妖刀・憍慢ノ太刀
[解説]
名前は「ようとう・きょうまんのたち」と読む。
「銀蛭巻ノ太刀」と呼ばれる形式であり、全体が銀色で黒い銅の帯を巻き付けたような鞘と柄が特徴。
すさまじい切れ味を誇り、使い手次第で機兵の装甲すら切り裂くといわれる。
ただしこの剣には呪いがかかっており、持ち主をひどく好戦的でうぬぼれた性格に変えてしまう。
[剣の来歴]
人魔大戦の時代、とあるカナド人の集落が、魔族によって滅ぼされた。
たまたま刀の材料を取りに村を離れていた村一番の刀匠の男は、帰ってきたら村が滅びていて驚く間もなく、魔族に捕まってしまう。
魔族は「命が惜しければ、我のために最強の刀を作れ」と刀匠を脅した。
刀匠は、村を滅ぼした魔族への憎しみをこめて、呪いをかけた二振りの刀を鍛え上げた。
銀の刀には、持ち主を好戦的でうぬぼれた性格に変える呪いを。
金の刀には、持ち主を殺す力を持った敵を呼び寄せる呪いを。
呪いの刀を受け取った魔族は、あざ笑いながら刀匠を切り殺した。
そして人間の国を襲うべく飛び立ったが、金の刀の呪いで、魔族のたった一つの弱点であった氷の魔法を使う偉大な旅の魔法使いに出会う。
銀の刀の呪いで好戦的でうぬぼれた性格になっていた魔族は、無謀にも弱点の氷魔法を防ぐ算段もせずに魔法使いに刀を振りかざして戦いを挑み、氷の魔法によって完全に滅ぼされた。
魔法使いは呪われた刀を教会に納めて旅をつづけたが、後に教会は火事で焼けてしまい、刀の所在は分からなくなったという。
400後に銀の刀は、人々の間を転々とした末、冒険者に振るわれて再び世に出た。
現代の持ち主は金銀の刀を揃え、刀匠の故地に安置する使命を帯びている。