ナタリア・カミンスキー

登録日:2012/01/31 (火) 12:12:00
更新日:2020/12/22 Tue 19:02:01
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「私は、『協会』相手のセールスマンさ」


Natalia Kaminski
CV:渡辺明乃


Fate/Zero』の登場人物。

衛宮切嗣の師。

端的に言えば魔術師の転売ヤー。魔術協会に先んじて魔術師を狩り、高値で転売していた。
封印指定執行者」を名乗っているが、封印指定を見つけ出す機会は10年に一度あるか無いか。獲物の多くは協会の規律に背いただけの外道である。

青白い顔の女性で、無表情。南国の島で漆黒のコートを着ていても汗一つかかない。
数代前の先祖にサキュバスを持つ血筋で、人並み外れた運動神経と、吸精による貯蔵魔力のブーストという特殊能力を備える。

「何があろうと手段を選ばず生き残る」が信条。
性格は冷徹そのものだが、根は中々いい人。どうやら切嗣を育てていく中で軟化していった模様。

荒稼ぎのためには手段を選ばない金の亡者かつ、宵越しの金は残さない豪快な快楽主義者。保護者としては倫理面でかなり問題があった。
切嗣に何度もセクハラをしていたが行為には及んでない。理由はちょっと本気の恋慕の情があったからという乙女心。
幼い頃から切嗣のフラグ体質は変わってないようだ。


封印指定の1人、衛宮矩賢を追ってアマリゴ島に現れる。既に魔術協会と聖堂教会によって島民は皆殺しにされ、集落は火の海だった。
その中で少年を助け出し、矩賢の居処を尋ねる。聞くだけ聞き出して立ち去るつもりだったが、彼に現状の説明を求められて渋々応じる。
少年から矩賢の家には厄介な結界が貼られていると聞き、万が一に備えて彼に拳銃を貸す。*1
件の結界は労せずして破る事ができ、早速突入したナタリアが見たのは、父の矩賢を射殺し、動揺で拳銃を手放せなくなった少年、切嗣の姿だった。
切嗣から拳銃を取り上げ、父殺しを犯した理由を聞き出すと、
ナタリアを待っていたら矩賢に逃げられる可能性があり、自分が殺すのが確実だったと返され、
「そいつは親を殺す理由としちゃ下の下だよ」と吐き捨てた。
会って間もない少年に「いい人なんだな」と言われた辺り、根は本当にいい人なのだろう。

その後、ナタリアは矩賢の遺体を回収し、切嗣を連れて島外に脱出する。
矩賢の遺体は魔術協会に売ったが、交渉で彼の魔術刻印の内、2割にも満たない絞り滓の切嗣への継承を認めさせた。


その後は切嗣を一端の働き手として育てていくことになるが、これは彼が望んだこと。

その中で自らの技術を叩き込み、それが彼の「魔術師殺し」たる原型となった。


それから数年後、運命の日が訪れた。

「魔蜂使い」オッド・ボルザークの追跡で飛行機に乗り込み、切嗣のサポートを受け対象を殺害。
しかし仕留め損ねた死徒蜂が乗客を襲い、乗客すべてが死徒化。

ナタリアは自ら飛行機を操縦して空港に向かうことになる。

飛行機を操縦しながら切嗣と会話する彼女は、この時だけなぜか饒舌だった。

切嗣が稼業を手伝いたいと言い出したことに頭を痛めたこと。

彼女は衛宮切嗣の潜在能力を見抜いており、彼がこの道を歩むことは人ではなく機械として歩むことになるということを。

容赦なく鍛えてしまったこと。
坊やを鍛えるのは父親の役目と知りながら甘やかさなかった。
多少心の中で引け目は感じていたのだろう、自分が原因みたいなものだと語った。

そして、家族みたいなものだったということ。
長い間師弟として過ごす中で、ふたりはいつの間にか互いを、親と子と思い始めていた。

会話の中で切嗣の「僕の父親のつもりで?」という発言に、ナタリアは「男女を間違えるなよ、失礼なヤツめ。せめて母親と言い直せ」と切り返した。
母親の居なかった切嗣は「……そうだね。ごめん」と謝る。彼がどんな表情を浮かべているか、無線は伝えなかった。

切嗣が不器用ながらも衛宮士郎の父親であろうとしたように。
士郎が切嗣の息子であろうとしたように。

ナタリアも不器用ながら切嗣の母親であろうとし、
切嗣もナタリアの息子であろうとしたのだろう。

着陸まで約20分という頃、彼女の息子はホテルではなく、対空ミサイルを片手に海上にいた。
地平線からナタリアの操縦する飛行機が姿を現す。

「……ひょっとすると、私ももう、ヤキが廻ったのかも知れないね」
「こんなドジを踏む羽目になったのも、いつの間にやら家族ゴッコで気が緩んでたせいかもな。だとすればもう潮時だ。引退するべきかねぇ……」
無線の向こうで、彼女は気楽に話す。

「―――仕事をやめたら、あんた、その後はどうするつもりだ?」
切嗣は対空ミサイルを構える。

「失業したら―――ハハ、今度こそ本当に、母親ゴッコぐらいしかやることがなくなるなぁ」

彼我の距離が1,500mを切る。必中確実。

「あんたは―――僕の、本当の家族だ」

それが彼女の聞いた最後の言葉だった。
彼女は愛する息子の手により飛行機を撃ち落とされ、死亡した。
放熱し始めたミサイルランチャーを握りしめ、切嗣は慟哭する。またナタリアの顔を見たかった、面と向かって「母さん」と呼びたかったと。

彼女の死は、衛宮切嗣の歩む道を決定するものとなった。
同時にここで、切嗣の憧れた正義の味方は死んだのだろう。

原作の小説で、飛行機が撃墜された瞬間は切嗣視点でのみ描かれ、彼女が最期に何を考えていたかは不明である。
アニメ版ではこうなる事を悟っていたのか一瞬だけ笑みを浮かべている。漫画版では独白で切嗣の選択を諦め混じりに受け入れた。
一方でサウンドドラマ版では想像もしていなかったのか、驚く様な声が入る。

原作では挿絵もなかったが、既にデザインはできていた。半公式同人誌『Fate/Zero Tribute Arts』で中央東口が、その限定版特典「Rough Material」で天空すふぃあが、それぞれTYPE-MOONのラフを借りて絵を描き起こしている。
アニメ版、漫画版、ソーシャルゲームとあちこちで描かれる様になった今も、TYPE-MOONのラフは非公開のままである。見られる日は来るのだろうか。


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最終更新:2020年12月22日 19:02

*1 アニメ版では拳銃を貸しておらず、この点でナタリアは切嗣に負い目を感じていない。