野原ひろし


「俺の人生はつまらなくなんかない!
 家族がいる幸せを、アンタ達にも分けてあげたいくらいだぜ!」

臼井儀人氏の漫画『クレヨンしんちゃん』の登場人物。
野原しんのすけと野原ひまわりの父にして野原みさえの夫。
秋田県出身の35歳で、一人称は「オレ」。
担当声優は長らく 藤原啓治 氏が務めていたが、病気療養により2016年からは 森川智之 氏が代役に。
しかし藤原氏は声優業への復帰は果たすもひろし役には復帰する事なく2020年に死去したため、正式に森川氏が2代目となった。
父は「銀ノ介」、母は「つる」。
他に「せまし」という兄が居るも長らくアニメには登場していなかったが、2022年の30周年スペシャルでようやく登場を果たした。
みさえの妹むさえと同じく名前が酷過ぎると言わざるを得ない

勤めている会社は「アクション商事」(アニメでは双葉商事)で、役職は営業二課の係長。
上司に部長(本名不明)、部下に川口、草加ユミ、鳩ヶ谷ヨシリンがいる。
ちなみに川口は当初アニメオリジナルキャラクターであり、後に原作に逆輸入された。
アニメではしんのすけが1等一億三千万円の宝くじを「父ちゃんの年収20年分」と発言するシーンがあり、
計算すると年収650万円(ボーナス込み16ヵ月分と考えると月給40万円)というかなりの高級取りという事になる。
原作開始がバブル景気真っ只中だったため、妻子含む周囲から「安月給」扱いされていたが、
バブル崩壊後の長引く不景気により、今や視聴者から勝ち組扱いをされている状況になっている*1

厳しくヒステリックな妻みさえとは対照的にのんびりとした性格。
おまけに父・銀ノ介譲りの女好きで、しんのすけと同じく美女に鼻を伸ばしてはみさえにげんこつやビンタを喰らっている。
だが、みさえが下ろした給料を紛失してしまった際は、「そんな事か」と笑って許した他、
拾ったライターで火遊びをして火事を起こしかけたしんのすけとマサオくんを咄嗟に助けた後、
二人を厳しく叱り付けてから「次からは自分を呼べ」と続けるなど、みさえと同様に良き大人としての一面もしっかりとある。
なんだかんだ言いつつもみさえのことは心から愛しており、
幼稚園のバザーイベントにて売れ残っていたみさえの手作りの不格好なマフラーを、彼女が席を外した間に来園してこっそり購入したり、
みさえのひまわり妊娠を期にすっぱりタバコ断ちするなど愛妻家でもある。
なお、女子からはあまりモテない反面、オカマ同性愛者とは何かと縁があり、
映画『暗黒タマタマ大追跡』や『栄光のヤキニクロード』では彼らの力を借りながら奮闘する場面も。

そんな彼の最大の武器と言えば、何と言っても足・靴下の臭さだろう。
本人は鼻歌で「俺の靴下はジャスミンの香り~」とふざけて歌っているが、その臭いは対人兵器として機能する。
しんのすけが下駄箱の掃除をした際に失神しかけた他、ウナギのつかみ取りにあたって水中にいたウナギが臭いを察して逃げ出した。
みさえは愛の力で耐えながら洗濯をし続けている。やっぱり愛だよね!
(東武百貨店池袋店がしんちゃん展を開いた際、ひろしの靴下をセガトイズが「ひろしのくつ下臭シート」として再現した事も。何故作った
TVスペシャル回や映画では話の規模も大きくなる関係上、臭さが超常現象レベルになっており、
  • 相手を失神させる武器として使用するが自分も耐えられずガスマスク常時装備、
    終盤本人含め記憶喪失の家族全員がまともに嗅いだ事で記憶を戻す(TVスペシャル『クレヨンウォーズ』)
  • 味方陣営によって気絶に追い込まれた敵が、嗅がされた事で復活してしまう(劇場版『ブリブリ王国の秘宝』)
  • ひろし自身が「なつかしさの匂い」で幼児退行状態になった際、
    しんのすけが「今の臭い」と称して靴下を嗅がせた事で正気に戻る*2(劇場版『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』)
といった、恐るべき効果を発揮。
また、髭は大根を削り、時にうっかり自分の指を切ってしまうほど硬い。

+ テーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなぁ~
2015年からはまんがタウンにて塚原洋一氏によるスピンオフ『野原ひろし 昼メシの流儀』が連載開始。
某ロンリーグルメ漫画のようにひろしが様々な場所で昼食を食べるというものだが、何故か絵柄はリアル調。
そのせいでひろしは目が死んでいるようにしか見えず、
上記のコマは「『ナポリタン』に『ピラフ』というコードネームの者を始末しようとしている暗殺者にしか見えない」と評判。
「自分を野原ひろしだと思いこんでいる一般人」というニックネームを付けられ、
「俺は野原ひろしだ 誰が何を言おうと野原ひろしなんだ」と言わせたコラ画像まで作られる始末。
また絵柄の違和感を抜きにしても、「なんでこづかいが少ないという理由から愛妻弁当派のひろしが外食しまくっているんだ?」という批判もある。
ちなみに塚原氏は映画のルポ漫画などで原作に寄せた絵柄でキャラを描いており、何故『昼メシ』に限りこのような絵柄で執筆しているのかは謎。
『アクション仮面』(絵:西脇だっと)が本作以上にリアル調(アメコミ調?)な事も考えると、原典と混同されないための縛りがあるのかもしれない。


ゆっくり考察みたいだぜ テンション上がるなぁ~

なお、作者の塚原氏は本作がやや批判寄りにネタ扱いされている事を把握しているらしく、
氏自らが執筆した日本一ソフトウェアのゲーム『屍喰らいの冒険メシ』の販促漫画は本作のセルフパロディとなっている。

+ 初代担当声優・藤原啓治氏に関する余談
放送開始から20年以上に亘ってひろしを演じてきた藤原氏を代表するキャラであり、氏が演じるキャラ全般を指して「ひろし」と呼ばれる事が多い。
その影響からか、劇中にて俳優や政治家などと役割を変えて本人の名を冠したモブが時折出て来たり、
Blu-ray版『逆襲のロボとーちゃん』のCMにおいて同氏が顔出し出演した事も。
また、本編では同氏が他作品で演じたキャラや作品のパロディが盛り込まれる傾向もあり、
次回予告では『交響詩篇エウレカセブン』のネタを披露したり、アイアンマンのコスプレをした回も(この回は既に森川氏に交代済)。

ネタ方面では、『キングダムハーツ』シリーズのアクセル、『機動戦士ガンダム00』のアリー・アル・サーシェス、
ジョジョの奇妙な冒険』のエシディシ、『戦国BASARA』の松永久秀のように、
藤原氏が演じる悪役に何故か火や炎、熱などに縁のあるキャラが妙に多く、彼の名前をもじった「焼け野原ひろし」という派生版も存在。
とある魔術の禁書目録』の木原数多を演じた際には「野ォォォ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」とネタにされた事も。
(元々はサーシェスがアザディスタン王国首都を焼き討ちした事が由来(近代建築なので流石に「焼け野原」になってはいない))。
また、『アーマード・コアV』の主任を演じた際には、「主任」という名前がひろしの役職である係長よりも下の役職という意味でも使用されているため、
「ひろしが主任に降格された怒りで闇堕ちした」とネタにされた事も。
国民的アニメの父親キャラの代名詞的存在というイメージから、他の作品で父親キャラとして出演する機会も少なくないものの、
氏がファンタジー系・バトル系の作品に登場する場合は戦闘狂な悪役の声を充てる事が多かった。

+ 二代目担当声優・森川智之氏に関する余談
森川氏に交代となった時期がちょうど『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』のアニメ放送中で森川氏が吉良吉影の声を担当していた事もあり、
「吉良吉影が野原ひろしと入れ替わった」「 オラのとーちゃんはとーちゃんじゃないゾ とネタにされた。
また『ニンジャスレイヤー』の主人公とも声が同じである上に、
「クレヨンしんちゃんの野原ひろしがニンジャに復讐していく話だと思ってください」とほんやくチーム直々に作品説明がされており、
そっち方面でもネタにされている。
どちらも「父親」と「家族」が重要なポイントとなっており、
  • 片や妻と二人の子供に囲まれ、世知辛い世の中で懸命に生きるサラリーマン
  • 片や妻と子供をニンジャに殺され、その後社会的にも名誉を失わされたサラリマン
と対極に位置するとしか言いようがない。幸か不幸かテッカマンブレードネタはまだ無い
ちなみに、吉良吉影が入れ替わった人物である川尻浩作は、命と顔を奪われて妻と息子の命も危ぶまれたが、
正体を知った息子の活躍によって守られ、偽者亡き後は行方不明扱いになったうだつの上がらないサラリーマンだったりする。

余談だが、森川氏は藤原氏とも共演する機会が多かった他、
藤原氏から直々に「ひろし役を任せられるのはお前しかいない」という旨の手紙を受け取ったの事
(であるので、当人同士の間では当初から代役ではなく二代目のつもりであったようである)。
また前述の『交響詩篇エウレカセブン』のホランド・ノヴァクやアイアンマンの吹替等、藤原氏の持ち役を数多く引き継いでいる
(ただしアイアンマンに関しては今の所藤原氏がフィックスとなっていたロバート・ダウニーJr.ではなく、
 別の役者が演じている若い頃のトニー・スタークに限られている為、正式に藤原氏の後を引き継いだとはやや断定しかねるが)。

同じく国民的長寿アニメの先輩である『ちびまる子ちゃん』でもまる子の父の名前が「さくらひろし」なので、何かと比較されがち。
またニコニコ動画では、フリーゲーム『呪いの館』の主人公が野原ひろしに似た風貌である事からひろしの愛称で親しまれている。


「自分の子供に『くたばれ』なんて言う親がどこにいる!
 親は子供に『生き抜け』って言うもんだろうが!!」


MUGENにおける野原ひろし

Hayabusa氏によるキャラが「MUGENでーたうpしおうぜ part4」にて公開中。
長年『呪いの館』のひろしが彼の代役を務めていたが、満を持して本人のMUGEN入りとなった。
手描きドットで作られており、ワイシャツに茶色のズボンというフォーマルな出で立ち。
ゴルフクラブで攻撃したり名刺を投げたりとファンならニヤリとできる技もある一方で、
何故かショットガンやグレネードランチャーを撃つ技もある。格ゲー補正と言ってはいけない
AIは搭載されていない。

余談だが、ニコニコMUGENでは上司部下に恵まれない「中間管理職」なポジションの人物達が報われない苦労人的な意味合いでネタにされる中、
ひろしは「係長」という公式設定の中間管理職でありながら、上司や後輩に恵まれている数少ない人物だったりする。


「なんだそんなことだったのー、いきなり踊りだすからもっとすげえことかと思ったぜ。
 そりゃ一月分はちょっとキツイけど、また頑張って稼ぐさ!
 俺、みさえとしんのすけが無事ならあとはどうってことねぇって思うもん」

出場大会

  • 「[大会] [野原ひろし]」をタグに含むページは1つもありません。


*1 
とは言え、流石にバブル期でも35歳で月給40万円を安月給呼ばわりは思い上がったイケイケ女でもなければ流石に有り得ない。
「年収20年分」に関しては5歳児がてきとーに言っただけと思われる
(5歳児で「13000÷650=20」という計算が出来る事自体が無茶だし……でもしんのすけなら出来るかもしれない)。

同類として『サザエさん』の磯野家も、都心に下町が点在した昭和のノリのまま家を構えているため
葛飾区や足立区あたりだと、昭和50年頃までは畑も多かった)、
今となっては「世田谷区桜新町に庭付き一戸建てなんて資産家だろ」と突っ込まれたりも(一説によると土地の資産価値は1億円以上)。

余談になるが、常に「現代」を舞台としている『サザエさん』や『クレヨンしんちゃん』とは違い。
とこれらは年代が固定されているため、こういうツッコミは起きていない。
ドラえもん』の野比家は借家なのでノーカンって事で。それでも家賃が高いはずだが。
ちなみにさくら家の方のひろしは職業不詳である(実際の作者の父は八百屋だったらしいが)

別の例としては『焼けあとの元気くん』は「父親が小学生の息子と娘に自分の子供時代(昭和20年代)を語っている」と言う設定だったが、
連載の長期化に伴い「1940年頃に生まれたアラフォー?今年は2002年ですよ」と言う矛盾が生じたため、
『元気くんPART4』ではタイムマシンまで持ち出して設定変更を宣言した
アニメ『ルパン三世PART2』(1977年)でも銭形警部のしつこさに対しルパンが「流石昭和一桁(1934年)生まれ」と揶揄っていたが、
PART3(1984年)はまだしもPART4(2015年)以降では無理がある設定だろう。

*2 
その後、ひろしは黒幕・ケンとチャコを冒頭の台詞で諭しているので、
劇場版シリーズの「何気にこれが無かったらしんのすけ達がヤバかったもの」の1つである。


最終更新:2024年04月09日 02:30