ゼロシステム(新機動戦記ガンダムW)

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ゼロシステム(新機動戦記ガンダムW) - (2019/01/14 (月) 17:31:43) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/05/13(金) 13:22:17
更新日:2024/04/24 Wed 02:41:05
所要時間:約 8 分で読めます




Z.E.R.O.SYSTEM


ゼロシステムとは、新機動戦記ガンダムWに登場するシステム及びその名称。

名称の「ゼロ」とは
Zoning and
Emotinal
Range
Omit
の略。
日本語に訳すと、「領域化及び情動域欠落化」装置となる。



【概要】

極めて簡単に本システムを表現すれば、パイロットに未来予測を行わせるインターフェースである。

高度な演算装置で戦場における様々な情報を分析し、
それらから予測されうる演算値を直接パイロットの脳にフィードバックする事で、
パイロットは擬似的に「未来」を垣間見る事ができる。

また、パイロットに情報を直接フィードバックする手段として、
コックピット内に配置された機器がパイロットの状態をスキャンし、電気的に介入する。

その結果、体内の神経伝達物質等もシステム側に制御され、
反応速度の増大や通常では耐える事の出来ない高Gなどの刺激を緩和・欺瞞する事も可能になる。

即ち総合的に見れば、
「パイロットの能力を人間の限界以上に引き上げる」究極のマン・マシーン・インターフェースと言える。



【構造】
ハードウェアとソフトウェアの両面から構成されている。

ハードウェアであるコックピットには高度なフィードバック機器が装備されているが、ブロックそのものの作りは通常の機体と大きく異なる。


まず、普通に考えて必須となるメインモニターが存在しない。
操縦桿も存在せず、機体の動作制御はスロットルレバーを兼任するグリップにあるスイッチのみで行われる。

これはゼロシステム起動下であれば、機体の得た情報が直接パイロットの脳に流し込まれる為。
メインカメラやセンサーが得た情報などは即座にパイロットに伝達され、360度あらゆる全ての角度を視覚情報として認識できる。

結果として、コックピット正面に表示されるのはレーダーの情報のみという、特異な構造となっている。

一応サブモニターは配置されてはいるものの、上記の仕様上、デフォルトでは点灯していない。


ソフトウェア自体はコピーと移植が可能だが、ハードウェアありきのシステムなので、ソフト単体ではシステムの本領は発揮できない。
劇中ではガンダムサンドロックが多少の改装で搭載しているが、
これはガンダムのインターフェースがゼロを元としているから可能だったと思われる。
(ついでに言えばサンドロックはコクピットインターフェースの権威であるH教授開発でありゼロシステム自体もおそらく開発主導はH教授である為親和性が高めとも考えられる)


尚、予めシステムの搭載を想定しているハードウェアならば、
パイロットは物理的な操作をパスしてある程度機体を動かす事も可能であるらしい。

資料によれば内壁は360°モニターになっているものもあり、実際劇中で点灯する描写もある。
ただその設定でもゼロシステム最大稼働時にはモニターは消灯し、映像はパイロットの脳に直接伝達される。



【システムの弊害】
上記の通り、このシステムは恐ろしいほどに強力なインターフェースと言える。
ぶっちゃけて言うと、相応の機体にこのシステムが積まれていれば、
ぺーぺーの新米だろうが実戦をロクに経験していない技術士官だろうが、超一流のパイロット並に戦えてしまう

が、システムが得た「客観的」な情報が、パイロットの脳にフィードバックされ「主観的」な情報になる時に問題が生じる。

システムは戦場における「あらゆる可能性」を演算し、絶え間なくパイロットの脳に書き込んでいく。
演算の過程にある「可能性」には当然、「自分が死ぬ可能性」や「仲間が死ぬ可能性」、「誤射による被害」なども含まれる。

ただでさえ膨大な情報量は精神に多大な負荷をかける上、それらの望まない光景を無数に見続けさせられる使用者の負担は計り知れず、精神の均衡を崩してしまう。

結果的に視野が非常に狭い、システムの提示する「勝利への道筋」に従うだけの部品に成り下がり、多くの場合は暴走。
最悪の場合は精神を破壊されて廃人、もしくはショック死を起こしてしまう。

その為、このシステムを完璧に使いこなすにはシステムが送り込むあらゆる可能性から「自分の望む未来」を選び取り、
それ以外の指示をはね退けるほどの強靭な(人間離れした)精神力を必要とする。


余談だが、システムは起動時のパイロットの精神状態にも大きく左右される。

基本的に戦場では「敵を倒す」という事に意識を傾けがちな為に暴走行為を招くが、
パイロットの思考如何では失った記憶を取り戻したり、進むべき道を示してくれる場合もある。


非常に稀な例だが、秘密結社OZ総帥トレーズ・クシュリナーダは既に自身の未来を確固たる意志で見据えていた為、
システムは何ら具体的な未来を示さなかった。
凄いな総帥。


【搭載機】
A.C.歴で初めて設計されたガンダムにして、最強のガンダム。
当時は様々な問題から開発されなかったが、H教授の手によってコクピットブロックだけは完成していた。

ちなみに名称は「ウイングガンダムZERO」なので、一部媒体で書かれていた「ウイングガンダム0」という表記は略称である。


トレーズが五機のガンダムと、どこかから入手したゼロシステムのデータを利用して開発した新たなガンダム。
兵器としての実用性を度外視した「敗者の為の機体」だが、スペック自体はウイングゼロ以上であり、
強固な要塞バルジを一刀で両断陥落させたりしている。
実は公式でAC歴最強のMS。
尚、起動時に「SYSTEM EPYON」と表示されるが、実態はゼロシステムと同じ。



【システム搭載機同士の戦闘】
前提条件として、

  • システムの命令するままに戦った状態
  • 互いの総合戦闘力がほぼ同等

という状態で戦った場合、システムが特異な反応を示す事がある。

簡単に言うと、

  • システムが未来を予測する
  • 敵システムがその先を予測する
  • こちらは更にその先を(ry
  • 敵システムが更に(ry
  • こちらは更に(ry
…………

となっていき、最終的に「千日手」の状態となってしまう。
この場合システムがオーバーフローを起こし、過剰な情報量がパイロットの脳に多大な負担をかける。
事実、人間離れした強靭的な精神と身体を持つヒイロ・ユイゼクス・マーキスでさえ、
このオーバーフローに陥った直後は歩く事すらままならない状態となっていた。
またときた版コミックではヒイロとゼクスの決闘を無意味と判断しシステムが停止している。



【応用】
本来、このシステムはモビルスーツを「究極の戦術単位」に押し上げる為のものである。
が、システムの特性上、正しく使いこなせばパイロットは戦略的な視野をも持つ事になる為、戦術指揮システムとしてもその力を発揮する。

特にモビルドール(MD)の指揮においては、目標達成のために味方の損害を厭わないというゼロシステムの欠点と、死んでも替えが利く上に命令通り正確に動くが高度な判断ができないというMDの弱点を補いあうことが期待できる。

作中ではカトル・ラバーバ・ウィナードロシー・カタロニアが指揮システムとして使用し、大規模な指揮合戦を行っていた。

ちなみに、そんなゼロシステムも『Endless Waltz』では(MD共々)軽視されがちだったりする。所詮機械という事か。

二次創作にもちょくちょく出てくるが、公式アンソロではリリーナがヒイロをストーキングするために使ったり、
麻雀の最善手を導き出すために使ったり、占いマシンと化したりとカーナビ扱いされたりと、とても平和的()な使い方をされている。



【関連システム】
近年では公式続編への一部設定の逆輸入により公式か非公式か判断に困る外伝「ティエルの衝動」において、ゼロシステムのver2.0及び2.5が登場。

2.5は一般兵にも使えるようになっており、基本的にメンタルの弱いティエルでも難なく扱える点からして信頼性は高い。
しかし究極的な性能ではオリジナルより劣っており、またパイロットが窮地になると
パイロットの意思を無視して反撃を強要するなど暴走の危険性が全くないわけではない。
またティエンロンガンダムに搭載されているものはゼロシステムを介してモビルドールを遠隔操作する機能も有している。
作中ではティエンロンのゼロシステムに呼応するよう調整されたマリーメイア軍の試作型モビルドール・キャプリコーンを操っていた。
搭載機はウイングガンダムセラフィム及びティエンロンガンダム。

2.0は試験型という事もあり重大な欠陥が存在する。
システムの出した答えを直接フィードバックしパイロットを洗脳する危険な代物と化している。
結果としてテストパイロットのカール・ノンブルーはゼロシステムに洗脳され失踪してしまうことになる。
搭載機はガンダムルシフェル。

小説『新機動戦記ガンダムW外伝 右手に鎌を左手に君を』では、ガンダム開発者(新機動戦記ガンダムW)の昔の仲間、
マダムLが発展型に当たる「レミング・システム」を作っていた。
ゼロシステムでいう攻撃目標をパイロットだけでなく周囲にも送信することで敵軍をデスゲーム化させるというトンデモシステムで、
マダムLはこれを悔いて人を和解させるシステムに作り替えようとしていたが、
酸素欠乏症にかかった彼女は意味のない回路を加えるだけで危険視したドクターたちはデュオに中身を伏せて爆弾を届けさせ暗殺しようとしていた。


【ゲームでの扱い】
『EXVS』シリーズにおいては、一定時間誘導を切る効果の時限強化技として登場。
FB時代はゼロを最強格にせしめた技であったが、MB以降は1出撃1回に回数が限定され、使い辛くなった。

スーパーロボット大戦シリーズにおいては、当初は気力130以上でパイロット能力を増加させる能力であったが、
能力上昇幅があまり大きくなかった。しかし、第2次スーパーロボット大戦Z再世篇以降、気力に応じて能力上昇幅がアップするようになり、
気力限界突破や再攻撃といった一部スキルとの相性も良くなり、一気に強力な能力となった。

また、Zシリーズではガンダム00との絡みとして、イオリア・シュヘンベルグの遺産とされた。
奇しくも、ゼロシステムはヴェーダと同じ量子演算コンピューターの一種である。
何気にビリーも乗ってしまった(原作でのトラント特尉の代役であると思われる)。
再世篇中盤、ある人物の未来を見たために、ウイングゼロに乗ったヒイロと戦うことになる。
時獄篇ではシャアが己の迷いを断ち切るために使用した。

Xではスパロボ補正の仕掛けの一つを担い、
一介のパイロットに過ぎない男を激しく警戒し、その結果彼を救った。
一方で「ゼロ」で「未来予測」するシステムということもあってか、ZEROの名を冠するトンデモ機体に戦闘前会話で敵視してもらったりもしている…。

なお、スパロボでは何度か「ゼロシステムを以てしても勝利を予測することができない」という場面が何度か描かれている。
64では敗北する未来しか見せないため、パイロットがそれに抗いながら戦うしかなく、
Wでは現時点では絶対に勝利できないとしつつも、不確定要素の存在を示し、
SC2では絶対に勝てないので沈黙した。

あと、とある迷子を探し出すためだけに使われた事もある。



ちなみに同名の架空請求会社があるので注意。
もちろんガンダムWとは何の関係もありません





「怖いんだね……項目が消されるのが……」


「だったら、追記・修正すればいいんだよッ!」

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