止まらぬ貪欲と殺戮衝動で知られるスカーは、何者をも恐れず、最大の敵は自身の存在であることを証明してきました。
あらゆる種族が持っている美徳に対をなすものがひとつあるとすれば、スカーはその対極に位置する存在として突出しているでしょう。スカーは自棄的なまでに獰猛かつ短絡的で、Nine God(※九「身」一体の神)のみを恐れ、自身の憎悪に執心しています。その貪欲な殺戮欲求は、彼らの細身かつ捕食者のような体躯と合致していて、優れた持久力を持ちませんが、その敵を瞬く間に圧倒します。
Terminusという舞台ではスカーの役割は不明瞭です。なぜならスカーは外だけでなく内部でも闘争を繰り広げているからです。
OF THEIR TALE─伝承─
過去の文献を残す慣習のない種族に関して私たちは何を知ることができるのでしょう。
スカーは最後にTerminusに来た種族の一つですが、スカーの存在は好奇心ではなく不安や心配材料となり、この種族を知ろうとする試みが行われました。しかしこの試みはエルフがKhäga出身のBaq-Noiという名の若い奴隷を奪取したことで終わります。彼女が提供した情報の確度は恐ろしいほど高く、その後長い時間が経ってもその信憑性が揺らぐことはありませんでした。彼女の証言はこの恐ろしい野獣にまつわる作り話や狂気といった霧を払拭するのに役立ちました。その話しぶりは拙く、翻訳する必要があったものの、人々が抱いていた恐怖と憶測のベールを取り払いました。
「奴らは『D'shoth』という星の話をしたが、そこに帰りたいという気持ちは少しも見られなかった。奴らの神は一柱で、その星とよく似た『D'Shath』という名前を持っていたが、その意味は『Nine God』という意味らしい。この神に対しスカーは憎悪に近い感情を持っていた。」 ─ Khäga出身 Baq-Noiの証言
D'Shathは特異な神で、同時に存在する九つの個性を持っています。あるいはおそらく九つの異なる存在が一体化しています。そのどちらにも根拠が存在しています。
かつてSkarという種族は存在せず、Aza'gnという種族がいました。Azag'nは遊牧の人々でしたが、彼らが腰を据えた場所は自身が領有していた土地ではありませんでした。Aza'gnは領地と引き換えに自身の体を対価として傭兵軍団として働き、Fs'Sokという国の主要軍事勢力となりました。(Fs'Sokという名はスカーの間で蔑称や冒涜のような意味合いを持ち、流血を招くことになります。)
それから長い時間をかけて、Fs'sokがあたかも月であるかのようにその重力の影響を受けたAzag'nの人口は満ち引きし、従軍を続ける中その数を減らしていきました。そしてAza'gnは段々と自由を失っていき、ついには完全にFs'sokの奴隷と言える所まで凋落しました。しかしそれでも、この兵役によってAza'gnは栄え、支配者の命令を無慈悲に実行し、人々に蛮行を加えました。Aza'gnは血縁的な部族でしたが、抑圧された民や、ヴァンパイアの眷属のように、その「主人」の恩恵を得ようと内部で内輪揉めしていました。もしこの奉仕の欠点を挙げるとすれば、それは彼らの攻撃があまりにも効果的で、本能むき出しの原始的な破壊をもたらしたことでしょうか。Azag'nはこの軍務以外に関心がありませんでした。奴隷の身だろうと自由の身だろうと彼らにとって戦は変わらなかったからです。
「当時『Skel H'nath』という言葉を耳にした。『skel』という言葉は奴らが自身の奴隷に対して喚いていた名前だった。それ以外には何も口にせず、いつも毎回『SKEL!SKEL!』と叫び、お互いにその名前で呼び合えとすら命じた。だが、我々は隠れて自分の名前を使っていた。」 ─ Baq-Noiの証言
もしAza'gnが握りつぶされ塵となって消えていれば運命は慈悲深かったといえるでしょう。ですが、Nine Godの巫女の存在がAza'gn全体の運命を変えました。彼女は「Perish in the Nine」のしもべの一人でした。本名や出身種族といった記録は残っていません。しかしはっきりしていることは、彼女のねらいはAza'gnを奴隷の身分から解放し、戦士の国へと変え支配下に置くことでした。この巫女が自由解放の為最初に行ったのは、Fs'sokへの復讐でした。
王国は滅茶苦茶になり、Aza'gnの破壊の歴史が始まりました。彼らが侵攻を進めるごとに干ばつ、飢饉、破壊が生まれました。この征服には何も道義がなく、復讐という目的すら存在せず、ただ破壊の限りを尽くしていました。この猛襲が続いていればD'Shoth全体が破壊し尽くされたことでしょう。
かくして、Nine Godが介入しました。その裁きたるや素早く、背信者たる巫女を1200年間Aza'gnに縛り付けました。この刑期は、Aza'gnの国も含め破壊された国々ひとつにつき一世紀の拘束期間でした。また、その内部の器官に変化はなかったものの、Aza'gnからは子を産む能力を奪いました。
そしてこれから出会う者たちへの刻印として、この種族は頭の骨が皮膚を押しのけ浮き出るようになり、彼らが全域にわたり撒き散らしてきた死と同じくらい忌まわしい印がAza'gnの顔に刻まれました。Nine GodはAza'gnの名をSkar(スカー)と改名し、彼らが犯した罪の傷跡をその名に永遠に残しました。
「あの名前、『スカー』には何かただならぬものがあった。そこには間違いなく憎悪が含まれていたが、それでも奴らはその名前を使っていた。我々がskelの名を使うよう強いられたように、奴らも何かに強要されているかのようだった。『Nine God』を、奴らは冷酷な心で称賛していたが、間違いなく尊敬と同時に、おそらく畏怖の感情も抱いていた。」 ─ Baq-Noiの証言
巫女にはNine Godはこの上ない恥辱を与えました。スカーを産み落とす唯一の複製装置へと変え、巫女はコロニーを形成する昆虫の女王のようになってしまいました。その日から、この巫女は女王と子孫を残し続ける母体となり果てました。Nine Godは巫女の名を「Averish」と改め、Aza'gnに授けた殺戮の渇望という邪悪な欲望を咎めました。
「彼女はDead Shearの遥か下にある大きな地下室に閉じ込められている。Skel、つまり奴隷が言うには、スカーはその時も彼女を地下室に幽閉していたらしい。私は幸いにも目にしたことがなかったが。だが彼女を目撃した者を一人知っている。彼は…数か月の間何を見たか言うことはなかった。だがある日ふと『死が彼女を救いますように』とだけ言った。なんとも奇妙なことだったが、Skargolではあらゆるものが恐ろしく、そして奇妙だった。私は同胞が最後の一人まで解放されるのを願っているが、忘れたい記憶がたくさんある。」 ─ Baq-Noiの証言
その後Terminusへと上陸することになった際、Averishは消滅し、死ぬ前に七人のスカーを産み落としました。この時、彼女の死によりAverishの呪いが打ち消されたと考える人がいます。そのスカーはかつての先祖と同じく子を残すことができたからです。いずれにせよ、Skargolの人口は順調に増えていきました。
しかし、その大地は外の人々には悲惨に感じられます。そこに住まう人々は不浄であり大地を冒涜し、土地にとって悲劇そのものです。D'Shothの残骸は、先ほど述べた「Dead Shear」のことを指しますが、雲にかかる程高くそびえ立っており、その特徴的な地形は日の光が差すと壮大なシルエットとなって見る者に恐怖を与えます。
地上ではAza'gnの奴隷氏族がまだ存在しており、Skargolの混沌は監獄の様相を呈しています。そこでは囚人はまた自身の守衛でもあり、時折お互いを食らい合っています。
スカーが持つこの抽象的かつ文字通りの意味のカニバリズム文化は、外部の勢力にとって想像以上に遥かに深刻な脅威となっています。そしてそれは今後長い間変わらないでしょう。もしAverishが本当に死んでいるとすれば。
最終更新:2026年05月14日 18:46