1649年に出版された偽1568年版に収録された
百詩篇第7巻43番
原文
Lutece en Mars, Senateurs en credit,
Par vne nuict Gaule sera troublee,
Du grand Croesus1 l'Horoscope predit,
Par Saturnus, sa puissance exillee.
異文
(1) Croesus : Craesus 1672
(注意)原文の底本は1649Xaで、1672との比較しか行っていない。他の主だった版には登場しないためである。
日本語訳
ルテティアは
マルスの中にあり、元老たちは信頼されている。
夜にガリアは混乱させられるだろう。
偉大なクロイソスの出生星位図は予言する、
サトゥルヌスによって、彼の権力は追放されることを。
訳について
大乗訳1行目「火星のリテス 元老院は名声たかく」は細かな点で不適切。Lutece を「リテス」と表記しているのは誤り。フランス語読みを使うなら「リュテス」、語源のラテン語式には「ルテティア」である。「ュ」に近い音を持つ発音記号 [ y ] を読み間違えたものか。また、sénateur は元老院(sénat)の議員を指す表現。
解説
ここでのマルスは戦争の隠喩で、パリが内戦状態にあることを示している。クロイソスは古代リディアの王だが、富豪のたとえとしても用いられる。この場合は、富裕な権力者ジュール・マザランを指す。要するに、フロンドの乱(1648年-1653年)において有力貴族たちが勢力を伸ばす一方、マザランは失脚するという予言である。しかし、歴史はそのようにはならなかった。
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最終更新:2009年09月21日 12:13