美闘士
第四十二回大会(現代)
修羅薔薇――ヴェルローズ・ロンブローゾ
燃え上がるような赤髪の女剣士。眼鏡がチャームポイントだと言い張るが、あんまり似合っていない(指摘すると容赦なく斬られる)。
某国で騎士団長を務めていた過去がある。長きに渡る戦争が終わり彼女が得たものは生き長らえたことへの安堵ではなく、これ以上合法的に人を斬れないことへの絶望だった。
某国で騎士団長を務めていた過去がある。長きに渡る戦争が終わり彼女が得たものは生き長らえたことへの安堵ではなく、これ以上合法的に人を斬れないことへの絶望だった。
平和な王国での剣術教官の職を拝命するも柄ではなく、やることを見失い、酒びたりの毎日。そんな折、命の奪い合いの場「クイーンズブレイド」の存在を知る。
長く居座っていた座席から立ち上がる。……立ち上がれない。酒が脳を侵し、足は言うことを聞かなかった。
「畜生が、なまくらよりも役立たずの足め!」
腰に下げた剣で足の甲を突き刺した。手入れをしていないなまくらの刃は鈍い痛みを伴ってヴェルローズの意識を覚醒させる。これだ。この感覚、この痛み。命を賭けるあの興奮が徐々に蘇り、ヴェルローズは今度こそしっかりと立ち上がった。
まずは綺麗にしなくては。この平和という名の泥に浸かった王国の毒を。
ヴェルローズは殺傷力を抑えた教習用の剣ではなく、かつての多くの戦士を屠った愛用の武器を手に取り、王宮へと歩き出した。
現在の自分と言う因縁を断ち切り、真の自分を呼び覚ます為に。
長く居座っていた座席から立ち上がる。……立ち上がれない。酒が脳を侵し、足は言うことを聞かなかった。
「畜生が、なまくらよりも役立たずの足め!」
腰に下げた剣で足の甲を突き刺した。手入れをしていないなまくらの刃は鈍い痛みを伴ってヴェルローズの意識を覚醒させる。これだ。この感覚、この痛み。命を賭けるあの興奮が徐々に蘇り、ヴェルローズは今度こそしっかりと立ち上がった。
まずは綺麗にしなくては。この平和という名の泥に浸かった王国の毒を。
ヴェルローズは殺傷力を抑えた教習用の剣ではなく、かつての多くの戦士を屠った愛用の武器を手に取り、王宮へと歩き出した。
現在の自分と言う因縁を断ち切り、真の自分を呼び覚ます為に。
得物はノコギリ状の刃を持つ長剣・ドラゴンクリーバー。「激痛を伴う殺傷力」を追求した武器で、戦争中は赤い髪をかき乱しながらこれを振り回すヴェルローズの戦鬼のような様から「修羅薔薇」との呼び名を敵味方問わずに受けた。
究極神剣(この世界での一撃必殺の大技の名称)は「ブラッディローズストーム」。ドラゴンクリーバーを神速で相手の腹部に突き刺し、一息に抉り抜く技。飛び散る臓物と血液が薔薇のように美しいことからこの名がついた。
究極神剣(この世界での一撃必殺の大技の名称)は「ブラッディローズストーム」。ドラゴンクリーバーを神速で相手の腹部に突き刺し、一息に抉り抜く技。飛び散る臓物と血液が薔薇のように美しいことからこの名がついた。
埋葬聖処女――ゲーティア・ガンダイツ
北方の密教「ヴェノメナン・ソサエティ」において埋葬聖処女(パニッシュ・メイデン)の名を授かる神女。10歳にも満たぬような幼き見た目だが、その実年齢・本名ともに不明。ヴェノメナン・ソサエティの教祖ブローディア・ガンダイツの養女として、そして教団のシンボルとして軟禁状態の生活を送る。また、物心ついたときから教団の隠れ家で生まれ育っているため、その思考・思想は完全に教団により支配されている。
ヴェノメナン・ソサエティは終末思想の色濃い宗教集団で、独自の神話(ソラヴォール神話)に基づいた教義により間もなく三万年に一度の裁きの時が訪れると説く。人間界の均衡が崩れたために訪れる捌きの時。その裁きを防ぐには、埋葬聖処女の名を受けた神の戦士が災厄の元を断たなければならない。災厄の元とは、人間の本来の姿から外れた凶暴なる獣……すなわち、「戦う女」。神に許されし戦女が、神の怒りに触れし戦女を討つことこそが裁きを止める方法だというのだ。
ヴェノメナン・ソサエティは終末思想の色濃い宗教集団で、独自の神話(ソラヴォール神話)に基づいた教義により間もなく三万年に一度の裁きの時が訪れると説く。人間界の均衡が崩れたために訪れる捌きの時。その裁きを防ぐには、埋葬聖処女の名を受けた神の戦士が災厄の元を断たなければならない。災厄の元とは、人間の本来の姿から外れた凶暴なる獣……すなわち、「戦う女」。神に許されし戦女が、神の怒りに触れし戦女を討つことこそが裁きを止める方法だというのだ。
「ゲーティア、ゲーティアや、愛しのゲーティアや。神の名においてクイーンズブレイドに参加し、裁きの時を回避するのじゃ。それがお前の使命。お前は神の剣。お前は人類の希望。お前は……、」
「分かりましたわ。お父様」
催眠効果を伴うようなブローディアの声に、無機質な声でゲーティアが返答する。
その目の奥に宿る鈍い光からは、いかなる感情をも読み取ることはできなかった。
「分かりましたわ。お父様」
催眠効果を伴うようなブローディアの声に、無機質な声でゲーティアが返答する。
その目の奥に宿る鈍い光からは、いかなる感情をも読み取ることはできなかった。
得物は十字架を模した大剣「ジャッジメントシルバークロス」。全長は身の丈の1.5倍ほどもあるが、それをいとも簡単に振り回す彼女は人間ではないのではないかとの噂も囁かれている。
究極神剣は「セイント・ゴルゴダ」。相手の脳天から十字剣を突き刺し、股から貫通させる必殺技。脳から剣を突き刺された相手は体が痙攣反応を起こし、腕が自然と左右にぴんと伸びる。その様はまるで十字架に貼り付けられた聖人のようで、とても神聖だ。
究極神剣は「セイント・ゴルゴダ」。相手の脳天から十字剣を突き刺し、股から貫通させる必殺技。脳から剣を突き刺された相手は体が痙攣反応を起こし、腕が自然と左右にぴんと伸びる。その様はまるで十字架に貼り付けられた聖人のようで、とても神聖だ。
蛇眼の処刑者――ラーヴェイン・クレンセン
かつての戦争で滅んだ王国の皇女。王位継承権を姉のフェイタージュと争っていたが、統率力・武力という戦時下の王に相応しい能力において優れていたラーヴェインはある日突然「姉に全てを託す」と言い残し、失踪。
以来長きに渡り行方知れずだったが、辺境の重商都市キーツにて処刑ショー(主に犯罪者を処刑するのを見世物にする、富裕層の娯楽。稀に身元不明の子供達などもショーの題材にされるが、そのことが世間に広まることはない)のアクターとして働いているところを捜索に出ていた生き残りの騎士により発見された。
かつて妹と並び「双輝宝」と称された可憐な美貌はそこには無かった。王国復興を誓い、ようやくの思いで皇女を見つけた騎士は諦念の面持ちで語る。「皇女は死んだ。あれは夜叉だ。皇女を食って取り変わった夜叉に違いない」……。
以来長きに渡り行方知れずだったが、辺境の重商都市キーツにて処刑ショー(主に犯罪者を処刑するのを見世物にする、富裕層の娯楽。稀に身元不明の子供達などもショーの題材にされるが、そのことが世間に広まることはない)のアクターとして働いているところを捜索に出ていた生き残りの騎士により発見された。
かつて妹と並び「双輝宝」と称された可憐な美貌はそこには無かった。王国復興を誓い、ようやくの思いで皇女を見つけた騎士は諦念の面持ちで語る。「皇女は死んだ。あれは夜叉だ。皇女を食って取り変わった夜叉に違いない」……。
矢傷により左眼の視力が衰え、また真っ当な治療を受けぬまま処刑場の暗闇の中で視力を酷使した結果眼球が変異している。蛇のような風貌の左眼はいかな暗黒だろうと鋭敏に見通すことが出来、動体視力にも優れた人外の瞳である。
得物は斬首斧「ギロチンアクス」。側面に付いたバイサー状の刺突部を相手の側頭部へと突き刺し、刃とその作動部に瞬間的にガス圧を掛けギロチンの原理で刃を滑らせることで身動きの取れない相手の首を切り落とす処刑具である。また、これがそのまま彼女の究極神剣(フェイタリティ)となっている。
勿論トドメ以外にはそんなまどろっこしい使い方は出来ない為、普通に振り回して戦うのだが。ただ、可動式の刃は実戦でも驚異的な威力を発揮し、鍔迫り合いの際などに使えば相手の武器はほぼ確実に吹っ飛んでいく。その後は好きに料理をすればいい。
得物は斬首斧「ギロチンアクス」。側面に付いたバイサー状の刺突部を相手の側頭部へと突き刺し、刃とその作動部に瞬間的にガス圧を掛けギロチンの原理で刃を滑らせることで身動きの取れない相手の首を切り落とす処刑具である。また、これがそのまま彼女の究極神剣(フェイタリティ)となっている。
勿論トドメ以外にはそんなまどろっこしい使い方は出来ない為、普通に振り回して戦うのだが。ただ、可動式の刃は実戦でも驚異的な威力を発揮し、鍔迫り合いの際などに使えば相手の武器はほぼ確実に吹っ飛んでいく。その後は好きに料理をすればいい。