どろろ(漫画)

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どろろ(漫画) - (2019/06/25 (火) 10:51:07) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/11/29(日) 06:06:12
更新日:2024/04/15 Mon 16:22:28
所要時間:約 8 分で読めます





『どろろ』とは、漫画の神様・手塚治虫による伝奇漫画である。


概要

『どろろ』は1967年から『週刊少年サンデー』で連載がスタート。
当時水木しげるが遅咲きながら妖怪漫画でヒットを飛ばす中で「自分にも描ける」として、負けず嫌いな先生が発奮して始めたらしい。

……しかし、暗すぎる作風がウケず1969年にいったん終了となる。
その後アニメ化(後述)に際して『冒険王』に移籍するが、アニメ終了と同時期に駆け足終了となった。
この冒険王版は、掲載時はサンデー版とは異なる始まり方をしているものの、現在の単行本においては
サンデー版の正式な続編として序盤の部分を丸々削除している。
具体的に言うと

  • 発端の巻
  • 百鬼丸の巻
  • 法師の巻
  • 金小僧の巻
  • 万代の巻
  • 人面瘡の巻
  • 無残帳の巻
  • 妖刀の巻
  • ばんもんの巻
  • 白面不動の巻
  • ミドロの巻
  • 鯖目の巻
  • 地獄変の巻
  • 二匹のサメの巻
  • しらぬいの巻
  • 無常岬の巻

までが第1部=サンデー版で、

  • どんぶりばらの巻
  • 四化入道の巻
  • ぬえの巻

が第2部=冒険王版である。

ぶっちゃけた話、ラスボスのぬえを倒した後も百鬼丸の旅は終わらないので、話は尻切れトンボな形で終わっている。
アニメでは終盤の展開が変わり、百鬼丸は人間に戻っているものの、やはりどろろとは別れ一人旅を続ける道を選んでいる。

アニメ放映当時にノベライズもされ、それからも実写映画化、ゲーム化などもされている。
2018年には約50年ぶりの再アニメ化が決定、2019年1月から放送された。
監督は『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編』の古橋一浩、脚本は『仮面ライダーアマゾンズ』等の小林靖子


◇タイトルについて

本作は基本的に百鬼丸の視点で進むのだが、手塚先生はどろろと百鬼丸の二人が主人公だと述べている。
タイトルを「どろろ」にしたのは、友人のお子さんが「泥棒」と言えず「どろろー」と言っていたのが可愛かったから、らしい。
アニメでは中盤からタイトルが「どろろと百鬼丸」になっている。


あらすじ

時は戦国の世、北陸の戦国大名・富樫氏に仕える武将・醍醐景光は、嵐の晩に「地獄堂」なる仏殿を訪れる。
堂内に彫られた鬼気迫る魔性たちの像に感銘を受けた景光は、自らが天を捕るために力を貸してほしいと祈りをささげる。
四十八の魔物たちはその願いを聞き届け、代償として景光の子の身体を欲した。
景光はそれを知ると、明日生まれる予定の嫡男を生贄として捧げることを誓い、寺の僧を殺害して魔物たちへ寄贈すると高らかに宣言。
直後に僧の遺体は雷に打たれて消失し、景光は魔物の実在を確信したのだった……。

そして14年の時が流れた。
生まれながらにして四十八の身体の機関を失った幼子は、景光に捨てられ、川に流されるが、
医者に拾われて人間としての姿を仮初ながら取り戻し、「百鬼丸」と名乗っていた。
百鬼丸は自らの身体を取り返すため、魔物たちを殺し続ける。
そして、百鬼丸は盗賊の遺児であるどろろと出会い、旅を続けていく……。


登場人物

CV:野沢那智(旧アニメ版)、杉田智和(ゲーム版)、鈴木拡樹(新アニメ版・舞台版)
本作の主人公。生まれつき手足も目も鼻も耳も持たずに捨てられていた所を寿海に拾われ、人間並みの姿を与えられた。
霊感が強いが、それを狙って四十八の魔物や、それとは関係ない妖怪や死霊の類に付きまとわれている。
体には寿海が仕込んだ各種ギミックが存在している。サイボーグ004のようだ。
詳細は該当項目参照。

CV:松島みのり(旧アニメ版)、大谷育江(ゲーム版)、鈴木梨央(新アニメ版)
本作の主人公その2。
盗賊団の遺児で、背中に宝の隠し場所が描かれた刺青があり、感情が高ぶると浮き出る。
不幸な生い立ち故に、ドケチでアホで金の亡者で刀バカで狡猾でフケツなとんでもないクソガキに育っているが、
その生まれ故に母親ネタにはとんと弱い。
なぜか「女の臭い」を嫌っている。
特技はスリと投石、妖怪すら血の気を引かせる大声。
特に投石はかなりの腕前で、湖面に集まっていた鳥に命中させるぐらいは朝飯前。それにより百鬼丸を救ったことも多かった。

  • 醍醐景光
CV:納谷悟郎(旧アニメ版)、大塚明夫(ゲーム版)、内田直哉(新アニメ版)
諸悪の根源。百鬼丸の父親であり、彼を生き地獄に落とした張本人。
性格は冷血無残であり、百鬼丸に対しても冷たい。
しかし、初めて百鬼丸と再会した時は館に逗留させ、後述の多宝丸には「手を出すな、起きたらメシを食わせてやれ」と命じるなど、
愛情とまではいかなくても、かつて捨てた我が子に対して捨てきれな感情を抱いていた。
百鬼丸を明らかに憎むようになったのは、多宝丸を殺されてからである。
アニメ版ではラスボスになった(ゲームや実写版でも四十八の魔物の一角になっている)。

「わしの主人の富樫様は、東海の北条・越後の上杉と並び称される名君だ」と言っていたことがあるが、
この発言を鑑みるに、人物評価の眼はかなり怪しいことが伺える(おそらく富樫政親のことだと思われるが、彼は加賀の一向一揆を抑えきれず、戦に破れ自害したことで有名)。

  • 多宝丸
CV:仲村秀生(旧アニメ版)、草尾毅(ゲーム版)、千葉翔也(新アニメ版)
景光の嫡男、つまり百鬼丸の弟。
カニみたいなヘアースタイルで、右目を失明している。
景光に似た性格に育っており、領民は平気で殺す冷血漢だが、両親思いな良い息子。
でもよく考えたら13歳かそこらなんだよなあ……。
原作では兄弟であることを知らずに百鬼丸との決戦で命を落とすが、実写版だと死なない。

  • 縫の方
CV:北浜晴子(旧アニメ版)、中村千絵(新アニメ版)
光の妻。かなりの美人。
百鬼丸を捨てたことをずっと後悔し続けており、彼を一目見るだけで我が子だと確認するなど、親としての愛情を持ち続けていたが、物語終盤に彼からは母親としての立場を否定され、泣き崩れる(ただし、百鬼丸も目尻に涙を浮かべており、母が愛情を捨てずにいたことは嬉しく思っていた模様)。
最後は百鬼丸と民衆に追い出され、夫に「自分たちにあの子を恨む資格はない」と言って去っていった。

  • 寿海(旧アニメ版では寿光)
CV:小林清志(ゲーム版)、大塚明夫(新アニメ版)
川に流されていた百鬼丸を拾った医者。かなりワイルドな外見。
欠損していた百鬼丸の部位を木と焼き物で創り、彼を育て上げた(映画だと、なんと戦場に転がってた死体から作っている)。
アトムで言う所のお茶の水博士、BJで言う所の本間先生に当たる。
しかし霊感が無いので百鬼丸を付け狙う怪物たちのとばっちりを幾度となく受けることになり、百鬼丸の希望もあって彼を旅に出すことを決意。
両手にかつての主君より拝領した無銘の名刀を、脚に強酸発射装置を、鼻に爆薬を仕込み、
更に肩の動きで手指をコントロールする特殊な絡繰りを仕組んだ義手を与えた。
百鬼丸にとっては父ともいえる人物で、縫の方を百鬼丸が否定した際も「俺の親は偉い医者だった」と語った。
ちなみに幼少期や旅立った時までは、「パパ」と呼ばれていた。パパて。

  • 琵琶法師(琵琶丸)
CV:滝口順平(旧アニメ版)、佐々木陸(新アニメ版)
流浪の旅を続けていた百鬼丸を孤児たちと引き合わせた琵琶法師。鍼治療はしない。というかこっちが先
盲目ながら凄腕の剣豪でもあり、百鬼丸から弟子入りを志願するが、
「おれはデシやアシスタントはとらん主義だ」と突っぱねた。
後に多宝丸を死に至らしめ、葛藤し自死まで考えていた百鬼丸と再会し、彼を再び導くこととなる。

  • みお
CV:武藤礼子(旧アニメ版)、牧島有希(ゲーム版)、水樹奈々(新アニメ版)
百鬼丸が出会った孤児の少女。当時盲目の百鬼丸には見えていなかったが、かなりの美少女。
兵隊相手に物乞いを行って日銭や食料を稼いでいたため、劣等感を強く持っていたが、
百鬼丸との出会いにより克服し、彼もみおに心惹かれていくことになる。
しかし武士に孤児たちは虐殺され、みおも殺されてしまう。
百鬼丸の心はその日以来、木の洞のような伽藍堂になっていくのだ……。

  • 賽の目の三郎太
CV:関智一(ゲーム版)
浪人。二度ほど百鬼丸と張り合う機会がある。後に景光に召し抱えられる。
剣や槍を使い、百鬼丸でも隙を見せないように集中しないといけない程度の実力は持っている。
力に溺れており、ミドロ号の化生に充てられた時には率先して棘付きの蹄鉄を作り履かせている。

  • 火袋
CV:外山高士(旧アニメ版)
どろろの父親。演者は丸首ブーン。
かつては農民だったが、武士の圧政に怒り蜂起し、いつしか盗賊団の頭になっていた。
しかし代官と組んだイタチに裏切られ、部下を全員引き抜かれて投獄される。
赤ちゃんだったどろろの(無意識な)協力もあって代官への復讐には成功したものの、
イタチ一派の攻撃を受けて膝に矢を受けて盗賊業を行うことが不可能になる。
妻子と共に各地を転々とするものの、その姿を武家の御婦人に憐れまれたことを受けて激怒、
最後はその護衛の武者と刺し違えて息絶えた。

  • お白夜
CV:瀬能礼子(旧アニメ版)
どろろの母親。火袋同様に武家を忌み嫌っていた。盗賊達の中では雛にも稀な美人。
しかし火袋の廃業に伴い追われる身になり、やがて盗賊を行うのも限界を感じ引退する。
最後は吹雪の中、どろろを寒さから守るために凍死した。
彼女が遺したメッセージが波紋を遺すことになる。

  • イタチの斎吾
CV:岡部政明(旧アニメ版)
火袋の腹心の部下。演者はハム・エッグ。
反武家を掲げる火袋の強固な姿勢に疑念を抱き、代官と結託して火袋夫婦を売り飛ばした張本人。
その代官が火袋に壊滅させられると、部下たちを率いて野盗として暴れ回り続ける。
百鬼丸と共に旅するどろろを発見すると拳銃を使って百鬼丸を敗走させ、どろろを拉致して宝島へと向かおうとする。
しかし部下はしらぬいのペットの兄弟鮫に一人を除いて喰い尽くされ、
ようやく宝島に辿り着いた後に最後の部下を事故で失う。
ただ一人になったイタチは寒風吹きすさぶ中、どろろの協力を経てついに宝の在り処に到達したが……。

卑怯で狡猾な人物ではあるが、火袋のことは反りは合わなかったものの命までは取らなかったし、
気絶したどろろを見て「気一本なところがおやじにそっくりだな。フフ…かわいいやつだぜ」と昔を懐かしむ発言をしていることから、
火袋やどろろに対しては愛憎入り混じった、複雑な感情を抱いていたようだ。
また、本人は以外にも義理堅い一面もある。

四十八の魔物

百鬼丸の身体を奪った魔物たち。
その姿は様々であり、担当部位も異なる。
(強ければ強いほど該当部位が重要、というわけでもないらしい)。

作中では

髪の毛、臍…いずれも詳細不明
右腕…人面瘡
左目…似蛭
鼻…九尾狐
右耳…白面不動
右脚…まいまいおんば
声帯…次郎丸
右目…どんぶりばら

が判明している。

PS2版では最初はモノクロの状態で始まり、
眼を取り戻すとカラーになり、海馬を取り戻すとセーブできるようになるなど、
「百鬼丸を動かしている」という点が大きく強調されていた。

また、実写映画版では百鬼丸の腕に仕込まれた刀でなければ倒せないという設定になっていた。

2019年のTVアニメ版では、おそらくストーリー構成の都合からか、数が48から12体に減少している。
また彼らの名前も「鬼神」とされており、百鬼丸の身体を奪った者達とは関係のない普通の妖怪も登場している。


余談

手塚の代表作「ブラック・ジャック」は本作の影響を色濃く受けており、
「欠損した少年が、医者に救われ、刃物使いとして大成していく」「仇は実の父親」など、百鬼丸の影響が大きい部分がある。

実際スターシステムとしても

  • 百鬼丸…第3話「ミユキとベン」不良のベン役
     第25話「灰とダイヤモンド」百鬼医師(ヤング・ブラック・ジャックに登場する百樹先生とはたぶん別人)役
  • どろろ…第3話「ミユキとベン」ベンの射程役
     第34話「ある教師と生徒」久男(表題の「生徒」に該当)役
     第95話「魔王大尉」ベトナム孤児のリーダー役
  • 琵琶丸…BJのライバル・鍼師琵琶丸役
  • 寿海…BJの恩師・戸隠医師役
  • 多宝丸…第125話「きみのミスだ!」藪医者役
     第157話「BJ入院す」町医者役
  • 三郎太…第182話「ご意見無用」殺人犯・六平役

……など、数多くのキャラが出演している。
更に、盲目の鍼医師とBJの出会いの場面は百鬼丸と琵琶法師の出会った場面と同じ構図と台詞になっており、
容姿が同じのみならず両者が同一の役割を持ったキャラクターであると暗に示している演出とも取れる。








どろろ「あにきィ、追記・修正が面倒だからおれァウィキペディアからちょろまかしてくるぜ」
百鬼丸「どろろ! 天国のおやじとおふくろさんが泣いてるぞ! いや、呆れてるね!!」



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