。偶然にも同タイミングでの侵入という事になるが、青娥的にはDIOとプッチの暴れっぷりを観戦したい。
(だったら───)
ドゴォォッ!!!
法力を存分に纏った、必壊の鉄拳が館を揺るがした。
“この程度ならギリギリ壊れないでしょう”という、邪仙の強固な肉体を見定めた前提での威力。
壊れたのは、白いタイルを敷かれた厨房の床のみ。そこに組み敷いていた筈の青娥の姿は煙のように消えている。
「───もーう。聖大僧正サマったらぁん。ドキドキどころかボキボキにされる所だったじゃない〜。い・け・ず」
砂糖壺の底から這い出たかの様な甘ったるい声。
方角は背後より。死角を取られたかと焦った白蓮は、前方へ大きく跳躍しながら相手へと振り返った。
「YEAH〜〜〜! 仙人脱出マジック大成功〜〜〜♪」
毒気を抜く満面のスマイルで、邪仙が首だけになってこちらをニヤニヤと見ていた。正確には、首から下は鍋に入り込んでいる。
この館を居住とする魔女が儀式に使う大鍋だろうか。死体のひとつは隠せるであろうサイズであるが、今の一瞬で奴はどう攻撃を避け、どう鍋に隠れたのか。そもそも何故鍋に入ったのかはこの際置いておく。
「……お得意の壁抜けですか?」
「あら。マジックの種を明かす手品師は居ませんわ」
頭に大きな蓋を乗せながらというシュールな姿を晒し、軽いジャンプと共に鍋から飛び出す青娥。首から下はいつの間にか、ぴっちりしたバイクスーツの様な服に着替えられている。
「あ、このスーツは別に貴方に対抗した趣向ってワケじゃありませんので。あしからず」
「不思議なまやかしを使うのね。その服の作用かしら?」
不敵に笑う青娥を見据えながら、白蓮も間合いを取る。
先程、青娥は体を押さえ付けられていたに関わらず、『床を潜って』攻撃を避けた様に見えた。
それ以上に不気味なのが、カウンターのチャンスを捨ててまでこのような茶番を演じている点であった。
(まるでお前なんかどうとでもなる、って言われてるみたいで……良い気はしないわね)
読めないのだ。この女の何もかもが。
思った以上に厄介で、マトモに相手しようとなると時間の浪費は免れない。
「さて聖様。ワタクシ、本当に貴方には興味ないんですの。今は」
ペロリと舌を舐めずる、その妖艶な女はハッキリと言う。笑いの表情も、嗤いへと。
白蓮は眉を僅か釣り上げた。彼女が発したその台詞だけは、今までのどんな言葉よりも本心から生まれたモノに違いないと分かったからだ。
本当に、心の底から、青娥は今、白蓮などどうだっていい。
どうだっていいから先の不意打ちで殺してしまっても構わなかったのだが、それであっさり討ち取れるほど白蓮の首は軽くない。
どうせなら上げる花火だって多い方が観戦する方も楽しめる。
お祭りが血祭りに変わり果てようと、彼女にとっては精一杯に楽しめた者の勝ちなのだ。
「バイク。貸してあげますわ。これで貸し二丁、ですね」
紙から現れた青娥のオートバイが、唸り声を上げながら乗り手を誘っていた。室内だろうが所詮は他人様の家。お構い無しだ。
「何のつもり?」
「ライダースーツというのはバイクに跨るからこそ、ライダースーツと呼ばれるらしいですよ」
ここに至ってまで邪仙は戯れる。言葉の揚げ足を取り、遊びに興じる。
それが幻想郷を闊歩する少女達の本来のようなものである。
霍青娥は今それを唯一、100%地で振る舞えていた。
だからこそ彼女は強い。躍起にならないからこそ、強い。
「聖サマの欲……それも生と死の狭間で抗う環境の末に現れる、心よりの真欲。
この
霍青娥が興味ある物はそれだけ。貴方ならさぞや、私を虜にしてくれるんでしょうね」
───奈落にて、お待ちしております。
後に響いた言葉の余韻が白蓮の鼓膜を揺らす頃にはもう、邪仙の姿は地の底に消えていた。
あれは壁抜けとは明らかに違う。……スタンド?
「奈落……ターゲットは『下』かしら」
ふざけた事に彼女は、徹底的に傍観者に徹したいらしい。挙句、乗り物まで譲る始末。
当初は静かな潜入を想定していたが、このけたたましい二輪駆動で暗躍も何もない。コソコソするのはやめて、正面からDISCを取り返しに来てみろ、とでも言いたいのだろうか。
青娥を除外しても、敵は何人いるのか。計り知れない部分が多すぎる。
発見されれば袋叩き、というリスクを見つめてなお。
「いいでしょう。あえて挑発に乗ってあげます」
味方なんか居ない。
孤独な戦いの末に、手に届く希望があるのなら。
たとえ其処が、奈落の底でも。
「いざ、南無三───!」
清き僧正服を捨て、風を切る騎乗服を身に付けて。
いつぞやに流行ったオカルトの噂を体現する大魔法使いが、エンジン音を携えて館を走り出した。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【C-3 紅魔館 一階厨房/午後】
【
聖白蓮@東方星蓮船】
[状態]:健康
[装備]:ライダースーツ、独鈷(11/12)、魔人経巻
[道具]:オートバイ、基本支給品(水濡れ)、不明支給品0~1個@現実、フェムトファイバーの組紐(1/2)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを止める。
1:プッチを追い、ジョナサンのDISCを取り返す。
2:殺し合いには乗らない。乗っているものがいたら力づくでも止め、乗っていない弱者なら種族を問わず保護する。
3:ぬえを捜したい。
[備考]
※参戦時期は東方心綺楼
秦こころストーリー「ファタモルガーナの悲劇」で、霊夢と神子と協力して
秦こころを退治しようとした辺りです。
※DIO、
エシディシを危険人物と認識しました。
※
リサリサ、
洩矢諏訪子、プッチと情報交換をしました。プッチが話した情報は、事実以外の可能性もあります。
※スタンドの概念を少しだけ知りました。
【
霍青娥@東方神霊廟】
[状態]:衣装ボロボロ、右太腿に小さい刺し傷、右腕を
宮古芳香のものに交換
[装備]:スタンドDISC『オアシス』、河童の光学迷彩スーツ(バッテリー100%)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:気の赴くままに行動する。
1:DIOの戦いぶりを鑑賞。
2:DIOの王者の風格に魅了。彼の計画を手伝う。
3:会場内のスタンドDISCの収集。ある程度集まったらDIO様にプレゼント♪
4:芳香殺した奴はブッ殺してさしあげます。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。
※DIOに魅入ってしまいましたが、ジョルノのことは(一応)興味を持っています。
※名簿のジョースター一族をおおよそ把握しました。
※プッチ、静葉と情報交換をしました。
〇支給品情報
「ライダースーツ@東方深秘録」
極速!ライダー僧侶!でお馴染みの、東方深秘録にて披露された驚愕のライダースーツ。
怪ラストワード『*100キロで空を駆けろ!*』ではこの黒い衣装に身を包み、バイクで敵に突撃する豪快な姿が見られる。
『
ホル・ホース』
【午後 15:09】C-3 紅魔館 エントランスホール
グラスワインに一滴の泥水でも混ざれば、舌の肥えたソムリエならおもむろに立ち上がり、目をひん剥きながら叱り飛ばす。
ホル・ホースが今やった行為は、ワインに泥水を混ぜるようなリスクだ。
(ぐ……! 中まで入ると尋常じゃねえ寒気だ……!)
ギィ……と、極力隠密性を高めて館に入りはしたが、扉の音は誤魔化せても光は誤魔化せない。
紅魔館の構造上、昼間であっても内部は比較的薄暗いゆえ、僅かな隙間であろうと日光の差し込みは目立つ。玄関扉が無駄に大きな作りなので尚更だ。
例えば……其処に住まう者が吸血鬼であれば、どれだけ小さな光の一滴でも過剰に反応しかねない。
このリスクを犯してでも彼は、館に入るべき確固たる理由があった。
(チクショウ! 何でよりによってDIOなんだよ! 百パーセントこの洋館に居るンじゃねーか!)
聖白蓮の足跡を追って辿り着いた館。大口に繋がれた一本橋を渡る最中には、既にヒシヒシと感じていたのだ。
───肌にへばりつくこの独特な悪寒は間違いなくあのDIOのモノだ、という直感を。
命あっての物種。それを何より信条とする彼がUターンを選ぶことなく侵入を決意したのも、考えあっての事。
DIOとは
ホル・ホースの契約主だからである。金で雇われた仕事の関係ではあるが、下手に面識の無い相手よりかはまだ取り入りやすい。契約期間は依然続行中なのだから。
ならば寧ろ、ここほど安全な場所も無いのではなかろうか?
ホル・ホース目線で言っても、DIOという男は意外と話の分かる相手だ。世界各国から殺し屋を金で雇い、ただターゲットの始末を命じる。縦組織に有りがちな、窮屈な規律なども強いない。
DIOの集った刺客者らは、
ホル・ホース含め比較的自由な体系で構築されていたろう。無論、お決まりの“裏切り者は許さない”という了解は敷かれていたが、ハメを外しすぎなければお咎めなどそうそう無い。
何が言いたいかといえば、少なくともDIOの方から
ホル・ホースへ危害を加えてくる理由は浮かばない。逆に
ホル・ホースからDIOに謀反を起こす理由もない。
冷静になって考えれば、この立場でDIOを警戒する必要など無いのだった。
(ま、既に『二回』命令を失敗してんのがコエーっちゃコエーけどよ)
ホル・ホースは過去にジョースター抹殺の指令を二度、しくじっている。
そんな失態を背負っていながら厚い顔でDIOの元に舞い戻り、彼の反感を買いかけた事がある。
その直後にこのゲームへと呼ばれてしまったものだから、DIOが案外根に持つ性質であるならやはり進んで会いたくはない。
即ち、既に館へ侵入を果たしているであろう
聖白蓮とは事を荒立てることなく接触する、というのがベストだ。
(DIOに会わねーでいられるなら会わねーに越したことはねーぜ! 何処にいやがるんだ、その住職サマはよォー)
ここは紅魔館のエントランスホール。既に戦闘の後なのか、どこかしこが損傷している。
外から見ても分かったが、この館はそれなりのデカさがあった。人ひとりを見付けるのに、敵エンカウント無しでやり遂げるにはどれだけの幸運が必須とされるのか。
「とにかく隠密が最優先だ。DIOにだけは何があっても絶対見付かる訳には「
ホル・ホースか。そんなにコソコソしてどこへ行く?」いかね……ぇ…………?」
手当たり次第。取り敢えず一階から詰めていこうと身近な通路の扉を見定めた、瞬間だった。
一度聴いたなら二度とは忘れない、人の心の隙間をまさぐってくる様な男の声。
「誰に見付かると不都合なのだ?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……
(う、……そだろ……全然、気付かなかったぞ……!)
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……
「一人か? 誰かを捜しているのか?
お前が単独とは珍しいが、新たな相棒でも見付けたか?
なあ……
ホル・ホース」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……
ディ……DIOッ!
「───様……!」
ディオ・ブランドー。お出ましだ。
初めの村から外へ一歩出た瞬間に大魔王とエンカウントしてしまった勇者の気持ちを一身に受けながら、
ホル・ホースは全思考を保身の口八丁へと回す。
「ぁ……い、いや! 捜していたのはDIO様ですぜ! この館に居るかもと思い、単身ながらもやって来た次第でさぁ!」
「そうか。じゃあさっきのは、私の聞き間違いだったらしいな」
ホールの中央から伸びる大階段の上。踊り場から奴がこちらを見下ろしながら、大迫力のオーラで語りかけてきた。燭台の灯るランプの光が、後光をさしているようにすら錯覚する。
このDIOの前に立った時はいつもそうだった。背骨に氷でも詰められた様に固まってしまう。それでも
ホル・ホースは残った気力を駆使しながらも唇を動かし、怪しまれないよう誤魔化そうとする。
「そう! 聞き間違い! 『DIO様だけでも見付けなければ』と言ったんです! いやァ〜大変でしたぜここまで辿り着くのは」
コツコツと子気味の良い音を響かせながら、DIOがゆっくりと階段を下りてくる。狙っているのかいないのか、その緩慢な動作が余計に緊迫した“間”を作るので、対峙する側としてはどうしても強ばってしまう。
表面上では通常の軽々しい素面を演じきった
ホル・ホースは、DIOの背後を付いてくるもう一人の男の存在に気が付いた。
「? DIO様、そっちの神父服の男は誰ですかい?」
「彼か? 彼は私の友人で、名前は……」
「
エンリコ・プッチだ。君は
ホル・ホースだね。DIOから聞いているよ」
友人という紹介を受けたそのプッチなる男を見て、
ホル・ホースは思わず「は?」というマヌケな声が漏れそうになる。
あのDIOに友人が居たなどという話は聞いたことがない。いや、あるにはあるが、
ホル・ホースの知るDIOの『友達』というのは、世間一般的な『友達』の枠に収まるような生易しいものではなかった。
どちらかと言えば『支配』だとか『利用』だとかいう言葉の意味と混同している可能性がある。DIOの言う『友達』は。
だが今、奴の背後から姿を見せたプッチなる神父は、どこかDIOと距離感を近くしている様に見えた。本人を目の前にしてタメで話す態度も、媚びや偽りの様子は無く、実に自然な関係だ。
吸血鬼と神父。これ程までに反発し合いそうな関係も無さそうなものだが、本人が言うのだから友人なのだろう。
とうとうDIOが
ホル・ホースと同じ目線にまで下りてくる。そのデカい図体を前にすると、まるで壁を相手に話しているような気分だ。
「は、はあ……そりゃあ、どうも」
「合流早々悪いが、この上の通路の奥……客室に『女』が寝ている。彼女を保護していてくれ」
「女……ですかい?」
「大切な『客』さ。他にも私の部下が居ると思うが、まあ仲良くしてやってくれ。どいつもこいつも問題児ばかりだがね」
女。それはまさかDIOの『餌』じゃねーだろうな。
身も蓋もない想像を頭に浮かべる間にも、DIOとプッチは
ホル・ホースの横を通り過ぎ、どこかへ向かおうとしていた。
普通、この状況で再会したなら今まで何をしていたとか、誰と会ったか等と根掘り葉掘り訊かれそうなものだが、そんな事は些事だと言わんばかりだ。
「お出かけで?」
「少し『下』に、な。鼠が侵入したようだ」
ドクン、と心臓が脈打つ。
鼠……まさかそれは、
聖白蓮か?
だとしたらマズい事になった。神父服の方はともかく、DIOなんぞに狙われちゃあ坊さん一人、あっという間に干物にされてしまうだろう。
だからと言って自分も付いていく訳にはいかない。この男の目を盗んで白蓮と先駆け会う難易度はハード過ぎる。
(命を懸ける程じゃねえ。相手が悪すぎるぜ……聖サマとやら)
幽谷響子から始まった一連の『世話焼き』も、今回ばかりが終着駅だ。
自分なりに誠意は見せたが、間に合わなかった。
ただの、それだけ。一銭にもならないお使いだ。
「……? DIO様、その『左目』は?」
諦めが
ホル・ホースを支配した時、視界に入った。
暗くて気付かなかったが、DIOの左目には大きな傷が刻まれている。
「名誉の負傷、とでも言っておこうか。
空条承太郎と刺し違えて付けられた裂傷だ」
「じょ……! まさか、ヤツを殺ったんですかい!?」
「フフ……どうも治りが悪くてな。どうでもいい事だが。
じゃあ
ホル・ホース……“今度こそ”私のために命令を果たせよ」
そう吐き、DIOは不気味な笑みで館の奥の闇に消えていった。神父もそれに続き、消えていく。
ホル・ホースがギョッとしたのは、そのプッチの後にもう一人の存在がいた事だった。
まだ他愛もない少女。黒い帽子を被ったそのどこにでも居るような女の子の右手に見えるのは。
(あ、『アヌビス神』かっ! 物騒な奴が居やがる……)
持ち手を操る妖魔刀。少女もそれに操られているのだろう。
DIOが部下を連れて自ら出陣するというのは珍しい事だ。何か意図があるのだろうか。
だが少なくとも、これでますます
ホル・ホースには
聖白蓮に手を貸すという選択肢は無くなった。誰であろうと勝ち目が無さすぎる布陣だ。
三人がその場から離れ、圧迫するような大気がホールから完全に消えた。
瞬間、
ホル・ホースの額にドッと汗が流れ始める。向こうから手を出してこない事など分かりきってはいたが、命があるのはやはり幸運だったのだろう。
「にしても……あの承太郎をあっさり殺っちまうとは。間違いなく奴は『優勝』に最も近い男だぜ……!」
ホル・ホースはこのゲームに呼ばれる直前の事を思い出していた。DIOの館にて、奴が自らの肉体の秘密を誇らしげに話している時のことを。
両の指を煙草の火に押し付けるも、あっという間に熱傷が完治していく光景は人外の存在だと疑わせないものであった、が……。
(確か……奴は『左半身』が弱いとか言っていたな)
さっきのDIOも、傷が癒えていなかったのは『左目』だった。承太郎の渾身の攻撃が奴に一矢報いたとか、そんなとこだろうか。
興味はある。DIOの戦いぶりを観戦すれば、奴のスタンド『世界(ザ・ワールド)』の秘密の片鱗も見えるだろう。
まぁ、だからといってDIOを討ち取ろうという訳でもない。余程隙を見せない限り。
「しかし、女だと? あのDIOの『客』ねえ」
今はとりあえず、DIOの命令を守るしか出来ない。
楽そうな割にあまり身も入らない理由は、やはり
聖白蓮の事で後ろ髪が引かれているからだろうか。
DIOが消えていった闇を見つめながら、
ホル・ホースは階段に足を掛ける。
どことなく、力の無い足取りであった。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【C-3 紅魔館 エントランスホール/午後】
【
ホル・ホース@第3部 スターダストクルセイダース】
[状態]:鼻骨折、顔面骨折、濡れている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(
幽谷響子)、幻想少女のお着替えセット
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残る。
1:
聖白蓮は諦めるか?
2:誰かを殺すとしても直接戦闘は極力避ける。漁父の利か暗殺を狙う。
3:DIOは確実な勝機があれば隙を突いて殺したい。
4:大統領は敵らしい。遺体のことも気にはなる。
[備考]
※参戦時期はDIOの暗殺を目論み背後から引き金を引いた直後です。
※白蓮の容姿に関して、響子から聞いた程度の知識しかありません。
思えばDIOと会う時は決まって夜だとか、日光の届かない屋内とかだった。
彼は吸血鬼で、自分は人間。当然の配慮だが、息苦しくないのだろうか。プッチはたまに思う。
吸血鬼とは言っても、元は人間。奈落の闇に永く棲み、太陽を恋しいとは思わないのだろうか。
海底に100年間も閉じ込められていたという。そこは勿論、人匙の光も当たらない究極の闇。孤独。
彼はこの星の奈落で何を想い、何を糧にして生き延びてきたのだろう。
きっと、その瞳は地上を。空を。……『天国』を仰ぎ続けていたに違いない。
天国とは言うまでもなく比喩であるが、孤独の奈落にて屈辱に耐え忍んできた彼だからこそ、天国を望むのだ。
孤独であった彼だからこそ、唯一人の『友』が必要なのだ。
地下への薄暗い階段を降りる途中、プッチはそればかりを考えていた。エジプトにてDIOが死んだと知った時もだ。そればかりを考えていた時期というものがあった。
プッチには、肝心な時にDIOを『救う』事が出来なかった過去がある。愛する妹を喪った時だってそうだ。
今度こそ、彼を天国へ押し上げなければならない。
私は『受け継いだ』人間だ。
其処に到達する資格があるのは、本来ならば彼なのだ。
「───夢の中でメリーから面白い話を聞いてね」
壁の洋燈の光に反射する、男の艶かしい唇。
そこから紡がれた会話は、プッチの“予感”を補強する。
「そこは果てしない竹林の中だった。私は怯えながら走る少女と出会った」
「ポルナレフの肉の芽、の中だっけ?」
簡単には聞いている話だ。
全ての始まりは、その夢の中からだった。
「私自身、植え付けた芽の中に自分の意思が存在すると知ったのは初めてだ。メリーという第三者からの介入が刺激となり、私を模した意思がそこに現れたのだろうな」
本来の自分とは別の自分。その意思のみが異なる場所に飛ばされ、間接的な事象体験を起こす。
何とも稀有な事例かもしれないが、遠隔操作スタンドのようなものと考えれば分かりやすいか。本体と遠隔スタンド。その両者の意思は常に繋がった存在なのだから。
「竹林でのメリーとの会話は短いものであったが、その中で私はとても面白い話を聞いた」
「それは?」
「───メリーは時折、結界を通じて『幻想郷』らしき土地へと赴いていた、という体験談さ」
幻想郷。メリーは自らの能力により、『其処』へ到達した。
「その時は『面白い話だ』程度に考えていたのだがね。しかしディエゴや
八雲紫と会い、私の中である『推測』が浮かんできた」
たまらずDIOの唇が裂けた。
見た者がそう錯覚してしまうほど、男は愉快で愉快でたまらないといった、人間のそれとは遥か異なる邪悪な笑み。
釣られるようにして、プッチもたまらず笑いを堪えきれない。
「じゃ、じゃあDIO! やはり彼女の『能力』とは……ッ!」
「可能性の話だよ。だからこそ、念には念を入れないとな。
蓮子を連れてきたのもその為だ」
後ろから足音もなく付いてくる蓮子を、プッチは振り向いて覗く。
変わらず沈黙を保った、機械の様な表情。肉の芽の支配による本体への影響は、個々人によって差異が出る。
かつてのポルナレフや花京院もその影響により、本来の性格とは真逆の様な性質が浮き出てしまった。
きっと通常の
宇佐見蓮子という少女は、表裏の少ない自由奔放な人間だったのだろう。肉の芽がそれを上から強引に押さえつけ、強烈な支配と共に一種の心理的オーガズムを放出している。
芽の効果は男女問わずではあるが、女性に対して特に効果があるようだ。蓮子の様に成熟しきっていない娘には、性的な刺激への耐性も幾分弱い。
そんな親友の変わり果てた姿を、メリーは見捨てないだろう。
蓮子がDIOの手元にある限り、メリーは逃げやしない。たとえ何者かの手引きによって離されたとしても、必ず戻ってくる。
「蓮子。メリーは必ず籠絡しろ」
「仰せのままに。DIO様」
メリーの意識は今、蓮子の肉の芽の中にある筈。
この状況で誰が彼女を救えるだろう。
「時にプッチ」
目の前に広がる巨大な扉。
そこはかつて、DIOが
空条承太郎を討ち倒した場所。
大図書館への遮りを開け広げながらDIOは、背後のプッチに語り掛ける。
「なんだい?」
「舘に侵入した『ジョースター』の反応に、私は心当たりがある」
ゴゥン……
過大な音を吐き出しながら扉が閉められた。
上にも横にも奥にもだだっ広い図書館。ちょっとした戦争なら軽く行えそうなほどだった。
遮蔽物も多く、侵入者の姿は見当たらない。
「……誰だい? DIO」
承太郎とジョニィは脱落済み。
必ずしもジョースターの人間とは限らなく、あの『弟』の可能性もあると、プッチは改めて周囲を警戒する。
「私の『息子』だ」
DIOの言葉が言い終わるか終わらないかの内に、密閉された室内に黄金の風が走る。
誰も居ないことを確認したばかりの真上方向から突如現れた
ジョルノ・ジョバァーナが、金色の拳を叩きつけてきていた。
「「無駄ァ!!」」
敵を絶する拳と咆哮が、重なった。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【C-3 紅魔館 地下大図書館/午後】
【
ジョルノ・ジョバァーナ@第5部 黄金の風】
[状態]:スズラン毒・ヤドクガエル・マムシを無毒化
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品×1(ジョジョ東方の物品の可能性あり、本人確認済み、武器でない模様)
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を集め、主催者を倒す。
1:『声の主』を救う。
2:
ディアボロをもう一度倒す。
3:あの男(ウェス)と徐倫、何か信号を感じたが何者だったんだ?
[備考]
※参戦時期は五部終了後です。能力制限として、『傷の治療の際にいつもよりスタンドエネルギーを大きく消費する』ことに気づきました。
他に制限された能力があるかは不明です。
※星型のアザの共鳴で、同じアザを持つ者の気配や居場所を大まかに察知出来ます。
※
ディエゴ・ブランドーのスタンド『スケアリー・モンスターズ』の存在を上空から確認し、内数匹に『ゴールド・エクスペリエンス』で生み出した果物を持ち去らせました。現在地は紅魔館です。
【
鈴仙・優曇華院・イナバ@東方永夜抄】
[状態]:全身にヘビの噛み傷、ヤドクガエル・マムシを無毒化
[装備]:ぶどうヶ丘高校女子学生服、スタンドDISC「サーフィス」
[道具]:基本支給品(地図、時計、懐中電灯、名簿無し)、綿人形、
多々良小傘の下駄(左)、不明支給品0~1(現実出典)、鉄筋(数本)、その他永遠亭で回収した医療器具や物品(いくらかを魔理沙に譲渡)、式神「波と粒の境界」、鈴仙の服(破損)
[思考・状況]
基本行動方針:ジョルノ、紫らを手助けしていく。
1:こっちは二人なんですけど!?
2:友を守るため、
ディアボロを殺す。少年の方はどうするべきか…?
3:
姫海棠はたてに接触。その能力で
ディアボロを発見する。
4:
ディアボロに狙われているであろう
古明地さとりを保護する。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※波長を操る能力の応用で、『スタンド』に生身で触ることができるようになりました。
※能力制限:波長を操る能力の持続力が低下しており、長時間の使用は多大な疲労を生みます。
波長を操る能力による精神操作の有効射程が低下しています。燃費も悪化しています。
波長を読み取る能力の射程距離が低下しています。また、人の存在を物陰越しに感知したりはできません。
※『
八意永琳の携帯電話』、『
広瀬康一の家』の電話番号を手に入れました。
※入手した綿人形にもサーフィスの能力は使えます。ただしサイズはミニで耐久能力も低いものです。
※人間の里の電子掲示板ではたての新聞記事第四誌までを読みました。
※
八雲紫・
ジョルノ・ジョバァーナと情報交換を行いました。
【DIO(
ディオ・ブランドー)@第3部 スターダストクルセイダース】
[状態]:左目裂傷、吸血(紫、霊夢)
[装備]:なし
[道具]:大統領のハンカチ@第7部、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、頂点に立つ。
0:来たなジョルノ!
1:天国への道を目指す。
2:永きに渡るジョースターとの因縁に決着を付ける。
3:神や大妖の強大な魂を3つ集める。
4:静葉の『答え』を待ち、利用するだけ利用。
[備考]
※参戦時期はエジプト・カイロの街中で承太郎と対峙した直後です。
※停止時間は5→8秒前後に成長しました。霊夢の血を吸ったことで更に増えている可能性があります。
※名簿上では「DIO(
ディオ・ブランドー)」と表記されています。
※
古明地こいし、
チルノ、
秋静葉の経歴及び地霊殿や命蓮寺の住民、幻想郷についてより深く知りました。
また幻想郷縁起により、多くの幻想郷の住民について知りました。
※自分の未来、プッチの未来について知りました。ジョジョ第6部参加者に関する詳細な情報も知りました。
※主催者が時間や異世界に干渉する能力を持っている可能性があると推測しています。
※恐竜の情報網により、参加者の『14時まで』の行動をおおよそ把握しました。
※
八雲紫、
博麗霊夢の血を吸ったことによりジョースターの肉体が少しなじみました。他にも身体への影響が出るかもしれません。
【
エンリコ・プッチ@第6部 ストーンオーシャン】
[状態]:全身大打撲、首に切り傷
[装備]:
射命丸文の葉団扇
[道具]:不明支給品(0~1確認済)、基本支給品、要石@東方緋想天(1/3)、ジョナサンの精神DISC
[思考・状況]
基本行動方針:DIOと共に『天国』へ到達する。
1:DIOの息子……か。
2:ジョースターの血統とその仲間を必ず始末する。特にジョセフと女(
リサリサ)は許さない。
3:主催者の正体や幻想郷について気になる。
[備考]
※参戦時期はGDS刑務所を去り、運命に導かれDIOの息子達と遭遇する直前です。
※緑色の赤ん坊と融合している『ザ・ニュー神父』です。首筋に星型のアザがあります。
星型のアザの共鳴で、同じアザを持つ者の気配や居場所を大まかに察知出来ます。
※
古明地こいしの経歴及び地霊殿や命蓮寺の住民について大まかに知りました。
※主催者が時間に干渉する能力を持っている可能性があると推測しています。
※静葉、ディエゴ、青娥と情報交換をしました。
※名簿のジョースター一族をおおよそ把握しました。
【
宇佐見蓮子@秘封倶楽部】
[状態]:健康、肉の芽の支配
[装備]:アヌビス神、スタンドDISC「ヨーヨーマッ」
[道具]:針と糸@現地調達、基本支給品、食糧複数
[思考・状況]
基本行動方針:DIOの命令に従う。
1:メリーをこのまま篭絡する。
[備考]
※参戦時期は少なくとも『卯酉東海道』の後です。
※ジョニィとは、ジャイロの名前(本名にあらず)の情報を共有しました。
※「星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力」は会場内でも効果を発揮します。
※アヌビス神の支配の上から、DIOの肉の芽の支配が上書きされています。
現在アヌビス神は『咲夜のナイフ格闘』『止まった時の中で動く』『星の白金のパワーとスピード』『銀の戦車の剣術』を『憶えて』います。
最終更新:2020年07月22日 01:58