フィジカルブースト - 聖華世界 @ wiki

フィジカルブースト

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［解説］

　この魔法は術者が自らの身体を強化し、その戦闘能力を増強するという強力なものである。
　だが自身の肉体強化は魔法の理論的に見て、非常に難易度が高かった。
　そのためこの魔法の開発には幾つかの段階を踏む事になる。

　結果的には魔法行使の難易度が低い順に、フィジカルブーストⅠ、Ⅱ、Ⅲの3つの魔法が創られた。
　このうち一般も含めて最も広く使われているのがフィジカルブーストⅠであり、普通フィジカルブーストと言った場合はフィジカルブーストⅠを指している事が多い。
　しかし研究者や一部識者の間でフィジカルブーストと言った場合、最高難易度でかつ最も強力なフィジカルブーストⅢを指して言う場合があり、一般人との間に齟齬を醸し出している。

　最も初期に完成したのは、実は最も行使が難しい3属性合成の複合魔法版であった。
　雷の属性による電気刺激で筋肉のリミッターを外し、同時に神経の伝達速度を電流で代替することで反射速度を向上させる。
　土の属性により、一時的に骨格に魔素より生成したミネラルを溜め込み、肉体全体の耐久力を強化する。
　水の属性により、血流やリンパ流を操作して筋肉他の必要部分に大量に養分を運ぶ。
　この全てを兼ね備えた、完璧な強化魔法であった。

　しかしこの完璧な魔法は、3属性合成と言う天才レベルでなくば行使が叶わない、超絶的に高度な魔法でもあった。
　それ故に、一般的な魔導士や、魔導士でない者にも行使が可能な単属性の強化魔法が、この魔法をベースに開発される。
　それは雷の属性による効果のみを抜き出した、廉価版の魔法であった。

　そして最後に、強力と呼ばれるレベルの魔導士であるならば、なんとか使用可能なレベルの魔法が創り出される。
　雷の属性による強化と、土の属性による強化にのみ効果を絞った、2属性合成の複合魔法である。
　こうして聖華暦830年現代に知られるフィジカルブースト系魔法は、各々完成したのだ。

　ちなみにフィジカルブーストⅠは単属性の物を指して言っており、フィジカルブーストⅡは2属性の物、フィジカルブーストⅢと呼称されているのが3属性の物である。

　なおこの魔法は、最低位のフィジカルブーストⅠであっても強化される部位が多く制御対象が多岐に渡り、そのため魔力消費量が極めて大きい。
　そのために長時間の使用ができないのだ。
　フィジカルブーストⅡ、Ⅲであればなおの事である。

　更にはフィジカルブースト系魔法で身体を強化しても、体の各部位に溜まる疲労度やダメージを軽減する事は出来ない。
　その為、フィジカルブースト系魔法を使用した翌日には、酷い筋肉痛に襲われる。
　これは血液流量を制御して疲労部位に滋養分を流す事のできるフィジカルブーストⅢでは若干緩和されるが、代わりに栄養分の消耗が激しく、使用直後には猛烈な飢餓感に襲われる事になる。

　一見するとデメリットが多いように見えるが、フィジカルブースト系魔法によって強化された新人類の身体能力は、銃弾を剣で叩き落せるレベルまで強化される。
　よって生身での戦闘の際にはこの魔法が多用される事になるのだ。

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［フィジカルブーストの詠唱について］

　フィジカルブースト系魔法はそれぞれ、フィジカルブーストⅠが2節の下位魔法、フィジカルブーストⅡが4節の中位魔法、フィジカルブーストⅢが7節の上位魔法に相当している。しかし、一般的にフィジカルブースト系魔法が使用される場合には、無詠唱や略式詠唱で発動されることがほとんどである。
　これは、基本的にフィジカルブースト系魔法は、近接戦闘における肉体強化を目的として使用されることが多いためであろう。

　そういった事情もあり、各国の軍隊や冒険者ギルドなどにおける新人教育として、フィジカルブースト系魔法の習得を行う場合などには、まずは詠唱を用いたフィジカルブースト系魔法の発動を反復練習させ、術式を構築することに慣れさせた上で、略式詠唱、無詠唱の順に習得を進め、最終的に無詠唱、もしくは略式詠唱での発動ができるところまで訓練を行うのが一般的である。