概要
背景
第五次コルナンジェ攻防戦(1007年)の勝利後、王都コルナンジェは廃墟と化した。電力網は全停止、食料配給は1日200キロカロリーに低下、疫病で毎日500人以上が死亡し、避難民25万人が郊外に溢れた。アリウスは
サンリクト公国と
ユリーベル公国、その他の武装民兵からなる連合を再編。
レミソルト級スイートクルーザーを旗艦とし、防衛線を構築した。聖焰会の祈祷集会は希望を繋いだが、焔の使徒は地下トンネルで化学兵器テロを繰り返し、星輝宮の文化遺産を破壊した。戦う術を持たない市民は恐怖に閉じこもり、シェルターで息を潜めた。セトルラームは第五次の撤退以降、フリートンの指揮で戦力再編を急いだ。
第4世代ゾラテス級事象界域制圧艦を旗艦とし、いまだかつてない強大な戦力をもって王都への最終侵攻を計画。フリートンは議会の厭戦感情を抑え、「星域の秩序」を掲げた。一方のティラスト派は、
ヴァルヘラ州軍政府の離反を受けて孤立。グロノヴェイルに立て籠もる民兵と鹵獲装甲車でゲリラ戦を準備していた。
文明共立機構は、
メレザ・レクネールの下、平和維持部隊を増派。レクネールは「PLコマンド・ヒュプノクラシア」の発動を決断し、
XaPの投入を強行した。
リティーア公女はセ連国内で市民団体を率い、停戦交渉を試みたが、フリートンの強硬姿勢に阻まれた。単身コルナンジェへ向かう彼女の決意は、戦場の混沌に呑まれた。市民はアリウスの指導力に希望を託したが、敵主力の脅威に怯えた。
経緯
開戦:空域の崩壊と戦火の序曲(6月15日~6月22日)
1008年6月15日、セトルラームのゾラテス級1隻が王都上空に飛来し、第六次攻防戦が始まった。レーザー主砲が防衛塔15基を瞬時に破壊、星輝宮は炎に包まれた。夥しい数の戦闘機とドローンが衛士団の通信を遮断し、工業区の防衛線を蹂躙した。アリウスはレミソルト級1隻と増援の有志艦隊をもって応戦。軽
フルイド・バブルレーザーが連邦の護衛艦2隻を撃破したが、ゾラテス級の反撃で味方の巡航艦40隻を失った。地上では、重戦車130台がセトルラームの装甲車160台を破壊。焔の使徒は地下からロケット弾で避難所を爆破し、王党派による苛烈な報復を招いた。6月18日、ティラスト派残党がグロノヴェイルから南郊に進出し、鹵獲ドローンで補給線を攻撃した。
ロフィルナ国民武装赤軍解放戦線のゲリラ戦術が王党派の補給を寸断。聖焰会の集会は700人に縮小し、市民の士気は崩壊寸前となった。リティーアはセトルラームの封鎖を突破し、王都に到着したが、戦場の惨状を前に立ち尽くした。
混沌の市街戦:多勢力の衝突(6月23日~7月10日)
6月23日、戦闘は市街地に拡大した。50万を超えるセトルラームの地上部隊が民衆区に突入し、衛士団13万人と激突した。瓦礫の街角で銃砲と手榴弾が火花を散らし、死体が積み重なった。焔の使徒が地下トンネルで神経ガスを散布し、衛士団3500人とセトルラーム兵4500人を窒息死に追い込んだ。多くの民間人が避難不能となる。ティラスト派残党は南郊でゲリラ戦を展開し、連邦の補給トラック700台を炎上させた。王党派の重戦車110台は工業区でセトルラームの戦車を迎え撃つ。サンリクトの海兵隊もセトルラーム陸軍を相手に善戦したが、ゾラテス級の対地爆撃で事実上全滅の様相を呈した。7月5日、配給体制が崩壊し、市民は瓦礫の中で食料を奪い合った。平和維持軍FT2本隊は郊外で待機。本格的な制圧作戦の準備を整えつつあった。リティーアはアリウスとの合流を試みたが、多くの暴徒に足止めされ、TB機動陸戦部隊に保護された。アリウスは黎明の盾2万とともに王宮シグニス・ティラを防衛。ティラスト派の残党は偽の降伏勧告を流し、市民の混乱を煽った。戦場では、イドルナートの歌声「ロフィルナ、愛しき故郷よ」が響き、兵士の恐怖と狂気を増幅させた。
ゼノアビリティ・プランの介入:特異集団の猛威(7月11日~7月25日)
7月11日、レクネールが「PLコマンド・ヒュプノクラシア」を発動。
XaPのエージェントが戦場に投入された。Mr.Xは表舞台に出ず、後方から作戦を指揮。七草は欺瞞作戦を展開し、セトルラームの通信網を攪乱させた。彼女の毒物耐性を活かし、焔の使徒の神経ガスを部分的に中和したが、民間人2万人の犠牲を防げなかった。カーンソンドは特命執行官として地上部隊を統率、ティラスト派残党のプラズマ砲攻撃を無力化し、民兵3万人の進軍を阻止した。そして、ルスタリエの異能が戦場を一変させた。彼は単独でゾラテス級の
量子バブルレーン炉を高出力波動で過負荷に追い込み、内部爆発を誘発した。艦は王都上空で炎の残骸となり、民衆区に火の雨を降らせた。ルスタリエはさらにレミソルト級を標的とし、軽フルイド・バブルレーザーを吸収する異能障壁を展開。主砲塔とエンジンを破壊し、乗員800人を戦死に追い込んだ。焔の使徒の指導者「影の炎」はカーンソンドの狙撃で死亡した。7月18日、平和維持軍の主力が市内に突入。武装解除を試みたが、王党派の自爆攻撃で車両40台と兵士700人が失われた。満身創痍のアリウスは王宮に降り立つと、その場で指揮を執り、全ての部隊に後退を命じた。平和維持軍(FT2)の猛攻で壊滅的な様相を呈し、希望は潰えた。
陥落と停戦:アリウスの決断(7月26日~7月28日)
7月26日、王都の防衛線は崩壊。
XaP含む
平和維持軍の猛攻を受け、王党派は全滅の様相を呈した。セトルラーム政府も戦意を喪失し、交渉のテーブルに着いた。焔の使徒の残党は軒並み悲惨な末路を辿り、その殆どが怒りを爆発させた暴徒の群れによって惨殺された。民間人死傷者は45万人に達し、生存者はシェルターで息を潜めた。サンリクトのグラウストラ元帥は徹底抗戦を主張したが、アリウスは彼を制し、全ての指揮戦力に停戦を命じた。7月28日18:00、大聖堂の最上階でアリウスは「コルナンジェ停戦勅令」を発布。平和維持軍による事実上の降伏勧告を受け入れた。市民の多くは広場でラジオを聞き、静かに祈った。平和維持軍はグロノヴェイルで引き回されていたコックスを救出し、後方基地へと移送させた。リティーアがアリウスを支え、事の成り行きを見守る中、イドルナートの歌声は止んだ。
影響
第六次攻防戦は、ロフィルナの終焉を決定づけた。アリウスの停戦が王都の陥落を確定させ、
ロフィルナ連邦共同体も解体へと向かった。サンリクト、ユリーベルは独立を宣言し、王党派(連合)の分裂は不可避となった。コックスは国際軍事裁判所で審議され、アリウスとの面会で司法取引を受諾。ロフィルナの独立と健全化を条件に、暗部のネットワークを暴露し、アリウスは彼の真意に敬意を示した。セトルラーム国内においては、フリートンの辞職後、
ゾレイモス首相が時期大統領の最有力候補となった。王宮シグニス・ティラの半壊がロフィルナの精神を砕いたが、アリウスの演説「私達の未来」は抵抗の象徴として後世に残った。共立機構においては、
ユピトル連合主導の「レクネール下ろし」が繰り広げられ、最高評議会を総辞職に至らしめた。ロフィルナ国内における平和維持軍の駐留は長期化し、アリウスの暫定政権は民主化を先送りせざるを得なかった。1012年、
メレザ・レクネールはゾレイモスと非公式会談を重ね、ともに
共立世界の歪みを正すことに合意した。アリウスはレミソルト級を駆り、平和維持軍の内部に潜む真の黒幕との戦いに備えた。
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最終更新:2025年08月19日 00:49