ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島

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ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島 - (2021/06/28 (月) 12:14:33) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/11/28(月) 10:07:34
更新日:2024/04/20 Sat 15:07:49
所要時間:約 8 分で読めます




もし君が───

もし君が───


海賊の中の

海賊の中の

海賊の中の

海賊ならば


信頼する仲間をつれてこの島に来るがいい───



『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』は、2005年3月5日に公開され、『ONE PIECE』の劇場版第6作目。
監督を、今や日本を代表するアニメ監督となった細田守が担当している。
毎週火曜日にはワンピースデイと称して映画鑑賞の割引が行われた。

予告編や、公開前のスタッフインタビューは、明るい作風を匂わせるものだったが、実は普段の『ONE PIECE』からはとても想像出来ないほど、暗く重々しい内容。
麦わらの一味が仲たがいを起こし、一時的にではあるがルフィが仲間全員を喪い、クライマックスでは一味ではなく新たな仲間を作って共闘するなど、『ONE PIECE』としては異例の要素ばかりの物語に、細田守独特のタッチで展開されるグロテスクなホラー演出が交錯する、劇場版ワンピースの中でもまさに異色の作品。
ただし、トラウマにこそなるかも知れないが鬱になる暗さではない(かも知れない)。女の子が崖っぷちからグへッとなったりします。


ストーリー

ある日、「もし君が 海賊の中の 海賊の中の 海賊の中の 海賊ならば 信頼する仲間をつれてこの島に来るがいい」という手紙と、
エターナルポースを拾った麦わらの一味はエターナルポースに導かれてオマツリ島を目指す。

オマツリ島でスパリゾートや美女、ご馳走によりもてなされると思っていた一味だが、その島の主オマツリ男爵(声 大塚明夫)により、試練を言い渡される。

もてなしを受けるためにルフィ達は試練に挑む事になる。

試練その1金魚掬い、試練その2輪投げを突破する一味だったが、
試練の最中オマツリ島の秘密を知ったチョッパーロビンが姿を消してしまう。
さらにオマツリ男爵の仲間によりゾロナミウソップサンジまでもがルフィの前から消えてしまう。

そしてルフィだけで挑む最終試練…決戦が始まる。


オリジナルキャラクター


オマツリ男爵
オマツリ島の主。
島を訪れた海賊団に「地獄の試練」という名のアトラクションを仕向ける謎の男。

元はレッドアローズ海賊団の船長。22年以上前にゴールド・ロジャーに会った直後、嵐で全ての仲間を失ってしまう。
オマツリ島に漂着し悲しみのどん底にいたが、後述のリリー・カーネーションに出会い、島にやって来た海賊を生贄として食べさせる事で仲間を復活させていた。
より強い海賊を生贄にささげるため、島をオマツリ島と称し、強い海賊を島におびき寄せる。

仲間を失った過去から、仲間意識の強い海賊団を嫌い、海賊の仲間割れの様子を見ることを好む。
そのため、試練を通して彼らが仲間割れするように策略を巡らせる。

弓矢の名手で、標的を自動追尾する矢や爆発する矢など、様々な矢を使いこなす。
ただの弓矢ではない事から覇気や悪魔の実の力ではないかと予想されるが劇場版では解明されていない。
(当時は覇気等は説明されていなかったが、原作で岩を砕く弓矢が登場した)
また、刺さった相手の肌の色が悪くなっていた為毒があるのかもしれない。

ルフィを精神的に追い詰めたのは男爵と赤犬ぐらいだろう。
ただし肉弾戦での実力はそこまでではなく、打ちのめされたにもかかわらず仲間を取り戻すために折れない精神力で立ち上がったルフィの渾身のワンパンを喰らい敗北(しかも渾身の一撃とはいえゴムゴムの力を使っていない普通のパンチである)。



リリー・カーネーション(声 - 渡辺美佐)
オマツリ男爵の肩にいる顔の付いた花で、甲高い声で片言の人語を話す。ロビンいわくオマツリ島の固有種。
人間を生贄にする事で死者を復活させる事が出来る「死と再生の花」。
リリーの力で甦った人間の頭には双葉がついている(ピクミンではない)。
リリーが死ぬ時、リリーが甦らせた人間は全て木になってしまう。

普段は可愛らしい姿をしているが、真の姿はとても醜悪。食べた麦わらの一味を取り込んだ姿は間違いなくトラウマ。もはや子供向けではないレベル。
子供が見たら多分大泣きする。

男爵の肩に乗っているのが本体で、島の頂上にある巨大なミミズのようなモノから生贄を食べる。

このミミズのようなものがダメージを受けると、無数の矢に分裂し降り注ぎ反撃する。
(この矢は全て男爵が意のままに操れるので男爵の弓はリリーの力なのかもしれない)

今作の最大のトラウマ要員。


オマツリ男爵の部下

ムチゴロウ(声 草尾毅)
第1の試練「金魚すくい」にて対戦。

ケロジイ(声 青野武)
第2の試練「輪投げ」にて対戦。かなりの実力派でゾロ、サンジに完勝したがウソップの罠により……

ケロショット(声 佐藤正治)
第2の試練「輪投げ」にて対戦。

ケロデーク(声 八奈見乗児)
第2の試練「輪投げ」にて対戦。やられる度にメカをパワーアップさせていった。

ケロコ(声 山本圭子)
第2の試練「輪投げ」にて対戦。ちょっと年下。

DJガッパ(声 池松壮亮)
オマツリ男爵の部下。第3の試練「射的」にて対戦。語尾に「プ」をつけるのが特徴。
頭の皿が爆弾になっており、それを投げて戦い、ナミ、サンジを続けざまに倒し、ゾロの鬼切りを直撃するもリリーの力で不死身の為全く動じなかった。
今作でもトップクラスのトラウマ要員。

コテツ(声 綾小路翔)
サンジと鉄板焼き対決をして特製焼きそばを調理するが、サンジに奪われモダン焼きにされる。


海賊

お茶の間パパ(声 国本武春)
家族で構成された小さな海賊団「お茶の間海賊団」の船長。
とても頼りない性格だが、子ども達を喜ばせるために頑張っている。
今作で一番の男…いや漢。

ローザ(声 大本眞基子)
お茶の間海賊団船員。お茶の間パパの長女。
反抗期で、父親を嫌っている。

リック(声 阪口大助)
お茶の間海賊団船員。お茶の間パパの長男。

デイジー(声 永井杏)
お茶の間海賊団船員。お茶の間パパの次女。
母親譲りの優れた聴覚を持っており、耳がとてもいい。
リリーに食われた麦わら一味の声を聞いてルフィに伝えていたりする事から、もしかすると見聞色の覇気を使っていたのかもしれない。

ブリーフ(声 安原義人)
「チョビヒゲ海賊団」の船長。
彼以外の海賊団員は全員オマツリ男爵に捕まり、リリーの生贄となってしまった。
今作の漢その2。


余談

細田守の初長編作品である。このあと氏は、『時をかける少女』『サマーウォーズ』などの長編を立て続けに世に送り出し、名監督としての地位を不動のものとする。

この頃の細田は、『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』等で高い評価を得ていたものの、
監督を務めるはずだった『ハウルの動く城』で、トラブルが重なった末に制作が一時頓挫しついには降板するという騒動が起こってしまい、
「もう業界でやっていけないのでは」というぐらいのところまで追いつめられていた。
今作は氏にとって、『SUPERFLAT MONOGRAM』などイベント用映画などで地道に活動を重ねた末に、『ウォーゲーム』以来実に5年ぶりに掴んだチャンスであった。
そんなわけで、今作の陰鬱な作風には『ハウル』のゴタゴタで氏が感じた思いなどがテーマとして込められている。
それらは簡単に言えば「仲間を失うつらさ」や「大事な仲間を失っても、新しい仲間と一緒に前へ進んでいける」と言ったようなものである(インタビューなどでも語られている)。

だが、そうして生まれた「ルフィが今までの仲間を失い、新たな仲間を作る」という展開は、原作・テレビアニメを重視する視点で見ると、ともすれば憤慨ものであった。
絵柄自体が普段のアニメとかなり違うこともあって、原作ファンからの受けはあまり良くなかったと言ってよい。*1

しかし実際に観てみると笑いあり、涙あり、話のテンポありと細田守監督らしい作品である。
監督ブランド・スタッフのネームバリューに支えられてる至極の一品。

実は、作画・美術方面の制作陣の大半が当時のGAINAXのスタッフが揃っている為、事実上は東映アニメーションとGAINAXの共同制作である。

ちなみに細田守監督の師匠筋である幾原邦彦監督の作品群のパロディも多分に含まれており、それも事前に知っていればニヤリと出来ること受け合い。

もし君が 海賊の中の 海賊の中の 海賊の中の 海賊ならば 信頼する仲間をつれてこの項目に来るがいい

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