シュブ=ニグラス

シュブ=ニグラス

シュブ=ニグラス(Shub-Niggurath)は、H.P.ラヴクラフトが創造したクトゥルフ神話における「外なる神」の一柱であり、豊穣と多産を象徴する邪神です。
彼女は「千の仔を孕みし森の黒山羊(The Black Goat of the Woods with a Thousand Young)」という二つ名で知られています。この名が示す通り、シュブ=ニグラスは生命の創造や増殖と結びつけられた存在ですが、その性質は恐ろしく異形で、人間の理解を超えたものです。


概要

シュブ=ニグラスはクトゥルフ神話における豊穣と多産の象徴でありながら、人間には理解不能な異形と狂気を伴う存在です。
その二つ名「千の仔を孕みし森の黒山羊」が示す通り、彼女の創造力は祝福ではなく恐怖として描かれます。ラヴクラフト自身による直接的な描写こそ少ないものの、後世作家やゲーム、映画など多くのメディアで取り上げられ、その影響力は現在でも広がり続けています。
特徴と描写
外見
  • シュブ=ニグラスの姿は明確には描かれていませんが、後世の作家たちによって「黒い粘液に覆われた巨大な触手」「山羊のような蹄」「無数の口」などを持つ怪物として描かれることが多いです
  • 彼女の眷属である「黒い仔山羊」も、山羊や樹木に似た異形の存在として描写されます
性質
  • シュブ=ニグラスは豊穣と多産を司る存在であり、生命を絶えず生み出す力を持っています
  • しかし、その創造行為は人間にとって祝福ではなく、しばしば狂気や破滅をもたらします
  • 彼女は人間や他の神々との間に多数の子供をもうけており、その子孫にはナグとイェブ、クトゥルフハスターなどが含まれるとされています

クトゥルフ神話における役割
宗教的崇拝
  • シュブ=ニグラスは古代文明や邪教徒によって崇拝されることが多く、『永劫より』ではムー大陸で、『墳丘の怪』では地底世界クン=ヤンで信仰されていたとされています
  • 彼女への儀式では、生贄や性的な儀式が行われることがあり、それによって信者に恩恵が与えられるとも言われます
他の神々との関係

起源と後世への影響
ラヴクラフトによる初出
  • シュブ=ニグラスはラヴクラフト自身の作品では直接的には登場せず、『最後の検査(The Last Test)』などで名前が言及されるのみです
  • ラヴクラフトは彼女を「邪悪な雲のような存在」として描いていました
後世作家による拡張
  • オーガスト・ダーレスやリン・カーターらによって、シュブ=ニグラスは「地」を象徴する存在として体系化されました
  • また、TRPG『クトゥルフ神話TRPG』などでも重要な役割を果たしています
  • その豊穣性や母性から、多くの創作作品で「邪悪な母性」や「生命創造」をテーマにしたキャラクターとして引用されています
象徴性と哲学的意義
  • シュブ=ニグラスは豊穣や生命力を象徴しながらも、その創造行為が異形で恐怖を伴う点で、人間中心主義への挑戦を体現しています
  • 彼女は自然界の生命力そのものを擬人化した存在とも解釈されますが、その力が制御不能であることから、人類に対する宇宙的恐怖を強調する役割を果たしています

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最終更新:2025年01月13日 14:16