SCP-2662

登録日:2016/10/02 Sun 00:05:51
更新日:2025/03/26 Wed 16:30:01
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クソッタレ!止めろ!頼むからさぁ!シャワー浴びたばっかなんだよ!


SCP-2662は、海外の怪奇創作サイト『SCP Foundation』で創作された人知を超えたオブジェクトの一つである。
項目名は『cthulhu f'UCK OFF!』。日本語訳は『くとぅるふ ふっざけんな!』。
オブジェクトクラスEuclid Keter



前置き

4chanの書き込みから始まったシェアード・ワールド『SCP Foundation(日本語訳:SCP財団)』。
そのテーマは人智を超えた存在・物質・場所・概念である「オブジェクト(SCP)」と、それを確保・収容・保護する「SCP財団」からなる。

そこでの創作物は主に実験報告やインタビュー、特別収容プロトコルを我々が参照している*1という体裁をとっている。
「財団が見つけたこれには異常性があることが研究で判明したので、このように保管します」という書類を読んでいるような感じ。

そして世界観同士の相性の良さ、歴史の長さからSCP財団内でも題材として取り上げられることが多いのが『クトゥルフ神話』。
こちらはラヴクラフト氏が創作した「太古の神々が現代に蘇る」小説を元にしたシェアード・ワールドであり、SCP財団の先輩とも言える存在である。
神の一柱Cthulhu*2含めて多くの神が人間に対して敵対的な恐怖そのもので、「異質なものに対する恐怖感と嫌悪感」がテーマとなっている。

SCP-2662はそんな2つの世界観を合わせた記事の一つである。
ただし露骨にクトゥルフ側過ぎたりしてつまらないものはすぐに消されたりもしているので、これは珍しい成功例でもある。



概要

SCP-2662は知性を持った異形の実体である。
報告書によればその姿は
SCP-2662は大雑把にヒト型の姿をしており、頭足類の足と同様の構造を持つ約20本の付加的な触手状筋組織を背中に備えています。これらの肢は完全に機能しており、SCP-2662は一度に10の異なる作業を行う事が可能です。
とのこと。ただし30m以上もある本物のCthulhu(架空の存在だから本物って表現もおかしいが)とは異なり、サイズは4m程度である。
それでも人間に比べたら2〜2.5倍というでっかい存在だし、見た目もCthulhuっぽい異形なのでこいつも財団からすれば確保・収容・保護対象である。

そして注目すべきなのが特別収容プロトコル。
他のオブジェクトの特別収容プロトコルは大概
生育したSCP-504の植物体ならびに果実は防音室で保管されねばなりません。
SCP-504『批判的なトマト』
だったり、
財団職員がSCP-173のコンテナに入室する場合は必ず3人以上で入室し、入室後にコンテナを再び施錠してください。
SCP-173『彫刻 - オリジナル』
だったり、はたまた
すこしでも動く、話す、または脱走を試みたらすぐに全力で対処してください。
SCP-682『不死身の爬虫類』
だったりと、読んだだけで危険性が分かるようになっていたりする。

他のオブジェクトは財団が文字通り命をかけて、工作や死闘の果てに収容している。
時には何人もの被害を出して捕獲したり、収容時点の記憶を書き換えて怪しまれないように代替的な話を流布したりもしているのだ。
そうしないと人類がヤバイからなんだけど。

だが、SCP-2662の特別収容プロトコルは
SCP-2662の封じ込めは完全に自発的なものであることから、現在は低脅威度ヒト型生物向けの標準的安全対策を施した、拡張済みのヒト型生物用収容ユニットに収容されています。
まさかの自発的な収容。

そして性格も温厚。見た目Cthulhuなのに人類には敵意も無い。
それどころか重たいものを持っている財団職員に対して「手伝おうか?」と言ったりとかなり友好的で常識的な感性を有している。
財団からも
加えて、SCP-2662は任意の日刊新聞のコピー、コンピュータ、及び要求したコンピュータゲームの所持が、毎月の総額が50米ドルを超えない範囲で許可されています。
居住スペースに加えて「日本円換算で月5000円」のお小遣いまでもが支給されていたりする。
他のオブジェクトの記事を読んでくると分かるのだが、ここまで良い感じの待遇を受けるのは相当友好的なヤツだけだったりする。
つまり財団側もSCP-2662の性格を友好的だと判断しているというわけである。


……の割にオブジェクトクラスはKeter

これは財団がSCP-2662のことを疑ってるとかそういうことではない。
まあ他のオブジェクトが財団を欺こうとした「前例」はいくらでもあるので仮に彼を疑ったとしても不思議ではないが、それが理由ではないのだ。

これはSCP-2662自身にもどうしようもできない「収容が困難、あるいは制御が困難で危険性が非常に高い」異常性故に与えられたものなのだ。

彼は「周辺のよく会う人に対して、自分を信奉するような精神的な働きかけを無意識に行う」という異常性を持つ。
この異常性は精神作用に抵抗力のある人には関係無いが、その抵抗力のない人が全人類の5%はいるとされている。
そういった人はSCP-2662と何度も対面したりしているうちに異常性によって信奉者になってしまう。
そしてこれは本人が自発的に行使することはできず、厄介なことに相手が信奉してくれてもその行動をコントロールできたりはしない。
つまり信奉者達のを本人にとって都合が良いように動かすとかができないのだ。

そしてもう一つの異常性として「月に一度、宗教的な崇拝者が現れてSCP-2662の収容ユニットへ侵入を試みようとする」というものがある。
後述する事例の一つからして、財団を知らない人間であってもこの宗教的な崇拝者となって財団内に侵入を試みようとする模様。
しかも侵入する集団は毎回別で関係性もなさそうなのに、なぜか前にやらかした失敗について共有しているらしく、同じ方法で鎮圧や防止ができない。
あと無論財団の人間であっても作用にかかる奴はかかる。

そしてSCP-2662は見た目Cthulhuなので、当然その信奉者や崇拝者がまともになるはずが無い。
どちらの異常性の場合でも、影響された人間達は基本エロくてグロくてバイオレンスな儀式を執り行いたがる。
それもSCP-2662の目の前で。

……だが前述の通りSCP-2662はかなり常識的な感性の持ち主で、基本そういうものに対して全く持って免疫が無く、

SCP-2662「なあおい、落ち着けお前ら。」
信奉者たち「ああ、我らが主よ!我らの血を受けてください!(血と愛液を混ぜたものをSCP-2662に塗りたくろうとする)」
SCP-2662「やめてくれ……」

となる。

要するに、SCP-2662はSAN値がガリガリ削れた人を呼び寄せてしまう特性を持った常識人なのである。
これが項目名の「cthulhu f'UCK OFF!(くとぅるふ ふっざけんな!)」の示す意。
Cthulhuを信奉するものがよく唱える「Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!(いあ!いあ!くとぅるふ ふたぐん!)」にかけて、「Cthulhu f」まで言った時に「Fuck Off!(ふざけんな!)」とSCP-2662が叫んでいるのだ。



実際のインシデント例

インシデント1

SCP-2662はシャワーを浴びている。ところが彼の収容ユニットの床下が突然爆発。
あまりのことにびっくりしたSCP-2662はシャワー室を離れる。
そこから5人の民間人が収容ユニットに侵入。
同時に収容ユニットを守っている機動部隊タウ-9が民間人を鎮圧しようと試みるが、後からやってきた武装した別の5人の増員に敗北。

侵入者たちは邪魔する財団エージェントたちを縛り付けると、その場で自らの手をナイフで切りつけて自慰行為を行う。
そして愛液を混ぜたものを使って壁に未知のシンボルを描きはじめる。
SCP-2662「おいちょっと、勘弁してくれよ。ホント衛生に悪いぜこういうの、てゆーか、むしろ冷静になろうじゃねーか。」
衛生を気にする邪神。かわいい。
だが信奉者は逆にSCP-2662をシャワー室に追い詰め、歌いながら血を塗りたくる。
SCP-2662「クソッタレ!*3止めろ!頼むからさぁ!シャワー浴びたばっかなんだよ!」

なんとか民間人は鎮圧されたが、常識的な衛生観念を持つSCP-2662にとっては大変きっつい出来事であった。


インシデント2

SCP-2662は朝食をとりながら新聞を読んでいる。普通の光景だけど見た目はのっけからおかしい。
そこになぜか収容ユニットを守っている警備員達と、子豚を抱えた女性の研究員が入ってくる。
SCP-2662「手伝おうか?」
女性にとって扱いにくそうな子豚を一緒に運ぼうとする邪神。
しかし彼の厚意に対する返事はこんなものだった。
「嗚呼、私たちの主よ、どうかこの無垢なる豚の仔を、父母を屠られし生まれたばかりの孤児をお受け取りください!此奴の喪失の魂が貴方様の御力となることでしょう!」
その場で研究員は子豚を去勢し、睾丸*4を朝食に添える。
当然SCP-2662は食欲を喪失。
SCP-2662「あー…。遠慮しとく。我、腹いっぱいだし。帰れ。汝の、えー、主は供物に満足しておるぞよ。」
合わせてくれる邪神。かわいい。

一方で研究員は(おそらく生きてる)子豚の首を切り裂き、血が飛んで新聞を濡らす。
SCP-2662「おま、ちょっ…なぁおい、お前さ、どっかで聖書かなんか読んでらんないの?そーゆーのがめっちゃ必要だと思うね、お前には」
世界一のベストセラーである聖書を読むように勧める邪神。
すると警備員が研究員を射殺。ああ、これで一安心かと思いきや……
警備員は彼女をその場で食べ始めた

SCP-2662「オエーッ!」
機動部隊が侵入者たちを鎮圧しに来た時、邪神様はカニバリズムで気分を悪くしてトイレで嘔吐していた……
なお後の調査により、この研究員と警備員たちは職員に変装した民間人であることが判明した。


インシデント3

SCP-2662は就寝中。すると突如ベッドの側に彼らを守っている機動部隊員2名*5、そしてDクラス職員が入り込む。
SCP-2662「うぁ……ぁあ? 移動すんの? 来週の予定じゃなかったのかよ」
邪神が寝起きな中、機動部隊員であるエージェントたちはその場でDクラス職員を突如すっぽんぽんにさせる。
嫌な予感がした邪神様は警告を試みたが無視されてしまう。
その場で彼らはグループセックスをおっぱじめた。

SCP-2662「何やってんの?マジで?今?いいか、マジな話だぞ、他の神様を見つけてもらえるかな?聞いた話だけどさ、仏教ってのが結構ラジg…」
エージェントとDクラス職員「(;´Д`)ハァハァ(SCP-2662もセックスに混ぜようとする)」
SCP-2662「クソがっ!止めろ!マジでだ!我は汝らとその他諸々にこの莫迦騒ぎを止めるよう命ず!」
するとエージェントとDクラス職員たちはセックスを中断して邪神様をじろりと眺める。
この時ニセの指令を受けて外部に行っていた機動部隊の本隊が「そのような指令はない」と現場で伝えられ、収容サイトに引き返し始めている。

SCP-2662「おぉ神よ感謝します、やっとお前らを制御できるってわけだ、ある程度は。我もちゃんと成長してるんだな。気付いてよかった。良し、で、一体全体何がどうなってんのか我に教えてくれるか?」
エージェント「血浴の儀の後、我らは貴方様を、貴方様の神聖なる房へお連れ致します。そこは我らが、我らの家族が、我らの血族全てが永遠に貴方様に尽くす処。ここの者どもは貴方様を囲っております。我らと共にあれば、貴方様は望むままどこへでも行くことができます」
SCP-2662「もちろん冗談だよな? 我は出たいと思ったらいつでも出られるさ、ちょっとお願いすりゃいいんだからな。それはそうとだ、我…」
Dクラス職員、グループセックスを再開。
SCP-2662「マジでさぁ!止めろって!お前らみんなクソキモいんだよ!!まだカルト教団なんかに落ち着く心の準備できてねーよ!我はまだ、アレだ、200歳だぞ!ギリギリ成年なんだぞ!」
エージェント「貴方様は真に、頼めば財団が解放してくれると思っておいでですか?えぇ、確かに頼むことは可能でしょう。ですが深く失望するだけです、我が主よ」
SCP-2662「あぁ、まぁ、もしもそういうことになったら、我が逃げ出すのに十分強くなるまで待ちゃいいだけの話だ。それまで我は…我は、トイレにでも座って待つことにする。お前らは莫迦げた血みどろの乱交ごっこでもしてろ」

このあと、SCP-2662はインシデントの残りをシャワー室に座り込んで過ごした。かわいい。









というわけでSCP-2662が何でわざわざ自分から収容されに来たかというと、
そのへんでぶらぶら暮らしてたら信仰者がやってきて、自分の前で公開オナニーやカニバリズム見せつけられて、自分のSAN値が削られる
というのが一番の理由。
確かにお腹空いてコンビニ行って、そこで店員や客が突如公開オナニーやカニバリズムはじめたら誰だって吐く。

ぶっちゃけた話、SCP-2662は頭のおかしい人に毎月襲われておかしな儀式に付き合わされる宿命の持ち主のようなものである。
そうだと考えれば、外の世界での自由を捨ててまで閉じこもりたくなる気持ちも理解できるだろう。

彼にとっては信仰者がいないところこそはっきり言って「自分の行きたいところ」であり、外の世界のほうが彼にとっては望ましくないのだ。
カルト教団に囲まれながらコンビニに行くことより、財団内で収容されながらもゲームをしたり新聞を読んで悠々自適に暮らすことを選んだのである。

……まあ、彼の異常性が無効化できていない以上悠々自適もへったくれもないのだが。
彼の受難は今後も続きそうである……
ここまで可哀想なKeterもそういないだろう。



追記・修正は私たちの主に豚の睾丸を捧げながら行ってください。


SCP-2662 - cthulhu f'UCK OFF!


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最終更新:2025年03月26日 16:30

*1 ただしそれぞれの報告書には本来はセキュリティクリアランスが設定されており、それを持たない職員が閲覧することや実験を行うことは禁じられている。我々は第4の壁の向こう側の住人なので全部見れてしまうが。

*2 本来は人間には発音しえないため、クトゥルーとかクルウルウとかク・リトル・リトルなんて呼ばれることもある。というか「正式な読み方を決めない」ことにこそ意味がある。

*3 原文は「Jesus Christ!」である。ジーザスと叫ぶ邪神なんて誰が想像できただろうか。

*4 キンタマのことである。

*5 本来は4名残っていたが、内二名はベッドの側に来た奴らに幽閉されている。