塗装(プラモデル)

登録日:2011/10/21 Fri 00:34:57
更新日:2025/04/28 Mon 05:11:37
所要時間:約 6 分で読めます






プラモデルを素組みした後、何か物足りない
そんな気がしないか?
なら…塗装してみようぜ!

難しいんじゃない?
上手く塗れないよ!

大丈夫! ちゃんと塗り方を知っていれば、誰にだって簡単に塗装出来るよ!



塗装する範囲での区分

部分塗装

文字通りプラモデルの決まった箇所だけを部分的に塗装すること。
「プラモデルの塗装」と言うと、多くの人は全塗装してオリジナルカラーのものを作ることをイメージするだろうが、実は必ずしもそれに限った話ではない。
プラモデルというのは基本的には単色で成型されたランナーからパーツを切り出し、それを嵌め合わせていって作るものなので、
必然的に「パーツで分けようにも細かすぎる」「コストの都合上用意できるランナー数が限られる」いった理由で、本来の設定や実物と細かい部分の色が異なってしまうことが多い。
そういった時に、再現しきれなかった色分けを補足するために行うのがこの部分塗装である。

近年では技術の進歩によって成型色でもほぼ完璧な塗り分けを実現している場合が少なからずあるが、後述する全塗装よりも手軽なため、簡単にオリジナリティを出したい場合に都合がいい。また、成形色を活かしてまるで全塗装したかのように短期間で仕上げる部分塗装フィニッシュなどもあり、様々な手法が編み出されている。
またスケールモデルなどのウェザリング*1もこれに含まれる。

上記の理由が主なため、使われるのは主に筆やペンとされるが、
豊富なパーツ分けがされるようになった昨今ではランナー単位で缶スプレーやエアブラシなどを投入することもある。

全塗装

その名の通り、プラモデル全体を塗装すること。
塗装を行うことでプラスチック特有の質感が抑えられ迫力が増すため、成形色と同じ色で塗装したとしてもその仕上がりには大きく違いが出る。手間は掛かるが、効果は大きいといえる。

設定通りに塗装する場合もあれば、完全なオリジナルのカラーリングにしたりキット化されていないバリエーションを再現したものも作れる。また、パテやプラ板を使用して改造した場合は必然的にこの塗装が必須となる。
多くの場合はこの上から更に部分塗装や墨入れを行うが、全てひっくるめて全塗装である。

POM素材のような塗装が非常にしづらいパーツや、可動部に使われたABSなど破損に極端に弱い&目立たない部位を塗らないという事例も多いがそれを全塗装と定義するかしないかは人それぞれ。
その他、プラスチックの成型時に出来たヒケとかが目立つ場合に、それらを目立たなくする意味合いでも行うことがある。こちらは、メーカー指定の塗料は配合割合が説明書に記載されているので、それに沿ってやると出来るだろう。
特に金、銀といったメタリックパーツはメッキでもない限りは十中八九金属色の粒子によるヒケやムラが出ているので、それを消す意味でもやるケースが多い。

使われるのは主に缶スプレーやエアブラシ等の噴霧系塗料。
塗装ブースを用意できなくても、サイズによっては筆塗りでもなんとかなる。

墨入れ

凹モールドや段差になっている部分等に沿ってペン等で影を作る塗装。
プラモデルを普通に組んだり塗装しただけだと、縮尺されたモデルに1/1の影が付いたり、本来モールドで表現されているパネルラインなどが目立たなかったりするので、どこかのっぺりとした違和感が生まれてしまう。
そこで、パーツに墨入れを行うことによってそこに「影」を作り出すことでよりリアルな質感になる。
最も手軽で、それでいて大きく印象を変えることのできる塗装と言えるだろう。
部分塗装以上のものでは充実した道具やまとまった時間が必要になるが、墨入れに限っては、ペンが1本あれば可能なため、小学生でも手軽に行うことができる。

基本的には黒系の色を使うが、大雑把に「地の色に黒を加えた物を塗る」と覚えておくとよい。
例えば白地の物に墨入れするならライトグレー、赤や茶色の地ならブラウン系を使うとか。
ある程度の大型モデルや素組みならガンダムマーカー(墨入れ専用の物がある)でもいいだろう。
逆にSDガンダムなど小さなモデルにガシガシ墨入れすると絵面がうるさくなってしまうので、そういったモデルには向かない場合もある。

筆による塗装を行う場合は、エナメル系塗料を薄く溶いて、モールドに[ちょん]と点けると毛細管現象で[スーッ]と爽快にスミ入れ出来る。
しかしこの手法には致命的な欠点があり、プラスチック、特にABS素材に塗装すると、パーツが脆くなり割れる恐れがある。サフやクリアコート、ラッカーで下地を作っておくと有る程度は防げる他、
近年ではアクリル系塗料を使って同様の方法でスミ入れする事も考案されている。
上述のガンダムマーカーにも流し入れ専用ペンがあるのでこちらを使ってもいいが、これはこれで他の塗装を溶かしてしまうため、素組みをお手軽にグレードアップするのに使おう。

使用する道具での区分


筆塗り

読んで字の如く筆を使用して塗装する事。極端な話が俗に言う塗り絵と一緒なので筆と塗料があれば出来はする。
マテリアルの進歩に伴い、熟達すると缶スプレーやエアブラシの塗装と見分けがつかないぐらいの仕上げにすることも不可能ではない。

長所 ・細かい塗り分けが可能
・塗装する時あまり場所をとらない
・自分で塗料を調合するなどの細かい調整が可能
・部分塗装が可能
・壁紙の汚損・騒音・排気を考慮する必要が無く賃貸住宅でも実行可能
短所 ・幅広い面を塗装する時に時間が掛かる
・慣れてないとムラが出来やすい
・意外と前準備がかかる

マーカー塗り

「ガンダムマーカー」等マーカーペン型の塗装具を使用して塗装する事。
その昔にはマッキーを使って塗る猛者もいた。というか昨今では明らかにプラモに使われる想定で出しただろっていうマッキーもあったりする。
手軽さが強調されがちだがエアブラシ風の塗装が可能なツールも存在している。

長所 ・(自分が)汚れにくい
・道具を洗う必要がない
短所 ・塗料の消耗が早め
・入り組んだところを塗れない(筆塗りと併用でカバー可能)
・規定された色しか塗れない
備考 ガンダムマーカーは大半がアルコール系のため、他の塗料の上から塗ると下地を溶かしてしまう。
また、一部のマーカーはエアブラシツールとのセットを前提にしており、マーカー直塗装に向かないものもある

スプレー塗り

スプレー缶やハンドピース(エアブラシ)を使用して塗装する事。
基本的には全塗装向けだが前述の通りランナー単位の部分塗装にも対応する。

長所 ・幅広い面を一気に塗装できる
技術や塗料にもよるが塗面をムラなく滑らかにしやすい
短所 ・塗装する場所の確保が必要
・細かい塗り分けが面倒
・マスキング不足による被害が痛い
・誤射すると周囲にまで被害が及ぶ
・何かしらの環境配慮が必須。特にエアブラシは排気・騒音を考えると賃貸住宅での導入は困難

以下、スプレー缶とハンドピースの長所と短所も説明。

スプレー缶 ハンドピース
長所 ・場所さえ確保できれば一番手軽
・手入れも非常に簡単
・噴射圧が強いのでムラになりにくい
・自分で調色したオリジナルカラーで塗装できる
・水性塗料スプレーが可能
・エア缶式ならスプレー缶と同じ噴射圧で塗装可能
・コンプレッサー式ならスプレー缶より長時間安定した噴射圧で塗装出来る上にコストパフォーマンスも優秀
短所 ・どうしてもランニングコストが掛かりがち
・容器の管理と空になった場合の後始末が一番大変
・使用中は缶が冷えていくため噴射圧が徐々に下がる
・薄め液が必須
・とにかく設備投資にかかる費用と使用後の手入れの負担が大きい
・ボトル部分の細かい掃除が必要。
・エア缶式は方式上の問題でスプレー缶同様にランニングコストと噴射圧の安定性に難あり
・コンプレッサー式は初期費用の割に噴射圧がかなり低く、細かい調整が必要

塗装に使う道具


筆、平筆、面相筆

種類が非常に多いが、プラモデルに塗装する場合塗料との相性が考慮されているプラモ・模型用の物を購入した方がよい。
普通の絵画用の筆などは模型用の強い溶剤の元では纏めている刷毛部分があっさり解けて抜け落ちていくからである。
(模型誌などではプロが絵画や伝統工芸用など、他用途の物を薦める場合があるがアレは基本的に使い捨てたり作りまくってスキルを上げて道具選びのスキルが身に付いた頃用のツール)
安いものを買って使い捨てにするか高いものを買って長く使うかは人それぞれだが、基本的には消耗品でありいずれは使えなくなる想定はした方が良いかも。

スプレー塗りをメインとする場合でも、部分塗装やリタッチ(塗料が剥がれた場合そこにピンポイントで色を乗せて目立たなくする)に使えるので一通り持っておくのが望ましい。
特に面相筆はリタッチに便利なので、使い捨てでもいいから複数持っておくと捗る。

マーカー

油性のマーカーであれば一応塗れない事もないが、やはりガンダムマーカー他模型用の物がオススメ。
ガンダムマーカーはその殆どがアルコール系塗料のため重ね塗りにはほぼ使えないが、速乾性に優れておりその点では非常に扱いやすい。
初期のものは隠蔽力や発色が悪いものが多いが、後発のものについてはどちらも改善されてはきている(特にメタリック系)

スミ入れ用はガンダムマーカーでもスミ入れ用ペン、流し込みスミ入れペン、スミ入れ筆ペンなどが存在するが、
「流し込みスミ入れ」は(マーカーの注意書きにもある通り)塗面を溶かしたりABSを割ったりするので基本的にはPS(KPS)素材のパチ組向け。スミ入れ筆ペンは水性なので必要ならそちらで。
変わったところではリアルタッチマーカーというウェザリング用の水性ペンがあるが、実はスミ入れ用としても活用できる。こちらは溶剤不使用なので塗装面やABS素材相手でも問題なく使える。

ペン先のサイズや使い勝手から、主に画材としての需要が高いコピックを好んで使うユーザーも多い。
そのせいか、玄人向けのコピックモデラーといった物もある。
またエナメル塗料に近い性質のマーカーもあり、そちらであればエナメル溶剤でのふき取りにも対応している場合がある。

ペン先をプッシュして塗料を充填するタイプのマーカーは押しすぎると塗料が漏れ出してしまうが、それを逆手にとってしみ出した塗料を筆に付けて筆塗りすることができる。細かい部分の塗装に便利。

スプレー缶

調合してある色で塗る分には非常に便利。ただしプラモの大きさや色によっては缶一本では足りなかったりすることも。
オリジナルカラー?諦めろ!
棄てる時にはちゃんとガス抜きするように!

エアブラシ

空気を圧縮して送り出すコンプレッサーと塗料を吹き付けるハンドピースの2点セット。というかハンドピースが本体。
原理は巨大なスプレー缶。コンプレッサーがガス缶、ハンドピースが噴射釦になっているような物。
コンプレッサーと一緒に売っている物と、別売りな物とある。
当然場所をとるし、コンプレッサーは騒音の心配が付きまとう。
コンプレッサー共々非常に高価だが、少なくともハンドピースは整備性の差が浮き彫りになるので日本製推奨。

コンプレッサーを超小型化してバッテリーと共に収め、更にハンドピースと一体化までした充電式のエアブラシというものも存在している。
高品質なものであればコンプレッサー独立型に匹敵するエア圧で運用できるが、バッテリーが消耗するとエア圧も低下する(それに対応して一定まで圧が減ったらオートカットする製品もある)のが弱点。

また、昨今では缶スプレーとエアブラシの中間的な製品も販売されており、エア缶をハンドピース(或いはそれのようなもの)に接続することでコンプレッサーを必要とせず、
缶スプレーのような使用感で自分でセレクトした(調色にも勿論対応する)塗料を塗布することができる。
ただしエア缶が冷えると圧力が一気に低下してしまうので、長時間の使用には向かないしコスパも悪い。
この仕組みを応用してガンダムマーカーをエアブラシ風に吹きつけられる「ガンダムマーカーエアブラシシステム」なんてものも存在する。

塗装ブース

箱型の壁で作られた、他に塗料を飛び散らせないようにするためのスペース。
スプレー塗りをするならほぼ必須。無いとマジで大惨事になります。
屋外であれば段ボールに塗料飛散を防ぐもの(新聞紙とか)を詰める簡易的なものでも対応できる。

屋内の場合は塗料自体の臭気を逃がす仕組みがないと塗料によってはこれまた大惨事というか健康被害が起こるので更なる対策が必須。
多くの場合、溶剤ごと粒子を吸い取ってフィルターで塗料をキャッチし、溶剤臭を屋外に吐き出すための換気装置をセットすることになる。
自作もできるが市販品でも優秀なものが販売されているので色々調べてみることを勧める。
なおほぼ無臭のエアブラシ用塗料や溶剤臭が殆ど無い缶スプレーも存在し、ガンダムマーカーエアブラシシステムであれば無臭で作業はできるが、どのみち屋内でスプレー塗りをするなら飛散を防ぐブースは必須だろう。

乾燥ブース

塗装した後のパーツを立てかけておくための物。
猫の爪研ぎのように大量に穴の空いた基部に猫の手*2を差し込んでその先端にパーツを固定するのが一般的だが、食器洗い用のスポンジなんかでも代用できなくはない。

食器用乾燥機

YAMAZENより発売されている食器用乾燥機。
密閉された容器の中でぬるい風が吹く、食器用乾燥機としては落第物のスペック。当然通販サイト等でのレビューコメントでも低評価が多めなのに対して、
「密閉されている」→「ホコリが付着しない」、「ぬるい風が吹く」→「塗料を適度に乾燥させつつパーツを過熱変質させない」といった点からプラモデル用乾燥ブースとしては大好評という珍現象状態。
しかもお値段もそんなに高くない(からこそ食器乾燥機としては微妙な性能なのだろう)。
また、ジョーシン限定モデルとして白物家電とは思えないオリーブドラブ色のモデルが販売されていたこともあり、食器乾燥機としては低品質ながらロングセールスとなっている。
ちなみにヨドバシアキバ店では冗談抜きで「家電フロア・キッチン周りコーナー」ではなく「おもちゃフロア・プラモデルコーナー」に展示されていたことすらある*3

ただし、あくまで「食器乾燥機の用途外使用」であることは忘れてはならない。使い方を誤るとパーツを溶かしたり火事のリスクがあったりする。
SNSで(プラモの換装に本機を使ったことが原因で)あわや火事になりかけたという発信がきっかけでYAMAZENも「食器以外の乾燥には使わないで」と声明を出す事態になったことも。
それに対して模型用と称して売ればいいという声も散見されたが、カテゴリーが全く異なるため品質保証基準などが大きく変わってくるので現実的ではない。
どうしても使いたいなら自己責任で。

なお「食器乾燥機として」優秀な製品は塗装プラモの乾燥には向かない可能性が高い(温度が高すぎてパーツが変質するリスクがある)

割り箸

手を汚さない為の万能道具。
両面テープを張ってパーツくっつけたりピン穴に差しこんだりと様々なところで使う必需品。
前述の猫の手でも一応代用はできるがある程度持っておくと便利。安いし。

爪楊枝

面相筆代わりに細部の色塗り、マーカー塗りの強い味方。
割り箸では差しこみができないパーツの乾燥用にも。
また、成形色の上に塗ってはみ出したエマルジョン系塗料(後述)を削り落とすのにも使えたりする。デザインナイフでもいいが下地を傷つけにくいのが利点。

綿棒

爪楊枝では傷が残る様な繊細な作業などに能力を発揮。
スミ入れしてはみ出した部分に溶剤を付けた綿棒を当てて拭き取ったり、タンポ代わりにも使える。
ただし最近の耳掃除や医療用で使われてるキチン質などのコーティング加工等がされてる物は模型用途に向かないので注意。
量重視であればそういう処理のない市販の綿棒でも構わないが、質と扱いやすさにこだわるのなら模型用として売っているものを使おう。

キムワイプ

離型剤や塗布面の手の脂等を拭き取る際に有用。
ティッシュでもいいが、キムワイプは繊維が付着しにくいのでその点でもプラモ向け。

ちなみにティッシュにせよキムワイプにせよ、これを使ってプラモをふきふきするとちょっとした磨き材のような効果を発揮できる。
例えば塗装前にやすりがけをした後の最終フィニッシュとしてティッシュで磨くなどが考えられる。

発泡スチロール

割り箸を差す土台。
塗ったパーツを乾かす時、スプレー塗装する時等マジ便利。

マスキングテープ、マスキングゾル

塗り分け界の救世主。
テープはしっかり多数貼り付け隙間から塗料が入り込まない様に、ゾルはしっかり固まるまでガマンしましょう。
ゾルの中には高価だが、切り外し可能な高品質の物もある。

新聞紙

塗装時の被害軽減。広域マスキング等コレも必需品。

砂消しゴム

少し位の色漏れなら乾いた後にコレで削れば解決。

プラスチック消しゴム

ガンダムマーカーや水性塗料でのスミ入れのお供。
余剰部分を擦ればスミ入れが綺麗に仕上がる。でも力加減には注意。

中性洗剤

離型剤が付着している古かったり出元が怪しい海外製キットなどを組むときに必須。
後述の通り塗る前にこれで洗わないと塗料が弾かれ上手く乗らない。
パチ組シール貼りでも離型剤がシールの糊付着を阻害し剥がれやすくなるのでパチ組でもやった方がいい。

無印のマジックリンもオススメ。というか無印マジックリンはラッカー塗料や下地を阻害せずにアクリル塗料だけを綺麗に溶かせる事が判明しており、
アクリル塗料や水性マーカーのはみだしは専用溶剤を使うより、マジックリンを付けた綿棒で拭いた方が綺麗に拭き取れる。
やろうと思えばアクリル塗料をマジックリンで溶いて流し込みスミ入れしたりすることもできるらしい。
新型コロナ流行直後は一時品薄になっていたが現在では概ね安定して購入できるので、一本持っておくと捗る。

歯ブラシ

キット洗浄の強い味方。山切りカットは歯だけのモノじゃ無い!
事前に洗う時、これを使えば表面処理などで生じたプラ粉末を簡単に落とせる。

塗料皿

ステキな銀色の小皿。
使う分だけ塗料を入れたり、調色したり。
ちなみに昨今では銀以外の小皿もあったりするので好きな物を選ぼう。

ホコリ取り

塗装、特にスプレー塗りの最大の敵であるホコリを取るためのツール。
プラモ用の除電クリーニングブラシがタミヤなどから出ているのでそれを使うのがオススメ。
あとはエアダスターなどで吹き飛ばすという手もあるが、他のホコリを巻き上げてしまう可能性もあるので一長一短か。


塗料の種類


ラッカー系塗料

速乾性が高く、色ムラが起きにくい。
更に原理的にプラの表面をすこーし溶かしてくっ付くので完全乾燥すればかなり剥がれにくく、塗った上からアクリル系塗料やエナメル系塗料を塗っても下地を侵さない(溶けて混ざらない)。
なので重ね塗りの下地に最適な他、強度が高いので可動モデルにもかなり適している(それでも擦れるとあっけなく剥がれるが)。

最大の問題は臭気。まぁ一言で言えばシンナー臭い匂いが漂うことになる。
蓋を一瞬空けての筆塗りでさえも物によっては結構きつく、それを噴霧しっぱなしになるスプレー缶やエアブラシではもっとすごいことになる。
充分に換気しないと部屋中がラッカー臭くなるぞ!つーかシンナー中毒の危険があるから換気は絶対だ!防毒マスクも忘れずに!
引火性が高いため、火気も厳禁である。

実は日本以外では結構マイナーな部類。シンナーの規制が厳しい欧米では、この系統の模型用としての製造販売を法律で禁止している国もあるほど。
GSIクレオスが水性ホビーカラーを開発したのもそれが理由である。
日本国内においてはそのクレオスのMr.カラー、ガイアノーツのガイアカラーやタミヤカラーのラッカー系、グリーンマックスの鉄道カラーなど、選択肢の幅が非常に広い。
缶スプレーもその殆どがラッカー系である。

速乾性と色ムラが発生しにくいため昔は筆塗りでもよく使われていたが、乾くのが早すぎてリターダー(乾燥遅延溶剤)無しでは面積を塗るのがかなりキツイ。
おまけに臭気のデメリットが否めず、重ね塗りも難しいので、水性系塗料の品質が向上した現在ではラッカー筆塗りはメジャーではなくなっている。リタッチなどで使うことはあるだろうが。

ちなみにラッカー系というが厳密にはこちらもアクリル塗料の一種となっている。
ホームセンターなどで「ラッカー塗料」として売られている塗料については、プラモの塗装に使えるものと使えない(パーツまで溶かしてしまう)ものがあるので注意。

エナメル系塗料

発色は一番良いものの、乾くのが遅く、塗面も弱い(完全乾燥でも素手で触ると発色が鈍るほど)。
ラッカー系やアクリル系に上塗りしても平気なので、スミ入れや細かい部分の塗り分けに向いている。
乾くのが遅いのを逆手に取って初心者でもムラが出にくい塗面を作れるのも利点。

海外では下記のアクリル系塗料同様、こちらのほうがメジャー。
代表的なものはイギリス製のハンブロール。日本でも入手可能。国内ではタミヤカラーとガイアカラーにエナメル塗料もラインナップされている。
なおタミヤエナメルの内、「ゴールドリーフ」「コッパー」だけは一般的なエナメル塗料の性質とは全く異なっており、重ね塗りには対応しておらずエナメル溶剤にも綺麗には溶けない。どちらかというとラッカー塗料に近いらしい。

水性塗料(アクリル塗料)

ラッカー系に比べると乾きが遅い。匂いも少なく、ラッカーのように有害物質をあまり出さないので手軽に塗装ができる。
水性なので乾燥前なら水で落とせるし、前述の通りマジックリンでも綺麗に落とせる。
重ね塗りする場合、ラッカー系に負けるので下地に向かない。

日本国内においてはタミヤがタミヤカラーよりアクリル塗料ミニを出している他、GSIクレオスが水性ホビーカラーを展開している。
クレオスは前述の通りラッカーよりも安全性の高い水性ホビーカラーの開発を積極的に行っていく方針が出されており、
2019年より展開されている「AQUEOUS」ブランドの製品(新水性ホビーカラーなどとも言われる)は、水性塗料でありながらラッカー塗料に近い速乾性と塗膜強度の強さを実現している。
タミヤのアクリル塗料ミニもかなり高品質でロングセールスになっている。当然ながらどちらも筆塗り・エアブラシの両方に対応している。

前述の通りラッカー系と称される塗料と上記のアクリル塗料は原理的には同じであり、溶剤で油性素材を溶かして定着させる。
なのでこのタイプのアクリル塗料も若干ではあるが溶剤臭がするし、ABS破損リスクや引火の危険もある。
安全性そのものはラッカー系より高くなっているが、換気はしっかり行った方がいい。

水性塗料(エマルジョン塗料)

『乳化』を利用して素材を溶かして定着させるタイプの塗料。
専用溶剤も含めて匂いが全くと言っていいほどなく、引火のリスクもないのでリビングでも安心して塗装できる。
原理上一切下地を侵さないのでABSでも全く問題なく塗装でき、完全に乾燥させた状態であればラッカーやエナメルの重ね塗りの下地にもなる。
完全乾燥前なら水で希釈でき、マジックリンでふき取れるのもメリット。塗膜強度は完全乾燥すればかなりの強さで、その乾燥も非常に早い。
弱点としては乾燥が早すぎるため、エアブラシで吹く場合は丁寧かつ頻繁に清掃しないとすぐにハンドピースが詰まってしまうことが挙げられる。

日本国内においてはGSIクレオスがアクリジョンという製品群をリリースしている。
前述したメリットはあるが、隠蔽力などに難がある(AQUEOUSのような改良版が出ていないのもある)という声がチラホラ。
海外、特にヨーロッパでは上記の規制の件もあってかこの系統がかなり発達しているので、速乾性・高品質の物が多い。
特に有名なのがスペインのAcrylicos Vallejo S.L.社の 「ファレホ」 イギリスのゲームズワークショップ社の 「シタデルカラー」 の二つ(どちらもエマルジョン塗料)。
ファレホは国内の流通先が極端に限定されている(オンライン通販はある)が、種類が極めて多くいずれも高性能。1本あたりの価格もそこまで高くはない。
シタデルカラーは元々ミニチュアを塗るための塗料なので筆塗り塗装に適した性質を持っており(エアブラシ用に希釈されたものもある)、特にベースカラーが明暗問わず隠蔽力が強い。
値段は高めだが、基本的なベースカラーを1つ持っておくとちょっとした部分塗装に非常に捗る。
他にもアモやグリーンスタッフワールド、AKインタラクティブなどがこの系統で塗料を出しており、ヨドバシカメラやマニアックな通販サイトで入手可能。
シタデルカラーに関しては、ウォーハンマー専門店やゲームズワークショップ直営の「ウォーハンマーストア」でも入手可能。
海外メーカーの製品は輸入コストなども加算されるので、値段が高いか流通先が極端に限られるのは弱点と言える。

ウェザリングマスター

ファンデーションのような見た目をした、アクリル系のマテリアル。
粉末状なので触ると落ちやすく、塗装後はトップコートで保護しよう。
付属の筆や綿棒などで模型に擦り付けることで簡単に汚し塗装を施せる。
スケールモデルやガンプラのウェザリング以外にも、美少女プラモデルの顔の化粧に使うことも。
この他、食品サンプルの焼き色の表現やぬいぐるみのチーク用として使われることもあり意外と用途は広い。
というかタミヤのスイーツデコ用の「焼き色の達人」はまんまウェザリングマスターから色を選りぬいたものである。

薄め液

塗料や溶きパテを薄めたりエアブラシや筆を洗ったりと用途の広い魔法の液体。
要は塗料の構成物の一つである「溶剤」単品の状態*4
なお一部の商品名でそのものズバリ示されている通り「シンナー」の一種である。
使い終わったらティッシュに染み込ませて燃えるゴミとして捨てましょう。吸うのはダメゼッタイ。

ちなみにエナメル、アクリル塗料にも薄め液が存在している。
エナメルは灯油っぽい匂いがするのが特徴であり、実は素材的にジッポライターのオイルが非常に近いのでジッポライターのオイルでエナメル塗料のふき取りが出来る場合がある。
アクリル塗料の方はラッカーより圧倒的に低臭(それでも原理的には溶剤の匂いはする)であり、エマルジョン塗料の薄め液に至っては無臭。

ペイントリターダー

塗料の乾燥を遅らせる液体。基本的には塗料(或いは薄め液)に少量混ぜて使われる。
乾燥を遅らせていいことがあるのかと思うかもしれないが、乾燥が遅いと平滑化されやすくなりより滑らかな塗面になりやすくなる。
また、筆塗りの場合も乾くのが遅くなればその分だけ筆運びがスムーズになる。とは言え入れすぎるとどれだけ経っても乾かなくなるので注意。
薄め液にリターダーを適量配合した「レベリング薄め液(GSIクレオス)」「ブラシマスター(ガイアノーツ)」なんてものも存在する。

洗浄液

筆やハンドピースなどの道具の洗浄に特化した溶剤。
非常に強力で薄め液よりも少量で道具の汚れを落とせるが、その分取り扱いには注意が必要で臭いも段違いにキツイ。
間違ってもプラモデルをこれで拭いてはいけない。一発で下地がダメになる(それを逆手にとったウェザリング技法もあるにはある)

クリヤーコート

塗装の最後に塗り重ねる、透明のコーティング。トップコートとも。
ツヤ出しとツヤ消しがあり、最終的に塗面を保護するために使用される。
これもラッカー系と水性があり、GSIクレオス製のものを例に取ると、クリヤーコートがラッカー系でトップコートは水性。
透明の塗料を塗っていると考えれば分かりやすく、注意点はそれぞれの塗料と共通するのだが、
つや消しのクリアーコートは原理上、高い湿度の場所で拭くとパーツが真っ白になる「白化」と呼ばれる現象が発生しやすい。
プレミアムトップコートなどよっぽどメチャクチャな湿度で吹かないと白化しない製品も出ているが、湿度にも注意を払いたいところ。
またデカールが心配な場合、及び水性やエナメル系をガッツリ使って塗装したキットはラッカー系よりも水性の方が低リスクにはなっているが、
最終的な塗面強度はラッカー系の方が当然高いので痛し痒し。

ちなみに成形色の進化に伴い、成形色につや消しクリアーコートを吹くだけで全塗装のような質感を得られるキットも増えてきている。
当たり前だが透明のコートを吹いているだけなので動かしてコートが多少剥がれても見た目の変化は感じにくく、
スプレー塗りの出来る環境なら1本持っておくと捗るだろう。

最大の欠点は「薄く重ねる」ことでコーティングする以上、筆でコートできる製品が存在しないこと。*5
そのためスプレー塗りが一切出来ない環境では使う事ができない。

サーフェイサー

通称サフ。名前の通り本来は平滑状態(サーフェイス)の確認に用いられていた。
いわゆる「パテ」を溶いた物で、GSIクレオスが出しているものは番号が振られているがこれはパテの濃さを示している。
基本的には本塗装の下地として塗られるものである。

ぶっちゃけ無くても塗装はできる(通称サフレス)し、スケールモデルなどサフレスが適しているプラモも少なからずあるのだが、
主な使い道としては以下が挙げられる。
  • パテやプラ板、レジンキットなどの自作パーツの成形確認
  • 細かいやすりキズを埋めて下地を平滑にする
  • ミキシングキットなど成形色がバラバラなプラモで下地の色を統一する、或いは透けやすい成形色の透け防止
  • 塗料が少し乗りにくい場合の下地として(後述)
  • 高隠ぺい力塗料として使う(後述)

クレオスで言うと番号が小さいもの(800~1200)はキズ埋めなどによく使われ、仕上げに1500番(ガイアノーツのサフも概ね1500準拠とされている)を吹くと言った具合。
サフを吹くことで精密な造形を損ねる場合もあるので、使うかどうかはキットや自分の改造の方向性などにもよるだろう。

塗料が乗りにくい場合の下地についてだが、近年では塗料の高性能化に伴いサフの有無では食いつきやすさは殆ど変わらないとされる。
ただしタミヤの「ファインサーフェイサー」のような、後述するプライマーが配合されているものについては定着を良くするためのマテリアルとして活用することはできる。

変わった所ではサフ自体がいずれも高い隠ぺい力と塗膜強度を有しているので、そのまま塗料として使うというものがある。
1200番まではザラついてしまい使いにくいが、1500番は普通の塗料とそん色ない滑らかさで塗ることができるためである。
ガイアノーツはそれを活かし、部位によってはそのまま「色」としても使える「メカサフ」といった変わり種も出している。
色のラインナップについては1200番までは成形確認用のグレーと白塗装下地のホワイトぐらいしかないが、
クレオスの1500番ではライトグレー、ホワイト、ブラック、マホガニー、ピンク(赤や黄色の発色に特化したもの)、ガイアノーツはライトブルーやシルバーと言った隠蔽力の弱い色の発色を強化するのに特化した物もあり結構豊富に存在する。
変わり種としては「透明」のサフがあったりする。何に使えるのかというと、サフレス塗装したい場合に多少の傷埋めとプライマー効果を期待して使用する。

なおこちらも基本的には吹き付け塗装を前提としているが、最も番手の低い「溶きパテ」は文字通り溶きパテなので筆塗りが推奨されている(エアブラシでは濃すぎて出ない)。
水性のサーフェイサーも一部存在しており、低臭で作業ができる。

プライマー

塗料の食いつきを良くするための液体。真鍮やホワイトメタル、レジンキャストを塗る際の必需品。
吹かないと塗装がポロポロと剥がれ、マスキングテープを剥がした時に塗装ごとベリッと剥がれて悲惨な事になる。

金属用のプライマーであるメタルプライマーや、金属以外にも使えるマルチプライマーなど割と種類が豊富。
筆塗りでもエアブラシでも使えるが、後者の場合「金属にも塗料が定着する」という特性を忘れるとえらいことになるだろう……

実は前述のサーフェイサーにもプライマーが配合されている製品が存在している(タミヤのファインサーフェイサーなど)。
下地を活かす、細かいモールドを埋めたくないとかでなければ、それらを使ってもよいだろう。

塗る前の注意点


←□■→
明色     暗色

塗料には明色と暗色があり、明色になればなるほど下地の色を透過しやすくなる。
なので、基本塗装する場合は明色から塗るか、明色の部分が少ない場合はマスキングをしておくこと。
またキットの成形色によっては、下地の必要性も変わる。

基本キットは金型から外し易くするために、少量の機械油(離型剤)が付着している。
日本向けの玩具なんかは検品の際のある程度の洗浄工程が有るおかげなどもあり比較的少なめ(特にガンプラは殆ど付着しなくなっている)だが、海外キットだと金型から外した直後そのままの油塗れの状態になっている事すらある。
なので、袋を開けた後のランナー状態で薄めた中性洗剤(水10に対して1ぐらい)で10分位浸け置き洗浄し、次に水分を飛ばし自然乾燥で乾かそう。
コレをやったのとやってないのでは色乗りやシールの付着率が違う。
また手の脂も触っている内に付着するので、塗ったりシールの付着する面は触れたらキムワイプ等で拭こう。
乾かす時は基本自然乾燥。ドライヤーや電気ストーブ等の強制加熱で水分を飛ばすのはご法度。プラ材が熱で変質して曲がったり溶けて変形する恐れがある。
加えて衣類乾燥機やエアコン・空気清浄機のドライ機能も、細かい埃が吹き付いたり部品が風で飛ばされたりとこちらもあまりよろしくない。
面倒ならばサフを吹いて強引に上塗りするのもヨシ。

ラッカー系ではあまり無いが、アクリル系やエナメル系は保管中の瓶内でよく溶剤と顔料が分離してたりする。
これが色ムラの原因の一つ。使用前にはよく掻き混ぜる事。
「これぐらいかき混ぜればいいだろう→いやいや、もうちょっとかき混ぜよう」……を3回ぐらい繰り返して丁度いい位。
明らかに瓶の中が乾いてる場合は、溶剤が揮発して無くなっているので薄め液こと溶剤を足せば改善できる。
瓶の蓋に塗料が付いて乾燥固着して開かない場合も、溶剤を流し込んで固まった塗料を溶かせば開けられる。

塗る前の最重要ポイント
窓を開けろ!
暑かろうが寒かろうが、換気が大事です。
ただし、換気したらしたで近隣から「シンナー臭い」と苦情が来る危険性もあるので住宅密集地帯や集合住宅にお住まいのモデラーは注意されたし。
気になる様なら、脱臭機能付き塗装ブースを導入しよう。それでも苦情が来る場合はエマルジョン塗料での塗装を検討すべし。
周囲環境への配慮がプラモの塗装を長く続ける上で一番重要なポイントになる

また、大きな模型店では専用の工作室を用意していることがあるため、環境上難しい場合は塗装の際にそこに足を運んでみるのもいいだろう。
一般の家庭用空気清浄機にこの手の換気の役割を求めるのはやめよう。フィルターの寿命とかが縮んだり故障するリスクが高まるぞ。


塗る時の基本


どの塗り方でも基本的に、縦なら縦、横なら横と縦横交互に一方向に「井型塗り」をすること。
この塗り方をする事で、塗料を一方向に延ばしダマになりにくくする効果がある。


筆塗りの基本


筆塗りをする時一番気をつけるポイントは、筆先の塗料の量。
塗料をつけ過ぎず、キチンと筆先を絞って溢れさせないこと。垂れる位付けたらダメです。
塗った後ダマになるようならば塗料のつけ過ぎ。
コレさえ気をつければキレイに塗れる。
そして塗る時に筆先が重く感じるようであれば、専用の薄め液でほんの少し薄めるといい。


スプレー塗りの基本


まず、自分は機械だと思え
これはスプレーする時、一定の速度で一定の距離で塗らなきゃいけないから
でないとダマになったり、色ムラが起こりやすくなるから

パーツ
▼     ▼
■  →  ■
吹き始め     吹き終わり

後は上の図のように塗装
パーツは動かすな!スプレーを動かせ!
パーツとスプレーは、手首から肘程度の距離に離しておくのがよい。
吹き始めから吹き終わりまでが2〜3秒が望ましい。
サッと横切らせる事、塗料がもったいないとかケチなこと言わない。
コレを何度も繰り返すと、キレイに色が乗る。

上でも触れたが最大の敵はホコリ。
パーツについているのを丹念に落としても、風を吹く関係で舞い上がったホコリが付いてしまうこともしょっちゅうある。
塗装ブースや周囲の掃除を先にしておくとよいだろう。高湿度は敵だが湿度が低すぎてもホコリが舞いやすく乾燥が遅れるなどの問題もあるので、冬場などは軽く霧吹きを吹くのも手。
それでも絶対に付かないとは言い切れない。付いたホコリはすぐに取ろうとせず、完全に乾いてからコンパウンドやメラミンスポンジ(いわゆる「激落ちくん」)などでやさしく削り落とした方が綺麗になる場合が多い。

マーカー塗りの基本


基本は筆塗りと変わらない
ペン先は押し付けない、なでるように塗れ
ペン先が重くなってきたら塗料皿や汚れてもいい物の上で、1〜2回ペン先を深く押し込んで塗料を補充
やり過ぎに注意、ダマになるぞ
ペン先の種類は少ないので
細かい部分の塗装はマーカーの塗料を塗料皿の上に出して爪楊枝か串を削ったやつで塗る
無理した所ではみ出た部分のリタッチが筆塗りより難しい状態で続くだけ。 


塗装し辛い素材

一般的なプラモデルはポリスチレンを素材としたスチロール樹脂(PS)が使われており、各種塗料もそれに塗ることを前提に設計・開発されている。
逆に言うとそれ以外の素材が使われている場合、塗料によっては定着しない、素材が変形・割れるなどのトラブルが起こることがある。

  • ABS
ABS樹脂を使用したパーツはPSに次いでよく使用されている。樹脂に粘りがあり、関節などの負荷がかかるパーツに採用される。
バンダイは環境への配慮などから2018年ぐらいから粘りを持たせたPS(KPSと呼ばれる)素材を使うようになりABSレスのキットも増えているが、それ以前のプラモでは関節等にABSが多用されている。

塗装自体は出来る(塗料の定着はちゃんとしてくれる)のだが、樹脂の性質上ケミカルクラックを起こしやすくなっており、キツイ篏合などがあるとそこから溶剤が浸透して割れるリスクがPSよりも高めになっている
溶剤の強いラッカー塗料では特に顕著であり、メーカーでは原則として「ABSは(ラッカー塗料では)塗装できない」とうたっていることが多い。
もっとも、篏合によるクラックに溶剤が浸透する事が原因で発生する事象なので、各パーツのハメ合いをしっかり調整して可能な限りバラした状態で塗装する、長時間溶剤に漬けない(希釈率を上げ過ぎない)などで対処しているモデラーも少なくはない。
アクリル、エナメル、アルコール系塗料でも同様のリスクがあるが、例外としてエマルジョン塗料は溶剤を使っていないのでケミカルクラックが原理上起こらず、ABSにも低リスクで塗装可能となっている。
前述の通りエマルジョン塗料はラッカーの下地にできるので、ABSに予め塗っておくことでラッカー溶剤浸透のリスクを軽減できる*6。どうしても割りたくないならこの方法で塗るとよいだろう。
また、溶剤を使っていないマーカー塗料(例えば『リアルタッチマーカー』などは溶剤不使用の水性塗料)でも塗装可能。スミ入れや部分塗装はそういうものを使うとよい。

  • POM
ポリアセタール樹脂を使った素材で耐摩耗性と強度、そして溶剤への耐性が極めて高い
ガンプラではあまり使われないが、ガールズプラモの手首ジョイントや股関節など細く小さい関節パーツではABSではなくより強度の高いこちらが採用される場合が多い。

溶剤への耐性が極めて高いという特性はつまり、塗料が全く定着しない事を意味している。
ラッカー塗装は勿論、アクリルやエナメルを塗っても全く定着せず触るだけで綺麗に剥がれてしまう。
エマルジョン塗料は特性上一応塗装は可能だが他の塗料よりはマシ、程度の定着しかしない(前述の通り強度が求められる可動部位に使われる傾向があるので、アッサリ剥がれることも…)。
金属などへの塗装ができるプライマーもこいつに対しては無力に近く、定着を期待できるほどの効果は得られない。

モデラー諸氏の研究の結果、細かい原理は不明ながら一応塗装が出来る方法は編み出されているが、全てのPOMで出来るかは不明である。
幸いなことに目立つ大きさのPOMはプラモデルではあまり使われていない傾向があるので、塗らないのも選択肢である。
なお、プラモによっては塗装したいユーザー向けに当該パーツがPOMとABS(またはPS)の選択式になっているものもある。

  • PE(ポリキャップ)
ガンプラの可動部位などに使われるアレ。軟質パーツとも。
ポリキャップはともかくとして軟質パーツは目立つ使われ方をされていることが多いが、そのままでは殆どの塗料が定着しない。
柔らかいので曲げるとボロボロ塗装が剥がれてしまう。

こちらは対策としてプライマーを事前に塗布しておくというものが挙げられる。POMと違い、プライマーが下地になっていればそれなりに定着してくれるのだ。
また、水性ホビーカラーの「焼鉄色」、Mr.メタルカラーなど、そのまま塗っても何故か結構定着してくれる塗料もある。

  • PP(ポリプロピレン)
ミニ四駆などでよく使われている素材で、こちらも溶剤耐性が強くそのままでは塗料が定着しない。
タミヤからPP用のプライマーが出ておりそれを下地にするのがベター。

  • PC(ポリカーボネート)
軽量かつ耐衝撃性に優れたプラスチック。ラジコンなどの外装に使われる他、キャラクターモデルの関節パーツなどにも使われることがある。
例によってそのままでは塗料が定着せず、プライマーを使う必要がある。
なおタミヤではPC用のスプレー塗料も多くラインナップされているが、こちらは普通のPS素材には使用できないので間違えて買わないように……


追記、修正は手が七色に変わってからお願いしますね

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • プラモデル
  • 趣味
  • 強風
  • 湿気
  • MAX塗り
  • 有機溶剤
  • プラモ狂四郎
  • 模型戦士ガンプラビルダーズビギニングG
  • 火気禁止項目
  • 換気はしましょう
  • 「私色に染め上げる!!」
  • ラリる
  • 塗装
最終更新:2025年04月28日 05:11

*1 あえて傷や汚れを付けて実在しているような泥臭さや何度も戦闘を潜り抜けたような雰囲気を持たせる技法

*2 竹ひごの先にクリップの付いた道具

*3 アキヨド、これ以外にも「カメラコーナー」に大人用オムツを陳列するなど、ある種の実用的な冗談が大好きなお店ではあるが。

*4 塗料は基本的に「顔料+溶剤」の調合で作られる

*5 トップコート用ガンダムマーカーも販売されているが、エアブラシシステムとの連携を前提としている

*6 サーフェイサーが同様の役割を果たすと言われることもあるが、実際にはそのサーフェイサー自体が溶剤で割られているものなのでリスクとしては大差ないと考えられる