1 概要
全ての戦いは、呪われし喪失の旅路。
そのことを理解しながら、彼女たちは戦いの手を止めようとはしない。
それ以外の生き方を知らないから……。
そのことを理解しながら、彼女たちは戦いの手を止めようとはしない。
それ以外の生き方を知らないから……。
「彼女たちは、失い続ける。」
クイーンズブレイド、第四十二回大会。
歴史的に大きな意味を持つこの大会を巡り、内外で様々な思惑が蠢いていた。
運命に翻弄される美闘士たち。その命運を握るのは、プレイヤーである貴方だ。
歴史的に大きな意味を持つこの大会を巡り、内外で様々な思惑が蠢いていた。
運命に翻弄される美闘士たち。その命運を握るのは、プレイヤーである貴方だ。
2 キャラクター
“乱れ雪月花”――天椿 香姫(あまつばき・こうひめ)
遥か東方で隆盛を誇った大国・香蘭の姫君。
かつて過ごした華やかな人生など今は昔、現在は亡国の最後の生き残りとして追われる身となっており、その首には暗殺者ギルドから巨額の賞金がかけられている。
彼女が生まれ育った香蘭の国は偉人を多く輩出してきた文化的な国家として西方にまで知られていたが、平和を打ち破り突如として挙兵。周辺国家に対して侵略戦争を仕掛けて失敗し、逆に滅ぼされてしまった。結末は凄惨なものだった。香蘭は滅び、王家の一族だけでなく、国民までもが皆殺しにされたのだ。
しかし、そもそもの侵略行為自体が仕組まれた陰謀だったという説も根強く主張されている。「香蘭の偉人とはすなわち異人であり、“悪魔”に魂を売っている」……そんな噂が絶えなかったからだ。つまり一連の出来事は大規模な「悪魔狩り」だった、というのだ。それが才気溢れる香蘭の国を妬んだ周辺国家による陰謀だったのか、それとも本当に悪魔がいたのか……今となっては知る由もないが、香姫の中には理不尽な運命への怒りが燃えている。
かつて過ごした華やかな人生など今は昔、現在は亡国の最後の生き残りとして追われる身となっており、その首には暗殺者ギルドから巨額の賞金がかけられている。
彼女が生まれ育った香蘭の国は偉人を多く輩出してきた文化的な国家として西方にまで知られていたが、平和を打ち破り突如として挙兵。周辺国家に対して侵略戦争を仕掛けて失敗し、逆に滅ぼされてしまった。結末は凄惨なものだった。香蘭は滅び、王家の一族だけでなく、国民までもが皆殺しにされたのだ。
しかし、そもそもの侵略行為自体が仕組まれた陰謀だったという説も根強く主張されている。「香蘭の偉人とはすなわち異人であり、“悪魔”に魂を売っている」……そんな噂が絶えなかったからだ。つまり一連の出来事は大規模な「悪魔狩り」だった、というのだ。それが才気溢れる香蘭の国を妬んだ周辺国家による陰謀だったのか、それとも本当に悪魔がいたのか……今となっては知る由もないが、香姫の中には理不尽な運命への怒りが燃えている。
追っ手との戦いを繰り広げる香姫は、西方のとある国に潜伏中にクイーンズブレイドの開催を知ることになる。
そうとなれば善は急げ。柄の長さと刃の長さがほぼ同一に取られた長大な太刀「凛刀・啓音(りんとう・けいね)」を得物とし、逃亡生活の中で磨かれた剣術をもってクイーンズブレイドへの参戦を決意した。世界王との謁見を果たし、件の侵略戦争が周辺国家の陰謀であったこと、香蘭の国の者に罪はなかったことを彼女の口から認めさせるために。戦いが終わっても、香蘭の国が二度と戻らないことを知りつつも……。
得意の舞踊を発展・昇華させた独自の剣術「刀劇武踊」は美しくも残酷な殺戮の舞。一見隙だらけのその動きは一つ一つが必殺の一太刀として機能しており、達人であればあるほど打ち込む隙を見出せぬことから「素人(ひと)惚け、達人見蕩る刀姫」と謳われ、称されているという。
そうとなれば善は急げ。柄の長さと刃の長さがほぼ同一に取られた長大な太刀「凛刀・啓音(りんとう・けいね)」を得物とし、逃亡生活の中で磨かれた剣術をもってクイーンズブレイドへの参戦を決意した。世界王との謁見を果たし、件の侵略戦争が周辺国家の陰謀であったこと、香蘭の国の者に罪はなかったことを彼女の口から認めさせるために。戦いが終わっても、香蘭の国が二度と戻らないことを知りつつも……。
得意の舞踊を発展・昇華させた独自の剣術「刀劇武踊」は美しくも残酷な殺戮の舞。一見隙だらけのその動きは一つ一つが必殺の一太刀として機能しており、達人であればあるほど打ち込む隙を見出せぬことから「素人(ひと)惚け、達人見蕩る刀姫」と謳われ、称されているという。
“電神(でんじん)”――レイシア・グランドスパーク
西方諸国一帯にその名を轟かせる凄腕の賞金稼ぎ。「雷」の力を宿す悪魔であり、彼女自身もまた教会による悪魔狩りの対象となっているが、正義の味方としてあまりに名の売れた彼女を大々的に悪魔認定することが出来ないという政治的な理由から実質野放しも同然の状態である。
自らが正義であることに絶対の自信を持っており、賞金首=悪人を倒すことにのみ生き甲斐を感じている。悪魔である自分自身が生まれ持っての悪であるという事実を認めようとはせず、賞金首であれば人間であろうと悪魔であろうと狩るのがポリシー。
その偏執的なまでの正義へのこだわりを生んだのは幼少の時分だった。彼女は悪魔として生を受け、生まれてすぐに雷撃を放ち両親を殺した。村に悪魔が生まれたとなれば、その村は「悪魔狩り」の対象となり滅ぼされるのが必然の時代である。それから下された決断は、他の多くの村と同じように内々のうちに彼女を殺し、悪魔の存在を隠蔽することだった。
しかし、卓越した防衛本能ゆえか、悪意をもって近付く者を雷で打つ彼女のことを誰も殺すことが出来ない。そこで一計が案じられた。村の聖職者にレイシアを抱かせたまま馬車に乗せ、その馬車を崖から転落させて聖職者もろともレイシアを始末しようとしたのだ。
計画は成功し、馬車は崖から落ちた。しかし後日、崖の下で朽ちていた馬車の中からは聖職者の死体は発見されたが、いくら探してもレイシアの死体が見つかることはなかった。……そして、それからどうやって生き延びてきたのかをレイシアは覚えていない。
「自分は悪魔だが悪ではない」というトラウマに根ざした感情だけを糧に生き延びてきた彼女は、気付けば賞金稼ぎとして表社会に進出し、悪魔の力を賞金首の前でだけ見せることで上手くやってきていた。
そして久々にクイーンズブレイドが開催されることを知った彼女は、悪魔としての自分のまま表社会で生きるという積年の願いを世界王直談判するために参戦を決意した。
それが彼女にとって究極的な正義の達成であると信じて。
自らが正義であることに絶対の自信を持っており、賞金首=悪人を倒すことにのみ生き甲斐を感じている。悪魔である自分自身が生まれ持っての悪であるという事実を認めようとはせず、賞金首であれば人間であろうと悪魔であろうと狩るのがポリシー。
その偏執的なまでの正義へのこだわりを生んだのは幼少の時分だった。彼女は悪魔として生を受け、生まれてすぐに雷撃を放ち両親を殺した。村に悪魔が生まれたとなれば、その村は「悪魔狩り」の対象となり滅ぼされるのが必然の時代である。それから下された決断は、他の多くの村と同じように内々のうちに彼女を殺し、悪魔の存在を隠蔽することだった。
しかし、卓越した防衛本能ゆえか、悪意をもって近付く者を雷で打つ彼女のことを誰も殺すことが出来ない。そこで一計が案じられた。村の聖職者にレイシアを抱かせたまま馬車に乗せ、その馬車を崖から転落させて聖職者もろともレイシアを始末しようとしたのだ。
計画は成功し、馬車は崖から落ちた。しかし後日、崖の下で朽ちていた馬車の中からは聖職者の死体は発見されたが、いくら探してもレイシアの死体が見つかることはなかった。……そして、それからどうやって生き延びてきたのかをレイシアは覚えていない。
「自分は悪魔だが悪ではない」というトラウマに根ざした感情だけを糧に生き延びてきた彼女は、気付けば賞金稼ぎとして表社会に進出し、悪魔の力を賞金首の前でだけ見せることで上手くやってきていた。
そして久々にクイーンズブレイドが開催されることを知った彼女は、悪魔としての自分のまま表社会で生きるという積年の願いを世界王直談判するために参戦を決意した。
それが彼女にとって究極的な正義の達成であると信じて。
刃物には頼らず、鋼鉄製のナックルを両手にはめて戦う。
雷撃を交えた我流の拳術を操り、繰り出されるパンチは電撃よりも早く、電撃そのものでもある。これぞ必殺の「電神拳」。クロスレンジで彼女に敵う美闘士はいないと言われる所以だ。
雷撃を交えた我流の拳術を操り、繰り出されるパンチは電撃よりも早く、電撃そのものでもある。これぞ必殺の「電神拳」。クロスレンジで彼女に敵う美闘士はいないと言われる所以だ。
香姫とは幾度となく戦いを繰り広げてきたライバルである。
“骸塵剣(がいじんけん)”――パルシオン・綺崎(きさき)
西方に位置する大国・自由国家カヴァルにおいて王室守護騎士団「バッケンローダー」の団員を務める美闘士。愛称はパルシィ。東方厨はパルスィと呼ぶ。
今でこそ一団員の座に収まってはいるが、その実力は騎士団内でも屈指。「悪魔に近い力を持つ」と噂される団長カーマイン・テトラスター、「無双自在流」の正統後継者である副団長エッダ・ケルヴィンらと比べ、我流ゆえの荒削りさこそあれどまったく遜色の無い実力を秘めているといわれる。
彼女が振るう片刃の魔剣スレイブラインは東方で広く普及するカタナの面影を強く持つ長剣。切断力と耐久度の両面に優れており、パルシオンの“斬って砕く剣術”こと「骸塵剣」と抜群の相性を誇る。
今でこそ一団員の座に収まってはいるが、その実力は騎士団内でも屈指。「悪魔に近い力を持つ」と噂される団長カーマイン・テトラスター、「無双自在流」の正統後継者である副団長エッダ・ケルヴィンらと比べ、我流ゆえの荒削りさこそあれどまったく遜色の無い実力を秘めているといわれる。
彼女が振るう片刃の魔剣スレイブラインは東方で広く普及するカタナの面影を強く持つ長剣。切断力と耐久度の両面に優れており、パルシオンの“斬って砕く剣術”こと「骸塵剣」と抜群の相性を誇る。
元々は東方の国の生まれである彼女は、無双自在流の師範である父からカタナの扱いを学んでいた。
素質を存分に受け継いだ非凡な才は勿論、真面目で努力家な性格から将来有望と噂されていた彼女だったが、ある日突然次期後継者の座を同門のエッダに譲り渡し放浪の旅に出てしまう。「一つの剣術にのみこだわり続けては最強になれない」との書置きを残して。
……失踪から十年。パルシィは西方のとある国で用心棒稼業を営んでいた。
そして、西方でそれまで見たことも無かったような剣術を使う敵たちを相手に命のやり取りをしているうち、無双自在流を基礎として様々な流派を融合・発展させた独自の剣術……「骸塵剣」を生み出したのだった。
「散々十字(サザンクロス)」「酩酊殴(メテオ)」など、技のネーミングが変なのが特徴。
素質を存分に受け継いだ非凡な才は勿論、真面目で努力家な性格から将来有望と噂されていた彼女だったが、ある日突然次期後継者の座を同門のエッダに譲り渡し放浪の旅に出てしまう。「一つの剣術にのみこだわり続けては最強になれない」との書置きを残して。
……失踪から十年。パルシィは西方のとある国で用心棒稼業を営んでいた。
そして、西方でそれまで見たことも無かったような剣術を使う敵たちを相手に命のやり取りをしているうち、無双自在流を基礎として様々な流派を融合・発展させた独自の剣術……「骸塵剣」を生み出したのだった。
「散々十字(サザンクロス)」「酩酊殴(メテオ)」など、技のネーミングが変なのが特徴。
自分が最強であることを証明するためにクイーンズブレイドへ参戦する。
騎士団内での地位などは割とどうでもよく、世界王に「あんたが最強」と言わせることが人生の目標らしい。
騎士団内での地位などは割とどうでもよく、世界王に「あんたが最強」と言わせることが人生の目標らしい。
“死ねない屍人”――クルダナ
遥か北方に位置する夜の王国、シャドウキングダム。黒魔術の研究が盛んなこの国では、「死人を蘇らせる」という禁断の呪術にも手を出していた。
クルダナは研究途中の蘇生魔術の十三番目の成功例として生まれた。生前は高名な冒険者であった彼女は、異国の迷宮を探索中に些細なミスでその命を落とし、死人攫い(ハイエナと呼ばれる冒険者。各地の迷宮を巡り、死者の荷物や肉体を持ち去ることで生計を立てる)に拾われ、流れ流れてシャドウキングダムで蘇生魔術の実験体となったのだった。
そんな彼女のクイーンズブレイド参戦は「夜の君」ルーベルティアの一存により決められた。蘇生魔術計画のモルモットの中でも一際高い戦闘能力を持つクルダナに目を付けたルーベルティアは、シャドウキングダムの外道をあえて世に知らしめ、正しきことが強さではないということを証明しようとしてみせているのだ。
クルダナは研究途中の蘇生魔術の十三番目の成功例として生まれた。生前は高名な冒険者であった彼女は、異国の迷宮を探索中に些細なミスでその命を落とし、死人攫い(ハイエナと呼ばれる冒険者。各地の迷宮を巡り、死者の荷物や肉体を持ち去ることで生計を立てる)に拾われ、流れ流れてシャドウキングダムで蘇生魔術の実験体となったのだった。
そんな彼女のクイーンズブレイド参戦は「夜の君」ルーベルティアの一存により決められた。蘇生魔術計画のモルモットの中でも一際高い戦闘能力を持つクルダナに目を付けたルーベルティアは、シャドウキングダムの外道をあえて世に知らしめ、正しきことが強さではないということを証明しようとしてみせているのだ。
生前の記憶は一切失われているが、本能レベルで染み付いた身体能力は健在。
「ペインボーラー」と名付けられた多関節式ハルバートを得物とし、自らの全身をも変幻自在の凶器に変えて対戦相手に襲い掛かる。痛覚は消し去られているため、常人には不可能な動きも平然と繰り出せることが最大の武器と言えよう。
若干ながら人の言葉を操ることもでき、「死ねる」が口癖。屍人らしい陰鬱さはあまり無く、生前は相当に豪放磊落な人物であったことが窺い知れる。
「ペインボーラー」と名付けられた多関節式ハルバートを得物とし、自らの全身をも変幻自在の凶器に変えて対戦相手に襲い掛かる。痛覚は消し去られているため、常人には不可能な動きも平然と繰り出せることが最大の武器と言えよう。
若干ながら人の言葉を操ることもでき、「死ねる」が口癖。屍人らしい陰鬱さはあまり無く、生前は相当に豪放磊落な人物であったことが窺い知れる。
「ギャー! 死ねる!」(ダメージ食らい時の台詞)
“征伐の金騎士”――ヘリオドール・オライオン
異端審問殲騎団(ランツェリッター・オルデン)の金騎士(ゴルトアンシュトース)。分厚く、無骨で、それでいて美術的なデザインの施された巨大な騎士剣「アハトアハト」(太さ88cm・刃渡り188cm)を振り回し戦う。
その雄雄しい姿は「獅子王妃」と称えられ、殲騎団の象徴的な扱いを受けることがままある。本人としてもその呼び名を大層気に入っており、その名に恥じぬ力と実績を残すことに固執するところが長所であり短所でもある。
どちらかというと対集団戦で活躍してきたヘリオドールの力は、端的に言えば大雑把。アハトアハトの一振りで大地を砕き、天を割り、敵勢力をまとめて蹴散らすのが彼女の仕事だからだ。
そんな彼女がわざわざクイーンズブレイドに参戦した理由はたった一つ。「大悪魔・世界王の殺害」――世界王を悪魔として認定し、これを討伐するという最大級の反逆行為。殲騎団の中でも限られた者だけが知るこの任務を達成するため、金騎士ヘリオドールら数人の異端審問騎士に密命が下ったのだった。
その雄雄しい姿は「獅子王妃」と称えられ、殲騎団の象徴的な扱いを受けることがままある。本人としてもその呼び名を大層気に入っており、その名に恥じぬ力と実績を残すことに固執するところが長所であり短所でもある。
どちらかというと対集団戦で活躍してきたヘリオドールの力は、端的に言えば大雑把。アハトアハトの一振りで大地を砕き、天を割り、敵勢力をまとめて蹴散らすのが彼女の仕事だからだ。
そんな彼女がわざわざクイーンズブレイドに参戦した理由はたった一つ。「大悪魔・世界王の殺害」――世界王を悪魔として認定し、これを討伐するという最大級の反逆行為。殲騎団の中でも限られた者だけが知るこの任務を達成するため、金騎士ヘリオドールら数人の異端審問騎士に密命が下ったのだった。
なお、彼女が装備する金色の鎧は魔力を秘めた特注品で、「人知を超えた膂力を発揮する」という強い催眠効果を着用者にもたらす。
「筋力を増加させる」魔力を直接扱うのは悪魔の範疇だが、こういった手段でその力を代用することならば人間でも可能で、それらの取扱いに長けたドワーフ族は国家お抱えの鍛冶屋として起用されることも多々ある。
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「筋力を増加させる」魔力を直接扱うのは悪魔の範疇だが、こういった手段でその力を代用することならば人間でも可能で、それらの取扱いに長けたドワーフ族は国家お抱えの鍛冶屋として起用されることも多々ある。
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