きかんしゃやえもん

登録日:2012/09/05(水) 15:43:28
更新日:2021/01/01 Fri 15:00:52
所要時間:約 3 分で読めます




◆概要

きかんしゃやえもんは、日本の絵本。
作者は阿川弘之(文)と岡部冬彦(絵)。
NHKでアニメ(影絵劇)になった事やアニメ映画化、3D映画化されたこともある。

◆あらすじ

とある田舎町の博物館に、その機関車はいた。
名前は「やえもん」。
かつては小さな田舎町を走っていた蒸気機関車だったが、時代の流れには逆らえず、今では蒸気機関車の殆どは廃止されていた。
やえもんは今ではおじいさん。
自分を見に博物館を訪れる人たちに、自分の青春、いわば昔話を聞かせるのであった。

◆やえもんは語る

おれは田舎を走っていた、しがない蒸気機関車だった。
でも時は流れ、新たに電気機関車が流通した。
おれはいつも電気機関車にバカにされていた。
蒸気機関車はもう古い。
「これからは電気機関車の時代だ」「貧乏汽車」と。
そこでおれは「まだまだ走れるぞ!」と、怒りを露わにし、走った。
だが、怒りを露わにしたせいで、煙突から火の粉が吹き出て、
それが原因で田んぼや畑はたちまち大火事。
勿論、駅には百姓たちから苦情が殺到。
おれはスクラップにされる運命だった…。
しかし、救世主が現れた。
その救世主こそ、おれを引き取った博物館の館長さんだ。
そんなワケで、おれはスクラップにされる運命を免れ、こうやって博物館に飾られておるんだ。
それじゃ、また来てくれよな。

◆主な登場キャラ

  • やえもん
主人公の蒸気機関車。既に相当な高齢*1で、あちこちガタが来ておりいつも走るたびに悲鳴を上げては「癪だ、癪だ」と怒っている。
電気機関車にバカにされ、ついムキになって火事を起こしてしまい、機関庫の奥に押し込まれ、スクラップにされそうな所を博物館に引き取られ、事なきを得た。
ちなみにモデルは国鉄150形蒸気機関車(1号蒸気機関車)。
日本に鉄道が開通した1872年にイギリスのバルカン・ファウンドリー社から輸入してきた蒸気機関車であり、国鉄引退後は長崎県の島原鉄道に譲渡されて活躍していた。
現在は埼玉の鉄道博物館にて保存されている。
作中の挿絵では鉄道作業局A8形に近い形状で描かれ、影絵アニメ版ではアメリカンスタイルなタンク機関車として描かれている。
アニメ映画版では有名なデゴイチことD51に変更されている。

  • 駅長さん
やえもんの良き理解者。
やえもんが偶然起こした火事が原因で駅に苦情が殺到した時も、
他の鉄道員共々、やえもんをかばってくれた。

  • 電気機関車
「新しい物は古い物より優れている」という考えを持っている為、やえもんをバカにしていた。
ぶっちゃけ、この電気機関車がやえもんを中傷しなければ、やえもんは火事を起こす事もなかった。
勿論、やえもんが博物館に行く事もなかった。
影絵アニメでは型式が特定できない姿だが、原作の挿絵では国鉄EH10形とはっきりわかる。
一方でアニメ映画版や3D映画版ではやえもんの敵役ポジションはいずれもディーゼル機関車が担っている。何故だ?

  • いちろう&はなこ
形式不明のレールバス(簡単に言うとバスの構造や技術を使って作られた小型のディーゼルカー)。前面窓の配置や屋根上の形状から国鉄キハ03型あたりがモチーフと推測できる。
電気機関車に笑われたやえもんを見て一緒に笑ってしまい、やえもんをひどく怒らせてしまったが、鉄屑にされそうになったやえもんを見たときは心を痛めていた。

  • 博物館の館長さん
小さな田舎町で博物館を営んでいる。
スクラップにされる運命だったやえもんを引き取った。
彼がいなければ、やえもんは危うくスクラップにされるトコだった。
いわば、やえもんの救世主である。
影絵劇版では今は亡き東京の交通博物館のスタッフになっている。


アニメ映画版のオリジナルキャラクター。
  • ネズミの一家
アニメ映画版や3D映画版に登場するオリジナルキャラクター。両作で面子は違うが、いずれもやえもんの世話をしているのが共通。


◆(あまり関係ない)余談

本作における「新しい車両たち」だが現実においてはかなり『皮肉』な末路を辿ってしまっている。
まず、意地悪な電気機関車(EH10形)は強力だが制御装置などの内部構造においてはよく言えば保守的、悪く言えば「旧型」なものとなっていた。作中でやえもんを指して言った「お腹の中まで真っ黒なオンボロ汽車」は自分にも跳ね返ってくる悪口であったといえるのかもしれない。
結局その巨体が仇となり、(やえもんのように)地方路線への転用などができなかったため30年も生き延びる事が出来ず一台を除いて廃車解体の憂き目にあってしまった。

駅で居眠りしていた機関車(EF58形)は本作の登場車両の中では比較的長命で、JRへの移行後も数両がイベント用に使われていたが、現在は老朽化によって全車両が引退している。

やえもんの跡を継いだレールバスたちに至ってはそもそもコンセプトが本物のバスで十分事足りる、耐用年数の短さなどといった理由から10年と少しという短期間で消えてしまっている。


追記・修正はやえもんに乗り、駅弁を食べながらお願いします。

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最終更新:2021年01月01日 15:00

*1 モデルの150形と年齢が一緒であれば80代は下らない。挿絵のモデルのA8形の年齢だとしても50~60年は経過している。