『痛快GANGAN行進曲』は1994年にADKが製作したNEOGEO用対戦格闘ゲーム。
国外版のタイトルは『Aggressors of Dark Kombat』(略すとADK)。
ROM容量は178Mbit。
一応2D格闘ゲームの範疇だが、公式ジャンル名は「REALLSTIC 3D BATTLE」。
概要
西の剛、東の条。
「”浪花のド根性男”剛は無敵やで!」
「いや、”本牧の赤豹”条こそ最強だ!」
そんな噂を聞いて、彼らは相手の地元に乗り込むが、互いにすれ違いになってしまう。
旅のついでにと、あるときは荒野の真ん中で、またあるときは地下プロレスのリングでかたっぱしからケンカを売りまくる。
激戦を繰り返して、二人はついに決着の場にたどり着く。
「やっと会えたで!おんどれに恨みはないけどなァ、関東一の実力を見してもらうで!」
「へっ!西をシメてるだか何だか知らねえけど、どっちが強いかはっきりさせねえとな!」
かくして、空前絶後、前代未聞の痛快バトルの幕が上がる!
「ガンガンいこうぜ!!」
『
ワールドヒーローズ』シリーズのADKが製作した異色の対戦格闘ゲーム。
通常の2D格闘ゲームとは異なり、『
ファイナルファイト』等のベルトアクションゲームに見られる奥行きのある画面構成を採用している。
これにより振り向き・回り込みや、フィールド上に落ちている凶器で攻撃する、軸ずらしで攻撃を回避するといった多彩なアクションが取れる。
格ゲーになる前の『
マッスルボマー』のようなプロレスゲームの雰囲気に近いが、デカいキャラだと普通の2Dゲーに見えないこともない。
メインストーリーが上記の通り不良日本一決定戦のため、路上での喧嘩を追求しており、凶器攻撃や舎弟の乱入、
障害物の上から専用技が出せたり、地面によって地面効果のある投げのダメージが変わるなど細かい仕様が盛り込まれている。
また部位攻撃や流血、骨折などが狙える技もあり、その状態では弱体化するのでその後の展開が有利になる(ただし強くなるキャラもいる)。
演出もプロレス風の熱いというか暑苦しいギミックに溢れており、試合前のサブタイトル表示や掛け合い、ガン付け等、凝ったものとなっている。
キャラクター
プレアブルキャラクターは全8人で、フウマは『ワールドヒーローズ』からのゲスト参戦。
ラスボスにあたるキャラは存在せず、対CPUの最終戦は各人で固定されている。
基本システム
操作は8方向レバーとパンチ(A)・キック(B)・ジャンプ(C)の3ボタン。
ベルトアクション式なのでレバー上下でジャンプしたりしゃがんだりはせず、Y軸をずらす縦移動となる。
ガードはレバー後ろ方向で、パンチ・キックは長押しで強弱が切り替わる。
対戦は全て120カウント1本勝負。
体力ゲージは1本だが4周分あり、1本削られる度に青→緑→黄→赤へと変化する。
時間内にゲージを0にすれば勝利、時間切れの場合はゲージの多い側が判定勝ちとなる。
体力ゲージは相手に連続して攻撃を当てる(ガード可)ことで若干ながら回復する。
また、画面下部に「熱血ゲージ」が存在する。
攻撃を当てる(ガード可)か攻撃を受けることでゲージが溜まり、溜まりきると一定時間GANGAN状態になる。
GANGAN時に相手側の体力ゲージが赤色になっているとGANGAN必殺技が使用可能。
GANGAN必殺技はガード不能で当たれば即死という実に世紀末な仕様だが、基本的にサイドステップしてラインをずらすことで回避可能。
全体的にダメージが高めでゲージ1本程度普通に飛んでいくゲームなので、面倒な条件が多い分
ロマン技の範疇である。
「流血」「骨折」「速度低下」という相手にデバフをかける要素もあるが、骨折はたまにしかならない
(流血はともかくそもそもポキポキ頻繁に折れてたまるかと)。
骨折状態は一部つかみ技を食らうことで発生し、つかみに対して返す行動が出来なくなる。
流血状態は頭にダメージを受け続けると発生し、防御力が低下して受けるダメージが上がる。
なお、骨折が設定されているつかみ技でフィニッシュすると確定で骨折する。骨折するのは腕・足・首(フウマの鬼殺しフィニッシュ限定)・金的(キサラのみ)。
速度低下はエフェクトも無く分かり辛いが、移動速度がほぼ永続的に落ちる。重ねがけも可能。
その他特殊操作
- ダッシュ・バックダッシュ・サイドステップ(特定方向にレバーを軽く入れる)
ダッシュ・バックダッシュはその名の通りの前後ダッシュ。
サイドステップは所謂軸ずらしだが、意外とY軸に広い技が多いので過信は出来ない。
画面内に落ちている武器を拾う。武器はスコップ・日本刀・火炎瓶など。
拾った後はパンチボタンで攻撃する。ただしキックやジャンプは受け付けない。
武器を持った状態で↓↘→+Aボタンでキャラ固有の武器持ち技が出せ、AB同時押しで武器を離す。
刃物やスコップでの攻撃は流血を起こしやすい。身長の関係上小柄なボビーは流血しやすいハンデがある。
本作の目玉要素。
つかんでからレバーとA・Bボタンの組み合わせで投げ技が出せる。
また掴んでいる間に一回だけCボタンで反対側へ回り込む事が出来る。
背後に回った後にまたレバー+ボタンで別の技が出る。
これが全キャラに標準搭載されているため、本作キャラの投げ技数は誰であれ、そこらの投げキャラを凌駕する。
同時につかみ合った場合はボタン連打による力比べとなり、勝った方が主導権を握ることが出来る。
- つかみ返し(相手のつかみからの攻撃に対してボタンを押す)
つかんでから技に移行する際に専用エフェクト付きで「カキン」という音が鳴るので、
その時に掴まれている側がボタン(何でも良い)をタイミング良く押せればつかみ返して攻守が入れ替わる。
ただし、掴まれている時に一度でもボタンを押すとエフェクトが出ない=掴み返し不可となる。
このつかみからの読み合いの攻防が奥深く、本作の売りとなっている。
+
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掴んでからの流れ |
- 攻撃側
- 投げを仕掛ける(つかみ返し可能)
- 回り込む(一回だけ)
- 放置(振り解かれるorつかみ返される)
攻撃側は掴み返しされないように投げを仕掛けるタイミングをずらして裏をかく事が重要となり、
そのためしばらく放置したり、回り込んだりしてフェイントをかけ、先に相手にボタンを押させて掴み返し不能状態を狙う。
なお、エフェクトが出るか出ないかは攻撃側には一切判別出来ない。
地面に叩き付けるタイプの投げ技は地面が硬いとダメージが上がり、組んで関節を攻める技は骨折が狙える。
防御側は主に相手が投げる瞬間(エフェクト出現)を狙ってつかみ返し、もしくは返し技を狙う事になる。
つかみ返しは攻防が入れ替わるが、返し技は直接攻撃を当てるため成功すると確実にダメージを与えることが出来る。
ただし威力は低く、エフェクト出現時にレバー一回転+ボタンなので難易度は高い。
また、エフェクト出現時以外に一度でもボタンを押すとエフェクトが出なくなってしまうが、
レバガチャ+ボタン連打で掴みを振り解くことが出来る(レバガチャだけだと自動的に掴み返す)。
よってボタンを押してしまいつかみ返し不能状態になっても、攻撃側の選択によってはボタン連打で振りほどくことが出来る。
キサラのみつかみ返しで金的が出ると、返した相手をしばらく動かなくする。
このように投げにはつかみ返し・返し技、回り込みや放置にはレバガチャで振り解きを狙うなど、
相手の手を読めば防御側は確実に攻撃を回避できることが一つのポイント。
こう書くと防御側有利のように思えるが、掴み返せる瞬間は一瞬だし、投げのリターンは大きい。
そしてつかみ返しに成功するとこの攻守が入れ替わるだけというのがもう一つのポイントで、
難度が高い返し技はたとえ喰らっても威力は低く、つかみ返されてもそれだけでダメージを受ける事は無いので、
返されることを恐れず積極的につかみに行けるのである。
ただし、つかみ返しをされるとローリスクハイリターンの攻めが一瞬でそっくりそのまま返ってくる事になり、
かといって防御を固めていると先に掴まれてしまうワケで…と、この辺りのバランスが単純な先に掴んだ者勝ちの投げ合戦以上の物にしていると言えるだろう。
まぁ延々とつかみ返し合戦になってしまう場合もあるが、その場合も常に読み合いが発生しているので、実際は見た目以上に熱い。
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このように『ガンガン行進曲』ではつかみからの攻防が主となり、打撃技も掴みそのものを潰すという意味合いが強い。
つまり(つかまず直接投げるという技もあるが)打撃技orつかみの二択→掴んでからの攻防という二段階の読み合いが発生するのである。
ただ残念ながら、CPUはつかみ返しはおろか返し技で的確に反撃してくるためつかみが有効でなく、CPU攻略時には無視されることが多い。
対戦も盛んとは言えなかったため、力の入れように反しあまり煮詰められることなく終わってしまった悲しいシステムである。
MUGENにおける痛快GANGAN行進曲
全キャラが確認されているが、ボビー、李海權が現在入手不可能、
キサラは『
NBC』版の方が知名度が高く、フウマはDOS時代のキャラ故に出番がほぼ『ワーヒー』及び『NBC』版のみ……と、厳しい状況にある。
唯一シンだけはGANGANキャラとして気を吐いており、多彩なプロレス技で魅せる投げキャラ勢として認知されている。
AIが入手不可能な状態だった条が再公開され、剛、レオンハルト、キサラにも外部AIができたので、作品別チームを結成できる人数は集まっている。
最終更新:2024年08月22日 08:00