SCP-106

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SCP-106 - (2019/01/11 (金) 22:32:48) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2017/10/16 Mon 23:54:10
更新日:2024/04/07 Sun 22:05:06
所要時間:約 9 分で読めます






「あれ……あいつは観客を欲しがってた。見てくれる誰かを。あいつはそれが好きなのよ」



SCP-106は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
オブジェクトクラスはKeter。

項目名は『The Old Man(オールドマン)』。


概要

SCP-106は、人型の実体であり、見た目は実際項目名の通りおじいさんに見える。
ただしその全身に腐敗している痕が見られ、正直見ていて痛々しい。
時々見た目が変わることもあるようだが、その場合でも腐敗の痕は必ず確認されているようだ。

このおじいさんは人を襲う性質があるのだが、Keterオブジェクトにこそなっているが、基本的にこのおじいさん、
超のろまであり、同じ場所でじっと獲物が来るのを待っている。壁をよじ登り天井にぶら下がることも容易である。
「つっても襲われたくなかったらさっさと逃げればよくね?のろまなんだから」と思う人も多いと思う。

このおじいさん、なんとポケットディメンションと呼ばれる異次元空間を利用して移動することができる。
そのため、超のろまという性質に反して、実はおじいさんから逃げ切るのは現実的に不可能である。
例のクソトカゲであればもしかしたら逃げ切ったり追い返したり逆にポケットディメンションを利用したりできるかもしれないが、
まずSCP-106を逃がすリスクが高すぎるせいか、SCP-682終了実験では登場していない。
ポケットディメンションを使って固体をすり抜けることもできるが、この際、「ポケットディメンションに入る」→「外壁のポケットディメンションから出る」という、
すり抜ける系オブジェクトにしてはまどろっこしい方法をとっている。
ポケットディメンション内にはホールと部屋があることが判明しているが、どうやってそれを財団が突き止めたのかは不明。
まあ後述の性質からして十中八九ろくでもない手段だろうし、知らないほうが幸せな気はしないではない。

またSCP-106が触れたものはその後6時間に渡り腐食してしまう。
その腐食の原因はSCP-106の表面の粘液ではないかと推察されており、
同様の粘液状の物質が触れられただけで固体から染み出してくるらしい。
耐腐食性の素材すら普通に腐食させるからたちが悪い。

そして特に獲物として10〜25歳の若者を好む傾向にある。
獲物を捕まえたSCP-106は、ポケットディメンションに若者を引きずり込み、腐食させる。

ただしポケットディメンションで移動できる範囲そのものは広くないらしく、財団内に留めること自体はSCP-096●●|●●●●●|●●|●と違い可能。
強い光にも弱く、複数の異なる物質で構成される物質には戸惑いを見せることから、いっぺんに何でも腐食させられるわけでもない。

それでも幾度となく収容違反しているらしく、収容プロトコルは修正案11-8まで出ている(外宇宙の我々は11-6から11-8までを読むことができる)。
現在の収容プロトコルは「接触を試みる場合はO5の2/3の支持を取り付ける」
「厳重なサイトから無関係の職員を全員退避させ、作業者以外の担当者は60mの距離を確保」
という、事実上の実験禁止令のようなものが出されている。

更に収容コンテナも
  • 収容コンテナ
    • 36cmの間隔で鉛製の層を40も重ね、支柱の間隔をバラバラにすることで複雑にする。
    • コンテナは電磁気によって地上からは60cm浮かせた状態にする。
  • 第二収容区画
    • 様々な液体の詰まった球体状のセル16個で構成されている、コンテナ同様に支柱の間隔をバラバラにすることで複雑にする。
    • 照明システムによって80000ルーメン(一般的な白熱電球が数百から数千ルーメン程度)の明るさを維持する。
という非常に厳重なものとなっており、これらは全てオールドマンが複雑多様な構造や流体に混乱をきたし、
光や鉛を忌避するという習性に基づいているのだがそれでも収容違反を遅らせているだけにすぎない。

SCP-106によって紛失した全ての人物/物品はすべて死亡/行方不明として扱い、絶対回収しないとのこと。
またオールドマンは定期的に休止期間を設けることで油断させるという作戦に出るため、
「全く動かなくなっても信用してはいけない」と釘まで刺されている。

え?肝心の、収容違反時にどう再収容するのかって?
10〜25歳の人を用意するんだよ。

で、その人を囮にして、大腿骨あたりをえいやっと折る。
すると大概めっちゃ悲鳴をあげるので、それをサイト内全体に放送する。
するとオールドマンが囮に向かってやってくるというわけだ。
全然反応しない場合は、20分間隔で更に囮に痛みを与えるなどをする。
で、オールドマンがちょうど来た場合…
囮を殺す。
いやほら、SCP-106はあくまでポケットディメンションに連れて帰るのが目的だから、囮生かしてたら、ねえ?

なお囮はDクラスであることとは限定されていない。
基本財団施設内なので民間人がいることはほぼ稀だが、…時には若手研究員やエージェントが犠牲になることも多いんだろう。

なおSCP-106の記事にはオールドマンによって連れて行かれた若手エージェントが戻ってきた後の写真が写っている。
ものすごくグロテスクで閲覧注意なのだが、キャプションに「解放後1時間生存していた」とあるのがなかなかに怖い。ちなみにこの写真、硫酸を用いた殺人事件の被害者の写真である。覚悟してみるように。

他の記事への出演

オールドマンは初期オブジェクトとしては彫刻シャイガイクソトカゲアベルトマトケーキなどなどと同様有名な部類なのだが、
その知名度に反して性質的に絡めづらすぎるのか、以外にも他記事への出演は非常に少ない。
もっとも財団内で暴れ回るだけの危険なおじいさんを要注意団体と絡めるのも非常に困難ではあるだろうが…。

  • 『実験記録187-1』
SCP-187(複視)のクロステスト記録。
SCP-187は20代のコーカソイド女性で、物や人を見ると、未来の姿が一緒に見えるという性質を持つ。
SCP-187の効果でSCP-106を観察している際、SCP-106は三回やった実験で三回とも収容違反を起こして中断されている。
なおSCP-187がそのとき観察したスタッフが毎回襲われており、なぜか条件に該当するはずのSCP-187自体を狙ったりしなかった。
これについてSCP-187は「あれ……あいつは観客を欲しがってた。見てくれる誰かを。あいつはそれが好きなのよ」とのみ回答している。
ちなみに本実験記録の作者はオールドマンの著者、Dr Gears氏である(オブジェクト自体の考案者はfar2氏)。

  • 『SCP、ゲットだぜ!』
SCP-826(*ほんのなかにいる*)を主題とした『クロスオーバー・プロジェクト』のTale。
SCP-826は挟んだ本の中の世界に人を送り込み、そのなかで自分を発見させるというオブジェクト。
(発見すると帰還できるが、できないと野垂れ死ぬことになる)
で、ジャンゴ・ブリッジ博士はこのオブジェクトを暫く自分のサイトに収容すると申し出た(このことから、ブリッジ博士は管理官なのだと思われる)。
が、財団に何故かバックパックを背負わされた挙句、旅立った先は本ではなくゲーム『ポケットモンスター赤』であった。
で、SCP-826を探すためにブリッジ博士はポケモンの代わりにSCPを連れ歩き、数多のポケモントレーナーをバッタバッタと倒していく――。

で、肝心のオールドマンの出番はなんと「ビードルの捕まえ方を教えてくれるおじいさん」である。
捕まえるときはポケモンを弱らせて、というが、いくらなんでもビードルも弱るどころか死ぬんじゃないだろうか。

ちなみに『クロスオーバー・プロジェクト』の作品はこれに限らずサブカルチャーを主題にしてSCPがどったんばったん大騒ぎする作品群となっている。

  • 『Treats』
ハロウィンに起きたSCP-106の収容違反を、ハロウィンのティーンエイジャー達、、母子、エージェント…――つまり犠牲者の視点から描いた名Tale。
このなかで、オールドマンは犠牲者の骨を年齢層ごとに選り分けるという不思議な行動をとっている。
ちなみに本Taleの作者はオールドマンの著者、Dr Gears氏である。

  • 『ヤングマン』
オールドマンと対照的なタイトルのTaleだが、第一次世界大戦下の塹壕で起きた不可解な事件についての何者かによる手記の形態をとる。
手記中では(書いた人がわかっていないのだろうが)明確に言及されないものの、明らかに塹壕の特徴がポケットディメンションである。
ちなみに本Taleの作者はオールドマンの著者、Dr Gears氏である。

財団の危険なおじいさんおばあさん

オールドマン以外にも、やはり財団の収容下には危険な老人がいっぱいいる。

SCP-1295 - Meg's Diner (メグの晩餐)

"メグの素敵な家庭料理"という店を毎日訪れる、常連客4人の初老の男性。
なぜかいつもこの店で飯を食っている。

彼らを追い出すことで、広範囲の人物にむちゃくちゃ危険なこと(生存本能の欠如や増加、可食物を区別する能力の欠如、体内の微生物の完全な消失)が起きるため、Keter指定を受けている。
どうやら黙示録の四騎士であることが能力や言動から伺えるが、広島・長崎の原爆投下を終末と勘違いして降りてきてしまい、
しかたなく本当に終末が来るまでレストランで飯を食っているらしい。
戦争担当と思われるSCP-1295-1は、核爆発を終末と勘違いして皆を呼び寄せた件をSCP-1295-4(死・支配担当と思われる)になじられている上、
遠隔操作の無人機や電子戦などの近年の戦争の流行についていけなくなったことをぼやくなど、なんとも哀愁を漂わせている。
飢饉担当と思われるSCP-1295-2は60年間毎日同じセリフを口にするなど、やや痴呆の兆候がある。
なお店員になりすました監視中の財団エージェントにたいして「あの娘ずっとワシを見とるしワシに気があるんじゃないか」とスケベなことを考えるなど、
案外気さくなジジイどもではある。おかげで全然監視してることが疑われないのでいいのだろうが。

SCP-1440 - The Old Man from Nowhere (どこでもない地からの老人)

外見こそ80代だが、一切の老化を示さない老人。
本人は至ってくとぅるふくんよろしく財団には友好的なのだが、
『彼の兄弟』とされるなにものかの霊体か神格かあるいは現象は財団に敵対的。
そのためこのご老人は財団に迷惑をかけないためどこかへとひっそりしているのだが、
間に合わなくなる危険性が高く、財団はご老人の行方を追っている。

SCP-777-JP - 鶴の翁

人間と鶴を合体させたような鳥人間。かつては山奥で一人暮らしをしていたが、後に蒐集院に保護されていたものを財団が引き継いだ。彼自身は収容には協力的。
これだけならただのEuclidだが、心臓の代わりに宝珠が埋まっており、この宝珠が止まりそうになると、日本海から鳥居が出現し、彼目掛けて異形の花嫁行列がやってきて進路上の日本人達の\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!という恐ろしくはた迷惑なKetel級の異常性を持つ。
この爺さん、現在老化でいつ死んでもおかしくない状態であり、財団は遺体の日本海投棄も視野に入れつつ必死に延命を繰り返している。
元ネタは日本神話の山幸彦と海幸彦。

SCP-916-JP - スワンプマン

死ぬと遠く離れた地点の液体と固体を消費し、DNAや死亡直前の記憶まで同一の自身の複製を作りだす老人。
元々は「事故死した人間と同一人物と思われる人間」としてAnomalousアイテムとして扱われていたが、
GOC過激派による財団施設襲撃後に複製を生み出す能力が判明。調査の後にKeterクラスに再分類された。
生み出される複製は「最も健全な状態」ではなく「問題なく生存していた状態」、つまり、仮に何かしらの毒により死亡した場合、
「毒が体内に入る前」ではなく、「毒によって死ぬ少し前」の状態で生成される。
他のオブジェクトのように加齢の兆候を見せなかったらまだ良かったかもしれないが、彼の場合は確保してから加齢が進んでいて、
老衰死すれば死亡と複製の生成を無限に繰り返すNK-クラス世界終焉シナリオが発生する可能性が考えられるので、
現在は冷凍睡眠装置に収容されている。

あと、もはやジジイというレベル超えてる上に見た目は30代でしかないカインアベルなんて例はある。
古代メカニトとダエーバイトの存在した時代から生きてる人たちをジジイの区分で括っていいのかどうか。


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