ハスター
ハスター(Hastur)は、
クトゥルフ神話に登場する
旧支配者(Great Old Ones)の一柱であり、「名状しがたいもの(The Unspeakable One)」や「黄衣の王(The King in Yellow)」などの異名を持つ謎めいた存在です。
その起源や設定は複雑で、多くの作家によって発展・変化してきました。
概要
ハスターの起源と進化
- アンブローズ・ビアスによる創造
- ハスターの名前は、アンブローズ・ビアスが1893年に発表した短編『羊飼いハイタ(Haita the Shepherd)』に初めて登場しました
- この作品では、ハスターは羊飼いの守護神として描かれ、恵み深い存在でした
- ロバート・W・チェンバースの取り込み
- ロバート・W・チェンバースは、自身の短編集『黄衣の王(The King in Yellow)』(1895年)で「ハスター」や「カルコサ」という名前を取り入れました
- この作品では、カルコサという都市や「黄衣の王」という存在が狂気と結びつけられていますが、ハスター自体についての詳細な描写はありません
- クトゥルフ神話への統合
- 性質と役割
- ハスターは「風(大気)」を象徴する旧支配者であり、ヨグ=ソトースを父に持つとされます。クトゥルフとは半兄弟でありながら、対立関係にあります
- 彼はアルデバラン星近くのヒヤデス星団にある「黒いハリ湖」に幽閉されているとされ、その周辺には架空都市カルコサが存在します
- ハスターの名前を口にすると災厄を招くとされ「名づけざられるもの」とも呼ばれます
- 姿と化身
- ハスターの姿は明確には定義されておらず「名状しがたいもの」として描かれます
- 目撃者によって異なる形態が語られ、触手に覆われた巨大な怪物や人間に憑依する霊的存在として描かれることもあります
- 「黄衣の王」はハスターの化身または関連する存在とされ、狂気を象徴するキャラクターとして知られています
- 信仰と影響
- ハスターは信奉者たちによって崇拝されており、彼らはしばしばカルコサや黒いハリ湖を聖地としています
- 彼の従者には「バイアクヘー」という星間飛行生物が含まれます
- 信仰者たちは彼を復活させようとする儀式を行い、その影響力は狂気や破滅をもたらします
- 象徴性と哲学的意義
- ハスターは、クトゥルフ神話における「宇宙的恐怖」のテーマを体現しています
- その不明瞭な姿や狂気との結びつきは、人間が理解できない未知への恐怖や、自らの無力さへの直面を象徴しています
- また「黄衣の王」として文学的な狂気や破滅的な運命とも深く結びついています。
ハスターは
クトゥルフ神話において非常に多面的な存在であり、その起源から設定まで多くの作家によって形作られてきました。「名状しがたいもの」として未知への恐怖を象徴し、その曖昧さゆえに読者やクリエイターたちに強いインスピレーションを与え続けています。
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最終更新:2024年12月27日 13:58