黒歴史大戦
『黒歴史大戦』(くろれきしたいせん)はかざね氏制作の黒歴史。
黒歴史を操る能力者「セカンダー」同士の殺し合いを描いた物語である。後発の「超黒歴史大戦」シリーズとは直接の関係は無い。
『黒歴史大戦』(くろれきしたいせん)はかざね氏制作の黒歴史。
黒歴史を操る能力者「セカンダー」同士の殺し合いを描いた物語である。後発の「超黒歴史大戦」シリーズとは直接の関係は無い。
1 あらすじ
時は現代。アングラを中心に、とあるノートが大流行していた。
「黒歴史ノート」と呼ばれるそれは、人々が記した妄想を現実のものにしてしまう危険なノート。出自も流通意図も一切不明、ただ気付けば多くの夢見る若者たちがそのノートを用い様々な妄想を具現化していた。
「黒歴史ノート」と呼ばれるそれは、人々が記した妄想を現実のものにしてしまう危険なノート。出自も流通意図も一切不明、ただ気付けば多くの夢見る若者たちがそのノートを用い様々な妄想を具現化していた。
社会は混沌の渦へと巻き込まれつつあった。
学校へ行けば見知らぬ生徒が我が物顔で授業を受け。
職場へ行けば隕石の落下跡だけが残り。
街中へ行けば人々が魔法や超能力で戦いあい。
学校へ行けば見知らぬ生徒が我が物顔で授業を受け。
職場へ行けば隕石の落下跡だけが残り。
街中へ行けば人々が魔法や超能力で戦いあい。
最早、平穏な場所などなくなりつつあった。
その事態に対抗するため、正義の心で黒歴史ノートを持ち使用を取り締まる自警集団が誕生した。
「編纂室」(ライブラリ)。黒歴史ノートを悪用し社会を混乱させる害悪を打ち払うため、彼らは立ち上がったのだ。
その事態に対抗するため、正義の心で黒歴史ノートを持ち使用を取り締まる自警集団が誕生した。
「編纂室」(ライブラリ)。黒歴史ノートを悪用し社会を混乱させる害悪を打ち払うため、彼らは立ち上がったのだ。
2 登場人物
- 倶利迦羅アトリ(くりから・あとり)
主人公。20歳の大学生。
まだ事態がそこまで表沙汰になっていなかった頃、ヤフオクで落とした黒歴史ノートにネタを書き込んだことからセカンダー(黒歴史ノートを持つ者の総称。Special Effects Over the Night Dream、SECONDと仮呼称された黒歴史ノートを使いこなす者を意味する)として覚醒する。
まだ事態がそこまで表沙汰になっていなかった頃、ヤフオクで落とした黒歴史ノートにネタを書き込んだことからセカンダー(黒歴史ノートを持つ者の総称。Special Effects Over the Night Dream、SECONDと仮呼称された黒歴史ノートを使いこなす者を意味する)として覚醒する。
喋る魔剣ペールギュントを操り、数々のセカンダーたちと対峙していく。二つ名はズバリ“魔剣士”。
厭世的な性格のこの魔剣は、時には悪友のように、時には父のように、アトリのよき理解者として運命を共にする。
一度は同じ魔剣使いの“執事”ヘルマン・リットの手により叩き折られたが、「人格が宿るのはコアクリスタルと呼ばれる結晶体」という基本設定のお陰で消滅を免れる。後に双刃の新生ペールギュントの設定を与えられ、最後までアトリのパートナーとして戦い抜いた。
厭世的な性格のこの魔剣は、時には悪友のように、時には父のように、アトリのよき理解者として運命を共にする。
一度は同じ魔剣使いの“執事”ヘルマン・リットの手により叩き折られたが、「人格が宿るのはコアクリスタルと呼ばれる結晶体」という基本設定のお陰で消滅を免れる。後に双刃の新生ペールギュントの設定を与えられ、最後までアトリのパートナーとして戦い抜いた。
幼少時に幼馴染に別れを告げられぬまま転校を余儀なくされ、それでもその子のことが忘れられぬまま子供時代を過ごしたものの、風の噂で彼氏ができた、という話を聞いたことから女性が苦手になる。
普段は人当たりのいい青年だが、女性に対しては冷めた態度を取るのはそのせい。
普段は人当たりのいい青年だが、女性に対しては冷めた態度を取るのはそのせい。
- 祁答院アスカ(けどういん・あすか)
アトリの幼馴染で、「編纂室」室長を務める24歳の大学院生。二つ名は“烈風”。
大学ではミス宝陽の称号を得たほどに美しい外見を持つが、大の特撮マニアで、中学の頃にその趣味の濃さに引いた初彼氏に振られて以来彼氏いない歴を更新中。
才色兼備の体育会系で面倒見がいいが、異性を意識されると急につっけんどんな態度を取る。過去の経験が若干トラウマ気味になってしまったため、耐性がないのである。
大学ではミス宝陽の称号を得たほどに美しい外見を持つが、大の特撮マニアで、中学の頃にその趣味の濃さに引いた初彼氏に振られて以来彼氏いない歴を更新中。
才色兼備の体育会系で面倒見がいいが、異性を意識されると急につっけんどんな態度を取る。過去の経験が若干トラウマ気味になってしまったため、耐性がないのである。
戦闘時は「闘翔」(フェーダ)の掛け声と共に両手の握りこぶしをたたき合わせ、直後に斜め下へ払う変身ポーズを取ることでウィングナイト・アスカイザーへと変身する。
両手甲に格納されたカイザーサーベルは鋼鉄を切り裂き、背のカイザーウィングは空は飛べないものの超高速戦闘を可能にする(後に空中から攻撃を仕掛けてくるセカンダーを相手にした際、ノートに設定を追記することで飛行を実現した)。
両手甲に格納されたカイザーサーベルは鋼鉄を切り裂き、背のカイザーウィングは空は飛べないものの超高速戦闘を可能にする(後に空中から攻撃を仕掛けてくるセカンダーを相手にした際、ノートに設定を追記することで飛行を実現した)。
態度には出さないが、幼い頃に趣味が合い、よく一緒に遊んでいたアトリのことは気になっているらしい。
アトリが引越し、交流のなかった年月の間に彼氏を作ってしまったことが彼女の中で大きな心の壁となり、素直になれない原因を作っているのだ。
要は双方素直になれないわけです。
アトリが引越し、交流のなかった年月の間に彼氏を作ってしまったことが彼女の中で大きな心の壁となり、素直になれない原因を作っているのだ。
要は双方素直になれないわけです。
- 運切リヒト(さだぎり・りひと)
IQ420を誇る天才小学生。ハンチング帽と半ズボンがトレードマーク。二つ名は“騎士”。
装甲騎士(パンツァーリッター)と名付けた全長8mのロボットを操り、「編纂室」最強として尊敬と嫉妬のまなざしを浴びる。
子供ながら天才ゆえに、素直に最強の設定にはせずそこに過剰なまでのリアリズムを追求してしまうため、それが弱点になることもしばしば(稼働時間の限界だとか、機動性だとか)。
しかし、それでも「編纂室」では最も多いキルスコアを稼いでいるあたりにセカンダーとしての素質が見受けられる。
装甲騎士(パンツァーリッター)と名付けた全長8mのロボットを操り、「編纂室」最強として尊敬と嫉妬のまなざしを浴びる。
子供ながら天才ゆえに、素直に最強の設定にはせずそこに過剰なまでのリアリズムを追求してしまうため、それが弱点になることもしばしば(稼働時間の限界だとか、機動性だとか)。
しかし、それでも「編纂室」では最も多いキルスコアを稼いでいるあたりにセカンダーとしての素質が見受けられる。
両親は海外に長期出張中であり、現在家に親はいない。
基本的にはクールかつ他者には無関心に振舞うが、やはり歳相応に甘えたい年頃でもある。
劇中、とある戦いをきっかけにアトリのことを兄と慕うようになる。
基本的にはクールかつ他者には無関心に振舞うが、やはり歳相応に甘えたい年頃でもある。
劇中、とある戦いをきっかけにアトリのことを兄と慕うようになる。
- 儀蓬カナメ(ぎほう・かなめ)
“魔術師”の二つ名で呼ばれる、魔法戦特化のセカンダー。17歳の女子高校生。黒いローブと魔術による男声への変声により正体を知るものはほとんどいない。
基本設定として「森羅万象の力に自在に干渉することができる」「魔術の燃料は使用者の精神力」「使用者が死亡もしくはそれに準ずる状態に陥ったとき、力は失われる」「発動の際には呪文を紡ぐための口と印を結ぶための両手が必要」などを定めており、「魔法を使える」とだけ書かれているようなにわかセカンダーとは一線を画す力で多くのセカンダーを狩ってきた。
学校では「三無い」(背がない、乳がない、煮え切らない)と馬鹿にされる、いじられキャラ。
基本設定として「森羅万象の力に自在に干渉することができる」「魔術の燃料は使用者の精神力」「使用者が死亡もしくはそれに準ずる状態に陥ったとき、力は失われる」「発動の際には呪文を紡ぐための口と印を結ぶための両手が必要」などを定めており、「魔法を使える」とだけ書かれているようなにわかセカンダーとは一線を画す力で多くのセカンダーを狩ってきた。
学校では「三無い」(背がない、乳がない、煮え切らない)と馬鹿にされる、いじられキャラ。
- 氏神トウヤ(うじがみ・とうや)
「星使い」の二つ名を持つセカンダー。年齢不詳、飄々とした態度の青年。普段は渋谷の駅前で石を加工したアクセサリーを売っている。
隕石を落とす力を持ったセカンダー。質量や重力などの細かいことは考えていないため、「ちょっと高い場所から馬鹿デカイ石が降ってくる」程度の力だが、それでも人間に当たればミンチは確実。
「人々が空を見上げてお祈りなどをする、超常の力への無意識の信仰心」を力の根源としており、打ち破る方法が分からない編纂室の面々を苦戦させる。しかし最後にはアトリの「流れ星に祈っても第一志望は滑ったわボケ」の一言で力を失い、敗北した。
隕石を落とす力を持ったセカンダー。質量や重力などの細かいことは考えていないため、「ちょっと高い場所から馬鹿デカイ石が降ってくる」程度の力だが、それでも人間に当たればミンチは確実。
「人々が空を見上げてお祈りなどをする、超常の力への無意識の信仰心」を力の根源としており、打ち破る方法が分からない編纂室の面々を苦戦させる。しかし最後にはアトリの「流れ星に祈っても第一志望は滑ったわボケ」の一言で力を失い、敗北した。
3 黒歴史ノート、それに付随するセカンダー同士の戦闘について
黒歴史ノートは「基本設定」「追加設定」の二つの要素により妄想を具現化する。
「基本設定」は文字通り、その妄想の根源となる設定を記載する項目。アトリの魔剣ペールギュントを例に取れば、「魔剣の人格はコアクリスタルに宿る」「コアクリスタルを破壊されなければ刀身は自己、もしくは他者の手により復元・強化が可能」「魔剣は常に使用者の命を吸うことで力を発揮する」「魔剣使いの魔力が尽きると魔剣も力を失う」などの設定が「基本設定」の項目に記されている。
この項目に記された内容を打ち破られるような事態になったとき、その黒歴史ノートは力を失い消失する。「コアクリスタルが破壊される」事態になったとき、魔剣ペールギュントは死に黒歴史ノートも力を失うわけだ。よって、この消失に至るような基本設定の破壊を満たすことがセカンダー同士の戦いとなる。
「魔剣使いの魔力が尽きると魔剣も力を失う」の項は「あくまで一時的に力を失う」と解釈され、アトリが魔力を使い果たした際も黒歴史ノートが消失することはない。こういった基本設定による制約は黒歴史の根源力となり、その黒歴史を飛躍的に強くすることができる。
「基本設定」は一番最初に記載してから変更することができないため、この時点でセカンダーとしての実力はある程度決定される。
この項目に記された内容を打ち破られるような事態になったとき、その黒歴史ノートは力を失い消失する。「コアクリスタルが破壊される」事態になったとき、魔剣ペールギュントは死に黒歴史ノートも力を失うわけだ。よって、この消失に至るような基本設定の破壊を満たすことがセカンダー同士の戦いとなる。
「魔剣使いの魔力が尽きると魔剣も力を失う」の項は「あくまで一時的に力を失う」と解釈され、アトリが魔力を使い果たした際も黒歴史ノートが消失することはない。こういった基本設定による制約は黒歴史の根源力となり、その黒歴史を飛躍的に強くすることができる。
「基本設定」は一番最初に記載してから変更することができないため、この時点でセカンダーとしての実力はある程度決定される。
「追加設定」は妄想に関するサイドストーリーや新たな設定などを追記していくことで妄想の力を変質させていくことができる項目である。
その妄想に登場する力が様々な変遷を経ていく過程であるとか、隠された力であるとか、そういったものを追記することで妄想は新たな力を得ることができるのである。
しかし、「基本設定」により生まれた根源力が弱ければその新たな力もたかが知れている。「基本設定」をしっかりと練らなければ黒歴史力も弱いものになる、という点では子供の空想と同じというわけだ。
その妄想に登場する力が様々な変遷を経ていく過程であるとか、隠された力であるとか、そういったものを追記することで妄想は新たな力を得ることができるのである。
しかし、「基本設定」により生まれた根源力が弱ければその新たな力もたかが知れている。「基本設定」をしっかりと練らなければ黒歴史力も弱いものになる、という点では子供の空想と同じというわけだ。
4 その他
- セカンダーについて
分かってるとは思うけど「中二病」なのでセカンダー
編纂室が「DEATH ~死神~」とか名乗る黒歴史チームと戦うのが序盤数話分の展開
そっから編纂室の名がどんどん知れていって超すごい敵とかも出てくる
編纂室が「DEATH ~死神~」とか名乗る黒歴史チームと戦うのが序盤数話分の展開
そっから編纂室の名がどんどん知れていって超すごい敵とかも出てくる
- 結末について
最後には実はこれが全部政府の脳波実験だったことが判明する。
東京全域を巻き込んだこの実験について、政府は「謎の伝染病」と告知して東京を封鎖していた(東京にいる人間は脳波に影響を受けており「東京から出よう」という意思すら沸いていなかった。その伏線は劇中にも張られている)。
これまでの戦いが政府に仕組まれたものであり、実際には具現化された妄想はすべて現実には存在しておらず「脳が錯覚させられていた」だけのものであるという事実。現実と妄想の区別が曖昧になってなお、アスカを始めとする愛する者やその他様々なものの犠牲を超えてここまで戦い抜いてきたアトリと、同じく失うものの重さに気付いた敵の大ボスは戦いの手を止めるわけにはいかなかった。
実験施設が隠された都庁をバックに最後の戦いが始まる。決着。勝ったものは……、
東京全域を巻き込んだこの実験について、政府は「謎の伝染病」と告知して東京を封鎖していた(東京にいる人間は脳波に影響を受けており「東京から出よう」という意思すら沸いていなかった。その伏線は劇中にも張られている)。
これまでの戦いが政府に仕組まれたものであり、実際には具現化された妄想はすべて現実には存在しておらず「脳が錯覚させられていた」だけのものであるという事実。現実と妄想の区別が曖昧になってなお、アスカを始めとする愛する者やその他様々なものの犠牲を超えてここまで戦い抜いてきたアトリと、同じく失うものの重さに気付いた敵の大ボスは戦いの手を止めるわけにはいかなかった。
実験施設が隠された都庁をバックに最後の戦いが始まる。決着。勝ったものは……、
……というところで場面が切り替わる。
そこまで快調に走らせていたキータイプの手を休める男。最後にページを切り替え、「fin」の文字と「倶利伽羅阿鳥」というペンネームを記載し、ワードファイルを保存する。
そこにコーヒーを持ってくる女。原稿が完成した様子を見て喜びの表情を浮かべる。男もコーヒーを飲み、一息入れる。
「さあ、出かけようか。飛鳥」
そこまで快調に走らせていたキータイプの手を休める男。最後にページを切り替え、「fin」の文字と「倶利伽羅阿鳥」というペンネームを記載し、ワードファイルを保存する。
そこにコーヒーを持ってくる女。原稿が完成した様子を見て喜びの表情を浮かべる。男もコーヒーを飲み、一息入れる。
「さあ、出かけようか。飛鳥」
完
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